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2007年8月の4件の記事

2007年8月26日 (日)

サイトウ・キネン・フェスティバル松本「スペードの女王」(2007/08/26)

2007年8月26日(日)15:00
まつもと市民芸術館 主ホール

サイトウ・キネン・フェスティバル松本
指揮:小澤征爾


チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」


サイトウ・キネン・フェスティバル松本は今年で16年目とのことですが、私は今回が初めての鑑賞でした。

今年は例年に比較して、小澤征爾さんのオペラを多く鑑賞しています。
3月は「タンホイザー」(東京のオペラの森)。
5月は「さまよえるオランダ人」(ウィーン国立歌劇場)(現地)
7月は「カルメン」(小澤征爾音楽塾)
そして、今回が「スペードの女王」です。

13:36松本着の特急で到着。
松本に来るのも初めてです。
駅弁をがまんしてきて、到着後に蕎麦を食べました。
地元の人お奨めのお店で「穴子天ざる」というのを食べたのですが、蕎麦がおいしいのはもちろんですが、穴子がおいしいこと!
丸々一匹の天ぷらですが、ぷりぷりしていて、こんなにおいしい穴子の天ぷらを食べたのは初めてでした。
意外とボリュームがあり、これからオペラ鑑賞なのに満腹です。
会場まで歩くのが、ちょっと苦しい。
もう少し早く食べれば良かったと思いました。
(第1幕は、お腹が少し苦しかったです。)(^^ゞ

寄り道をしていたので、会場に着いて、プログラムを買って席についたのが開演10分前くらい。
「初サイトウ・キネン」の感慨にふける間もなく、オペラが始まりました。
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「スペードの女王」は今まであまり馴染みがなかったので、NHKで放送されたパリ・オペラ座の公演(ロジェストヴェンスキー指揮)を観て予習をしましたが、そのときの感想をmixiの日記に、次のように書きました。
>もしかしたら私のようなオペラ初心者には、
>この作品は「まだ早かった」のかも…。(^_^;)
>観れば観るほど気持ちが沈んできます。
>「そういうオペラなんだよ」と言われればそれまでですが、
>このオペラに比べれば悲愴交響曲なんか明るい、明るい。(?)
>音楽自体は「さすがチャイコフスキー!」と感じ入る部分もあるのですが、
>全体を覆うこの暗さに、はたして私はついて行けるでしょうか…。
>でも終演後のパリの聴衆からは「ブラボー」が飛び交っています。

この日は「暗さ」よりも「劇的な側面」を強く感じました。
小澤征爾さんの音楽もそうですが、メトロポリタン歌劇場のプロダクションというだけあって、舞台装置などもオーソドックスなもので、視覚的にも「劇的な側面」を助けていたように思います。
(私は、個人的には、抽象的な舞台装置とかは良さがよくわかりません。)
7月の「カルメン」では奥行きがあまりない舞台が印象的でしたが、この日の舞台はかなり奥行きがありました。
「カルメン」の4~5倍はあったと思います。

主役のゲルマンを歌ったガルージンさんは、偶然なのか必然なのか、テレビで観たパリ・オペラ座の主役も務めていました。
私はあまり詳しくありませんが、「スペードの女王」のゲルマン役としては、第一人者の一人なのでしょう。
事実、すばらしい、劇的な歌唱でした。
主役が同じでも演出が違うと、ずいぶん印象が異なります。
(テレビと生演奏の違いだけではないと思います。)

ガルージンさんの脇を固める歌手もみんなすばらしい歌唱。
7月の「カルメン」の歌手に比べて、ワンランク上の歌唱のように感じます。

第1幕から素晴らしかったですが、第3幕の盛り上がりは歌手、オーケストラ、コーラスともに最高潮。
さすが、天下のサイトウ・キネンだと、感心しました。

私の席は最上階の4階席正面なので、上体を少し前に倒せばオケピットの小澤さんの指揮姿は見えました。
しかし、その姿勢を保つのは結構疲れるので、第2幕からは座席の背もたれに背中をつけて鑑賞しました。
ただ、視覚的には、手すりが、ちょっと邪魔になりました。
安全上、転落防止のため、仕方ないとは思いますが…。
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25分の休憩2回をはさんで、カーテンコールが終わったのが18:45~18:50頃。
私は翌日休暇を取っており(自宅まで帰ることも出来ましたが)最初から宿泊の予定でした。
翌日の特急の指定券を買いに駅へ行ってみると、新宿行きの「あずさ」の指定席は、臨時列車も含めて満席。
サイトウ・キネンの観客ばかりというわけではないでしょうが、絶句している人が何人も居ました。
ちなみに、その後で買い物の際に高速バス乗り場をのぞいたら、こちらも全て満席でした。
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なお、公演自体は素晴らしかったですが、天下のサイトウ・キネンにしては「おや?」と思うことがあったので、書いておきます。

(1)どこで何分間休憩が入り、何時に終演予定なのか、どこにも書いてありませんでした。
新国立劇場でも、小澤征爾音楽塾でも、たいていロビーに掲示がありました。
ウィーン国立歌劇場などは、ホームページに「上演時間2時間15分、休憩なし」とドイツ語で書かれていましたし、9月のチューリッヒ歌劇場の来日公演も、終演予定時刻が書かれています。
事実、会場で「今日は何時頃に終わりますか?」と係員にたずねている人もいました。

(2)ホールの施設の問題かもしれませんが、4階席はかなり暑く、汗が止まりませんでした。
私は暑がりなので、私だけかと思いましたが、左隣の人も始終タオルで汗をぬぐっていましたし、右隣の女性も途中から扇子を取り出して、ずっとあおいでいました。
休憩時間のロビーは、飲み物の販売に長い列が出来ていましたので、4階席だけではないかもしれません。
(ただ、冷えすぎると、鼻をすする音のオンパレードになって鑑賞の妨げになることもあるので、難しいところかもしれません。)

(3)私の席は最上階の4階席正面だったのですが、終演後、席に残って荷物を整理していたら、最後の観客になってしまいました。
その際、係員の男性から威嚇するような声で「退席願いますっ!」と言われ、唖然としました。
席を立って扉へ向かうときも、係員からは「ありがとうございました」の声もなく、無言。
お客さんを見下す態度がありありで、公演会場の係員からこのような応対をされれたのは、今までの鑑賞歴で初めてのことです。
1階のロビーでは、女性スタッフが一列に並んで、帰路につくお客さんに「ありがとうございました」と挨拶をしていましたし、それなりの責任のある立場と思われる男性数人も「ありがとうございました」と挨拶をしていましたので、4階席の係員だけの問題と思いますが、天下のサイトウ・キネンにしては三流の対応だと、最後の最後にがっかりしました。

…と言うわけで、最後の最後に少し嫌な思いもしましたが、上演自体は素晴らしく、満足してホテルに帰ってきて、この文章を書きました。

ゲルマン:ウラディーミル・ガルージン
リーザ:オルガ・グリャーコワ
伯爵夫人:ラリサ・ディアートコワ
エレツキー公爵:スコット・ヘンドリックス
トムスキー伯爵/プルータス:マーク・デラヴァン
チェカリンスキー:ジョン・ダスザック
ポリーナ/ダフニス:スザナ・ポレツキー(出演者変更)
家庭教師:イリーナ・チスチャコーワ
スーリン:山下浩司(出演者変更)
マーシャ:黒木真弓
チャプリツキー/儀典長:大槻孝志
クロエ:安藤赴美子
ナルーモフ:成田眞
合唱:東京オペラシンガーズ
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
演出:デイヴィッド・ニース
装置・衣裳:マーク・トンプソン
照明:高沢立生
振付:マーカス・バグラー
(メトロポリタン歌劇場所有プロダクションを使用)
オリジナル演出:エライジャ・モシンスキー

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2007年8月19日 (日)

下野竜也/読響(2007/08/19)

2007年8月19日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団


シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」


チケットは完売でした。(実際には多少の空席はありましたが…。)
ずいぶん前、山崎伸子さんがまだ「若手」だった頃に、夏の読響の「三大協奏曲」でドヴォルザークのチェロ協奏曲を弾いたときに、「当日券なし」で入場できず、愕然とした記憶があります。

もっとも、この手のコンサートのチケットは、最近はあまり買っていません。
この日も、みなとみらいのシリーズ券に組み込まれているので出かけたようなものです。
下野さんの「新世界」がすごいのは、日テレの深夜番組や第2日テレのネット配信で確認済みですが、いわゆる「名曲コンサート」なので「もしかしたら、オケは二軍中心?」なんて不遜な心配をしてしまいました。
しかし、入場してきたメンバーを見ると、コンサートマスターに藤原さんと小森谷さんの2人が並んでいて、二軍どころか定期演奏会並みの布陣。
演奏を聴いた印象も、7月よりもむしろメンバーが揃っていた(あるいは練習が行き届いていた)のではないか…というくらい気合いの入った演奏でした。
「1日に3曲の交響曲で集中力は?」という心配も、全く無用でした。
(プロに対して失礼な心配でした。)

常任指揮者のスクロヴァチェフスキさんが80歳を超えていると思えないくらい若々しい音楽を鳴らすのに対して、正指揮者下野さんが30台とは思えないどっしりとした音楽を鳴らすのも面白いですね。
もっとも、「どっしり」と言っても動きが鈍いわけではなく、推進力もあります。

「新世界」はお約束の名演でしたが、ベートーヴェンだって、コンサートの最後に演奏しても良いくらい立派なベートーヴェンでした。

「アンコールなし」も好感でした。
この熱演の後に付け足しは不要です。
読響にとって、この日の演奏は定期演奏会並みの位置づけであったのでしょうか。

ただ、残念なことに、私の近くの席の方(一人)が、「未完成」の最後の消え入るような部分で、本屋さんの袋のようなものを、かなり大きい音でガサゴソ。
ベートーヴェンの途中で、補聴器(?)のイヤホンがはずれて、電子音が10秒くらい響く。
「新世界」の最後の音が消えていく部分で、無遠慮に「ゲホン、ゲホン」。

下野さんにも読響にも全く責任はありませんが、(逆に、せっかくの良い演奏なのに申し訳ないくらいです)私は少し憮然としながら家路につきました。

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2007年8月11日 (土)

大野和士/東京フィル(2007/8/10)

2007年8月10日(金)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:大野和士 東京フィル
ピアノ:小山実稚恵

R.シュトラウス:
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ショパン:ピアノ協奏曲第2番
ベルリオーズ:幻想交響曲


こういう演奏に対して「言葉」は無力です。
…と言いつつ、書いてしまいますが…(^^ゞ

この日の演奏が、偶然に、みんながノッてしまって生まれたものでないことは、冒頭の「ティル…」を聴けば明らかです。
熱演、爆演と言うよりは、周到に準備された力演のはずです。
有無を言わせぬ圧倒的な音の力。
オケのメンバーも、当たり前のような顔で、ものすごい音を鳴らしていました。

でも、幻想交響曲の第4、第5楽章のあの演奏は、何だったのでしょう。
大野さんの顔の表情は、3楽章までとガラリと変わって、鬼のような形相も浮かべていました。
第5楽章の最後の部分の半狂乱のような演奏は、あれが周到に準備された予定通りの結末だとしたら、すごすぎる。

第3楽章の張り詰めたような音楽もすばらしかったです。
第3楽章と第4楽章の間では、(私も含めて)多くの聴衆が、体の力を抜いてホッと一息をつき、来るべき第4楽章に備えて姿勢を直していました。

大野さんの評判は、十分に聞いたり読んだりしていますし、私が大野さんの演奏を聴くのが初めてではありませんが、こんなにすごい演奏で打ちのめされたのは初めてです。

以前NHKで放映された番組http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070125/index.html
で「相手を圧倒する」と語っていたのは、演奏する側の人のことだと記憶しています。
でも、この日の音楽は、聴衆をも圧倒ました。
オケが引き上げても拍手は続き、大野さんを舞台に呼び戻しました。

開演前に、大野さんのトークがありました。
「「ティル…」も幻想交響曲も、主人公が死刑になる音楽です。オペラシティ開館10周年にふさわしくない曲で、関係者の皆さんすみません。」
などと言って会場の笑いを取っていましたが、10周年に対する最高のはなむけの演奏でした。

休憩前の、小山さんのチャーミングなショパンの演奏も、もちろん良かったのですが、後半の幻想交響曲があまりにも凄すぎたので、損な役回りだったかも。
なお、この曲でも、オーケストラは雄弁で、「ショパンの作曲は、オーケストラの部分が下手」という先入観を覆すものでした。
R.シュトラウスとベルリオーズという名人2人に挟まれれば、さすがに差は素人の私にもわかりますが、決してピアノの引き立て役の伴奏…というレベルではないと思いました。

蛇足:
第4楽章が終わったところでコンサートマスターのヴァイオリンの弦が切れ、ヴァイオリン入れ替えのリレーが見れました。
弦を張り直したヴァイオリンは、2列目の奏者までは戻ってきましたが、コンサートマスターに戻る前に曲が終わってしまいました。

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2007年8月10日 (金)

小林研一郎/日本フィル(2007/8/9)

2007年8月9日(木)20:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:小林研一郎
日本フィル


チャイコフスキー:交響曲第5番
アイルランド民謡:ダニーボーイ(アンコール)
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「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI2007」では、私は5つめの演奏会です。
20時開演なので、終業と同時に会社をあわてて飛び出さなくても間に合うのが嬉しい。
この日も仕事の終了時刻が多少延びましたが、19時少し過ぎた頃には会場に到着しました。
普通の演奏会なら遅刻ですが、時間の余裕は十分です。
この日はプレトークが予定されていましたが、公開リハーサルは無いので、ゆっくり食事をしてから開演15分前くらいに入場しました。
平日のコンサートにしては、ロビーはずいぶん人が多い。
ホール内に入ってみると、4階席までお客さんがかなり入っています。
当日券はあったようで、僅かの空席はありましたが、完売間近だったように見受けられます。
平日の川崎のコンサートとしては、破格の入りかもしれません。

コバケンのチャイコフスキー5番と言えば、はるか昔(?)から、会場の熱狂間違い無しの熱演が約束されたようなものです。
この日も大熱演でした。

しかし、以前、みなとみらいホールでの日フィル横浜定期で聴いたときは、もっとハーモニーが整っていて、風格のある演奏だったような気がします。
なにぶん、何年も前のことですので、過去の記憶を自分で美化している可能性もあります。
でも、家に帰ってコバケンがチェコフィルを振ったこの曲のCD(1999年録音)を聴いてみると、なんとなくそのときの印象に近い。
逆に、第2日テレ(http://www.dai2ntv.jp/p/z/101z/index.html)でネット配信している読響の演奏は、たぶん最近の演奏だと思いますが、この日ミューザで聴いた演奏に近い印象です。
もしかしたら、コバケンのチャイコフスキー5番の演奏は、少しずつ変わってきているのかもしれません。

この日の演奏の印象は、ハーモニーを整えることよりも、先を急いで突き進む。
ひたすら暴力的にひっぱたく(?)ようなティンパニが、こういう演奏では、かえって快感。
第4楽章では、猛烈なテンポについて行ける楽器と行けない楽器があり、分解一歩手前になる場面も。
しかし、この演奏の流れの中では、「わざとやっているのでは?」と思うくらい自然。
この日のオケの音は、“きれいな音”とは言えない場面が多々ありましたが、“勢い”はすざまじい。
会場は、もちろん熱狂的な拍手とブラボーに包まれました。

アンコールの「ダニーボーイ」は、コバケンが自分で「私たちのアンコールの18番」と紹介。最後の、オーケストラ全員によるお辞儀は、正面、上手、下手、P席側、そして正面と、5回繰り返されました。
コバケンもその中心で一緒にお辞儀。
日フィル音楽監督を退任した後も、ただの客演指揮者ではないコバケンでした。

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