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2007年9月 1日 (土)

チューリッヒ歌劇場「椿姫」(2007年9月1日)

2007年9月1日(土)15:00
Bunkamuraオーチャードホール

チューリッヒ歌劇場
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト


ヴェルディ:歌劇「椿姫」

(第2幕第1場の後に休憩30分)

チューニングが始まったときに「おっ、この音は…」と期待が高まりました。
前奏曲が始まると、その期待は確信に変わりました。

「歌劇場のオケ」と、ひとくくりにしてはいけないことはわかっています。
でも、いわゆるシンフォニー・オーケストラに比べて、響きが洗練されていないオペラのオケが、少なからずあることも知っています。
でも、オペラのオケは歌に合わせるのが得意。
序曲がイマイチでも、幕が上がると絶妙の間で歌手を支え…。

しかし、チューリッヒのオケは一流の響きでした。
素晴らしい!
極上の手触りの布のような響きを持つオーケストラが、絶妙の間で歌手を支え、雄弁な音でドラマを語るのですから、独唱、合唱、管弦楽が三拍子揃った素晴らしいサウンドが鳴り響いたのは、言うまでもありません。

もちろん、その響きをまとめあげたのは、ウェルザー=メストです。
先週はサイトウキネンで小澤征爾さんのオペラを観たので、偶然にも、「現」と「次期」のウィーン国立歌劇場音楽監督の指揮を続けて聴いたことになります。
我ながら贅沢をさせていただいていると思います。

歌手陣も文句なし。
エヴァ・メイ(ソプラノ)のヴィオレッタは「定評あり」ですが、テレビで観た2005年の藤原歌劇団公演よりも、第3幕の「死にそうなヴィオレッタ」のリアリティーが増していたように感じました。
ジョルジョ・ジェルモン役のレオ・ヌッチ(バリトン)は、市販のショルティ(ロイヤルオペラ)のDVDでもこの役で出演していましたが、「こわいお父さん」そのものの風貌と声で、ものすごい存在感。
カーテンコールでの盛大なブラボーも、メイ、ヌッチ、ウェルザー=メストの3人に集中しました。
アルフレード役のピョートル・ベチャーラ(テノール)も、決して悪くなどなく、素晴らしい歌唱でしたが、お父さん役のヌッチが凄すぎたので、多少損をしているかもしれません。

第3幕では、今まで「椿姫」をDVDで観ても何とも思わなかったのに、じ~んときてしまいました。
周囲で、鼻をすする音も、数人聞こえました。
プログラム冊子の、ウェルザー=メストのインタビューに「センチメンタルな安っぽい演奏になってはいけない」と書いてありましたが、「安っぽくない演奏」の威力を目の当たりにさせていただきました。

今回の私の席は、オーチャードホールの3階席正面の2列目。
遠いながらも舞台もピットも良く見え、音も多少遠い感はあるものの、鑑賞に必要な音量届いていました。
視覚的には新国立劇場の4階席正面や、まつもと市民芸術館の4階席正面よりも良い感じ。
今まで、オーチャードホールは何回かの苦い経験(主に1階席)で敬遠気味でしたが、今後は、あまり先入観を持たないようにしたいと思います。
(ちなみに、この日は、3階席で上演中に話しをしていた人が居て、周囲の人から幕間にかなりきつい調子で注意されていました。)

ヴィオレッタ・ヴァレリー: エヴァ・メイ
フローラ・ヴェルヴォア: ダニエラ・シンドラム
アンニーナ: キスマーラ・ペサティ
アルフレード・ジェルモン: ピョートル・ベチャーラ
ジョルジョ・ジェルモン: レオ・ヌッチ
ガストーネ: ボグスラフ・ビツィンスキ
ドゥフォール男爵: シェティン・デーヴィッドソン
トビニー侯爵: ラインハルト・マイヤー
グランヴィル医師: トーマス・スラヴィンスキー
ジュゼッペ: ノエル・ヴァスケス
フローラの召使い: ハイキ・イルティアーホ
使いの者: ウベ・コサー

指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
演出:ユルゲン・フリム
装置:エーリッヒ・ヴォンダー
衣装:フローレンス・フォン・ゲルカン
照明:ヤコブ・シュロスタイン
合唱指揮:ユーグ・ヘマリー、エルンスト・ラッフェルスベルガー
振付:カタリーナ・リュア

チューリッヒ歌劇場合唱団
チューリッヒ歌劇場エキストラ協会
チューリッヒ歌劇場管弦楽団

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コメント

はじめまして♪
先週の土曜日ですね?私も観ていました。
本当に、久しぶりに夢のようね時間を過ごしました。
私も3幕では、目頭が熱くなりましたよ。・゚゚(ノД`)

オーチャードホール1階での苦い経験
と言うのは、「前の人の頭」とかでしょうか?
あれも運ですが、何ヶ月も期待して待ったのに
目前にデカ頭だと、ほんとに泣けますよね!

投稿: ぴぽっち | 2007年9月 8日 (土) 22時30分

ぴぽっちさん
コメントありがとうございました。

オーチャードホール1階での苦い経験は、前の人の頭ではなく「音が来ないぃ~」というもどかしさでした。
1階席やや後方でしたが、3階席の方が音が来るように思います。

「前の人の頭」は他のホールで経験していますが、そう言う人に限って頭の位置を頻繁に動かしたりして…(^_^;)

投稿: 稲毛海岸 | 2007年9月10日 (月) 20時03分

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