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2007年9月の7件の記事

2007年9月29日 (土)

スダーン/東響(2007/09/29)

2007年9月29日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団

チェロ:ジャン=ギアン・ケラス


ハイドン:交響曲第3番
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番からサラバンド(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

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本来ならば同じスダーン指揮の前日(9月28日)の演奏会とセットで聴けば、さらに良かったのかもしれません。
しかし前日は仕事の都合で聴けなかったため、この日一日だけの鑑賞となりました。
4月から8月までサントリーホール休館という特殊事情があったにせよ、2日連続の定期演奏会(同一プログラム2日公演ではない)というのは東響では異例だと思います。
前日のプログラムは、次のようなものでした。
ハイドン:交響曲第2番
ブラームス:交響曲第3番
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:樫本大進)
もちろんどちらか1日だけ聴いても良いプログラムですが、ブラームスの3番とベートーヴェンの「田園」を並べているあたりが、続き物のような気もしますし、1日目が協奏曲で終わるのも(それほど珍しいことではないにせよ)続き物のような気がしてきます。
今年、ツィクルスとしてほとんどの定期演奏会で演奏されているハイドンも、2番、3番と連続しています。
なかなか面白い趣向だと思いました。
もっとも、この日一日を聴いた限りでは(当然のことながら)一日のプログラムでもきちんと完結しており、意識し過ぎだったかもしれません。

さて、この日は、私は改装後初めてのサントリーホール入場でした。
半年ぶりの再会の演奏会は全席完売。補助席が出ていました。
東響定期では、2月以来だと思います。
ただし、場内には多少の空席があり、チケット購入者の未来場があったようです。

改装後のサントリーホールの響きは、多少残響が少なくなったような気がしました。
その分、各楽器の音の分離が良くなり、細かく聞き分けられるようになったような気もしますが、私の好みとしては、以前の方が良かったような気がします。
壁の仕上げ材を貼り替えたという話しを聞きますが、そうであればエージングも必要でしょうから、しばらく様子を見て判断した方が良いかもしれません。

さて、肝心の演奏の方ですが、スダーンさんの指揮は例によって拍子を取るというよりは表情付けをしている印象があり、比喩的に言うならば、それに乗ってオーケストラが踊っているような演奏でした。

ハイドンの交響曲は私は大好きで、初期の曲はあまり生で聴く機会が無かったので、貴重な経験でした。
ただ、こうして聴いてみると「後期の曲は、本当に立派なんだな~」と再認識するという皮肉な感想になってしまいます。
100曲以上の交響曲の「第2番」ですから、当然のことなのですが…。

ドヴォルザークは、独奏チェロとオケが同質の音楽を奏でて、「競争曲ではなく、協奏曲である」ということを実感できる演奏でした。
しかし、だからと言って独奏がオケに埋没しているわけではなく、きちんと存在をアピール。
独奏チェロとオケの各パートのソロとの掛け合いは、聴いていて気持ちの良いものでした。

休憩時間に知り合いの方に会い、隣の席が空いているとのことだったので、後半はP席最前列で聴かせていただきました。
普段はP席でも後方の列を取ることが多いのですが、最前列ですとホルンの開口部の至近距離で、かつバロックティンパニの至近距離のため、音響的に面白い経験をさせていただきました。
「田園」って、こんなにホルンが活躍する曲だったんだ…と再認識。
バロックティンパニの音は、普通のティンパニに比べて、より「太鼓らしい音」がすることを認識。
それから東響のヴァイオリンは、至近距離で聴いてもきれいでした。

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2007年9月24日 (月)

スクロヴァチェフスキ/読響(2007/09/24)

2007年9月24日(月)18:00
東京芸術劇場

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
読売日本交響楽団


シューマン:交響曲第4番
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番


4日前に聴いたゲルハルト・ボッセさんの2番に引き続き、元気な老大家によるシューマンです。
シューマンの交響曲が好きな私には、短期間に2曲続けて生で聴けて、嬉しい“連続”でした。

スクロヴァチェフスキがさんは、例によって80歳をこえているとは思えない元気な足取りで登場し、暗譜での指揮。
尖った演奏を期待していましたが、この日は私の座った席の音響のせいか、ややマイルドな音に聞こえました。
4月の、みなとみらいホールでの演奏会では「アメリカのメジャーオケのような音」と感じましたが、ちょっと印象が違います。
でも、おそらくRBA列あたりで聴いたら、さぞかし迫力と推進力のある音だったことでしょう。
全曲通して良かったですが、特に第3楽章から第4楽章に移る部分の雰囲気が惹きつけられました。

後半のショスタコーヴィチは、あまり聴きこんでいませんので論ずる資格は私にはありませんが、概ね好演だったと思います。
ショスタコーヴィチは、音の小さな部分で緊張感を維持するのが難しいと思います。
でも、木管陣のソロは良かったですし、オケ全体での強奏での音のバランスと迫力は素晴らしかったです。
50分の長さを感じさせない演奏でした。

9月のスクロヴァチェフスキを聴くのはこの日の1回だけの予定です。
来春の演奏会を、今から楽しみに待ちたいと思います。

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2007年9月20日 (木)

ボッセ/シティ・フィル(2007/9/20)

2007年9月20日(木)19:00
東京オペラシティコンサートホール


指揮:ゲルハルト・ボッセ
東京シティ・フィル

ヴァイオリン:川畠成道

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
シューマン:交響曲第2番


シューマンの冒頭の音を聴いたときに「あれ、大丈夫?」と思いました。
最近聴いたシティ・フィルの演奏会はみな良かったのでちょっと意外。
でも、その後持ち直し、素晴らしい瞬間は多々あり、面白い響きも体験できたので、手放しで絶賛するわけにはいきませんが、聴きに行って良かった演奏会でした。
ボッセさんの指揮を生で聴くのは1999年以来8年ぶりです。

最初のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、私はどちらかというと苦手な曲の部類に入ります。
第3楽章は良いのですが、第1、第2楽章は、私にとってはなんとなく相性が悪い。
この日の演奏会は、シューマンの交響曲を聴きたくて買ったチケットでした。
でも、面白いサウンドを聴かせていただきました。
オケは第1ヴァイオリン12人の比較的小編成で、古楽器風のサウンド。
それに対して、ソロの川畠さんは朗々とした音を出し、対照的でした。
でも、水と油というわけではなく、結構面白い響き。
オケの弦楽器の音と、ソリストの出す音の性質が異なるので、独奏が際だつような効果を生んでいたと思います。
第2楽章が始まった後で、1階席中ほどのお客さんが二人、席を立って退出し、そのときにホール内に靴音が響いてしまったのが残念でした。

後半のシューマンでは、もう少し金管(ホルン)に頑張ってほしいと思いました。
冒頭のホルンは音が強すぎるし、きれいとは言えないアクセント。
オケ全体の音としても整理されていない印象で、どうなることかと思いました。
しかし、主部に入ってリズムが動き出すと、弦の頑張りもあって、きれいなサウンドが響き始めます。
オペラシティの音響で聴くこの曲は素晴らしい。
シューマンは前半とは異なり、モダンオケの音です。
編成も、第1ヴァイオリン14人と、少し大きくなりました。
第2楽章も好調を持続し、ボッセさんは第3楽章開始時の指揮棒を振り上げるときに、ニカッと笑いました。
納得のいく出来だったのかもしれません。
第3楽章は、弦楽器と木管楽器は良かったのですが、金管(ホルン)の音には、もう少しニュアンスがほしい感じ。
間合いをほとんど置かずに開始した第4楽章は、再びすばらしい響き。
総じてゆったりした部分はニュアンスが今一歩、速い部分はきれいに鳴っていました。
私の好みのシューマンからすると、少し明るすぎるサウンドのような気もしますが、21世紀のシューマン演奏としては、こういう音も有りでしょう。
そういうわけでこの曲は、全体の6~7割の部分は、満足できる演奏でした。

ボッセさんは年齢を感じさせない音楽。
そして歩き方も全く年齢を感じさせず、ずっと立って指揮をしました。

最後にオケを立たせずに、握手したコンサートマスターの戸澤さんの手を引っ張って舞台の袖に引き上げてしまったのは御愛嬌。
楽員の皆さんは苦笑しながら全員起立し、コンマス抜きで客席に向かって全員で一礼し、お開きとなりました。

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2007年9月14日 (金)

小泉和裕/都響(2007/09/14)

2007年9月14日(金)19:00
東京文化会館大ホール


指揮:小泉和裕
東京都交響楽団

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
(遅れていったため未聴)
ストラヴィンスキー:春の祭典


この日は神田駅周辺で用事があり、17:00には解放されると予想していたので、余裕で間に合うと思っていたら、長引いてしまい、会場に着いたのは19:30頃。
ブラームスの第2楽章が始まっており、途中入場は出来ませんでした。
お目当てのオピッツのブラームスが聴けず残念。
ロビーのモニターで貧弱な音を聴きながら、ホール内の熱演を想像して休憩時間を待ちました。
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でも小泉和裕さんも久しぶりで楽しみにしていたので、気を取り直して休憩後から演奏に臨みました。

この日の席は5階席右サイド。
最安席ですが、この席を「文化会館の中で一番音が良い場所」と言う人もいます。
確かに、2005年12月に聴いた、ジャン・フルネのラストコンサートのときの1階3列の響きより、この席の方がはるかに音が良いように感じました。
残響感はあまりありませんが、天井に近くて、反射音が良く届くせいか音の強さは抜群。最近は文化会館は敬遠気味でしたが、この席なら問題なく鑑賞できると思いました。

この5階席で聴いた小泉和裕さんの「春の祭典」は、私の耳には、明るい南国の日差しのような音色に聞こえました。
「北の大地の異教徒の踊り」という雰囲気とはちょっと違いましたが、最後までこの音色に惹きつけられて聴き通しました。

都響のテクニックに傷がなかったわけではありませんが、5日前に聴いた祝祭管弦楽団的なサイトウ・キネン・オーケストラとはまた違って、常設のオケのアンサンブルはそれなりの良さがあります。
ちなみにこの日のコンマスも、サイトウ・キネンの「幻想」と同じ矢部達哉さんでした。

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2007年9月10日 (月)

小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ(2007/09/09)

2007年9月9日(日)15:00
長野県松本文化会館

サイトウ・キネン・フェスティバル松本
オーケストラコンサートBプログラム


指揮:小澤征爾
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

ソプラノ:ルネ・フレミング


ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
アンリ・デュティユー:瞬間の神秘
アンリ・デュティユー:Le Temps L'Horloge
ベルリオーズ/幻想交響曲


ある雑誌の記事によると、小澤さんの若い頃は「オザワの幻想」は“ブランドもの”だったそうです。
その“ブランドもの”を初めて生で聴くことが出来ました。

夏の疲れが出たのか疲労気味で、この日は「義務感」で新宿駅へ向かいました。
しかし、特急の車窓をぼ~っと眺め、食事の後で30分ほど居眠りをしたりしていたら、松本に着く頃にはすっきりとしました。
特急の2時間半が格好の休憩になったようです。
2週間前の「スペードの女王」のときは到着後に食事をしたのですが、満腹で第1幕は少し苦しかったので、今回は車内で早めに駅弁で昼食を済ませました。
前回と同じ13:36に体調を回復して松本に到着。

会場は「松本駅からバスで20分」とのこと。
13:45発の「信州大学経由浅間温泉行き」のバスは立っている人もいたので見送り、13:50発の「横田経由浅間温泉行き」のバスに乗りました。
こちらの方はすいていて、座ることができました。
運賃は240円で、20分もかからず、10分ほどで「松本第1高校」のバス停に着きました。
会場の松本文化会館はそこからすぐです。
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14:00開場でしたがリハーサル中なのか、ロビーで待たされ、客席に入れたのは14:30頃。ロビーではワインが振る舞われていましたが、酒に強くない私が飲んだら寝てしまうかもしれないのでパスしました。
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楽員が入場を始めると拍手が始まり、小澤さんはそれに混じって登場。
小澤さんの姿が見えると、拍手は大きくなります。
全員揃ったところで着席を促し、チューニングに付き合うマエストロ。
こうして1曲目の「亡き王女のためのパヴァーヌ」が始まりました。

この日の私の席は最安席で、2階席後方の右端。
視覚的には結構遠いのですが、音はびっくりするくらい良く届きます。
一瞬「PAを使っているのでは?」と思ってしまったくらいでした。
天井に近い席と壁に近い席は、反射音の関係で音が良く届く場合が多いのですが、この日の席はその法則に当てはまるので、まあ、良い席に当たったのでしょう。
オケの編成も、第1ヴァイオリンが16人の大編成でした。

遠いのでコンマスはよくわかりませんでしたが、ラヴェルは小森谷巧さん?
(違ってたらゴメンナサイ)
ベルリオーズは矢部達哉さん?(これはたぶん間違いないと思う。)
デュティユーはわかりませんでした。
フルートの工藤さん、クラリネットのライスターさんは、遠目でもわかりますが、楽員はあまり判別できませんでした。
NHKのカメラが入っていましたので、いずれ放送されたときにわかるでしょう。

サイトウ・キネン・オーケストラと言えば、海外のメジャーオケ並みの実力なのでしょうが、こうして聴いてみると、常設のオケではなく、祝祭管弦楽団の性格のオケであることがよくわかります。
美しいハーモニーやシンフォニックな響きと言うよりも、パワフルなソリスト集団という感じです。

2曲目の「瞬間の神秘」では、曲が始まる前に、舞台設営の人が譜面台の高さを変更していたので「あれ?」と思っていたら、なんと小澤征爾さんが譜面を見ながら指揮していました。
「小澤さん=暗譜」と刷り込まれていますので、ちょっとびっくり。
スコア(総譜)を見ながら指揮をしました。
それ以外の曲では、いつも通り、譜面台にスコアを置いたまま開かずに暗譜で指揮。
珍しいものを見せていただきました。

デュティユーさんの曲は、現代曲にしては聞きやすいと思います。
「わかって聴いているの?」と突っ込まれるとつらいものがありますが、オーケストラの音としての耳あたりはなかなか良く、機会があったらCDでも買って聴いてみたいと思いました。

3曲目の世界初演(正確には、1日目の9月6日が本当の世界初演でしょうが)の曲は、プログラムの冊子によると「まだ未完」の状態で、4曲目を作曲中とのこと。
この日は3曲が演奏されました。
演奏終了後、客席を見渡す小澤さん。
1曲目と2曲目が終了して小澤さんが舞台の袖に引き上げる際に、しきりに客席を気にしていたので「もしや」と思いましたが、作曲者のデュティユーさんが来ていたのでした。
デュティユーさんは1916年生まれとのことですから91歳です。
まさか、来日して会場にいらっしゃるとは思いませんでした。
3曲目終了後、手招きして舞台へ呼び寄せる小澤さん。
杖をつきながら、ゆっくりステージに向かって歩いてくるデュティユーさん。
舞台に上がる階段は用意されていなかったので、デュティユーさんは舞台にもたれかかるような姿勢で客席の方を向いてお辞儀をしていました。
デュティユーさんはジャケットの襟をめくって何かを見せています。
客席の前方で笑いが置き、ステージ上の小澤さんも笑っていたようでした。
サイトウキネンのワッペンかネクタイでも見せていたのでしょうか?
私の席からは、遠くて見えませんでした。
最前列おお客さんが高齢の作曲家を気遣って席を譲り、デュティユーさんはそこに座って、小澤さんとフレミングさんがステージに呼び戻されるたびに促されて立ち上がり、拍手に応えていました。
この辺は主催者がもう少し配慮があれば良かったかもしれません。
でも、高齢とは言え、聴衆の拍手とブラボーを受けるのは、作曲家としても良い気分でしょう。

休憩の後は、お待ちかねのブランド「オザワの幻想」。
昨年のショスタコーヴィチの交響曲第5番が最近CDで発売され、派手な鳴らしっぷりに感激しましたが、この日の演奏もパワフルそのもの。
アンチ・オザワの人には「鳴らせば良いというものではないよ」と叱られそうですが、この重量感のある音の砲弾は、私にとっては快感でした。
8月に大野和士さんの素晴らしい幻想を聴いたばかりですが、「さすがは小澤さん、まだまだ目の黒いうちは…」と言うべきか、「大野さんはポスト・オザワの最有力候補」と言うべきか、しばらくは、普通の「幻想」は聴きたくありません。

演奏終了後、小澤さんはオケのメンバー全員と握手し、それが終わると、全員が引き上げます。
カーテンコールはオケメンバー全員がぞろぞろと。
これが3~4回、繰り返されました。
最後は、舞台上でメンバー全員に花が贈られ、その後その花は、客席に向かって投げられました。
1階席前方の人は大喜びで奪い合っていたようです。
会場の出口でも、お客さん全員に花がプレゼントされていました。

なお、この日の隣の席は、小さな女の子を連れたお母さん。
それほど大きな音ではありませんが、親子とも、しばしばガサゴソ動くので、私は集中力を維持することが出来ず、ちょっと残念でした。
この日の演奏だったら、S席を奮発しても良かったな…と思いながら、会場を後にしました。

拍手がおさまり、会場を出たのが17:15頃。
「帰りはタクシーでもいいな」と思っていましたが、会場の前のタクシー乗り場が長蛇の列だったので、結局「松本第一高校」のバス停に向かいました。
ちょうど行った後で15分ほど待ちましたが、こちらはすいていて、バスも十分に座れました。
駅までの所要時間はやはり12~3分でした。

帰りの特急は、18:00頃の駅の表示では「空席あり」になっていましたが、発車して間もなく「指定席は満席」との放送が入りました。
また、車内販売のお弁当はすぐに売切れてしまい「御了承下さい」車内放送が流れました。
松本駅の売店で、最後の2個のうちの1個を迷わず買って乗って、正解でした。

こうして“松本日帰り”の一日が終わりました。

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2007年9月 8日 (土)

チューリッヒ歌劇場「ばらの騎士」(2007年9月8日)

2007年9月8日(日)14:00
Bunkamuraオーチャードホール


チューリッヒ歌劇場
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト


R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」
(第1幕、第2幕の後に、それぞれ30分の休憩)
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ウィーン旅行から帰ってきて、金銭感覚が麻痺しているときに買ったチケットの最後の一枚です。(^^ゞ
正規にぴあで購入したので、比較的高価なランクの席しか残っていませんでした。
その代わり、さすがに高いだけあって、舞台が非常に良く見えました!
3階席ですが、左側の前に張り出した部分の前方です。

そんな(私にしては)高額チケットを持っているのに、今週は疲労感から体調が優れず、一時はどうなることかと思いました。
この日は、体調はだいぶ持ち直しましたが、第1幕、第2幕あたりは、少し眠気を感じながらの鑑賞になってしまい、ちょっともったいないことをしました。

この日のチケットを買った動機は、ソプラノのニーナ・シュテンメさんが出演することでした。
ゴールデン・ウィークのウィーン旅行中にウィーン国立歌劇場で観た「さまよえるオランダ人」(指揮:小澤征爾)でゼンタ役を歌い、その歌唱が素晴らしかったので注目していました。
もちろん、カサロヴァさんも出演するし、ウェルザー=メストさんが指揮するし、今年来日する他の歌劇場(ベルリン、ドレスデン)に比べてチケットは安いし、会場も(NHKホールではなく)オーチャードホールなので容積的にもお得感が…と、条件は揃っていました。
その後ウェルザー=メストさんは、次期ウィーン国立歌劇場音楽監督に決まり、箔がついてお得感倍増。
調子に乗って、9月1日の「椿姫」まで追加購入してしまいました。
(こちらはオークションで入手)

オーケストラの優秀さは9月1日の「椿姫」にて確認済み。
この日も期待を裏切りませんでした。
「ばらの騎士」は6月に新国立劇場で、ペーター・シュナイダーさんの指揮で聴きましたが、そのときの、どちらかというと分厚い響きに比べて、この日はすっきりとしたサウンド。
ペーター・シュナイダーさんの強奏は迫力重視で、ある意味“汚い”音も出していましたが、この日のウェルザー=メストさんの音は、強奏でも純度の高いきれいな音が響いていました。
どちらが好き、嫌いという話しではなく、同じ「ばらの騎士」でも、指揮者が変わるとオケの音はずいぶん変わるんだな…と思いました。
(ちなみに、ペーター・シュナイダーさんの指揮は、ウィーン旅行中、ウィーン国立歌劇場で「エレクトラ」を観ましたが、新国立劇場で聴いた「ばらの騎士」と同じ傾向のサウンドでした。)

歌手では、お目当てのニーナ・シュテンメさんは、あまり声を張り上げることなく、きれいな声を保持していたように感じました。
ウィーンで聴いたときのゼンタ役では、けっこう声を張り上げていた印象があるので、多少イメージが違いましたが、これはこれで素敵でした。
シュテンメさんの容姿は、実は私は好みでして、ゼンタ役のときは、かわいらしく見えましたが、この日は元帥夫人役なので、色っぽさにくらくらっときました。(^^ゞ
シュテンメさんの実年齢は40歳前後だったと思いますが、現代において元帥夫人を演じるには、最適の年齢かもしれません。
こんな元帥夫人が居たら、オクタヴィアンのような若い男は参ってしまうだろうな~と、リアリティを感じながら観ていました。
ウィーンでファンになって、この日ますます好きになりました。

カサロヴァさんは、比較的、声を張り上げていた印象があります。
パワフルなオクタヴィアンの印象を受けましたが、素晴らしかったです。
シュテンメさん、カサロヴァさんに加えて、ゾフィー役のハルテリウスを加えて、第3幕の最後の方で3人揃って歌う場面は、ため息をつきたくなるくらいの至福の一時でした。
オックス男爵役のムフさんは、こういう役にもかかわらず、いやらしさを感じさせません。
迫力のある声と存在感で、貴族としての尊厳を演じていて、好演だったと思います。

終演後の盛大なブラボーは、シュテンメさん、カサロヴァさん、ムフさん、そしてウェルザー=メストさんに集中しました。
ウェルザー=メストさんへのブラボーが一番大きかったのは当然だと思いますが、シュテンメさんにも、それに匹敵するくらいのブラボーの声がかかり、ファンの私はとても嬉しかったです。

ところで、音楽的には非常に満足した上演でしたが、演出(舞台装置を含む)は、オペラ初心者の私には、よく分かりませんでした。
第1幕は、屋内の場面のようですが、木のようなものが生えています。
そこにテーブルとか椅子を置いての演技で、最初は特に違和感を感じませんでした。
でも、“歌手”役のベチャーラさん(「椿姫」にはアルフレード役で出演)が、箱に入って変な格好で出て来て「ん?」という感じ。
さらに、第2幕のシーンは、コックさんのような人がいっぱい並んでいる場面。
厨房なのでしょうか?
曇りガラスの向こうでもなにやら演技をしたり、人が走り抜けたり…。
ここは、どういう設定なのか、私にはよくわかりませんでした。
第3幕は、第1幕と同じ場所にテントのようなものをつって料理屋の場面。
骸骨のコスチュームの怪物は面白かったですが、それ以外の役(料理屋の従業員?)も変なかぶり物をしています。
プログラムの冊子には演出に関する記述はあまりないので、「音楽の友」誌あたりに記事が載るのを待ちたいと思います。

陸軍元帥ヴェルデンベルク侯爵夫人: ニーナ・シュテンメ
レルヒェナウのオックス男爵: アレフレッド・ムフ
オクタヴィアン: ヴェッセリーナ・カサロヴァ
フォン・ファーニナル: ロルフ・ハウンシュタイン
ゾフィー: マリン・ハルテリウス
マリアンネ: クリスティアーネ・コール
ヴァルツァッキ: ルドルフ・シャシング
アンニーナ: キスマーラ・ペサティ
警部: ラインハルト・マイヤー
元帥夫人家の家令: フォルカー・フォーゲル
ファーニナル家の家令: アンドレアス・ヴィンクラー
公証人: トーマス・スラヴィンスキー
料理屋の主人: フォルカー・フォーゲル
歌手: ピョートル・ベチャーラ
帽子売り: カロリーネ・フス
3人の貴族の孤児: シュ・リヴェロス、
          フランチスカ・モンティエル、
          ヴァレーナ・ハッセルマン
動物売り: トーマス・ピュッツ
4人の元帥夫人の召使い: ノエル・ヴァスケス
             ティエリー・デューティ
             ミヒャエル・ムロセック
             フラヴィオ・マティアス
ピポリート: クリストフ・ヘレン
モハメッド: ヤン=ガン・ズーター
レオポルト: プージャ・タレビ

指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
演出:スヴェン・エリック・べヒトルフ
装置:ロルフ・グリテンベルク
衣装:マリアンヌ・グリテンベルク
照明 ユルゲン・ホフマン
合唱指揮:ユーグ・ヘマリー、エルンスト・ラッフェルスベルガー

チューリッヒ歌劇場合唱団
チューリッヒ歌劇場エキストラ協会
チューリッヒ歌劇場管弦楽団

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2007年9月 1日 (土)

チューリッヒ歌劇場「椿姫」(2007年9月1日)

2007年9月1日(土)15:00
Bunkamuraオーチャードホール

チューリッヒ歌劇場
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト


ヴェルディ:歌劇「椿姫」

(第2幕第1場の後に休憩30分)

チューニングが始まったときに「おっ、この音は…」と期待が高まりました。
前奏曲が始まると、その期待は確信に変わりました。

「歌劇場のオケ」と、ひとくくりにしてはいけないことはわかっています。
でも、いわゆるシンフォニー・オーケストラに比べて、響きが洗練されていないオペラのオケが、少なからずあることも知っています。
でも、オペラのオケは歌に合わせるのが得意。
序曲がイマイチでも、幕が上がると絶妙の間で歌手を支え…。

しかし、チューリッヒのオケは一流の響きでした。
素晴らしい!
極上の手触りの布のような響きを持つオーケストラが、絶妙の間で歌手を支え、雄弁な音でドラマを語るのですから、独唱、合唱、管弦楽が三拍子揃った素晴らしいサウンドが鳴り響いたのは、言うまでもありません。

もちろん、その響きをまとめあげたのは、ウェルザー=メストです。
先週はサイトウキネンで小澤征爾さんのオペラを観たので、偶然にも、「現」と「次期」のウィーン国立歌劇場音楽監督の指揮を続けて聴いたことになります。
我ながら贅沢をさせていただいていると思います。

歌手陣も文句なし。
エヴァ・メイ(ソプラノ)のヴィオレッタは「定評あり」ですが、テレビで観た2005年の藤原歌劇団公演よりも、第3幕の「死にそうなヴィオレッタ」のリアリティーが増していたように感じました。
ジョルジョ・ジェルモン役のレオ・ヌッチ(バリトン)は、市販のショルティ(ロイヤルオペラ)のDVDでもこの役で出演していましたが、「こわいお父さん」そのものの風貌と声で、ものすごい存在感。
カーテンコールでの盛大なブラボーも、メイ、ヌッチ、ウェルザー=メストの3人に集中しました。
アルフレード役のピョートル・ベチャーラ(テノール)も、決して悪くなどなく、素晴らしい歌唱でしたが、お父さん役のヌッチが凄すぎたので、多少損をしているかもしれません。

第3幕では、今まで「椿姫」をDVDで観ても何とも思わなかったのに、じ~んときてしまいました。
周囲で、鼻をすする音も、数人聞こえました。
プログラム冊子の、ウェルザー=メストのインタビューに「センチメンタルな安っぽい演奏になってはいけない」と書いてありましたが、「安っぽくない演奏」の威力を目の当たりにさせていただきました。

今回の私の席は、オーチャードホールの3階席正面の2列目。
遠いながらも舞台もピットも良く見え、音も多少遠い感はあるものの、鑑賞に必要な音量届いていました。
視覚的には新国立劇場の4階席正面や、まつもと市民芸術館の4階席正面よりも良い感じ。
今まで、オーチャードホールは何回かの苦い経験(主に1階席)で敬遠気味でしたが、今後は、あまり先入観を持たないようにしたいと思います。
(ちなみに、この日は、3階席で上演中に話しをしていた人が居て、周囲の人から幕間にかなりきつい調子で注意されていました。)

ヴィオレッタ・ヴァレリー: エヴァ・メイ
フローラ・ヴェルヴォア: ダニエラ・シンドラム
アンニーナ: キスマーラ・ペサティ
アルフレード・ジェルモン: ピョートル・ベチャーラ
ジョルジョ・ジェルモン: レオ・ヌッチ
ガストーネ: ボグスラフ・ビツィンスキ
ドゥフォール男爵: シェティン・デーヴィッドソン
トビニー侯爵: ラインハルト・マイヤー
グランヴィル医師: トーマス・スラヴィンスキー
ジュゼッペ: ノエル・ヴァスケス
フローラの召使い: ハイキ・イルティアーホ
使いの者: ウベ・コサー

指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
演出:ユルゲン・フリム
装置:エーリッヒ・ヴォンダー
衣装:フローレンス・フォン・ゲルカン
照明:ヤコブ・シュロスタイン
合唱指揮:ユーグ・ヘマリー、エルンスト・ラッフェルスベルガー
振付:カタリーナ・リュア

チューリッヒ歌劇場合唱団
チューリッヒ歌劇場エキストラ協会
チューリッヒ歌劇場管弦楽団

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