« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2007年10月の10件の記事

2007年10月31日 (水)

読響の2008年度

読響のホームページはまだのようですが、昨日のコンサートのチラシの中に「2008年度の読響」のパンフレットが入っていました。

シリーズによって多少異なりますが、定期演奏会について見てみると…。

常任指揮者のスクロヴァチェフスキさんが4月、9月、2009年3月の3回登場です。
(もしかしたら2009年度の1回分が2008年3月に回ってきたのかもしれませんが…。)
それから2年に1回来演と予告されていた桂冠指揮者のアルブレヒトさんが7月に登場します。
正式者の下野竜也さんは5月と10月の2回の登場です。
客演では、日フィルの主席に就任したラザレフさんが6月。
ヴァンスカさんが今年に引き続いて11月。
広上淳一さんが12月、上岡敏之さんが1月に定期のみに登場。
ヴァシリー・シナイスキーさんが2月に登場です。

定期以外では、年末の「第九」がギュンター・ノイホルトさんです。

相変わらず目移りしそうなラインナップです。
スクロヴァチェフスキさんがブルックナーの0番、1番、2番、5番を振るのも興味深いですし、広上さんがシェーンベルク編曲のブラームス:ピアノ四重奏曲を振るのも私は楽しみです。上岡さんは曲目が全部は発表になっていませんが、「ばらの騎士」組曲も期待できそうですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ボッセ/都響(2007/10/30)

2007年10月30日(火)19:00
サントリーホール


指揮:ゲルハルト・ボッセ
東京都交響楽団

トランペット:高橋敦

ハイドン:交響曲第85番「王妃」
ハイドン:トランペット協奏曲
バッハ:管弦楽組曲第2番~終曲(アンコール)
ハイドン:交響曲第101番「時計」

Img_2254Img_2255 




都響の年間プログラムが発表されたとき、「この日だけは最優先で聴きに行こう」と思いました。
オケの定期でオール・ハイドン・プログラムには、あまり出会えません。
ハイドンの交響曲が大好きな私にとっては、インバルのマーラーを差し置いて、のどから手が出るくらい、一番欲しいチケットでした。

一曲目の85番は、第1ヴァイオリンが10人の小編成。
ティンパニ無しで、金管はホルンだけ。
数少ない経験から「ボッセさんの古典派はピリオド的」という先入観を持ってしまっていましたが、普通のモダンオケの演奏でした。
でも、往年のヨッフムのCDなどに比べると、やはり「ピリオド後」のはつらつとしたハイドンです。
コンサート全体を通して、出だしの音が微妙にずれる場面がときどきありましたが、そんなことは些細なことに思えてくるような美しい音。
ひとたび音楽が動き始めてしまえば、そこには至福のハイドンの音の世界が広がります。小編成でも音量は不足せず、十分な残響も伴っています。
弦の音が特に魅力的でしたが、木管も素晴らしかったです。
決して“前座”ではないシンフォニーの演奏でした。

2曲目のトランペット協奏曲は、高橋さんのソロの音色が見事。
舞台後方のPブロックで聴いたのに、その輝かしい音に魅了されました。
プログラムの冊子によれば、この曲の独奏は現代の奏者にとっても難しい曲とのこと。
確かに、技巧的にも高度なものが要求されているように聞こえます。
しかし、高橋さんのソロは、技巧は当たり前のものとして、もっと高度な次元での音楽を奏でていたと思います。
この日の演奏に比べれば、その昔、入門用にLPレコードで聴いたこの曲の演奏は、今となってはムード音楽の印象です。
オケの第3楽章でのたたみかけるような追い込みもあって、スリリングで躍動感のある21世紀のハイドンでした。
プロコフィエフの古典交響曲や、ストラヴィンスキーのプルチネルラに匹敵するような新しさを持っている…などと言ったら、「これでから素人は…」と音楽の専門家にバカにされるかもしれませんが…。
この曲の編成は、さらに小さくなり、第1ヴァイオリンが8人まで減らされ、コントラバスなどは1人。
しかし、ティンパニが加わったことで、1曲目よりも音にアクセントがついた印象です。
バロック・ティンパニだったのかどうか、良く見えませんでしたが、聴いた印象では、バロック・ティンパニ風の音。
弦や管は普通のモダンオケの音を出していますが、ティンパニの音が加わるだけで、ずいぶんピリオド風の音に聞こえました。

アンコールは、指揮者無しの弦楽合奏を伴って、バッハの組曲第2番のフィナーレ。
オール・ハイドン・プロの中のバッハも、なかなか良かったです。
開放的なハイドンとは音色が少し異なり、魂を搾り出すような力のこもった演奏でした。
原曲がフルート独奏の曲であることを一瞬忘れさせてくれました。

後半の「時計」は、第1ヴァイオリンが12人と、この日の中では大きな編成。
この曲は、ハイドンの交響曲の中では、私の好きな曲ベスト3のひとつにあげています、
それくらい好きな曲なので、本当にあっという間に終わってしまったような印象を受けるくらい、楽しい30分した。
第2楽章の有名なメロディーのためにムード音楽的に見られがちですが、実は堂々たるシンフォニーの傑作だと思います。
第2楽章の有名なメロディーも突出はしていなくて交響曲の一要素ですし、第1、第4楽章は、ベートーヴェンの初期の交響曲にも比肩するような素晴らしさです。
第3楽章は、少しミステリアスな雰囲気も感じられるような、ハイドンならではの世界です。
この日の演奏は、この曲が決して“軽い音楽”などではなく、立派な交響曲であることを、存分に示した演奏だったと思います。
定期演奏会で、最後の曲として演奏されるハイドンの素晴らしいこと!
終演後の会場は、良い音楽を聴いた喜びに満ちた、暖かく盛大な拍手が贈られていました。
ハイドンの交響曲で、会場がこれほど盛り上がるとは!
ハイドン好きにとって、嬉しい限りです。

ボッセさんは、この後12月に札響定期でもオール・ハイドン・プログラムを振ります。
曲目は、トランペット協奏曲に、交響曲第6番「朝」、第7番「昼」、第8番「晩」。
また、1月には神奈川フィルの定期で「驚愕」を振ります。
札幌や横浜まで追いかけていきたくなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月23日 (火)

東京シティ・フィルの2008年度

東京シティ・フィルの3月の定期演奏会のチラシの裏に、来年度の予定が印刷されていました。

2007年
4月24日(木)指揮:パスカル・ヴェロ
5月14日(水)指揮:矢崎彦太郎
6月27日(金)指揮:飯守泰次郎
7月24日(木)指揮:飯守泰次郎
10月17日(金)指揮:ドリアン・ウィルソン
11月14日(金)指揮:飯守泰次郎
12月8日(月)指揮:矢崎彦太郎
2008年
1月21日(水)指揮:児玉宏
2月20日(金)指揮:飯守泰次郎
3月19日(木)指揮:鈴木雅明


そんなに頻繁に聴いているわけではありませんが、飯森さんや矢崎さんが振ったときは良い演奏になるようなので、お二人の登場が多いのは好感です。

7月以降は日付と指揮者のみで、曲目はわかりませんが、ちょっと気になる演奏会が2つ含まれていました。
2008年1月の児玉宏さんと、2008年3月の鈴木雅明さんです。

児玉宏さんは、私は聴いていませんが、前回シティ・フィル定期に登場したときの「音楽の友」誌の評が絶賛でした。
2008年4月から大阪シンフォニカー交響楽団の音楽監督にも就任します。
http://www.sym.jp/conductor/Kodama_new.html
注目してみたいと思います。

鈴木雅明さんはBCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)で有名ですが、2006年11月にシティ・フィルの定期を振っています。
私は、このときの演奏会は聴きました。

2006年11月2日(木)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール
指揮:鈴木雅明
東京シティ・フィル

テレマン:序曲 「悲喜劇」
ハイドン:交響曲第44番「悲しみ」
C.P.E.バッハ:シンフォニアロ短調作品182-5
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

そのときの感想を、私は某所に次のように書きました。

> 鈴木雅明さんの演奏会は、機会が無くて今回が初体験でした。
> 大変エネルギッシュな指揮ですが、素人の私にも音楽の表情がわかるような指揮で、指揮の手・腕・体の動きが全て音になって現れたように感じました。
> ハイドン「悲しみ」、モーツァルト「ジュピター」を目当てで行って大満足だったのですが、CPEバッハ「シンフォニア」がこんなにすばらしいとは!
> 12月のBCJのモーツァルト「レクイエム」のチケットを買ってあるので、今から楽しみです。

1年半以上先の演奏会ですが、今から楽しみです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年10月20日 (土)

飯森範親/東響(2007/10/20)

2007年10月20日(土)18:00
サントリーホール

指揮:飯森範親
東京交響楽団


ヘンツェ:
オペラ「ルプパ ― ヤツガシラと息子の愛の勝利」
(演奏会形式、日本初演)


アル・カジム:ラウリ・ヴァサール(バリトン)
バディアト:森川栄子(ソプラノ)
デーモン:トーマス・マイケル・アレン(テノール)
老人:松下雅人(バス)
アジブ:ファブリス・ディ・ファルコ(カウンター・テナー)
ガリブ:ジェローム・ヴァルニエ(バリトン)
マリク:小川明子(メゾ・ソプラノ)
ディジャブ:小野和彦(バス)

ヴォーカル・アンサンブル:東京混声合唱団
 好田真理、和田友子(ソプラノ)
 尾崎かをり、箕輪由樹(アルト)
 柿本竜二郎、志村一繁(テノール)
 徳永祐一、山田茂(バス)

演出:飯塚励生


「ちょっと難しかったけど、くせになりそうな音楽」…聴き終わった後の体感は、そういう印象でした。

しかし、実は休憩前の前半(第1部、約65分)は、眠かったです。(^^ゞ
演奏が悪かったわけではないと思います。
たまたま私の体調が、少し疲労感を感じる状態でした。
その上、初めて聴く作品だったので、字幕を一生懸命追ってしまいました。
せっかく生演奏を聴いているのに、指揮者もオケも歌手も、ろくに見ないで、ヘンツェの曲を「BGM」に文字を読んだのは失敗でした。

後半の80分を耐えられるかどうか不安になり、「疲れているので帰ろうか」と一瞬考えましたが、「ヘンツェのオペラなど、次はいつ聴けるかわからない」と思い直し、残ることにしました。
休憩時間に疲労回復のためにチョコレートを食べ(←小箱を携行していると便利です)、プログラムの冊子をもう一度読んでストーリーを復習し、後半(第2部、約80分)は字幕は時々見る程度にしたら、ずいぶん楽しめました。

プログラムの冊子によれば、「歌」は、調性を感じる節はほとんどなく、言葉から発する自由な抑揚、リズム、音程によって作られている(言葉によって支配されている)とのことです。
それに対して「オケ」は、音楽としての独自のおもしろさを示している(歌の伴奏をしていることもあるが、音楽自体に魅力に満ちあふれているものが少なくない)そうです。
その役割分担を意識して聴いてみると、このヘンツェの音楽の独特の音響が、俄然面白くなってきました。

現代のオペラをほとんど聴いたことがない私には、最初「これがオペラかい?」という思いも少し抱きましたが、以前、やはり東響定期で聴いた、ラッヘンマンの「マッチ売りの少女」に比べれば、十分すぎるほど「オペラ」だと思います。

舞台後方を高くし、Pブロックも使ったセミステージ形式での上演でした。
譜面台に楽譜を見ながらの歌唱ですが、衣装を着けて、多少の身振り、演技が入る上演だったので、単なる演奏会形式とは違って、多少の雰囲気も楽しめました。
ただ、東響の毎年のセミステージ形式のオペラでいつも思うのですが、スクリーンに映し出される映像の意味が、私にはよくわかりません。
「意味」とまで言わなくても、「雰囲気」作りの効果が出ているようにも、私には感じられません。
今回は、静止画も動画もありましたが、CGのようなアニメ調のものも出て来ました。
特にこれらの映像が無かったとしても、この日の演奏は成り立ったような気がしないでもありません。
それから、夏でもないのにオケメンバー全員が白い色の上着だったのは、照明効果を狙ってのことでしょうか?
黒い上着は指揮の飯森さんだけでした。
記憶の範囲では、私が過去に聴いた東響のセミステージ形式のオペラ上演では、「白い上着」は、なかったような気がします。

残念ながらお客さんの入りは盛況とは言えない状況でしたが、こういう曲を聴きに来るお客さんなので、多くの人は集中して聴いていました。
(演奏開始後20分くらいしたところで、立ち上がって帰ってしまったお客さんも居ましたが…。)
終演後、最後まで残っていたお客さんは三分の二くらいだと思いますが、結構熱心な拍手が続きました。

そういうわけで、体調がいまひとつだった割には、帰宅後も「あのサウンド」が耳に残っているくらい、刺激を受けてきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月19日 (金)

プレトニョフ/東フィル(2007/10/19)

2007年10月19日(金)19:00
サントリーホール


指揮:ミハイル・プレトニョフ
東京フィル

ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
スクリャービン:2つの詩曲 作品32-1(アンコール)
チャイコフスキー:交響曲第4番

Img_2242




プレトニョフさんの指揮は、いろいろな演奏会評などで、「ちょっと(いや、かなり)変」という先入観を持っていました。
6月にロシア・ナショナル管弦楽団の来日演奏会を聴いたときも、前半の禁欲的な演奏に当惑しました。(新聞評では「肩すかし」と書いていました。)

この日のチャイコフスキーは、それほど「変」ではありませんでした。
しかし、テンポは全般的に速めで、ロシアの大地を思わせるような、いわゆる「チャイコフスキーらしさ」は皆無。
そして、木管楽器のソロが出てくると、ところどころに、ショスタコーヴィチのような皮肉っぽい表情が見え隠れしたような気がしてしまいます。
最後は、猛烈な追い込みで、シンバルがようやくついていったような印象。
聴いた後の私の体感は、結構爽快な印象がありました。
会場も沸いていました。
21世紀のチャイコフスキー演奏としては、こういうのもありでしょう。

前半のプロコフィエフの協奏曲は、メルニコフさんのピアノの音とテクニックが素晴らしい。
プレトニョフさんの指揮も、6月のロシア・ナショナル管弦楽団のときのラフマニノフのような禁欲的な演奏ではなく、ところどころで強烈なパンチも繰り出して、メルニコフさんと協奏しつつ、競争していたように思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年10月14日 (日)

上岡敏之/ヴッパータール響(2007/10/14)

2007年10月14日(日)15:00
ノバホール(つくば)


指揮・ピアノ:上岡敏之
ヴッパータール交響楽団


R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番
ベートーヴェン:交響曲第5番
J.シュトラウス:喜歌劇「こうもり」序曲(アンコール)

Img_2224Img_2222_2 




ヴッパータール交響楽団の来日演奏会…と言うよりは上岡敏之さんの凱旋公演は、ぜひ聴きたいと思っていましたが、東京での演奏会は平日夜だったので、仕事で行けなくなるリスクが高く、高額チケットは買いにくいし、土曜日の横浜での演奏会の日は別の予定が入っていました。
幸い、日曜日につくばでも演奏会が、しかも東京公演に比べて割安な料金で開催されることを知りました。
つくばエクスプレスが開通したおかげで、比較的短時間で行くことが出来ることもわかり、チケットを購入しました。
私の家からだと、みなとみらいホールと変わらない時間で行くことが出来ます。
そのつくばエクスプレス、さすがに21世紀に開通した鉄道だけあって、スピードを出しているのにあまり揺れません。
私の乗った区間では、一度発進すると高速で突っ走り、カーブで減速するなど一切ありません。
あっという間に終点つくばに到着しました。
ノバホールは、ここから歩いて5分程度です。
http://tsukubacity.or.jp/info/modules/tinyd1/index.php?id=2
Img_2227Img_2231_2 




この日は残念ながら、1階席後方にかなりの空席が目立ちます。
でも、お客さんの鑑賞態度は非常に良い。
ビニール袋をガサゴソする人も居なくて、都内のホールより良いくらいです。
ロビーで話をしている人の様子を見ると、都内からの遠征(と言うほど遠くありませんが)の人もかなり居たようです。

この日は1階席前方で聴きました。
この席で聴いた限りでは、このホールは残響はそれほど多くありません。
しかし、決してデッドな響きではありません。
各楽器がくっきりと聞こえ、音の分解能が良く、オケの音がきれいに響くホールだと思いました。

一曲目の「ドン・ファン」は、決して先を急がず、悠然と音楽を奏でた印象。
ただし淡々と演奏ではなく、情熱を持った指揮振りで、髪を振り乱して半狂乱のように振る場面もありました。
オケは超一流ではないかもしれませんが、十分に一流の響き。
ドイツの地方都市のオケだけあって、インターナショナルにならないドイツの響きが素晴らしい。
会場の拍手は、一曲目なのに指揮者を3回舞台に呼び戻しました。

二曲目のモーツァルトはドイツ風の堂々たるモーツァルト。
短調の20番や24番ならともかく、21番でこれほど風格のある演奏を聴いた記憶はあまりありません。
そう思っていたら第1楽章のカデンツァで、20番のパッセージが登場し、びっくり。
上岡さんのオリジナルのカデンツァでしょうか?
ヴィオラ奏者がカデンツァが始まったとたんに、他のメンバーに何か目配せをしていたようでしたが、毎回即興で弾いているのでしょうか?
残念ながら、私はこの日1回限りの体験なのでわかりません。
この曲は比較的推進力のある演奏ですが、決して腰の軽い演奏ではありません。
第2楽章は優美の極み。
でも、単なるムード音楽とは対極にある、深みのある演奏でした。
なお、この日のピアノの向きは、弾き振りにもかかわらず普通のピアノ協奏曲の配置。
通常、弾き振りのときにはピアノのふたを取り、奏者兼指揮者は聴衆に背を向けて座る場合が多いと思います。
会場の制約とは思えないので、上岡さんの弾き振りのスタイルなのでしょう。
上岡さんはピアノを弾かないときは、立ち上がってピアノの後ろ(通常の協奏曲で指揮者が立つ位置)に行き、大きな身振りでオケをリードしていました。
この曲でも会場は熱烈な拍手で、上岡さんがコンサートマスターの手を引っ張って舞台の袖に引き上げ、ようやく拍手がおさまりました。

休憩後のベートーヴェンは速いテンポで始まりました。
でも重量感はあり、やっぱりドイツのオケのベートーヴェンです。
ぐいぐいと引っ張っていく演奏ですが、緊張感のある弱音部と、力のこもった大音量の対比が絶妙。
第2楽章をこんなに面白く聴いたのは、もしかして初めてかもしれません。
第3楽章では、うねるような響きに身を任せ、第4楽章に続く場面では、まばたきすら許さないような弱音に吸い込まれ、爆発するような第4楽章へ。
「終わってほしくない」と思いつつも、最後のたたみかけるような音の連続に圧倒され、一瞬、拍手をするのを忘れそうになるくらいでした。
オケも全員体を揺らして必死に食らいつき、大熱演でした。

アンコールのために何人かの奏者が入場してきたので、ワーグナーでもやるのかと思ったら、なんとアンコール曲は「こうもり」序曲。
上岡さんはいきなり全開のパワーでオケをあおり、まるでカルロス・クライバーのように演奏を開始。
冒頭のスタートダッシュが落ち着いたところで、オケのメンバーの何人かは目配せしあって、目が笑っています。
きっと、いつになく気合いが入っていたのでしょう。
事実、かなり速いパッセージで、管楽器がようやくついていったくらいのように感じました。
この演奏も、ドイツ風と言えばドイツ風ですが、優美なところは限りなく優美。そして速いところはスピード感あふれる快演。
全曲通して聴いても、冒頭で感じた「まるでカルロス・クライバーのように」という印象が残りました。

普段私は「ベートーヴェンの熱演の後ならアンコールなしでも良い」と思っています。
しかも、曲目が「マイスタージンガー」とかならともかく「こうもり」なんて…と思う方の人間なのです。
でも、この日の「こうもり」は違いました。
まさに、ベートーヴェンの熱演の後に演奏されるべき必然性をもった演奏でした。

オケが引き上げた後も全く拍手はやまず、上岡さんを無人の舞台に呼び戻しました。
上岡さんはちょっと驚いたような表情で笑みを浮かべて答礼。
この時点で会場はスタンディングオーべーション。
その後、手招きして、オケのメンバー全員を舞台に呼び寄せました。
メンバー全員で2回お辞儀して退場。
それでも拍手はおさまらず、上岡さんをもう一回無人の舞台に呼び戻してようやく拍手がおさまりました。
この日の素晴らしい演奏に、この賞賛は十分に値すると思います。
最後の答礼には楽団同行のカメラマンと思われる人が舞台に出て来て、「無人の舞台で一人拍手に応えるマエストロ」を撮影していました。

ロビーには「本日サイン会があります」と張り紙がしてありました。
終演後、すでに机が用意されていました。
でも「CDを購入した人」とは、書いてありません。
一般の人でもサインしてくれたのでしょうか?
残念ながら帰宅してやらなければならないことがあり、質問はしないで急ぎ会場を後にしました。
CDは最近発売された「悲愴」とブルックナー7番の2枚とも購入済みで、家にあります。
でも、しばらくはこの日の実演の余韻に浸りたいと思います。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年10月13日 (土)

ロジェストヴェンスキー/読響(2007/10/13)

2007年10月13日(土)14:00
東京芸術劇場


指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
読売日本交響楽団


チャイコフスキー:組曲第2番
チャイコフスキー:歌劇「イオランタ」(演奏会形式)

イオランタ(ソプラノ):佐藤美枝子
プロヴァンス王レネ(バス・バリトン):成田眞
ブルゴーニュの騎士ボデモン(テノール):経種廉彦
ブルゴーニュの侯爵ロベルト(バリトン):成田博之
エブン(バリトン):太田直樹
マルタ(メゾソプラノ):菅有実子
ベルトラン(バス・バリトン):畠山茂
アリメリク(テノール):大槻孝志
ブリギッタ(ソプラノ):安藤赴美子
ラウラ(ソプラノ):黒木真弓
合唱:武蔵野音楽大学
20071013




プログラムの冊子によれば、ドラマティックな「スペードの女王」に対して、このオペラは童話的な世界と通じる作品とのことです。
「くるみ割り人形」と一緒に初演されたという解説が、そういう期待感を増長します。
しかし、私の聴いた印象では、前半は「おいおい、スペードの女王の続きかい?」と言いたくなるほど、暗く感じました。
序奏からしてそうですが、特にレネ王が、イオランタ姫が目が見えない不幸を嘆くモノローグなど、そのまま「スペードの女王」のどこかに挿入しても使えるのではないかと思ってしまったくらいです。
後半、イオランタ姫の目が見えるようになった後は明るく劇的な讃歌で、聞き終わって幸せな気分になれるハッピーエンドのオペラですが、やはりチャイコフスキーが「スペードの女王」の次に書いたオペラだけのことはあると思いました。

このオペラは、私は“予習”はせず、会場で初めて聴きました。
字幕を目で追いながらの鑑賞でしたが、なかなか良い経験をさせていただきました。
「珍しい曲を聴いた」という次元ではなく、感動しました。
イオランタ姫の目が見えるようになった場面では、じ~んと来てしまいましたし、最後のハッピーエンドの大団円では、背筋がぞくぞくしました。
この成果をもたらしたのは、ロジェストヴェンスキーさんの手腕によるものでしょう。
あまり動かない指揮動作ですが、巨匠の域に達した人は、立っているだけでも音楽が出来てしまうのかもしれません。

このオペラがあまり上演されないのは、作品に弱点があるのでしょうか?
でも、ロジェストヴェンスキーさんは、プログラムの冊子に寄稿していて、このオペラを絶賛しています。
「1幕もので100分」という、オペラにしては中途半端な上演時間が障害になっているのかもしれません。

ステージ上の配置は弦楽器の後ろに独唱者、その後ろに管楽器と打楽器、その後ろが合唱でした。

歌手陣は全員日本人ですが、頑張ったと思います。
ロシア語歌唱のレベルは私にはわかりませんが、私は(ロシア語がわかるわけではないので)特に違和感は感じませんでした。
(ちなみに、サイトウキネン・フェスティバル松本2007の「スペードの女王」に出演した歌手も何人か含まれています。)
全員が分厚い譜面を見ながらの歌唱でしたが、決して“棒読み”風ではなく、ドラマティックなメリハリをつけていたと思います。
イオランタとボデモンが愛を深めていく場面など、もう少し二人の一体感が欲しいような気もしましたが、これは演技を伴わない演奏会形式の限界かもしれません。
位置的には、イオランタとボデモンの間には「乳母」が座っていました。
私が印象に残ったのは、レネ王役の成田眞さん。存在感がありました。

合唱は50人くらい。
少数精鋭なのか、非常に素晴らしい。
少人数なのにエネルギーがあって、それでいて透明感のあるハーモニーが印象的でした。全員暗譜での歌唱でした。

終演後は、ブラボーの声がかかり、熱心に拍手している人がいる一方、そそくさと会場を後にする姿も目立ちました。
16:45終演と遅くなったせいもあるのかもしれませんが、「芸劇マチネ」のお客さん向けの内容であったかどうか…という気もしました。
日程や会場の都合もあったのでしょうが、このプロは「定期」で演奏しても良かったのかもしれません。
今年の読響のシリーズでは、「定期」のシリーズにロジェストヴェンスキーさんの登場はありません。

拍手を受けるとき、歌手陣は大人数なので前後2列(女性が前、男性が後ろ)に並んでお辞儀をしていました。
最後の答礼のときに、ロジェストヴェンスキーさんが男性歌手全員と握手をし終わったところで、女性歌手4人が舞台の袖に引き上げてしまい、会場からは笑いが起こっていました。

休憩前の組曲第2番も、生演奏では初めて聴く曲です。
CDはドラティのものを持っていたので、何回か聴いてから出かけました。
…が、一週間の仕事の疲れが少し残っていて(眠りはしませんでしたが)眠かったので、あまり覚えていません。(^^ゞ
第2曲において、読響の弦の音がきれいだったことは印象に残っています。
休憩時間に水を飲み、飴をなめて気分をリフレッシュさせ、後半は(最初の方はまだ多少眠かったものの)曲が進むにつれて引き込まれ、曲が終わる頃には多少の興奮感もあってすっかり元気になっていました。
「音楽の力は偉大なり」です。

組曲第2番に話しを戻しますと、この曲は全5曲なのですが、第4曲が静かに終わると、会場から盛大な拍手が起きてしまいました。
皆さん、静かできれいな第4曲に感動して拍手したのか、終わったと勘違いして拍手したのかわかりませんが、私も知らなければつられて拍手してしまいそうなくらい盛大な拍手でした。
ロジェストヴェンスキーさんは全5曲が終わると、「ほら、終わったよ」と言わんばかりに、間髪を入れずに客席の方を向きました。

なお、演奏とは関係ありませんが、開演前にステージを見ると、チェロの2列目の椅子の背に紺か黒のジャケットが掛けてありました。
「珍しいな~」と思って見ていましたが、開演時間が近づいても誰も取りに来ません。
開演のベルが鳴り、とうとう楽員さんが入場を始めてしまいました。
チェロ主席の毛利さんが入場してきて「おいおい、なんだ、これは?」という感じでジャケットをつかみ、後から入場していた持ち主(2列目の奏者)に渡しました。
持ち主は、片手にチェロ、片手にジャケットを持って、いったん退場しました。
思わず、にやっと笑ってしまいましたが、本来はステージマネージャーが気がつくべきかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 9日 (火)

東響の2008年度定期演奏会

東京交響楽団の定期演奏会。
ようやく年間10回のうち4回が終了したばかりだというのに、もう来期の継続案内が送られてきました。
継続締切は10月31日です。
かなりの“先物取引”ですね。

今年度はハイドン・ツィクルスですが、来シーズンはシューベルト・ツィクルスです。
交響曲は1番から7番「未完成」まで7曲を演奏。
(8番「グレイト」は今年11月に演奏するからでしょう。)
「ロザムンデ」全曲や、ベリオのレンダリングもプログラムに含まれています。
スダーンさんの指揮は11回中4回。
秋山さんは1回、大友さんは2回、飯森さんは1回です。
残りはミッコ・フランクさん、金聖響さん、キタエンコさんが登場します。
川崎定期の6回は、全てサントリーホールでの定期演奏会と同じプログラムです。


東京芸術劇場シリーズは4回で、全て大友さんの指揮。
エルガーの「威風堂々」1番~5番が、4回に分けて演奏されます。

オペラシティ・シリーズは6回で、秋山さんが2回、スダーンさん、飯森さん、大友さんは1回です。

川崎名曲全集は10回で、秋山さん、スダーンさん、飯森さん、大友さんが1回ずつです。

サントリー定期、芸術劇場、オペラシティ、川崎名曲全集に、ほとんどプログラムの重複はありません。
(川崎名曲全集の2公演のみ)
来期から、川崎名曲全集を除いて20席限定で同演目の公演に限り振り替えが出来るようになるそうですが、結果的にサントリー定期と川崎定期の間でしか振り替えは出来ないということになります。

とりあえず、現在権利のあるサントリーホールの定期演奏会は、継続する方向で検討します。
新規会員券の一般発売は12月3日(川崎名曲全集は12月11日)ですが、他のシリーズは興味のあるものだけ一回券を狙うことになりそうです。
(mixiに書いた日記からの転載です)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 8日 (月)

ロジェストヴェンスキー/読響(2007/10/08)

2007年10月8日(月・祝)14:00
横浜みなとみらいホール


指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
読売日本交響楽団

ピアノ:ヴィクトリア・ポストニコーワ
オルガン:水野 均

サン・サーンス:「誓い」による3つの交響的情景
サン・サーンス:ピアノ協奏曲第2番
サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」


「オール・サン・サーンス・プログラム」は、今年6月にも広上淳一さん指揮のN響で聴きましたが、そのときは前半が「動物の謝肉祭」とチェロ協奏曲第1番でした。
この日は当初、ピアノ協奏曲が第3番と発表されていて、「珍しい曲が聴ける」と楽しみにしていたのですが、比較的ポピュラーな第2番に変更になりました。
しかし、この第2番が素晴らしい演奏でした。
まず、ポストニコーワさんのピアノの音!
ステージ後方のPブロックで聴いていたのに、音が迫ってきます。
かつて、この席で他のピアニストの演奏を、もどかしい思いをしながら聴いたことが何度もあります。
P席でもこの音ですから、1階席中央の席で聴いたら、さぞかし凄い音だったことでしょう。
それに加えて、オケが見事!
この曲の第1楽章はピアノが主役で、オケは伴奏に徹する演奏が多いような気がします。
しかし、この日の読響は、短いフレーズにも雄弁な音で存在感を示しました。
第1楽章のオケ・パートがこんなに魅力的だった演奏は、私は初めて聴いたような気がします。
第2、第3楽章もピアノ、オケともに好調を持続して華麗な第3楽章で曲を締めくくりました。
演奏が終わった後の握手で、ロジェストヴェンスキーさんがコンサートマスターの藤原さんの手を長く、強く、握っていた様子が、オケパートが秀逸であったことを物語っていると思います。

その前に演奏された、一曲目の「誓い」は初めて聴く曲。
プログラムには「約15分」と記載されていましたが、開演前に訂正のアナウンスがあり「約30分」の曲でした。
10分程度の曲が3曲。
ハープにアラビア風のメロディが出たり、チェロのソロがあったりして面白い曲です。
読響の弦の響きが美しい!
初めて聴く曲なので断言は出来ませんが、単なる「珍しい曲の紹介」のレベルではなく、素晴らしい演奏だったのではないかと思います。

休憩後の交響曲第3番は、比較的遅めのテンポの演奏。
個人的には第1楽章は最初は少し違和感がありましたが、スローテンポに耳が慣れてくると、スケールが大きいと感じるようになってきます。
このスローテンポが特に生きたのは第1楽章の後半。
読響の弦の美しさに加え、みなとみらいホールのオルガンの美しい響きで、恍惚感に満たされました。
ロジェストヴェンスキーさんは指揮台を置かずに、ステージに直に立っての指揮。
手を動かさずに、顔を振って指示する場面もあり、あまり動かず、要所要所での指示にとどめているようでした。

…というわけで、演奏は素晴らしかったのですが、残念なのは、私の近くの席のお客さんの鑑賞態度。
母と娘だと思いますが、第1楽章の後半、静かなところで、ひそひそとおしゃべりを始めて唖然。
第2楽章後半のオルガンが強奏で入る場面では、くすくすと笑い出す始末。
せっかくの好演にもかかわらず、私はおそらく憮然とした顔をしていたと思います。
この娘の方は中学生か高校生でしょう。
少し離れた席では、小学校低学年くらいのお嬢さんが、退屈もせずに真剣に、身動きせずに静かに鑑賞していたのとは好対照でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 7日 (日)

秋山和慶/東響(2007/10/7)

2007年10月7日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール


指揮:秋山和慶
東京交響楽団

ソプラノ:野田ヒロ子
メゾ・ソプラノ:小川明子
テノール:錦織健
バリトン:三原剛
合唱:東響コーラス
合唱指揮:大谷研二

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
モーツァルト:レクイエム
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス(アンコール)

20071007




言うまでもなく、未完の2曲を組み合わせた演奏会でした。
前日のオペラシティでの演奏会は完売おのことですが、この日も9割以上は、席が埋まっていたと思います。

秋山さんの指揮は、昔は「カチッとした縦の線を揃えた演奏」という印象を持っていましたが、最近は、それなりに“流れ”を感じさせる演奏が多いような気がします。
この日の演奏もそういう印象でした。

重量感のある重々しい演奏ではありません。
さりとて、古楽奏法の影響を受けた演奏でもない。
こういう演奏は、聴き手の好みによって好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は楽しみました。

この日の私の席は、Pブロック(ステージ後方側)の前寄り。
指揮者の前に立っていた独唱者の声については、位置関係の上に距離もあり、論じる資格はありませんが、テノールの錦織さんの声は、メリハリがはっきりしていて、くっきりと浮かび上がった印象でした。

東響コーラスが例によって見事。
合唱団については、距離が近かったせいか、音響的なハンディはあるものの、素晴らしさは十分に伝わってきます。
透明感のある澄んだ響きに陶酔しました。
合唱団員は全員黒い服。
女性は上が白のことが多いので、やっぱり「死者のためのミサ曲」を意識してのことでしょうか。

それから、ミューザのオルガンの響きもなかなか良い。
オルガンが前面に出てくる曲ではありませんが、極上のスパイスを添加したようなサウンドでした。

アンコールの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」も、コーラスの澄んだハーモニーは素晴らしい。
「レクイエム」の後にアンコールを演奏することの是非は賛否両論あると思います。
しかし、宗教的なことをあまり意識せずに純粋な音楽として聴く分には、メインディッシュの後の、上等のデザートの雰囲気でした。

それにしても、会場を埋めたみなさん、拍手を始めるのが早いです。
「未完成」も「レクイエム」も、最後の一音が鳴り終わると盛大な拍手が始まります。
どちらも有名な曲なので、みなさん「終わり」は御存知なのでしょう。
フライングというほどではなく、会場全体揃っての拍手なのでちぐはぐ感もありませんが、個人的には、どちらの曲も、もう少し静寂と余韻を楽しみたいと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »