ヴァンスカ/読響(2007/11/24)
2007年11月24日(土)18:00
サントリーホール
指揮:オスモ・ヴァンスカ
読売日本交響楽団
シベリウス:イン・メモリアム(葬送行進曲)
ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第2番
この日の指揮者、ヴァンスカさんの名前はずいぶん前から知っていました。
ラハティ交響楽団の来日公演が大評判になったのは、もうかなり前のことです。
その後、読響に客演しているのも知っていました。
しかしいろいろな要因により、私がヴァンスカさんの演奏を聴いたのはこの日が初めてでした。
結論から先に言うと「聴きに行って良かった」という大満足。
「なぜ、もっと早く聴かなかったのだろう」などと言うのは止めておきます。
この日の演奏に出会えたことを感謝したいと思います。
この日のオケの配置は、チェロとコントラバスが下手側に来る対向配置。
ベートーヴェンの演奏は、聴いてすぐにピリオド派が台頭した「後」の演奏であることがわかります。
しかし、別に古楽奏法でもなく普通のモダンオケの演奏ですし、スピードは速めのものの、音の迫力は結構重量級です。
こういう演奏を前にすると、ピリオドアプローチがどうこうとコメントするのは何の意味も持たないような気がします。
きっと、もう、そういう時代は過ぎたのでしょう。
昔、カルロス・クライバーの演奏に対する評論で用いられた「今まさに音楽が生まれたかのような」と言う言葉を思い出します。
なんという生命力。
決して軽くないのにこの推進力。
そして、何気ない“つなぎ”の部分の音が、ハッとするほど魅惑的。
「ベートーヴェンは不要な音は書かなかった」という当たり前のことに気がつかせられます。
ヴァンスカさんの指揮は、細かく拍子を振ることはなく、表情付けがメイン。
ときどき、動きを止めたりしながら、すっかりオケを信頼し、さらに自発性を引き出しています。
その指揮に応えた読響も見事でした。
1番と2番という初期の曲ですが、まもなく英雄交響曲が誕生することを予感させるスケールを感じた演奏でした。
なお、この日の最初に演奏されたシベリウスの曲は、私は初めて聴きましたが、荘厳な感じの曲でした。
ベートーヴェンの前に、お得意のシベリウスの短い曲を披露してくれるあたり、なかなか洒落ています。
ベートーヴェンではやや小編成になりましたが、シベリウスは比較的大きな編成での演奏でした。
| 固定リンク
コメント