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2007年11月30日 (金)

広上淳一/神奈川フィル(2007/11/30)

2007年11月30日(金)19:00
横浜みなとみらいホール

指揮:広上淳一
神奈川フィル

ピアノ:アブデル・ラハマン・エル=バシャ
ヴァイオリン:堀米ゆず子
チェロ:山崎伸子
オルガン:室住素子

ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
ベートーヴェン:三重協奏曲
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」

私が山崎伸子さんのファンになったきっかけは、この日と同じ曲、ベートーヴェンの三重協奏曲の演奏でした。
1985年2月18日に東京文化会館大ホールで開催されたN響の演奏会。
都民芸術フェスティバルの最安席\1,000だったと記憶しています。
もう20年以上前になるのですね。
当初、スウィトナーさんが振ることになっていたのが病気キャンセルで、渡辺暁雄さんが代役として指揮をしました。
ピアノは小山実稚恵さん、ヴァイオリンは加藤知子さんでした。
このときの山崎伸子さんの奏でるチェロの音があまりにも素晴らしく、大ファンになりました。
特に第3楽章冒頭のソロが今でも印象に残っています。
一時は追っかけのように、リサイタルから室内楽まで山崎伸子さんの出演する演奏会に通ったものです。

当時、私が山崎伸子さんの演奏の好きなところは、一音一音をおろそかにせず、ていねいに演奏することだと感じていました。
当時、評論家の中には「もう少しスケールが大きな方が…」と書く人も居たように記憶していますが、私は「乱暴な演奏よりも、繊細な演奏の方が良い」と思っていました。
しかし、それは20年以上前のこと。
山崎伸子さんは、歳を重ねるにつれて、繊細さを失わずにスケールの大きさを身につけていったように思います。

この日の三重協奏曲は、まるで山崎伸子さんと堀米ゆず子さんの「競争曲」でした。
山崎さんが朗々と響き渡る音で存在感をアピールすれば、堀米さんが「負けていられない」とばかりに迫力のある美しい音で包み込み、さらにそれを受けて山崎さんが…という具合に、曲が進むにつれてどんどん白熱していきました。
(ちなみに、同じ会場で聴いていた堀米さんがごひいきの友人は、私と逆の印象で、堀米さんに負けじと山崎さんが…と感じたそうです。私は山崎さんのファンなので、多少バイアスがかかっているかもしれません。)
しかし決して「先を急ぐ演奏」ではなく、この曲が持つ優雅な雰囲気も合わせもった演奏だったと思います。
オケは広上さんの指揮ですから、伴奏に徹するはずがありません。
弾むような楽しさを体現した好演でした。
ピアノのエル=バシャさんもチェロとヴァイオリンを支えて、大変チャーミングな音を出していましたが、ピアニストにとってはこの曲は不利かもしれませんね。
22年ぶりに聴いた山崎伸子さんの三重協奏曲は大満足。
そして、堀米さんも久しぶりに聴きましたが素晴らしい。
このまま続けてブラームスの二重協奏曲を聴きたくなるような休憩時間でした。

さて、この日の後半は、広上淳一さんのサン=サーンス。
この曲も、広上さんが日フィル常任時代にびっくりするような鳴らし方で度肝を抜かれたことを覚えています。
1991年8月18日のサントリーホールでの演奏会ですから、これもかなり前ですね。
個人的には、この頃の大暴れするかと思うと、めちゃくちゃ甘美に歌わせたりする広上さんに比べて、近年は多少大人しい演奏が多いかな…と思っていました。
しかし、この日の演奏は、若い頃の広上さんを彷彿とさせるようなハイテンションの演奏でした。
しかし、単なる爆演系の粗野な演奏ではありません。
第1楽章第2部の雰囲気は息をのむようでしたし、第2楽章第2部もスケールの大きさを示す演奏でした。

実は私は、今年、この曲を3回聴いています。
1月28日にNHKホールで、シャルル・デュトワさん指揮のN響。
6月7日にオペラシティで、広上淳一さん指揮のN響。
そして、この日の広上淳一さん指揮の神奈川フィルです。
つまり、N響→N響という比較と、広上さん→広上さんという比較ができるのですが、こうして聴いてみると、6月のN響は、デュトワさんの影が多少見え隠れする演奏だったような気もします。
この日の演奏は、おそらく広上さんのやりたいことがかなり実現できたのではないでしょうか?
16年前の日フィル時代の若々しさを再現したかのような熱演でした。

神奈川フィルのメンバーも大熱演。
コンマスの石田さんだけでなく、ヴァイオリンの後ろの方に座っている人まで身体を大きく揺らして派手なアクションでの演奏でした。

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コメント

前回、読売日響の横浜定期演奏会でロジェクトヴィンスキーさんの指揮でオルガンを聴いたのですが、そのときと比べるととても控えめの、広上さんがN響を指揮された前回(CDが出たようです)と同じような控えめのオルガンのだったように感じました。特にオルガン自体の音量が違っていたように思います。
来年1月には日フィルがコバケンとオルガンをやりにみなとみらいに来ます。
ルーシーちゃん(オルガン)はもてるようです。

投稿: ぴよ! | 2007年12月 4日 (火) 00時28分

>ぴよ!さま
なるほど、オルガンは演奏によっても結構違いますね。
指揮者の違いなのか奏者による違いなのか、私にはわかりませんが、1月のデュトワ/N響と6月の広上/N響は、同じ奏者(ギラン・ルロワ)でした。
NHKホールとオペラシティという大変な違いがあるにもかかわらず、かなり近いサウンドになっていたような気がします。
コメントありがとうございました。

投稿: 稲毛海岸 | 2007年12月 4日 (火) 23時15分

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