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2007年12月19日 (水)

インバル/都響(2007/12/19)

2007年12月19日(水)19:00
サントリーホール


指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団


マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
20071219




この日の演奏は熱演だったのでしょうか?
音だけを聴いたならば、そのように感じたと思います。
でも、見ている限り私には、奏者の皆さんは(肩の力を抜いてと言ったら言い過ぎかもしれませんが)それほど力むことなく演奏していたように思います。
しかし、出てくる音は力があり、艶があり、そして必要なときには緊張感がみなぎり、一撃をくらわせるときは鋭く重い音がしました。
インバルさんの指揮も、ときどきうなり声を発してはいましたが、やはり力まず、しなやかに指揮をしていたように思います。
気心の知れたコンビがお互いに構えることなく、さりげなく、ものすごい音楽を響かせる。
来春プリンシパルコンダクターに就任するインバルさんの未来、…いや“現在”に、期待を抱かないわけにはいきません。
どういう演奏だったのかを書こうと思いましたが、ただただ「素晴らしい音が鳴り響いた」「素晴らしい音でホールが満たされた」としか書けません。
素晴らしい瞬間を体感するたびに、自分がこの場に立ち会えた幸せに、演奏中何度か目頭が熱くなりました。

舞台の上は、人、人、人。
マーラーだから当たり前ですが、大編成です。
第1ヴァイオリン16人の編成だったと思いますが、木管もずいぶん人が多いし、打楽器奏者もいっぱい。
チューニングの音を聴いたときから、名演の予感がしました。
この大編成が一体感を持って演奏するのですから、よく言われている“都響のマーラーの伝統”は本物だと思います。
コンサートマスターには、矢部さんと山本さんの二人が並んでいました。

インバルさんは、第1楽章から第2楽章にかけてと、第3楽章から第4楽章にかけて、楽章間の間合いをあまり置かずに演奏しました。
第2楽章と第3楽章の間は、比較的長く間合いをとりました。
第2楽章が終わったところでガラスのコップの水を口に含んだので「え?」と思ってよく見ると、指揮台の横に小さな台(譜面台でしょうか?)を置き、そこにコップが載っていたのでした。

この日は客席のお客さんの集中力も見事でした。
冒頭でインバルさんが指揮棒を振り上げたときの緊迫感すら感じる静寂。
1時間を超える演奏中、ごく僅かなやむを得ない咳を除いて静寂は保たれました。
第3楽章でLAブロックの方から鼻をすする音が何度か聞こえたのがちょっと気になったくらい。
演奏中にガサゴソやる人など、皆無だったと思います。
曲が終わってもインバルさんが手を下ろすまで、ほんの2~3秒だったと思いますが、静寂が保たれました。
このコンサートは、確かかなり早い時期に全席完売になっていたと思います。
インバルさんのマーラーを本当に聴きたい人だけが集まったのでしょう。
本当に後味の良い演奏会でした。

オケのメンバーは、「ものすごいことを成し遂げた」とか「力を出し尽くし、精も根も尽き果てた」と言う感じは全くないように見えました。
オケのメンバーが引き上げた後、インバルさんをもう一度無人の舞台に呼び戻して「ブラボー」の嵐を浴びせ、演奏会はお開きになりました。
終演後のロビーは、お客さんの顔がみな明るく輝いています。
この日は首都圏に本拠を置くオーケストラの2007年最後の定期演奏会。
この後は(すでに始まっていますが)第九ラッシュです。
2007年レギュラーシーズンの最後を飾るにふさわしい演奏会だったと思いました。

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コメント

コメントにならないのですが。
素敵な時間が過ごせて満足でした。
途中、音が混濁した印象を受けた部分もありましたが、なにせ、実演ですから。これ以上を望むべくもない演奏でした。
いつも、いまひとつ捕らえどころがないマーラーですが、マーラーって、いい音楽だったんですね。

投稿: ぴよ! | 2007年12月20日 (木) 00時37分

ぴよ!様
コメントありがとうございます。
そうですね。
確かに技術的なことを言えば完全無欠とは言えませんが、オケとしての一体感に私は大いに満足しました。
9月に同じ矢部達哉さんのコンマスで、短期間にサイトウキネンと都響と聞き比べて、「確かにサイトウキネンは良いけれど、常設オケの都響もいいなあ」と思ったのを、この日の演奏中に思い出してしまいました。

投稿: 稲毛海岸 | 2007年12月21日 (金) 21時02分

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