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2007年12月23日 (日)

下野竜也/読響(2007/12/23)

2007年12月23日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

ソプラノ:林正子
メゾ・ソプラノ:坂本朱
テノール:中鉢聡
バリトン:宮本益光
合唱:新国立劇場合唱団

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」


読響の第九を聴くのは3年連続です。
2005年がスクロヴァチェフスキさん、2006年がアルブレヒトさん。
昨年の今頃、「来年は下野さんかぁ…(ちょっと格が落ちるかなぁ…)」と思ったのは浅はかでした。
プログラムの冊子に「これほど短期間のうちに、これだけ評価が高まった指揮者というのも珍しい。」書かれています。

実は私は、東京交響楽団の定期演奏会で2回、“期待の若手”という触れ込みの下野さんを聴いています。
2003年11月8日のドヴォルザークの6番は、無難に振り切ったものの、迫ってくるものをあまり感じませんでした。
2002年9月21日の「英雄の生涯」に至っては、記憶にも残っていません。
若手を“飛躍する前”に聴いてしまうと、その演奏が頭に刷り込まれて、その後敬遠してしまうことがあります。
(私の場合、沼尻竜典さんもそうでした。)
その結果、下野さんが読響の正指揮者に起用されたときに、その意味を正しく認識していませんでした。
今年になってようやく、日本テレビで放送され、ネット配信もされている「新世界」の熱演に驚き、8月に「未完成」「運命」「新世界」で久しぶりに実演に接しました。
「格が落ちる」と思っていた年末の第九は「期待の演奏会」に変わりました。
その期待は、十分に満たされました。

下野さんの指揮するベートーヴェンの音は、8月に聴いた5番と同様に力強さを感じるものでした。
決して重々しい音ではなく、推進力もあるのですが、だからと言って軽くはありません。
視覚的にも、下野さんの指揮とオケの音がぴったり合っているのが素人目にもよくわかります。
指揮者がここぞとばかりに力を入れると、オーケストラがそれに見合った鋭いパンチを繰り出します。
譜面台に総譜を置いて、楽譜は開かずに暗譜で指揮。
P席で観ていて楽しい演奏会でした。

オケの配置は下手側にチェロとコントラバスが来る配置。
コンマスは藤原さんでした。

迫力で勝負できる第1、第2楽章だけでなく、魅惑的なメロディの第3楽章も見事。
第4楽章の冒頭で声楽が出てくるまでのオケも音が濁らない。
合唱はさすがにプロだけあって下野さんの棒に敏感に反応し、完全に“下野さんの楽器”となって、オケと一体の推進力のある音響を奏でていました。
合唱の最後を速くしたのだけがちょっと私の好みと違いましたが、その一箇所を除いて大満足のオケと合唱でした。

第1楽章から舞台に座って、ずっと演奏を聴いていたはずの独唱者に関しては、必ずしも満足とは言えませんでした。
特に、バリトンの宮本さんのソロは、私の好みとはかなり違いました。
P席で聴いているのに大変な声量で驚きましたが、個人的には「大きな音を出せば良いというものではない」と感じました。
私はドイツ語はわかりませんが、「おお、友よ」で始まる歌詞がどのような意味のことを歌っているのかは、素人ながらに知っています。
もう少し、歌詞の意味に見合った感情を込めて歌っていただきたかったというのが率直な感想です。
その点、ソプラノの林さんは、声を張り上げずに十分な音量を出していて好感が持てました。

なおこの日は残念なことに、第2楽章で1階席のお客さんが体調が悪くなったようです。
1階の6列目、7列目あたりのいちばん右側です。
おそらく体調の悪くなったお客さんは床に寝かされ、1R1扉を係員が何人も出たり入ったりしていました。
第2楽章が終わるまで、そのお客さんは床に寝かされたままで、楽章間でようやく運び出されたみたいです。
私の席はP席でしたので、音はあまり聞こえませんでしたが、指揮者を見る視線の先にその光景が嫌でも目に入ってしまい、著しく集中力をそがれました。
おそらく、近くの席の方は、もっと気が気でなかったに違いありません。
容態によっては動かしてはいけない場合もあるとは思いますが、楽章間まで運び出すのを待ったのは、体調が悪くなった方のためにも、他の聴衆のためにも良かったのかどうか…。

下野さんは指揮をしながら気配を察知していたに違いありません。
第2楽章が終わると舞台上手の方を向き、運び出す様子を見守っていました。
第3楽章が終わったところでもかなり間をとりました。
作業服姿の係員が入ってきて、急いで床を掃除をしていました。
コンマスの藤原さんが係員が出て行くのを確認して目配せをするのを待って、ようやく第4楽章に入りました。

…というわけで、指揮とオケとコーラスの演奏そのものは大満足でしたが、アクシデントで私は集中力をそがれたので、もう一回聴き直してみたい演奏会となりました。
ただ、独唱にはちょっと共感できなかったので、(12月26日はまだチケットがあるようですが)聴き直しはしないと思います。

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