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2007年12月24日 (月)

インバル/都響(2007/12/24)

2007年12月24日(月・祝)14:00
東京芸術劇場大ホール


指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

ソプラノ:澤畑恵美
メゾソプラノ:竹本節子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:二期会合唱団


ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

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「なるほど、第4楽章も交響曲の一部なのか」と思いながら聴いていました。
当たり前と言えば当たり前のことなのですが、「(声楽付きの交響曲もある)マーラーを得意とするインバルならでは」などと書くのは深読みしすぎでしょうか?

「第九」と言うと、第4楽章で合唱が登場したとたんに雰囲気が一変して、ひたすら楽天的になってしまう演奏も何度か聴いたことがあります。
第1、第2、第3楽章が“合唱の前座”でないことは周知の事実ですが、“前座”とまでは成り下がらなくても、合唱が登場する前と後で、あまりにもスタイルが異なるのは、私はあまり好きではありません。

この日の演奏は、第1楽章、第2楽章、第3楽章と、オーケストラだけで奏でてきた“交響曲”が、合唱が登場した後も同じスタイルで維持され、終盤に向かって高揚しながら、最後までインバルさんの音楽が鳴り響きました。
指揮者の力量は疑いありませんが、指揮者の意図を体現することできた合唱団の力量にも成功の要因があるように思います。
終盤の盛り上がりで、オケのメンバーと同じように指揮棒に反応したのは、さすがはプロの合唱団と言うべきでしょう。

独唱者も、あまり突出することなく、インバルさんの意図に見合った音楽を奏でていたように思います。
ソロが目立った演奏ではありませんでしたが、非力というわけでもなく、“交響曲の一部”として、十分に機能していたと思います。
終盤での4人によるハーモニーは、非常に美しかったです。
前日に聴いた読響のソリストに比べて、私は、はるかに好感を持ちました。

この日の独唱者は、第4楽章でオーケストラが歓喜の歌を高らかに奏でる中を、後ろに打楽器奏者を従えて入場しました。
バリトンの福島さんは、登場するやいなや「このような調べではなく…」(←ドイツ語で)と歌い始めたので、かつてブロムシュテットさんがN響で「第1楽章からステージに居ないで“おお、友よ、このような調べではなく”などという台詞が言えるか?」と言って、独唱者を第1楽章から座らせたという話しを思い出して、ちょっとおかしくなってしまいました。
しかし、音楽的には違和感は全くなく、前述のようにインバルさんの意図を十分に汲んでいたと思います。

インバルさんはスコアを置かず、暗譜での指揮。
12月19日に聴いたマーラーの6番のときよりは、少しばかり細かく振っていたように感じました。
マーラーのときは「ぐいぐい引っ張っていくタイプの演奏ではない」と感じましたが、この日は、比較的推進力を感じる演奏でした。
重低音がうねるような重々しい音ではありません。
ピリオドアプローチでもあません。
モダンオーケストラが、モダン奏法で、21世紀に奏でるにふさわしい「第九」だと思いました。

なお、最初に演奏された「レオノーレ」第3番も、単なるウォーミングアップではなかったと思います。
ウォーミングアップで1曲サービスするくらいなら「第九」1曲だけの方がよっぽど良いと思いますが、この日の演奏は「第九」の第0楽章と言いたくなるくらい、嬉しい演奏でした。

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