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2008年1月31日 (木)

ノリントン/シュトゥットガルト放送響(2008/01/30)

2008年1月30日(水)19:00
サントリーホール


指揮:ロジャー・ノリントン
シュトゥットガルト放送交響楽団

ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン

ヴォーン・ウィリアムズ :劇音楽「すすめばち」(むずかし屋)序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番~サラバンド(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ブリテン:「マチネ・ミュージカル」から「行進曲」(アンコール)
シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」間奏曲 (アンコール)

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メンデルスゾーンでは拒否反応が出たのに、ベートーヴェンには大いに惹きつけられたということは、私がまだロマン派の音楽に関しては保守的なのかもしれません。
前半が終わって休憩に入ったときには、正直「やはり、場違いな“異教徒の集い”に来てしまったかな…」と思いました。
「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲って、こんなに静かな曲だったっけ?」と思いながら聴いていました。
良く言えば繊細、悪く言えば神経質。
「本当に、これが、あの有名な曲?」と思うほどで、切々と歌う場面は皆無の演奏。
ヤンセンさんのソロも、基本的にはノリントンさんの音作りのコンセプトの枠内での自己主張だったと思います。
はっきり言って、後半もノリントンさんの音を聴き続けることに、少し抵抗感すら感じてしまいました。

しかし、後半のベートーヴェンでは、私の印象は一変しました。
もっとも、おそらく変わったのは聴いていた私の方であって、ノリントンさんの音楽は首尾一貫、いっさい変わっていなかったのでしょう。

何気ないフレーズにつけられた極端なアクセント。
ティンパニの突然の強打。
主旋律ではないパートの雄弁な表情。
急に音量を絞るかと思うと、逆に意図的なクレッシェンド。
これらの「奇をてらっている」と感じてもおかしくない“小細工”が、どれも説得力を持った音として迫ってきます。
前半2楽章が、いや、全4楽章が、こんなに次から次へと面白く、あっという間に終わったように感じたのは初めてかもしれません。
演奏が終わった後、「もう1回、最初から全曲を聴きたい」とすら思いました。
しかも、緻密に組み立てられた音楽のはずなのに、生演奏ならではのスピード感と高揚感がありました。

私は今まで、ノリントンさんのことは、勝手にイメージを思い描いて、ずっと“聴かず嫌い”で来ていましたが、今回は知人の絶賛もあったので、チケットを購入しました。
やはり、その評判通り、ノリントンさんは凄かった!

ちなみに、この日のノリントンさんの指揮の身振りは、曲によってかなり異なっていました。
1曲目では指揮棒が比較的きれいに拍子を刻んでいました。
指揮姿は「美しい」と思えるほど、きれいな棒でした。
2曲目では指揮棒を持たず、どちらかと言うと表情付けをするような指揮ぶり。
3曲目では、再び指揮棒を持っていましたが、拍子をとることはほとんどせず、号令をかけているような感じ。
この号令に従って、これだけ緻密な音楽を奏でるのですから、オーケストラが凄いのか、リハーサルが徹底しているのか…。

ノリントンさんは、英雄交響曲の第1楽章と第2楽章の間で、聴衆の咳がなかなか止まないと、「おい、まだかい?」とでも言いたげに客席を振り向いて笑いを誘っていました。
第3楽章開始時は、いったん静かになった後、咳をした人がいたので、動かしかけた指揮棒を止めました。
音を大事にしている証でしょう。
第3楽章と第4楽章の間は続けずに、いったん間合いを取りましたが、違和感はありませんでした。

それにしても、全席完売の会場を埋めた聴衆は、みなノリントンさんの信者なのでしょうか?
こんな異端の(?)演奏にもかかわらず、老若男女、みな絶賛に近い熱烈な拍手。
私のような初見参の者から見ると、やはり“異教徒の集い”の印象です。
しかし、私もとうとう“異教徒”に一歩足を踏み入れてしまったようです。

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