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2008年1月27日 (日)

関西二期会「ナクソス島のアリアドネ」(2008/1/27)

2008年1月27日(日)14:00
新国立劇場(中劇場)

関西二期会
指揮:飯守泰次郎

R.シュトラウス:ナクソス島のアリアドネ

このオペラのチケットを買った動機は、飯守泰次郎さんの指揮だったことと、今まで入ったことのなかった中劇場に入ってみたかったことです。
「ナクソス島のアリアドネ」を映像でも観たことがなかったのも動機のひとつでした。

確かこのオペラは、カール・ベームさんの最晩年に、ザルツブルク音楽祭か何かで、当時若手だったエディタ・グルヴェローヴァさんがツェルビネッタを歌って大旋風を巻き起こしたと記憶しています。
当時は私はあまりオペラに関心がなかったので、NHK-FMで放送されたライブ録音も聴かなかったと思いますが、それでも「グルヴェローヴァさんが歌うくらいの、難しい超絶技巧のアリアがあるオペラ」ということだけは、頭に刷り込まれていました。
したがって、今回の歌手陣に関しては未知数であることは認識した上でのチケット購入でした。

そうこうしていると、1月25日の公演のネットでの(一般のファンではなくて、専門家筋の方の)評判が芳しくない。
「おやおや、どうなることか」と思いながら会場に向かいました。

冒頭に書いたように、新国立劇場の中劇場に入るのは初めてです。
2階席でしたが、1000人規模のキャパですので、舞台がずいぶん近い。
舞台だけでなく、オーケストラ・ピットの中も良く見えました。
なかなか良いアングルで、嬉しくなりました。

私の座った席のランクはA席。
発売初日の昼の時点で、すでにB席、C席は売り切れていましたが、チラシの裏のシートマップを見て納得。
大半(1階席全てと2階正面1~2列)がS席で、A席~C席は非常に少ないのです。
特にC席など、10席あったのかどうか…。
この日座ってみた印象では、全席均一料金でも良いくらいにも感じましたが、「努力した人には多少安く提供しますよ」という姿勢なのかもしれません。

このオペラは初めてだったので「長いから途中でトイレに行きたくなったらどうしよう」と心配して水分控えめで臨みましたが、プロローグとオペラ(劇中劇)の間に25分の休憩があって一安心。
休憩を入れるのが普通なのかどうかは知りませんが、集中力を維持するためには私は嬉しかったです。
20080127






そして、事前の心配にもかかわらず、飯守さんの指揮、関西フィルの演奏、歌手陣の歌唱とも、私は十分に楽しみました。
歌手陣が「絶叫」との評もありましたが、確かに一部に「あ、叫んでしまった」と思われる部分がないわけではありませんでしたが、概ね、1000人の空間に見合った声の出し方をしていたと思います。

プロローグでは「作曲家」役の福原寿美枝さん(アルト)が私は良かったです。
「叫ぶ」ような歌唱は感じられず、きれいな声を保ったまま、感情の起伏を良く表していたと思います。

オペラ(劇中劇)では、やはりツェルビネッタ役の日紫喜恵美さん(ソプラノ)。
アリアの終盤で、ちょっと絶叫気味になった部分もありましたが、そんなことはどうでも良く、この方のコロコロ転がるようなかわいらしい声の魅力は、持って生まれたものでしょう。
もっと歌い込めばさらに良くなるかもしれませんが、まずは、この生来の声の魅力に触れることができ、大いに魅了されました。

終盤のアリアドネ(畑田弘美さん、ソプラノ)とバッカス(竹田昌弘さん、テノール)の二重唱も、飯守さんの指揮に乗ってうっとりとするひとときを創出しました。
最後の静かな部分で「幕が閉まり始めて拍手が起きてしまったら…」と心配しましたが、会場全体静かなまま最後の音が鳴り終わるまで拍手は起きず、嬉しかったです。

道化達の歌と踊りもコミカルで楽しかったですが、もうちょっと、シリアスな雰囲気をぶちこわすようなインパクトがあれば、なお良かったと感じました。
私の前の席の人は、くすくす笑っていましたが、私は残念ながらその域までは到達しませんでした。
ふと、このオペラをウィーン・フォルクスオーパーが上演したら、どうなるだろう?と思ってしまいました。

ひとつだけおかしかったのは、バッカスが船に乗って出てくる場面で、私の座った左側の席からは、船が先端の部分だけしかないことが丸見えだったこと。
関西の劇場に合わせて製作したものを、扇型に広がった新国立劇場の中劇場に持ってきたためでしょうか?
まあ、御愛嬌ということで、目くじらをたてることではありません。

終演後はブラボーも飛び、特に飯守泰次郎さんへのブラボーがすごかったです。
(一人、ブーイングをしていた人も居ましたが。)
飯守さんの指揮は、東京シティ・フィルで見るときは「この人、本当に齋藤秀雄門下なの?」と思うくらいなのですが、この日のオケピットの中では、ちゃんときれいに振っていたように見えました。
シティ・フィルのときは、わざときれいに振らないようにしているのでしょうか?

演出はオーソドックスなものだと思います。
昨今の過激な演出が好きな方には物足りないでしょうが、私はこのオペラを初めて観たので、初鑑賞には適した演出で良かったと思います。

…というわけで、専門家ではなく、一般のファンの私としては、事前の杞憂を吹き飛ばして、大いに満足して帰ってきました。

【指揮】飯守泰次郎
【演出】松本重孝
【装置】荒田良
【衣裳】八重田喜美子
【照明】服部基
【振付】石井潤
【舞台監督】菅原多敢弘
【演出助手】豊田千晶
【公演監督】蔵田裕行
【管弦楽】関西フィルハーモニー管弦楽団

キャスト
【執事】蔵田裕行
【音楽教師】萩原寛明
【作曲家】福原寿美枝
【テノール歌手/バッカス】竹田昌弘
【士官】角地正直
【舞踏教師】北村敏則
【かつら師】服部英生
【下僕】木村克哉
【ツェルビネッタ】日紫喜恵美
【プリマドンナ/アリアドネ】畑田弘美
【ハレルキン】大谷圭介.
【スカラムッチョ】八百川敏幸
【トルファルディン】藤田武士
【ブリゲルラ】馬場清孝
【ナヤーデ】高嶋優羽
【ドリャーデ】山田愛子
【エコー】森原明日香

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