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2008年3月 8日 (土)

シュナイト/神奈川フィル(2008/03/08)

2008年3月8日(土)15:00
神奈川県立音楽堂


指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
神奈川フィル
(シュナイト音楽堂シリーズVol.XIII)

ハイドン:交響曲第82番「くま」
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
20080308





「田園」の最後の音が鳴り終わってすぐに拍手を始めた人が会場の2~3割だったでしょうか。
でもシュナイトさんは、まだ指揮棒を下ろしません。
拍手はいったん止み、シュナイトさんが棒を下ろしてから盛大な拍手となりました。
この日の「田園」、特に終楽章の喜びに満ちた旋律は至福のひとときでした。
「田園」くらい有名な曲であれば、曲が終わったことは、ほとんどのお客さんがわかっていたと思います。
会場を埋めたお客さんの多くが間髪を入れない拍手に同調しなかったのは、皆シュナイトさんの音楽に心から共感していたのでしょう。
会場では当日券も発売されていたので完売ではなかったようですが、見渡す限り、満席のように見えました。
そして、シュナイトさんに対する拍手も熱狂的。
みな、シュナイトさんの音楽を聴くために集った“信者”だったのかもしれません。

私が神奈川フィルの「シュナイト音楽堂シリーズ」を聴くのは、今回が初めてです。
音楽堂でコンサートを聴いたのも本当に久しぶり。
前回は1993年4月29日の神奈川フィル(指揮:広上淳一)ですから、15年ぶりです。
昔から「音響が良い」と言われている音楽堂ですが、残響はあまり感じられません。
しかし、決して無味乾燥の痩せた音ではなく、くっきりとした美しい音が迫ってくるのは、やはり「音響が良い」と言うべきでしょう。
サントリーホールやオペラシティとは違う次元の音響の良さだと思います。
また、1階席前方から傾斜がついているので、前の席の人の頭が視覚の妨げになることもなく、非常に舞台が見やすいホールです。
この日は、定期会員の友人に先行予約で一緒に買っていただいた席なので、舞台からの距離も位置も絶妙の場所で、音、視覚、価格(会員割引!)ともに三拍子揃った最高の席でした。

シュナイトさんはかなり足が悪いようで、狭い歩幅でゆっくりと歩いて登場。
当然、椅子に腰掛けての指揮です。
しかし音楽が始まってしまえば、そんなハンディは全く関係なし。
1曲目のハイドンからして、はつらつとしたメロディとリズムが会場を支配します。
聴く前は「ドイツの正統派」などとレッテルを貼りたくなりますが、決して古くさい演奏ではなく、いま生まれてきたような新鮮さを持ったハイドン。
ピリオドアプローチではないと思いますが、伝統に根ざしながらもやはり21世紀のハイドンです。
この曲の第2楽章がこんなに楽しい曲だったなんて、初めて感じたような気がします。
第4楽章冒頭の単独の“熊のうなり声”や、終結部の全奏における“うなり声”を伴ったミックスした音響も楽しく響きました。

「ここで帰ってしまっても十分に満足」という気分の休憩時間ですが、もちろん帰るわけにはいきません。
「田園」はCDも出ていますが、このコンビにとっては“お約束の名演”のようです。
特に変わったことをしているわけではないのに音が次から次へと迫ってきます。
コンマスの石田さんも大きなアクションで熱演。
最初から最後まで、特に弦楽器群が素晴らしかったですが、第5楽章が静かに始まった後、音が動き始めたときには、あまりの美しさに背筋がぞくぞくっとしてしまいました。
冒頭にも書きましたが至福のひととき。
私自身は、おそらく美味しいものを食べたときの最初の一口のような(あまり人様にはお見せできない)恍惚感の表情を浮かべていたと思います。
管楽器が多少完璧でない場面もありましたが、そんなことでこの演奏の価値は揺らがないでしょう。
そして、終結部は音量をやや落として、テンポもゆっくり目にして、「消え入るように」と言ったら言い過ぎかもしれませんが、静かに曲を閉じました。

このコンビの「田園」のCDは私の自宅のオーディオ装置では、少し鮮明さに欠ける音に聞こえます。
しかし、この日は音楽堂の分解能の良い音響で、“お約束の名演”を堪能させていただきました。

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コメント

こんにちは。はじめまして。

昨日の音楽堂、わたしは音が消えて真っ先に拍手をしてしまった一人でした。
なんだか、まずいことをしてしまったかな?!と、一瞬引いてしまいました…。
至福のひとときを崩してしまってスミマセン…!!
でも、ワタシの前列に座ってらした奥様がたは、「田園って、こんな静かに終わるのねぇ。」とお話されてましたヨ。(笑)
シュナイト音楽堂シリーズは、昨年の「ベト1」と「四季&グランパルティータ」に行きましたが、昨日も含めてどれもすばらしかったです!!「ベト1」はびっくりするほどテンポがゆっくりで、はじめて聴く曲のように和音のひとつひとつを味わったかんじでした。3楽章がよかったかなぁ…。
「四季」は、バイオリンソロがほんとうに美しくて、このまま終わらないでほしいと思ったほどでした。
来月からのシューマンもたのしみです♪

投稿: よしの | 2008年3月 9日 (日) 10時48分

よしのさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
良い演奏でしたね。

拍手の件は、舞い上がっていて、多少強調して書いてしまったような気もしていて、ちょっと申し訳なく思います。
あれだけのすごい演奏でしたから、思いっきり拍手したくなる気分も十分に理解できますよ。
音は鳴り終わっていましたからフライングというわけでもありませんし、気になさらないでください。
私は去年のシュナイト音楽堂シリーズはどれも都合がつかず、行けませんでした。
みなとみらいでの定期演奏会を1回聴いただけです。
NHKのBS2で放映された演奏会はテレビで観ることができ嬉しかったです。

今年は、6月は都合がつきませんが、4月と5月は聴きに行く予定にしています。
楽しみですね!

投稿: 稲毛海岸 | 2008年3月 9日 (日) 21時07分

あれ?もしかしてお連れの方とピーナッツの取引していませんでしたか?
しかし、なかなかの土曜日を過ごさせてもらいました。次回からは県立音楽堂耐震工事までの間でシューマン・チクルスです。が、最終回はみなとみらいホールのパーヴォ・ヤルヴィのブラームス・チクルスとバッティングしていました。なので、当日は紅葉坂を転がり降りてみなとみらいホールへ中途で行くことになりそうです。
ちなみに、反対側へ出てもだらだら坂であることは変わりません。短いだけ紅葉坂で桜木町の方がましかと。^_^;

投稿: ぴよ! | 2008年3月10日 (月) 23時35分

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