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2008年5月24日 (土)

エッシェンバッハ/フィラデルフィア管弦楽団(2008/05/24)

2008年5月24日(土)14:00
サントリーホール

指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
フィラデルフィア管弦楽団

ヴァイオリン:五嶋みどり

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
(アンコール)

かつてオーマンディが「フィラデルフィア・サウンドなど無い。あるのはオーマンディ・サウンドだけだ」と語ったという話しを聞いたような気がします。
真偽はわかりませんし、私がフィラデルフィア管弦楽団を生で聴くのは今回が初めてなので、過去と現在の比較は出来ません。
私が抱いていた「フィラデルフィア・サウンド」のイメージは、オーマンディ指揮のCDの「展覧会の絵」、あるいはNHK-FMで生中継されたムーティ指揮の来日公演の「運命の力」序曲などの、圧倒的にきれいで曇りが無く、カラフルなサウンドでした。
サヴァリッシュ時代はCDもあまり聴いていなかったので、いまだにその頃のイメージが残っています。

今回、この演奏会を聴いて、やはりフィラデルフィア・サウンドは十分に残っていると感じました。
たとえばショスタコーヴィチの交響曲の第4楽章や、「ローエングリン」前奏曲での金管の強奏は、なんとも言葉に出来ないような快感を覚えるサウンド。
これぞ、私が長年憧れていた「フィラデルフィア・サウンド」
ティンパニの音ですら「あ、フィラデルフィア・サウンドだ」と思ってしまうったほどでした。
しかし、この日私が耳を惹かれたのは、むしろ弱音の緩徐な部分でした。
弦楽器が息の長いフレーズを、耳をそばだてないと聞こえないような音で奏でているときの素晴らしさ。
そこに木管や金管がやはり弱音で入ってくるときの、音のつながりの見事さ。
(こういう部分は一流でないオケだと、管楽器奏者の一瞬のためらいが音に出てしまうことが多々ありますが、さすがは超一流のオケは違います。)
この名門オケのサウンドが映画音楽とは一線を画している格調の高さは、むしろ弱音部にあったように思いました。

前半の協奏曲での五嶋みどりさんの独奏も、やはり弱音部が印象に残りました。
第1楽章の前半や第2楽章でのヴァイオリンのフレーズは、決して先を急がず、一音一音をないがしろにせず「あ、ここはこんな魅力的なメロディーなんだ!」と気がつかせてくれるような演奏。
永遠に続いてほしいような素晴らしい瞬間でした。
逆に第3楽章の早い部分などは、個人的には弱音部の素晴らしさには及ばない印象を受けましたが、それでも“普通の演奏”に比べれば十二分に水準以上。
五嶋さんの“来日”の演奏に接するのは久しぶりですが、ワールドクラスの実力はさすがでした。

私は、エッシェンバッハさんの指揮する演奏会は初めてでした。
前回エッシェンバッハさんの演奏を生で聴いたのは、なんと1979年のピアノ・リサイタルでした。
視線が鋭く、P席で見ていた私はちょっと怖くてときどき指揮台から目をそらしてしまったほど。
無駄のない動作とともに、結構、目で指揮をしていたように感じました。

ライブで“何か”が起こってしまった白熱の演奏では決してなく、ある意味“練習の成果を披露した”演奏ではありましたが、超一流の響きを堪能しました。

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