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2008年9月23日 (火)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2008/09/23)

2008年9月23日(火・祝)14:00
ティアラこうとう大ホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィル
(オーケストラル・オペラVII)

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」
(ノーカット 日本語字幕付き原語上演)
20080923








もし1日目(9月21日)の公演を聴いていたら、終演後直ちにこの日のチケットも買ってしまったかもしれません。

飯守泰次郎さんの指揮するワーグナーの音の世界は期待通り。
…と書いてしまうとあまりにも素っ気なくなってしまいますが、飯守さんのワーグナーがめちゃくちゃ素晴らしいことを知っているから「期待通り」なのであって、決して半端なレベルではありません。
休憩を挟んで5時間の間、オーケストラは弛緩することなく、劇的な緊張感や、甘美な陶酔感、悲しみ、喜び、束の間の安らぎなどの表情を描き出します。
定期演奏会2~3回分の“時間”と“充実度”。
東京シティ・フィルのメンバーも、相当の準備をしたのでしょう。

歌手陣もかなりの迫力で迫真の歌唱。
1234席のティアラこうとうのホール空間の“小ささ”は、例えば2303席の東京文化会館などに比べて体への負担が少なかったのかもしれません。

成田勝美さん(トリスタン)、緑川まりさん(イゾルデ)は、さすがに長丁場なので最初から最後まで全力投球というわけにはいかないでしょうが、全体の8割~9割くらいの時間はアクセル全開の様相。

マルケ王役の小鉄和広さんは、2月の二期会の「ワルキューレ」でフンディング役を歌ったのを聴いて好印象だったので期待していましたが、フンディングとは異なるキャラクターを威厳をもった声で演じ、今回も好感でした。
フンディング同様、他の役に比べれば短めの歌唱なので、成田さんや緑川さんと同じ土俵で比べていいのかどうかわかりませんが、今後も注目していきたいと思います。

ブランゲーネ役の福原寿美枝さんが力の入った歌唱で素晴らしい。
関西二期会に所属されているとのことなので、帰宅後に調べてみたら、1月に関西二期会が新国立劇場中ホールで上演した「ナクソス島のアリアドネ」で“作曲家”役を歌っていて、そのときにも私は好感を持って聴いていたことを思い出しました。
この日は、「アリアドネ」のときよりもさらに数段良かったような印象です。

歌手とオケと指揮の総合的な印象では、私は第1幕の凄まじいばかりの劇的な表現に特に圧倒されました。
第2幕の愛の二重唱などは、もっと官能的であっても良いようにも感じましたが、それは好み(あるいは私の集中力)の問題かもしれません。
(さすがに聴く方も長時間集中力を維持するのは大変でした。)
第3幕では、マルケ王が到着した後の緊迫感と嘆きが特に印象的。
そして最後の「愛の死」は、緑川さんもオケも美しさと迫力を両立させた熱演。
「前奏曲と愛の死」などという“キセル”をしないで到達したフィナーレは、涙が出そうなくらいの恍惚感を覚えました。

決してワグネリアンではない私ですが、2月の二期会の「ワルキューレ」で飯守泰次郎さんの重厚な音に圧倒されて以来、飯守さんの指揮するワーグナーの歌劇や楽劇を、もっともっと聴きたくてたまらなくなりました。
「飯守さんがワーグナーを振る機会が少ないのは、音楽界にとって損失に等しい」とさえ感じていました。
しかし、飯守泰次郎さんのホームページのMessageのコーナーに掲載されている、「『トリスタンとイゾルデ』稽古場だより」を拝読すると、このような大作を上演するのは並大抵のことではないようです。
東京シティ・フィルのホームページにも、飯守さんのメッセージとして、この公演にかける“思い”が掲載されています。
“大変”なのは“音楽的”にだけでなく、おそらく“経済的”にもでしょう。この日も残念ながら満席ではありませんでした。
二期会の「ワルキューレ」の9ヶ月後にこの「トリスタン」の上演があり、1年に2回、飯守さんのワーグナーの全曲上演に足を運べたのは、「幸せ」と言っても良いのかもしれません。

配役:
トリスタン:成田勝美
マルケ王:小鉄和広
イゾルデ:緑川まり
クルヴェナール:島村武男
メロート:青栁素晴
ブランゲーネ:福原寿美枝
羊飼い:近藤政伸
舵手:須藤慎吾
若い水夫の声:村上公太
合唱:東京オペラシンガーズ

構成:小栗哲家
装置:イタロ・グラッシ
照明:鈴木尚美
舞台監督:金坂淳台
合唱指揮:四野見和敏
副指揮・プロンプター:城谷正博
副指揮:阿部肇
コレペティトール:大藤玲子、篠原明子、小梶由美子
字幕:三宅幸夫
演出補:菊池裕美子

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