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2008年11月 3日 (月)

新国立劇場「リゴレット」(2008/11/03)

2008年11月03日(月・祝)14:00
新国立劇場

ヴェルディ:リゴレット
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私にとって「リゴレット」は、多少の戸惑いを感じる作品です。
悲劇であるのに、途中、甘美で優雅な旋律があまりにも多いからです。
あるいは、弾むようなうきうきする旋律も多い。
鳴っている音楽の印象が、ストーリーだけを文章で読んだ印象と、私にとっては、あまりにも違うのです。
第3幕冒頭の超有名な「女心の歌」など、そのアリアだけ取り出して聴いたりすると、悲劇の「ひ」の字も感じられません。
評論家の先生が書かれた文章などでは「リゴレット」は最初から最後まで完全無欠の作品のように書かれていますが、私は、まだこの作品の凄さがわからないようです。
そういうわけでこの日は、多少傍観者的に鑑賞していました。

感心したのはピットの中の東京フィルの演奏。
甘美、優雅、うきうき、と言った“悲劇とは無縁に思える部分”の音楽を、魅惑的に奏でていました。
オペラのピットに入った東京フィルは、評論家の先生の文章で酷評されることが多いのですが、この日の東京フィルは、私は“オペラのオケ”のように、かなり頑張ったと思います。
4階席で鑑賞していたのでピットの中の指揮者の姿は見えませんでしたが、「指揮姿を見てみたい」と思いながら、素敵な旋律を聴いていました。
ただ、第3幕後半などの、ジルダが刺される場面や、リゴレットが娘の死を嘆く場面など、悲劇本来の劇的な場面や悲しみの旋律は、もう少し感情を込めたり、スケールの大きな音色を出して欲しいような気もしました。
もっとも、私にとっては「リゴレット」自体がまだちぐはぐな印象を拭いきれていないので、そのように感じたのは私の鑑賞力の無さによるものかもしれません。

歌手陣は、最初から最後まで好感でした。
誰かが突出した迫力で抜きんでていたわけではありませんが、全体的な声の統一感を感じられました。
四重唱などはその最たるもの。
それが指揮者の統率力なのかどうかはわかりませんが、前述のオケの鳴らし方もあったので、カッレガーリさんの名前は覚えておいてどこかで再確認してみたいと思いました。

再認識したのは、「女心の歌」は、やはり“オペラの一部”であるということ。
有名なので単独で取り上げられることが多いですが、オペラの中の本来の箇所で歌われてこそ真価を発揮する曲です。
このオペラのこの曲に限らず、「乾杯の歌」「清きアイーダ」も、イゾルデの「愛の死」「ワルキューレの騎行」「7つのヴェールの踊り」も、やはり本来は“オペラの一部”の曲ですね。

【指揮】ダニエレ・カッレガーリ
【演出】アルベルト・ファッシーニ
【美術・衣装】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】磯野睦
【芸術監督】若杉弘

キャスト
【リゴレット】ラード・アタネッリ
【ジルダ】アニック・マッシス
【マントヴァ公爵】シャルヴァ・ムケリア
【スパラフチーレ】長谷川顯
【マッダレーナ】森山京子
【モンテローネ伯爵】小林由樹
【ジョヴァンナ】山下牧子
【マルッロ】米谷毅彦
【ボルサ】加茂下稔
【チェプラーノ伯爵】大澤健
【チェプラーノ伯爵夫人】木下周子
【小姓】鈴木愛美
【牢番】三戸大久

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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コメント

私もこの日(楽日)に行きました。
オペラは、カルメン、ボエームに続き3度目です。
主役3人の印象は、
リゴレット  良かった
ジルダ    まあまあ
マントヴァ公 今一
です。
指揮は、巷で言われるほど悪くはない、と思いました。

ところで、今回とカルメンは最終日でした。1月の蝶々夫人も。
たまたまなんですが、後になるほど微調整されて良くなるものなのですか?

投稿: ベンゼン | 2008年11月 5日 (水) 14時02分

ベンゼンさん
コメントありがとうございます。
私も複数公演を聴き比べたことはないのです。
でも、音楽評論家の先生の文章などを読んでいると、新国立劇場でピットに入るオケの場合、後の公演の方が良くなることが多いような印象ですね。
今後、なるべく後の方の公演のチケットを狙うことにしますね。

投稿: 稲毛海岸 | 2008年11月 5日 (水) 23時59分

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