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2008年11月 5日 (水)

テミルカーノフ/サンクトペテルブルク・フィル(2008/11/05)

2008年11月5日(水)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール

指揮:ユーリ・テミルカーノフ
サンクトペテルブルク・フィル

チェロ:タチアナ・ヴァシリエヴァ

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
エルガー:エニグマ変奏曲より「ニムロット」
(アンコール)
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魔術師…いや、手品師の見事なトリック?
このままシルクハットでもかぶれば、そのまま手品師として通用しそうな風貌のテミルカーノフさんですが、その妖しい手つきは本当に手品のよう。
手首を微妙にひねると、ものすごいスケールの音がうねりをたててホールに響きます。

昨年、読響の演奏会(5/195/27)を聴いて「テミルカーノフさんってスゴイ!」と思っていましたが、手兵のサンクトペテルブルク・フィルを振った演奏は、さらに輪をかけて凄かった印象です。

この日の演奏会は、テミルカーノフさんの「冬の日の幻想」(交響曲第1番)が聴けるというので、わくわくしながら購入したこの演奏会のチケット。
まさかの曲目変更で唖然としました。
払い戻しも出来たようですが、思いとどまったのは、来年度の読響の客演陣にテミルカーノフさんの名前がなかったからです。
「しばらくテミルカーノフさんを聴けないから、お目当ての曲目じゃないけど聴いておこう」という程度の軽い気持ちで会場に向かいました。

しかし、1曲目の「ロメオとジュリエット」からド迫力に圧倒されました。
「この曲、こんなに面白かったっけ?」と目から鱗が落ちる心境。
もっとも、鳴っている音は純粋な「音」で、民族性やら感傷的な気分やらはあまり強調されていません。
ただ立派な音が鳴っているだけなのに、その音の奥深さ、味わい深さ、スケールの大きさは驚くばかり。
斜に構えて聴きに来た自分を恥じ入りました。

2曲目の「ロココ…」は、独奏のヴァシリエヴァさんが、自由自在、奔放に弾きまくり、この曲においても「こんなに面白かったっけ?」という印象です。
しかし、よく聴くと、ソリストの音は、1曲目で聴いたオケの音と同じような音。
指揮者に目をやると、「あれ、テミルカーノフさん、独奏チェロも指揮しているの?」と思う場面もあり。
テミルカーノフさんの手のひらの上で、思う存分に暴れたヴァシリエヴァさんという印象で、ソリストをこれだけ自由に弾かせながら包み込んでしまうテミルカーノフさんの懐の深さを感じました。

ここまで来れば、「悲愴」が「お約束の名演」になるのは当然の結末。
この曲では、特に第3楽章ではテミルカーノフさんの手の動きがかなり少なく、ただたっているだけの状態もしばしば。
でも眼光は鋭く、表情もかなりの緊張感でオケを見据えています。
顔だけで指揮をしていたのでしょう。
ところどころで、音の入りが微妙にずれたり、管楽器の音色が「あれ?」と感じたりした場面もありましたが、そんなことでこの演奏の価値は下がらないと思いました。
アンコールのエルガーもスケールの大きさで圧倒。
すっかり魔術にかけられてしまいました。

この日は、お客さんの数が少なく、1階席など3割くらいしか入っていないのでは?という散々な状態でした。
コンサートの冒頭で、入場してきたオケのメンバーが一瞬顔をしかめたほど。
でも、その少ないお客さんの拍手喝采は、まるで満場の聴衆のようでした。
終演後は、オケが引き上げた後にテミルカーノフさんを舞台に呼び戻しました。

私は、曲目変更にがっかりしたことなどきれいさっぱり忘れて、家路につきました。

ちなみに私がこのオーケストラを私が生で聴くのは、1986年以来で実に22年ぶり。
前回はレニングラード・フィルという名前でした。
指揮者は、当時まだ「アルヴィド・ヤンソンスの息子の」と呼ばれることもあったマリス・ヤンソンスさん。
ムラヴィンスキーさんが振る予定だった演奏会で、当日の会場では、確か料金の差額を払い戻してもらったような気がします。
私はそのとき“ムラヴィンスキーさんを聴けなかったことの意味”を正しく理解していなくて、「差額が返ってきたから、まあいいか」という程度に受け止めていました。
代役の若きヤンソンスさんの振ったオケは、轟音をとどろかせて低弦はうねり、金管は咆哮し、大満足で帰宅したのを覚えています。

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コメント

大変ご無沙汰しております。

当ブログにも書きましたが、せっかくのすばらしい演奏会もこれほどお客さんが少ないと残念ですよね。

私は当日の会場内では例外的に満席状態となっていた3階バルコニー席で聴いていましたが、上から見下ろす1階席の客入りの悪さは悲惨なものでした。

そんな少ない聴衆の中、全力で演奏をしてくださった演奏者の方々に敬意を表したいと思います。

投稿: prelude | 2008年11月 8日 (土) 00時53分

preludeさん
お久しぶりです。お元気になられたようで何よりです。
実はpreludeさんのブログで曲目変更を知ったのに、コメントもせず、すみませんでした。
払い戻した人が多かったのか、元々売れていなかったのは部外者にはわかりませんが、私は憤慨して危うく払い戻すところでした。
払い戻さなかった自分をほめたい気分です。

投稿: 稲毛海岸 | 2008年11月 8日 (土) 17時45分

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