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2008年12月 6日 (土)

大友直人/東響(2008/12/06)

2008年12月6日(土)18:00
サントリーホール

指揮:大友直人
東京交響楽団
(第562回定期演奏会)
演出:ピーター・セラーズ
クムダ:ジェシカ・リヴェラ(ソプラノ)
王子:ラッセル・トーマス(テノール)
語り部:ジョナサン・レマル(バス・バリトン)
舞踊:ルシニ・シディ、エコ・スプリヤント、アストリ・クスマ・ワルダニ
合唱:東響コーラス
合唱指揮:有村祐輔

ジョン・アダムズ:フラワリング・ツリー*花咲く木
(全2幕、日本初演、セミ・ステージ形式、原語上演、字幕付)

上演に先立ち、17:15からピーター・セラーズさんと岡部真一郎さんによるプレ・トークがありました。
ピーター・セラーズさんは、情熱を込めて熱く語りました。

作品については、
「オーケストラが主役の部分、歌手が主役の部分、合唱が主役の部分がそれぞれ効果的に用いられている。」

舞踊が登場することについては、
「世界で一番遅い踊りであるジャワの踊りを使った」
「肉体的な表現をする者と言葉を表現する者が別人である舞台は、世界中に例がたくさんある。日本の歌舞伎もそうだ。皆さんはこういうスタイルに、すでに慣れているはずだ。」

セミステージ形式のハンディについての質問に対しては、
「ハリウッド映画は、観ている人はあれこれ想像することができないが、今日の舞台は皆さんがイマジネーションを発揮する余地がある。」
「芸術というのは参加型のアミューズメントであり、今日の舞台は皆さんと一緒に作り上げるものだ」

最後に岡部真一郎さんが
「ゲネプロの演奏を聴いたが、ヨーロッパでのこの曲の演奏とは違って、透明感のある音作りだった」

記憶の範囲なので、実際に話した言葉や順番とは多少違っているかもしれませんが、だいたいこのようなことを話したと思います。
このお話しが、公演開始前なのに、公演の大半を物語っていました。

上演は、映像を映したりせず、ステージ後方の壇上での動きだけ。
しかし、ダンサーの動きが入ることでハンディは全くないどころか、このスタイルこそが最適な上演であるかのような気にさせられました。
このダンサーなくして、この上演は成り立ちません。
オーケストラもコーラスも、白いシャツが見える燕尾服ではなく、全身真っ黒な服。
おそらく視覚的に、壇上の演技が映える効果を狙ったのでしょう。

歌手の3人、特にクムダ役のリヴェラさんと王子役のトーマスさんは、すっかり作品が手の内に入った自信に満ちた歌唱と演技でした。
コーラスは主役に躍り出たとの迫力と、引き立て役に回ったときの雰囲気が見事。
透明感のある素晴らしいハーモニーはいつも通りです。

オーケストラも相当練習が行き届いていたようで、日本初演とは思えないほどの積極的な演奏。日頃何度も演奏している曲のような弾きぶりでした。
大友直人さんの音作りは、プレトークでも言及されていたように、透明感のあるサウンド。
かといって、ただきれいな音を狙っただけではなく、スケール感もあり、素晴らしいサウンドでした。
曲は「弾くのは大変」(プレトーク)とのことですが、聴いている分にはかなり聴きやすい音。
「難解な現代音楽」では全くありません。

終演後のカーテンコールでは、ピーター・セラーズさんが大はしゃぎに近い喜びよう。
オケにもコーラスにも、大声でなにか叫んで、ねぎらっていました。
歌手よりも、指揮者よりも目立っていましたが、まあ、作品の誕生にかかわった演出家としては、この曲は自分の子供のようなものでしょうから気持ちは十分にわかります。
実際、非常に、非常に、非常に、素晴らしい上演だったと思います。

2006年に初演された作品を、2年後に極東の地で質の高い演奏で取り上げてくれた東京交響楽団と、スポンサー企業に感謝したいと思います。

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