コンサート/オペラ2008

2008年12月31日 (水)

2008年を振り返って

年末にあたり、2008年に聴いた公演を振り返ってみました。

最初はベスト10などのランキングを作ってみようかと思いましたが、とても絞ることや順位をつけることはできそういないので、列挙するだけにしました。
あと、聴いた回数に意味があるかどうかはわかりませんが、自分の行動パターンを示しているかもしれないので、「指揮者編」と「ホール編」を作ってみました。

2009年も素晴らしい公演に巡り会えることを期待したいと思います。

【国内オーケストラ編】(50音順)

NHK交響楽団
 指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット2008/1/12

神奈川フィルハーモニー管弦楽団(日付順) 
 指揮:ゲルハルト・ボッセ2008/1/25
 指揮:ハンス=マルティン・シュナイト2008/3/08
 指揮:ハンス=マルティン・シュナイト2008/4/12

関西フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:飯守泰次郎2008/3/30

 ※関西二期会「ナクソス島のアリアドネ」
  →【オペラ編】指揮:
飯守泰次郎2008/1/27

紀尾井シンフォニエッタ東京
 ヴァイオリン弾き振り:安永徹2008/12/13

新日本フィルハーモニー交響楽団(日付順)
 指揮:ゲルハルト・ボッセ2008/02/16
 指揮:イオン・マリン2008/03/21
 指揮:小澤征爾2008/5/16

東京交響楽団(日付順)
 弦楽合奏団2008/1/3
 指揮:秋山和慶2008/1/19
 指揮:大友直人2008/2/8
 指揮:秋山和慶2008/3/9
 指揮:ユベール・スダーン2008/3/22
 指揮:大友直人2008/4/19
 指揮:ユベール・スダーン2008/5/17
 指揮:飯森範親2008/6/07
 指揮:ユベール・スダーン2008/9/27
 指揮:ユベール・スダーン2008/11/1
 指揮:ユベール・スダーン2008/11/2
 指揮:大友直人「フラワリング・ツリー」(2008/12/6

 ※新国立劇場「サロメ」
  →【オペラ編】指揮:トーマス・レスナー(
2008/2/9
 ※
新国立劇場「アイーダ」
  →【オペラ編】指揮リッカルド・フリッツァ(
2008/3/20

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(日付順)
 指揮:金聖響2008/2/15
 指揮:矢崎彦太郎2008/5/14
 指揮:飯守泰次郎「トリスタンとイゾルデ」(2008/9/23
 指揮:飯守泰次郎2008/12/26

東京都交響楽団(日付順)
 指揮:ジェイムズ・デプリースト2008/3/17
 指揮:ジェイムズ・デプリースト2008/3/26
 指揮:ラドミル・エリシュカ2008/4/05
 指揮:エリアフ・インバル2008/4/29

東フィルハーモニー交響楽団(日付順)
 指揮:ダニエル・ハーディング2008/2/14
 指揮:ダン・エッティンガー2008/3/14
 指揮:ヒュー・ウルフ2008/5/8

 ※東京二期会「ワルキューレ」
  →【オペラ編】指揮:
飯守泰次郎2008/2/24
 ※
新国立劇場「椿姫」
  →【オペラ編】指揮:上岡敏之(
2008/6/14
 ※
新国立劇場「リゴレット」
  →【オペラ編】指揮:ダニエレ・カッレガーリ(
2008/11/3

日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮:小林研一郎2008/5/25

広島交響楽団
 指揮:秋山和慶2008/3/29

読売日本交響楽団(日付順)
 指揮:マンフレッド・ホーネック2008/2/10
 指揮:下野竜也2008/3/16
 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ2008/4/18
 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ2008/9/10
 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ2008/9/21
 指揮:オスモ・ヴァンスカ2008/11/28
 指揮:広上淳一2008/12/15

【外来オーケストラ編】(日付順)

プラハ交響楽団
 指揮:イルジー・コウト2008/1/13

シュトゥットガルト放送交響楽団
 指揮:ロジャー・ノリントン2008/01/30

フィラデルフィア管弦楽団
 指揮:クリストフ・エッシェンバッハ2008/05/24

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団
 指揮:ユーリ・テミルカーノフ2008/11/05

ロンドン交響楽団
 指揮:ワレリー・ゲルギエフ2008/12/05

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
 指揮:グスターボ・ドゥダメル2008/12/17

【オペラ編】(日付順)

関西二期会「ナクソス島のアリアドネ」
 指揮:飯守泰次郎2008/1/27

新国立劇場「サロメ」
 指揮:トーマス・レスナー2008/2/9

東京二期会「ワルキューレ
 指揮:飯守泰次郎2008/2/24

新国立劇場「アイーダ」
 指揮リッカルド・フリッツァ2008/3/20

東京のオペラの森「エフゲニー・オネーギン」
 指揮:小澤征爾2008/4/13

新国立劇場「椿姫」
 指揮:上岡敏之2008/6/14

ウィーン国立歌劇場「フィデリオ」
 指揮:小澤征爾2008/10/26

新国立劇場「リゴレット」
 指揮:ダニエレ・カッレガーリ2008/11/3

※「トリスタンとイゾルデ」 指揮:飯守泰次郎
 →【国内オーケストラ編】
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  (2008/9/23
※「フラワリング・ツリー」 指揮:大友直人
 →【国内オーケストラ編】
東京交響楽団2008/12/6

【聴いた回数ランキング・指揮者編】

飯守泰次郎(5回)(日付順)
 関西二期会「ナクソス島のアリアドネ」(2008/1/27
 東京二期会「ワルキューレ」(2008/2/24
 関西フィルハーモニー管弦楽団2008/3/30
 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「トリスタンとイゾルデ」
 (2008/9/23
 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団2008/12/26

ユベール・スダーン(5回)(日付順)
 東京交響楽団2008/3/22
 東京交響楽団2008/5/17
 東京交響楽団2008/9/27
 東京交響楽団2008/11/1
 東京交響楽団2008/11/2

秋山和慶(3回)(日付順)
 東京交響楽団2008/1/19
 東京交響楽団2008/3/9
 広島交響楽団2008/3/29

大友直人(3回)(日付順)
 東京交響楽団2008/2/8
 東京交響楽団2008/4/19
 東京交響楽団「フラワリング・ツリー」(2008/12/6

小澤征爾(3回)(日付順)
 東京のオペラの森「エフゲニー・オネーギン」(2008/4/13
 新日本フィルハーモニー交響楽団2008/05/16
 ウィーン国立歌劇場「フィデリオ」(2008/10/26

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(3回)(日付順)
 読売日本交響楽団2008/4/18
 読売日本交響楽団2008/9/10
 読売日本交響楽団2008/9/21

【聴いた回数ランキング・ホール編】

サントリーホール(大ホール)(23回)
東京オペラシティ・コンサートホール(タケミツメモリアル)(5回)
新国立劇場(オペラ劇場)(4回)
東京文化会館(大ホール)(4回)
すみだトリフォニーホール(大ホール)(3回) 

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2008年12月26日 (金)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2008/12/26)

2008年12月26日(金)19:30
東京文化会館大ホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィル
(第九特別演奏会)
ソプラノ:佐々木典子
アルト:小山由美
テノール:水口聡
バリトン:成田眞
合唱:東京シティ・フィル・コーア
合唱指揮:藤丸崇浩

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

何年か前から気になっていた“飯守泰次郎さんの第九”を、ようやく聴くことが出来ました。
去年はチケットを買ってあったのに、聴きに行けませんでした。

うわさ通り、オケの迫力がスゴイ。
特に第1楽章と第2楽章でのティンパニの強打は「“やり過ぎ”と紙一重の差」と思ったほどです。
80年代にこんな演奏をしたら「暴力的にひっぱたくだけのニュアンスのかけらもない演奏」と酷評されたかもしれません。
でも、“ピリオド後”の現代では、それほど違和感があるわけでもなく、音のバランスを崩した印象もありません。
弦楽器もティンパニに負けず、渾身の力で弾いていた印象です。

もちろん、このエネルギーの源は飯守さんの指揮。
音を合わせることよりも、迫力と推進力を重視していたのではないでしょうか。
歯切れがよいのに、音がズシリと重い。
そして、ここぞというところでは、渾身の力を込めて煽る。
ドイツ風の伝統的なアプローチと、ピリオドアプローチの影響と、情熱とを完全に消化(昇華)して結実させた見事なスタイルだと思います。

第3楽章は、管楽器はもう少しニュアンスが欲しい気もしましたが、弦楽器が情感たっぷりに歌い、ティンパニもここでは控え目にアクセントを添えていました。

第4楽章は、合唱だけが突出することはなく、かといって決して非力な声でもなく、オケとコーラスが一体となって飯守さんの棒に応えた素晴らしいハーモニー。
「合唱付き」などという副題は不要の「交響曲」が演奏されたように思います。
独唱は、私は女性陣2人の方が好印象でした。
バリトンの“入り”は「少し緊張されたのかなぁ?」という印象もあり、「飯守さんの音楽の流れの一部になりきれていない歌唱」のような印象も少しありました。
また、四重唱でも「指揮棒をよく見て!」という場面もあったような気がします。
しかしその後は、またオケと合唱が壮大なシンフォニーを奏で、最後はオケがスピードを上げてたたきつけるような迫力で締めくくりました。

来年の東京シティ・フィルの第九は、指揮が飯守さんではなく、ゲルハルト・ボッセさんと発表されています。
私はボッセさんも好きなので、それはそれで楽しみですが、同時に飯守さんの大ファンでもあるので、来年は(関西まで行かないと)聴けないのはちょっと寂しいです。
それだけに、今年聴けたことを感謝したいと思います。

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2008年12月17日 (水)

ドゥダメル/SBYO(2008/12/17)

2008年12月17日(水)19:00
東京芸術劇場大ホール

指揮:グスターボ・ドゥダメル
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ

・オブ・ベネズエラ

ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲
カステジャーノス:パカイリグアの聖なる十字架
チャイコフスキー:交響曲第5番
バーンスタイン:「ウエスト・サイド・ストーリー」~「マンボ」

(アンコール)
ヒナステラ:「エスターシア亜」~「マランボ」(アンコール)

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前半の曲で「なかなかやるじゃない!」と思っていたのは大間違い。
休憩後のチャイコフスキーでは、超・大編成のオーケストラが、うねる、うなる、叫ぶ、…。
それが音の洪水となって物凄い迫力で迫ってくるのに、決して爆演ではなくて音楽的に格調のある演奏。
ドゥダメルさんの指揮も、動くときは激しく動くけど、ずっと振りっぱなしではなく、肩に力が入っている様子はない。
やはり、ただ者ではありません。

アンコールに入ると、曲が曲だけに、大騒ぎの様相。
オケのメンバーは、演奏しながら身体を揺らすにとどまらず、楽器をくるくる回したり、次々に立ち上がったり、バレエのように回転したり…。
弦楽器だけでたぶん100人近くいたとおもいますが、それでいて、演奏が破綻しないのが不思議でした。

チャイコフスキーが終わった時点で1階席は総立ちに近い状態でしたが、2曲のアンコールが終わってオケが引き上げた後も当然拍手は鳴りやまず、ドゥダメルさんを舞台に呼び戻しました。
1回目も2回目もドゥダメルさんはなかなか出て来ませんでしたが、拍手は小さくなるどころかどんどん大きくなり、最後は手拍子に。

このように、後半があまりにもすごかったので、前半の印象がかすんでしまいましたが、この日は、まず、会場に入ってたとたん、舞台上に並んだ椅子の多さに度胆を抜かれました。
まるで二つのオケの合同演奏会みたい。
そのメンバーが立ち上がって、両国の国歌の演奏で始まりました。
君が代を日本人が聞いて違和感を感じさせない(むしろ、聞き惚れる)演奏をしたのも素晴らしい。
ダフニスとクロエは、デュトワさんとは対極にあるような、ある意味、荒々しさを内面に秘めた(牙をかくして優雅にふるまった)印象もありましたが、フルート・ソロの音色と技術をはじめ、オケの技量の高さを示していました。

この日はテレビカメラが入っていましたが、この日の興奮を再現できるかどうかは別として、よくぞ記録してくれた…と感謝し、放送を楽しみにしたいと思います。

こってりとした高カロリーのごちそうをたらふく食べた感じで、お腹いっぱい。
毎日食べたら胸やけしそうです。

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2008年12月15日 (月)

広上淳一/読響(2008/12/15)

2008年12月15日(月)19:00
サントリーホール

指揮:広上淳一
読売日本交響楽団
(第477回定期演奏会)
ヴァイオリン:ルノー・カプソン
チェロ:ゴーティエ・カプソン

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
ヘンデル(ハルボルセン編曲):パッサカリア
(アンコール)
ブラームス(シェーンベルク編曲):ピアノ四重奏曲第1番
(管弦楽版)

20081215




兄弟とは言え、まるで一人でヴァイオリンとチェロを弾いているようなカプソン兄弟の一体感は爽快。
思いっきり情熱的に弾いたと感じられるような部分ですら、二人の息はピッタリ。
決して合わせようとしているのではなく、二人とものびのびと弾いているように見えるのに、出てくる音は一体感のある音です。
また、単に一体感があるだけでなく、それぞれの音の艶やかな伸びも美しい。
相乗効果で、1+1=2ではなく、1+1>2の効果を生んでいました。
広上さんの指揮するオケも、交響曲を演奏するような集中力でシンフォニックなサウンドを響かせ、カプソン兄弟も、オケの出来に満足していた様子でした。

後半のピアノ四重奏曲の管弦楽版では、3楽章までは悠然とうねる大河の流れのような演奏。
“シェーンベルク編曲”であることを忘れそうな、ブラームスの哀感をたたえた表情。
「爆演系」とか「鳴らし屋」の面も多少期待していたのですが、老巨匠のブラームスのような印象でした。
第4楽章は打楽器も活躍するのでリズミカルで、さすがに「悠然と」とはいきません。
特に終結部はかなり追い込みをかけていたようです。
しかし、昔(日フィルの常任だった頃)の広上さんに比べれば落ち着いた印象です。
「計算の上での熱狂のようにも見えた」と書いたら言い過ぎかもしれませんが、立派に構築された“シェーンベルク編曲”のブラームスでした。

私は広上さんの指揮は大好きで、この日の演奏会も、年間プログラムが発表されたときから楽しみにしていました。
ただ、指揮をしているときの広上さんの息づかいの荒さは、最近は(この日も)、多少耳障りに感じるときもあります。

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2008年12月13日 (土)

安永徹/紀尾井シンフォニエッタ東京(2008/12/13)

2008年12月13日(土)14:00
紀尾井ホール

ヴァイオリン弾き振り:安永徹
紀尾井シンフォニエッタ東京
(第67回定期演奏会)
ピアノ:市野あゆみ

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ハルトマン:ヴァイオリンと弦楽のための葬送協奏曲
モーツァルト:交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」
ピーター・ウォーロック:キャプリオール組曲~第5曲
(アンコール)

昨年(2007年)の9月にNHK-FMで、安永徹さんが弾き振りしたオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏会が放送されました。
(2007年7月22日 しらかわホールで収録されたもの)
曲目は
バッハ:バイオリン協奏曲第1番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番 (ピアノ:市野あゆみ)
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
というもので、コンサートマスターの席に座ってのリードですので、てっきり、なごやかな合奏かと思いきや、ドイツ風の堂々たるモーツァルトが推進力をもって演奏されていてびっくりしました。
CD(2003年の石川県立音楽堂で収録されたもの)も聴いてみて、印象としてはFMで放送されたものよりも、やや大人しいような気もしましたが、それでも十分に立派。
さすがはベルリン・フィルのコンサートマスターを長年務めただけのことはある…と感心しました。
強力なリードがなければ、このような演奏にはならないでしょう。
…というわけで、この日の演奏は非常に楽しみにしていました。

紀尾井ホールに行くのは1995年4月2日のオープニング以来。
紀尾井シンフォニエッタ東京を聴くのも、その旗揚げの公演以来です。
この日座った席は2階のバルコニー席でしたが、残響はあまり感じないものの、決して乾いた音ではなく、弦にもピアノにも適した好感の持てる音響に感じました。

演奏については「安永さんの強力なリード」という点についてはFM放送やCDと同じですが、「ドイツ風の堂々たる」という点については、そういう面とともに、ティンパニの強打や金管の強奏やアクセントといった「21世紀のモーツァルト演奏」の面も感じました。
生演奏だからそう感じたのか、演奏が変化してきているのかは鑑賞経験があまりないので私にはわかりませんが、決して1970年代のモーツァルト演奏ではありません。
スリリングな面を含んだ、堂々たる、ベートーヴェンのようなモーツァルトの演奏だったように感じました。
(実際には安永さんが指揮者なのですが)指揮者が立って髪を振り乱して指揮をしていないのがいないのが不思議に感じる光景でした。
協奏曲での市野さんのピアノもFM放送やCDでも好感でしたが、生で聴くとくっきりとした音がまた格別でした。

ハルトマンの曲は安永さんがソリストとして立っての演奏。
これは、モーツァルトとはまた違った、緊張感のある素晴らしい演奏でした。

プログラムの冊子によると、安永さんはベルリン・フィル辞任後、日本での活動を増やすとか。
ぜひレパートリーを広げて、ハイドンやベートーヴェンの交響曲も弾き振りしてほしいと期待してしまいました。

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2008年12月 6日 (土)

大友直人/東響(2008/12/06)

2008年12月6日(土)18:00
サントリーホール

指揮:大友直人
東京交響楽団
(第562回定期演奏会)
演出:ピーター・セラーズ
クムダ:ジェシカ・リヴェラ(ソプラノ)
王子:ラッセル・トーマス(テノール)
語り部:ジョナサン・レマル(バス・バリトン)
舞踊:ルシニ・シディ、エコ・スプリヤント、アストリ・クスマ・ワルダニ
合唱:東響コーラス
合唱指揮:有村祐輔

ジョン・アダムズ:フラワリング・ツリー*花咲く木
(全2幕、日本初演、セミ・ステージ形式、原語上演、字幕付)

上演に先立ち、17:15からピーター・セラーズさんと岡部真一郎さんによるプレ・トークがありました。
ピーター・セラーズさんは、情熱を込めて熱く語りました。

作品については、
「オーケストラが主役の部分、歌手が主役の部分、合唱が主役の部分がそれぞれ効果的に用いられている。」

舞踊が登場することについては、
「世界で一番遅い踊りであるジャワの踊りを使った」
「肉体的な表現をする者と言葉を表現する者が別人である舞台は、世界中に例がたくさんある。日本の歌舞伎もそうだ。皆さんはこういうスタイルに、すでに慣れているはずだ。」

セミステージ形式のハンディについての質問に対しては、
「ハリウッド映画は、観ている人はあれこれ想像することができないが、今日の舞台は皆さんがイマジネーションを発揮する余地がある。」
「芸術というのは参加型のアミューズメントであり、今日の舞台は皆さんと一緒に作り上げるものだ」

最後に岡部真一郎さんが
「ゲネプロの演奏を聴いたが、ヨーロッパでのこの曲の演奏とは違って、透明感のある音作りだった」

記憶の範囲なので、実際に話した言葉や順番とは多少違っているかもしれませんが、だいたいこのようなことを話したと思います。
このお話しが、公演開始前なのに、公演の大半を物語っていました。

上演は、映像を映したりせず、ステージ後方の壇上での動きだけ。
しかし、ダンサーの動きが入ることでハンディは全くないどころか、このスタイルこそが最適な上演であるかのような気にさせられました。
このダンサーなくして、この上演は成り立ちません。
オーケストラもコーラスも、白いシャツが見える燕尾服ではなく、全身真っ黒な服。
おそらく視覚的に、壇上の演技が映える効果を狙ったのでしょう。

歌手の3人、特にクムダ役のリヴェラさんと王子役のトーマスさんは、すっかり作品が手の内に入った自信に満ちた歌唱と演技でした。
コーラスは主役に躍り出たとの迫力と、引き立て役に回ったときの雰囲気が見事。
透明感のある素晴らしいハーモニーはいつも通りです。

オーケストラも相当練習が行き届いていたようで、日本初演とは思えないほどの積極的な演奏。日頃何度も演奏している曲のような弾きぶりでした。
大友直人さんの音作りは、プレトークでも言及されていたように、透明感のあるサウンド。
かといって、ただきれいな音を狙っただけではなく、スケール感もあり、素晴らしいサウンドでした。
曲は「弾くのは大変」(プレトーク)とのことですが、聴いている分にはかなり聴きやすい音。
「難解な現代音楽」では全くありません。

終演後のカーテンコールでは、ピーター・セラーズさんが大はしゃぎに近い喜びよう。
オケにもコーラスにも、大声でなにか叫んで、ねぎらっていました。
歌手よりも、指揮者よりも目立っていましたが、まあ、作品の誕生にかかわった演出家としては、この曲は自分の子供のようなものでしょうから気持ちは十分にわかります。
実際、非常に、非常に、非常に、素晴らしい上演だったと思います。

2006年に初演された作品を、2年後に極東の地で質の高い演奏で取り上げてくれた東京交響楽団と、スポンサー企業に感謝したいと思います。

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2008年12月 5日 (金)

ゲルギエフ/ロンドン響(2008/12/05)

2008年12月5日(金)19:00
サントリーホール

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
ロンドン交響楽団

ヴァイオリン:ワディム・レーピン

プロコフィエフ:交響曲第4番(オリジナル版)
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
プロコフィエフ:2つのヴァイオリンのためのソナタハ長調op.56~第2楽章
(アンコール)
プロコフィエフ:交響曲第5番
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲第1番~「仮面」
(アンコール)

20081205




私にとってプロコフィエフの曲は、難解に感じるものが多いのです。
交響曲も、1番と5番以外は、「音楽」と言うよりも「音響」という受け止め方で聴いています。
そうは言っても、今年のロンドン交響楽団の来日演奏会は魅力的でした。
ゲルギエフさんが指揮することに加えて、ありきたりの名曲路線ではないプロコフィエフ・ツィクルス。
すでに本拠地ロンドンで演奏し、そのライヴCDも出ています。
全部聴きたくなってしまうところですが、1日だけ選んだのは、大好きな5番が含まれているプログラムでした。
もちろん、レーピンさんのソロも魅力的でした。

この日の演奏が、最初から最後まで、全て一定のハイテンションを保っていたかというと、そうではないような気がします。
しかし、多少テンションが下がったように感じた部分であっても、それは「相対的」な話しであって、相当ハイレベルの演奏であったと思います。
全体的に素晴らしかったが、なおかつ、さらに高い次元で素晴らしい部分があった…ということでしょう。

個人的には5番の第1楽章、第2楽章が、渦の中に巻き込まれるようなサウンドを堪能しました。
また、ヴァイオリン協奏曲の第2楽章の美しさは比類なく感じました。

驚いたのは、ヴァイオリン協奏曲の後のアンコール。
コンサートマスターが立ち上がり、レーピンさんと二重奏を弾いたのです。
さすがはロンドン響のコンマス。
世界的に高名なソリストに聴き劣りしないように大熱演を披露しました。

ゲルギエフさんの指揮は、遠目に見ていると動きが少ないように見えましたが、近くで見ていた友人の話だと、かなり「目で指揮」をしていたのと、動きは小さいながらも、かなり多くの指示を出していたとのこと。
CDで聴いた印象とはだいぶ違う体感で満足した演奏会でした。

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2008年11月28日 (金)

ヴァンスカ/読響(2008/11/28)

2008年11月28日(金)19:00
サントリーホール

指揮:オスモ・ヴァンスカ
読売日本交響楽団
(第508回名曲シリーズ)
トロンボーン:クリスチャン・リンドバーグ

《ヴァンスカ・ベートーヴェン交響曲シリーズ IV》
アホ:交響曲第9番~トロンボーンと管弦楽のための
メディーバルダンス 1457年古典の曲
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

20081128




田園交響曲ですから演奏時間は40分くらいはかかったはずですが、体感的には、まるで15分くらいで終わってしまったような「あっという間」の出来事。
決してオーソドックスではない「誇張」や「強調」が続出する演奏です。
その「誇張」や「強調」には、リズムや旋律の強調だけでなく、聞こえるか聞こえないかの弱音も含まれています。
しかし、聴いていて違和感を感じないどころか、「確かにこうあるべきだ」と思ってしまう、音楽的な陶酔感を感じさせる演奏でした。

昨年の1番と2番の演奏会を聴いて大感激しましたし、ミネソタ管弦楽団とのCDも素晴らしいので、今年も大いに楽しみにしていましたが、期待は裏切られませんでした。
10日ほど海外出張に行っていたので、4番と8番の日はチケットを買ってあったのに聴けませんでしたが、この日の演奏を聴けたことだけでも感謝したいと思います。

前半のアホの交響曲は、形式的には協奏曲です。
ソリストも大活躍します。
でも聴いてみると、確かに「交響曲」という言葉も納得できます。
独奏トロンボーンが目立ちますが、ところどころで登場するチェンバロの音色も実に印象的。
曲の方も、リズムが炸裂する部分もあれば、旋律が歌う部分もあり、初めて聴いた私には捉えどころが難しかったですが、なかなか面白い曲です。
こういう珍しい曲を「田園」の前に置いて、多くの聴衆に聴かせてしまおうというプログラミング上の魂胆は大歓迎。
私だって、アホの曲が2曲並んでいたら、いくらヴァンスカさんの指揮であってもチケットを買うのを躊躇したでしょう。
なかなか面白い演奏会でした。

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2008年11月 5日 (水)

テミルカーノフ/サンクトペテルブルク・フィル(2008/11/05)

2008年11月5日(水)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール

指揮:ユーリ・テミルカーノフ
サンクトペテルブルク・フィル

チェロ:タチアナ・ヴァシリエヴァ

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
エルガー:エニグマ変奏曲より「ニムロット」
(アンコール)
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魔術師…いや、手品師の見事なトリック?
このままシルクハットでもかぶれば、そのまま手品師として通用しそうな風貌のテミルカーノフさんですが、その妖しい手つきは本当に手品のよう。
手首を微妙にひねると、ものすごいスケールの音がうねりをたててホールに響きます。

昨年、読響の演奏会(5/195/27)を聴いて「テミルカーノフさんってスゴイ!」と思っていましたが、手兵のサンクトペテルブルク・フィルを振った演奏は、さらに輪をかけて凄かった印象です。

この日の演奏会は、テミルカーノフさんの「冬の日の幻想」(交響曲第1番)が聴けるというので、わくわくしながら購入したこの演奏会のチケット。
まさかの曲目変更で唖然としました。
払い戻しも出来たようですが、思いとどまったのは、来年度の読響の客演陣にテミルカーノフさんの名前がなかったからです。
「しばらくテミルカーノフさんを聴けないから、お目当ての曲目じゃないけど聴いておこう」という程度の軽い気持ちで会場に向かいました。

しかし、1曲目の「ロメオとジュリエット」からド迫力に圧倒されました。
「この曲、こんなに面白かったっけ?」と目から鱗が落ちる心境。
もっとも、鳴っている音は純粋な「音」で、民族性やら感傷的な気分やらはあまり強調されていません。
ただ立派な音が鳴っているだけなのに、その音の奥深さ、味わい深さ、スケールの大きさは驚くばかり。
斜に構えて聴きに来た自分を恥じ入りました。

2曲目の「ロココ…」は、独奏のヴァシリエヴァさんが、自由自在、奔放に弾きまくり、この曲においても「こんなに面白かったっけ?」という印象です。
しかし、よく聴くと、ソリストの音は、1曲目で聴いたオケの音と同じような音。
指揮者に目をやると、「あれ、テミルカーノフさん、独奏チェロも指揮しているの?」と思う場面もあり。
テミルカーノフさんの手のひらの上で、思う存分に暴れたヴァシリエヴァさんという印象で、ソリストをこれだけ自由に弾かせながら包み込んでしまうテミルカーノフさんの懐の深さを感じました。

ここまで来れば、「悲愴」が「お約束の名演」になるのは当然の結末。
この曲では、特に第3楽章ではテミルカーノフさんの手の動きがかなり少なく、ただたっているだけの状態もしばしば。
でも眼光は鋭く、表情もかなりの緊張感でオケを見据えています。
顔だけで指揮をしていたのでしょう。
ところどころで、音の入りが微妙にずれたり、管楽器の音色が「あれ?」と感じたりした場面もありましたが、そんなことでこの演奏の価値は下がらないと思いました。
アンコールのエルガーもスケールの大きさで圧倒。
すっかり魔術にかけられてしまいました。

この日は、お客さんの数が少なく、1階席など3割くらいしか入っていないのでは?という散々な状態でした。
コンサートの冒頭で、入場してきたオケのメンバーが一瞬顔をしかめたほど。
でも、その少ないお客さんの拍手喝采は、まるで満場の聴衆のようでした。
終演後は、オケが引き上げた後にテミルカーノフさんを舞台に呼び戻しました。

私は、曲目変更にがっかりしたことなどきれいさっぱり忘れて、家路につきました。

ちなみに私がこのオーケストラを私が生で聴くのは、1986年以来で実に22年ぶり。
前回はレニングラード・フィルという名前でした。
指揮者は、当時まだ「アルヴィド・ヤンソンスの息子の」と呼ばれることもあったマリス・ヤンソンスさん。
ムラヴィンスキーさんが振る予定だった演奏会で、当日の会場では、確か料金の差額を払い戻してもらったような気がします。
私はそのとき“ムラヴィンスキーさんを聴けなかったことの意味”を正しく理解していなくて、「差額が返ってきたから、まあいいか」という程度に受け止めていました。
代役の若きヤンソンスさんの振ったオケは、轟音をとどろかせて低弦はうねり、金管は咆哮し、大満足で帰宅したのを覚えています。

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2008年11月 3日 (月)

新国立劇場「リゴレット」(2008/11/03)

2008年11月03日(月・祝)14:00
新国立劇場

ヴェルディ:リゴレット
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私にとって「リゴレット」は、多少の戸惑いを感じる作品です。
悲劇であるのに、途中、甘美で優雅な旋律があまりにも多いからです。
あるいは、弾むようなうきうきする旋律も多い。
鳴っている音楽の印象が、ストーリーだけを文章で読んだ印象と、私にとっては、あまりにも違うのです。
第3幕冒頭の超有名な「女心の歌」など、そのアリアだけ取り出して聴いたりすると、悲劇の「ひ」の字も感じられません。
評論家の先生が書かれた文章などでは「リゴレット」は最初から最後まで完全無欠の作品のように書かれていますが、私は、まだこの作品の凄さがわからないようです。
そういうわけでこの日は、多少傍観者的に鑑賞していました。

感心したのはピットの中の東京フィルの演奏。
甘美、優雅、うきうき、と言った“悲劇とは無縁に思える部分”の音楽を、魅惑的に奏でていました。
オペラのピットに入った東京フィルは、評論家の先生の文章で酷評されることが多いのですが、この日の東京フィルは、私は“オペラのオケ”のように、かなり頑張ったと思います。
4階席で鑑賞していたのでピットの中の指揮者の姿は見えませんでしたが、「指揮姿を見てみたい」と思いながら、素敵な旋律を聴いていました。
ただ、第3幕後半などの、ジルダが刺される場面や、リゴレットが娘の死を嘆く場面など、悲劇本来の劇的な場面や悲しみの旋律は、もう少し感情を込めたり、スケールの大きな音色を出して欲しいような気もしました。
もっとも、私にとっては「リゴレット」自体がまだちぐはぐな印象を拭いきれていないので、そのように感じたのは私の鑑賞力の無さによるものかもしれません。

歌手陣は、最初から最後まで好感でした。
誰かが突出した迫力で抜きんでていたわけではありませんが、全体的な声の統一感を感じられました。
四重唱などはその最たるもの。
それが指揮者の統率力なのかどうかはわかりませんが、前述のオケの鳴らし方もあったので、カッレガーリさんの名前は覚えておいてどこかで再確認してみたいと思いました。

再認識したのは、「女心の歌」は、やはり“オペラの一部”であるということ。
有名なので単独で取り上げられることが多いですが、オペラの中の本来の箇所で歌われてこそ真価を発揮する曲です。
このオペラのこの曲に限らず、「乾杯の歌」「清きアイーダ」も、イゾルデの「愛の死」「ワルキューレの騎行」「7つのヴェールの踊り」も、やはり本来は“オペラの一部”の曲ですね。

【指揮】ダニエレ・カッレガーリ
【演出】アルベルト・ファッシーニ
【美術・衣装】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】磯野睦
【芸術監督】若杉弘

キャスト
【リゴレット】ラード・アタネッリ
【ジルダ】アニック・マッシス
【マントヴァ公爵】シャルヴァ・ムケリア
【スパラフチーレ】長谷川顯
【マッダレーナ】森山京子
【モンテローネ伯爵】小林由樹
【ジョヴァンナ】山下牧子
【マルッロ】米谷毅彦
【ボルサ】加茂下稔
【チェプラーノ伯爵】大澤健
【チェプラーノ伯爵夫人】木下周子
【小姓】鈴木愛美
【牢番】三戸大久

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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