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2009年1月の6件の記事

2009年1月31日 (土)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2009/1/31)

2009年1月31日(土)18:00
東京芸術劇場大ホール

2009都民芸術フェスティバル
オーケストラ・シリーズNo.40
指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィル

ピアノ:菊地裕介

シベリウス:交響詩「フィンランディア」
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
(アンコール)

「フィンランディア」の最初の一音が鳴ったとたん、「あ、飯守さんの音だ」と嬉しくなりました。
重量感のある音ですが、飯守さんがクィッと腰をひねって手を大きく振ると、オーケストラの音にアクセントがつき、爽快。
「ワーグナーの管弦楽名曲集」のようなコンサートの中に一曲紛れ込ませても違和感がないのではないかと思うようなシベリウスでした。

続くラフマニノフの菊地さんのピアノの音は、くっきりとしたサウンド。
弦楽器的な音ではなく、打楽器的な音に近いサウンドに感じましたが、私はこういう指向のピアノ音も結構好きです。
菊地さんのピアノでバルトークとかも聴いてみたくなりました。
バックの飯守さんとシティ・フィルは、基本的にはピアノを盛り立てながらも、ここぞというところでは迫力をもって応じていました。

休憩後のショスタコーヴィチは飯守さんお得意の曲のはず。
CDも2種類出されていますし、そのうちの1枚の関西フィルの東京公演を聴いた人の話しでも「凄かった」とのこと。
事実、期待通り、いや、期待以上の力演でした。
飯守さんの気合いもかなりのものでしたが、その飯守さんの体の動きに奏者が敏感に反応して、オケがうねる、咆哮する。
大音量の部分だけでなく、静かな部分の緊張感も見事。
会場も、大いに沸いていました。

アンコールが不要なくらい感激しましたが、明るくすがすがしい曲が演奏されました。
それまでの3曲とは雰囲気がガラリと変わった印象を受けましたが、これはこれで快演。
定期演奏会並み、あるいはそれ以上の気合いの入ったコンサートでした。

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2009年1月28日 (水)

秋山和慶/東響(2009/1/28)

2009年1月28日(水)19:00
サントリーホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団
(第563回定期演奏会)
ヴァイオリン:渡辺玲子

シューベルト:5つのドイツ舞曲D.90
バーバー:ヴァイオリン協奏曲
デュティユー:交響曲第1番

東響が新国立劇場のピットに入る合間をぬっての定期演奏会。
1月27日と1月29日は「こうもり」を弾いているようです。
さすがはプロですね。
ただ、コンサートの最初の方では「もしかして過密スケジュールの影響?」と感じる部分がないわけではありませんでした。
しかし、演奏が進むにつれて、そのような懸念は払拭されました。

シューベルトはハツラツとしていながら軽くない音がホールに響き渡りました。
私は秋山さんのファンですが、モーツァルトではスダーンさんのようなスタイルで聴きたくなることがあるので「シューベルトではどうだろう?」と一抹の不安もありましたが、大いに楽しめました。

協奏曲は、当初、コリヤ・ブラッハーさんの独奏でシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲が予定されていましたが、急病とのことで、独奏者と曲目が変更になりました。
残念ではありますが、それでも「代演が渡辺玲子さんなら文句は言えないなぁ」と思って会場に向かいました。
日本人ソリストも層が厚いですね。
以前も、読響で代演が川久保賜紀さんで「ラッキー」と思ったことすらあります。

バーバーのヴァイオリン協奏曲は、私にとっては多少違和感を感じる曲です。
悠然たる第1、第2楽章と、猛烈なスピードの第3楽章の差があり過ぎるし、ピアノの音でヴァイオリン・ソナタのような聴感になることもあるし…。
でも、渡辺さんは確信を持って迷いなく弾ききった印象です。
この演奏だったら曲目変更も納得できます。
シェーンベルクだって弾けないことはないでしょうけれど、確信の持てる曲を選んだのでしょう。
貫禄すら感じる、堂々たる演奏でした。

休憩後のデュティユーの交響曲は、面白い曲で素晴らしい演奏でした。
楽章間で帰る人が数人いたり、曲が終わってすぐに席を立つ人も結構いましたが、残った大半の人は熱烈な拍手を贈っていたように思います。
プログラム冊子の解説には「ダンディやルーセルの様式を受け継いでいる」と書いてありましたが、私にはオネゲルを連想させるように感じられる場面もありました。
迫力の大音量と神秘的な静けさの対比を、固唾を飲んで聴き入ってしまいました。

2007年のサイトウキネン・フェスティバル松本でデュティユーさんの新曲の世界初演を聴いて、作曲者御本人の答礼を目にしていたので、「現代音楽」の作曲家の印象がありましたが、この曲が作曲されたのは1951年とのこと。
ショスタコーヴィチの交響曲で言うと、9番と10番の間の年代です。
オーケストラのレパートリーとしてもっと演奏されて良い曲だと思います。

曲のことばかり書いてしまいましたが、秋山さんは、この曲を気力を込めて指揮したと思います。
すばらしい演奏でした。

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2009年1月23日 (金)

上岡敏之/読響(2009/1/23)

2009年1月23日(金)19:00
サントリーホール

指揮:上岡敏之
読売日本交響楽団
(第478回定期演奏会)
ピアノ:フランク・ブラレイ

マーラー:交響曲第10番~アダージョ
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「隠された引力
(デュナミーデン)
R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲

最初に曲目を見たときは「適当に4曲並べただけ」と思いましたが、こうして聴いてみると意外と統一感が取れていた聴感ですし、結構考えられた演目のような気がします。

マーラーはひたすら美しい。
目を閉じて聴いていると、自分が今どこに居るのかわからなくなります。
ふと目を開くと、そこはサントリーホールで、目の前にはオーケストラが居る。
「あれ?私はさっきまでどこに居たのだろう?」と思えてきました。

耽美的なマーラーの後のモーツァルトは「軽やかな曲」と思っていましたが、ここでもマーラーのときの美しさは続きます。
決して重くはありませんが、「あれ?こんな曲だったっけ?」と思えるほど深みのある甘美さ。
それも、第2楽章だけでなく、第1楽章も、第3楽章も、です。
P席で聴いたのでピアノソロはよくわかりませんが、単なる技巧ではない深みを感じました。

後半は凝った選曲。
プログラムの冊子によれば、ヨゼフ・シュトラウスの曲には「ばらの騎士」に引用された旋律が含まれているとのこと。
会場でその解説の文章を読んで初めて、ここにウィンナ・ワルツが入っている意味がわかりました。
ただ、確かにヨゼフ・シュトラウスの曲では、聴いていてそのことに気がつきましたが、共通の素材はあるものの、この2曲は全く別の料理です。

前半とは多少雰囲気が変わって、煽ったり、ためを作ったり、爆発したり、…という場面を含んだ演奏。
多少縦の線がずれたような印象の場面があったような気がしますが、そんなことはどうでも良い。
粗野な爆演にならないスレスレの節度を保った演奏に会場も沸いていました。

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2009年1月17日 (土)

小澤征爾/新日本フィル(2009/01/17)

2009年1月17日(土)19:30
サントリーホール
(大ホール)

指揮:小澤征爾
新日本フィル
(特別演奏会)
オーボエ:フアン=マヌエル・ルンブレラス
ファゴット:河村幹子
ヴァイオリン:豊嶋泰嗣
チェロ:花崎薫

ハイドン:協奏交響曲
ブルックナー:交響曲第1番

昼間の日本フィルの演奏会終了の約3時間半後には、同じ会場で新日本フィルの演奏会がありました。

意外な取り合わせのようですが、小澤さんのハイドン、私は結構好きです。
前回聴いたのは、カザルスホールでの新日本フィルによるハイドン交響曲全曲演奏シリーズのとき。
小澤さんは最後の最後に、104番「ロンドン」1曲だけを指揮しましたが、そのときの音の迫力には魅了されました。
帰宅後に調べてみたら、1991年3月21日のことですから、ずいぶん前のことになります。

この日のハイドンは、いつもの小澤さんのようにきれいに磨かれたサウンドですが、ティンパニを比較的強打させて、アクセントのついた音楽でした。
ソリストでは豊嶋さんのソロが素晴らしい。
きれいな音色を保ったままぐいぐいと演奏を引っ張っていく演奏。
ソリストであると同時にコンマスでもあったようで、他の3人のソリストもリードしていたように見えました。

休憩後は豊嶋さんがコンマスの席に座りましたが、コンマスとして入場してきたときの拍手は、会場からだけでなくオケからも起きました。

小澤さんのブルックナーは、音響的に爽快感を与えてくれる演奏。
特に良かったのは、咆哮するオケの音の迫力がホールに鳴り響いた第3楽章。
他の楽章も含めて、まるでフランス音楽のようなブルックナーで、まるでベルリオーズの曲でも聴いているかのような気分になりました。

なお、この日は、第4楽章の最後の一音が鳴り終わるや間髪を入れずに「ブラボー」と叫んだ方がいて、音楽に浸っていた私は驚きました。
体感的には、最後の一音が鳴っているうちに叫んだ印象。
本当は、残響まで味わいたかったのですけれど。
終演後のロビーでも、その「間髪を入れぬブラボー」の話しをしている人が結構いました。

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ラザレフ/日本フィル(2009/01/17)

2009年1月17日(土)14:00
サントリーホール(大ホール)

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィル
(第607回定期演奏会)
ヴァイオリン:漆原朝子
ヴィオラ:今井信子

<プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクトvol.1>
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典」
モーツァルト:協奏交響曲
プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」(オリジナル版)
プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」~第4楽章(改訂版)
(アンコール)

最近の日フィルのアンサンブルについては、いろいろ不評も聞きますが、この日はずいぶん頑張っていたと思います。

私が日フィルの会員だったのはずいぶん前なので最近のことはあまりわかりませんが、当時は素人耳にもわかる出来不出来の差があったように思います。
ハズレのときは「あらら」と家路につくわけですが、アタリのときがめちゃくちゃ面白く、結構楽しんでいました。

この日、古典交響曲が始まった瞬間、ピカピカに磨き上げられた音がホールに広がりました。
サウンドとしては上々。
ラザレフさんの力強い推進力も爽快。
ただ、オケは余裕をもって弾いていたわけではなかったようで、茶目っ気たっぷりの表情付けの部分はいま一歩。
後半の7番も含めて、スローテンポの部分はもう少し酔わせてほしい感じ。
7番の最後の部分の金管の音はちょっと…。
舞台の袖に引き上げるときのラザレフさんの目は笑っていなかったように見えました。

ラザレフさんが日本語でアンコール曲を紹介し(「書かされた」を3回繰り返して笑いを誘っていました)、もう一度演奏した終楽章では、金管の音は、まあまあ改善されました。

モーツァルトの協奏交響曲ではソリスト2人の音がきれい。
でも、オケの方は冒頭を除いて少し控え目だった印象です。

…と、ネガティブなことばかり書いてしまいましたが、プロコフィエフについてはラザレフさんのトレーニングの効果が出ていたようですし、曲の面白さも伝わってきましたので、予定が合えば次回のツィクルスも聴いてみたいと思いました。

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2009年1月11日 (日)

朝比奈/都響(1995/1/22)

1995年1月22日(日)14:00
東京芸術劇場大ホール

指揮:朝比奈隆
東京都交響楽団

シューベルト:交響曲第8番「未完成」
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」

※交響曲の番号は、当日のプログラム冊子の表記に従いました。

「最近聴いたCD」というタイトルにすべきかもしれませんが、10年以上前の演奏会の話しで恐縮です。

本来演奏会は、聴衆にとっても一期一会の真剣勝負。
一回しか体験できない時間と空間を共有するために会場に足を運びます。

…と表向きは言っていても、本心は、行けなかった演奏会がテレビやFMで放送されれば嬉しいし、素晴らしかった演奏会のライヴ録音のCDが発売されれば、つい買って再び聴いてしまいます。

この演奏会のライヴCD(2枚に分かれています)は、たまたま聴く機会が無くて、最近になってようやく聴きました。
会場で生演奏を聴いて以来、ほぼ14年ぶりです。
10年以上前ともなると記憶はだいぶ風化していますが、それでも印象の強かった演奏会なので、当日、自分の席から見下ろした舞台の光景などは今でも目に浮かびます。
チケットは3階席後方の席しか手に入らなかったのですが、確か全席完売で、入場できただけでも良かったと思いました。
3階席からでは朝比奈さんの姿は小さくしか見えませんでしたが、時には大きく手を振って指揮をする姿は、ホールの大空間を“気”で支配していたように思います。

久しぶりにCDで追体験した演奏は、素晴らしい迫力でした。
「未完成」の悠々とした音楽の味わい深さ。
「グレイト」のはつらつとした心地よさ。
そして、そのいずれもがどっしりとした重量感のある土台を持って迫って来ます。

会場で聴いたときと、CDの“音”の印象はだいぶ違います。
3階席後方で聴いた“溶け合った、少し遠目の音”ではなく、マイクが拾った“分解能の良い、生々しい音”です。
でも、この演奏を、こうしてもう一度、…いや、何度も聴けるのは、本当に嬉しいことです。

当日の会場では私はさほど深刻に考えていませんでしたが、CDの解説を読むと、阪神淡路大震災が17日、朝比奈さんが9時間かけて大阪に移動したのが18日、東京に移動したのが19日、リハーサルの開始が20日とのことです。
この演奏がCD化されていることを喜ぶ以前に、朝比奈さんがこの日、指揮台に立ったことを感謝しなければなりません。

CD:fontec FOCD9360(未完成)、FOCD9359(グレイト)

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