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2009年3月15日 (日)

新国立劇場「ラインの黄金」(2009/3/15)

2009年3月15日(日)14:00
新国立劇場
ワーグナー:ラインの黄金

そんなに数多くオペラを観ているわけではないので演出のことはよくわかりませんが、SFのようでもあり、ドタバタ喜劇のようでもあり、視覚効果も映画のように面白くて、楽しませてもらいました。
DVDで観たメトロポリタン歌劇場のオットー・シェンク演出の正攻法の舞台とは、全く別のオペラのようです。
神話の世界の印象は皆無でした。
私は今まで「読み替え演出よりは伝統的な演出の方が好き」と思っていましたが、こういう舞台に接すると、なぜ全世界で演出の先進性が競われているのか、ちょっぴりわかったような気がします。

冒頭も、真っ暗の中で一点の光だけがしばらく点灯し、やがてヴォータンが客席の方を向いて座っている姿が表れます。
何のことかわかりませんでしたが、やがて映画館の中のような場面になったので、ヴォータンが映写を観ている場面だったのでしょうか。
第1場のラインの娘たちとアルベリヒの掛け合いは、その映画館?の客席で繰り広げられました。
スクリーンには、水しぶきや、大きな目や、ジクソーパズルの一片(後でそれは指輪だとわかりましたが)が映し出されたり。
スクリーンの形は遠近感を模したのか、いびつな形をしていましたが、それは第2場以降への布石。
第2場と第4場は、そのいびつな形の枠内で演じられました。
さらには、第3場の地底の場面は、そのいびつな形を左右対称で逆にした枠内。
最後のヴァルハル城入場の場面だけが、枠がすっかり取れ、真っ白な場面。
しかし、多くの風船が床に転がっており、なんとも形容しがたい場面でした。

各所で光がかなり刺激的に使われており、度肝を抜かれました。
巨人2人が登場する場面は、2つの大きなライトが迫ってきました。
まるで、ジープかブルドーザーが突進してきたような印象。
火の神ローゲも閃光とともに登場しましたし、ヴァルハル城入場場面への転換も稲妻のような光と音を伴って刺激的に行われました。

アルベリヒが蛙に変身して捕まえられトランクの中に押し込められた後に、地上に上がってきてトランクを開けると、人間の大きさのアルベリヒが小さなトランクの中から出て来て唖然。
おそらく単純な手品のトリックだと思いますが、視覚的にはトリックは全くわかりませんでした。

歌手陣では、ごろつきのようなアルベリヒ(ユルゲン・リンさん)の存在感と迫力が印象に残りました。
ミーメ(高橋淳さん)もエネルギッシュに動き回り、声もそれに見合っていてなかなかの好印象でした。

ファーゾルトとファフナーの巨人2人は、視覚的には巨体の存在感がありましたが、声はもう少しぞっとするような迫力が欲しいな~という印象もありました。
登場の場面における光の効果と、叫ぶようなオケの音の後に発せられた第一声は、ちょっと大人しい印象がありました。

エッティンガーさんの指揮するオーケストラは、ことさら重量感だけを強調するものでは無いものの、金管の咆哮などは結構荒々しい。
こういう視覚効果の面白い舞台だと、ハリウッド映画のサウンドトラックのようなサウンドでも面白い(エリック・カンゼルさん指揮のシンシナティ・ポップスなんてどうでしょう?)と思いましたが、そういう洗練された音ではありませんでした。
金管の荒々しさが、奏者の力量なのか、エッティンガーさんの求めた音なのかはわかりません。
ただ、弦楽器の歌わせ方などは、けっこうきれいな音で甘美な印象もありました。

【指揮】ダン・エッティンガー

《初演スタッフ》
【演出】キース・ウォーナー
【装置・衣裳】デヴィッド・フィールディング
【照明】ヴォルフガング・ゲッベル

【芸術監督】若杉弘

キャスト
【ヴォータン】ユッカ・ラジライネン
【ドンナー】稲垣俊也
【フロー】永田峰雄
【ローゲ】トーマス・ズンネガルド
【ファーゾルト】長谷川顯
【ファフナー】妻屋秀和
【アルベリヒ】ユルゲン・リン
【ミーメ】高橋淳
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ
【フライア】蔵野蘭子
【エルダ】シモーネ・シュレーダー
【ヴォークリンデ】平井香織
【ヴェルグンデ】池田香織
【フロスヒルデ】大林智子

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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コメント

参考にさせて頂いてます! ワーグナーは3回目の初心者ですが、けっこう堪能しました。高橋さんへの拍手が多かったですねー。

投稿: COCO2 | 2009年4月11日 (土) 12時55分

COCO2さん
コメントありがとうございます。
私もオペラを比較的多く観るようになったのは近年のことですので、先進的な演出などの専門的なことはよくわかりません。
でも、この日は本当に堪能しました。
そして、ミーメは本当に良かったですね。

投稿: 稲毛海岸 | 2009年4月11日 (土) 21時09分

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受信: 2009年3月23日 (月) 23時25分

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