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2009年4月 7日 (火)

下野竜也/読響(2009/4/7)

2009年4月7日(火)19:00
サントリーホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団
(第481回定期演奏会)
男声合唱:東京混声合唱団

芥川也寸志:エローラ交響曲
藤倉大:アトム
【読売日響委嘱作品・世界初演】
黛敏郎:涅槃交響曲

日本人作曲家の演奏会というとマニアックな印象があります。
近年は尾高賞受賞作品ですらN響の定期公演ではなく、別の演奏会で演奏されます。
しかし、この日の読響定期は、決して特殊な演奏会ではなく、まぎれもなくクラシック音楽の、オーケストラの演奏会でした。

一曲目のエローラ交響曲は「下野さんと読響にしては少し音が荒いかなぁ?」と感じながら聴きましたが、解釈なのか、オーケストレーションなのか、演奏の出来なのかはわかりません。
ただ、二曲目のアトムになると、オケの音が磨かれ、響きがきれいになったような気がします。

藤倉さんの作品は初演ですから、聴き手の私の理解は作曲者の意図のごく一部分でしかないとは思いますが、プログラムの冊子に載っていた作曲者自身による解説の「音の粒が大きくなったり小さくなったり」というイメージを、フルオーケストラのサウンドで体感することができ、「音を楽しむ」ことができました。
同時代音楽を楽しみことができたのは、作品の魅力に加えて、下野さんの、動作が音を表しているような指揮の力量によるところも大きいと思いました。

そして、この日の白眉は涅槃交響曲。
この曲は私は結構興味を持っていて、FM放送やCDで聴いたことはあります。
でも、奏者の配置を見て驚きました。
座席表で言うと、2階席のLD1列とRD1列の前の通路に、それぞれ奏者が10人近く座ったのです。
LD側は金管、RD側は木管がメインでしたが、弦楽器や打楽器もいました。
今はやりのサラウンド効果と言ってしまえばその通りですが、この曲の初演は1958年とのこと。
当時はかなり先進的だったのでしょう。
曲の冒頭から、舞台上と2階席後方とで音が行き来し、交錯し、ホールの“空間”を感じさせるサウンドが静かに、そして厳かに響きます。
合唱(読経)が出てくると、その厳かな印象はさらに強まります。
しかし、繰り返し、繰り返し、読経が繰り返され、高揚感が空間を支配し、たたみかけるような迫力。
最後の合唱は、まさに、プログラム冊子の解説に記載されていた「一切の苦から解き放たれた涅槃の境地」。
個人的な事情ですが、私はこの日も疲れ気味でした。
しかし、音楽の力によって「涅槃の境地」に導かれ、終演後は元気になって家路につきました。
素晴らしい曲であり、素晴らしい演奏でした。

演奏終了後は、下野さんが手を下ろすのを待って盛大な拍手とブラボー。
マーラーの交響曲の後のような会場の盛り上がりでした。

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