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2009年5月 2日 (土)

スダーン/東響(2009/5/2)

2009年 5月2日(土)18:00
東京オペラシティ・コンサートホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団
(東京オペラシティシリーズ第49回)
ヴァイオリン:高木和弘
チェロ:西谷牧人
オーボエ:池田肇
ファゴット:大埜展男

ハイドン:交響曲第94番「驚愕」
ハイドン:協奏交響曲
(シンフォニア・コンチェルタンテ)
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」

前日の夜の新国立劇場のピットに入っていた東京交響楽団ですが、この日は隣のオペラシティのステージ上。
ただし、首席奏者などはそれぞれに分かれて“分担”している人が多いようです。

この日の演奏会は、ずっと「聴きたいけどこの日は聴けない」と残念に思っていたのですが、新型インフルエンザ騒ぎで旅行を取りやめたために聴くことが出来ました。
カーネギーホールやメトロポリタンオペラでの鑑賞が出来なかったのは残念ですが、この演奏を聴けたのは怪我の功名というか塞翁が馬というか…。

2007年度の東響の定期演奏会はハイドン・ツィクルスでしたが、私にとっては多少不満の残るものでした。
スダーンさんの指揮したのは一部を除き、初期の曲ばかり。
後期の曲は確か一曲も指揮しなかったと思います。
最後に指揮した第82番「熊」が目の覚めるような素晴らしい演奏だったので、ますます後期の曲をスダーンさんの指揮で聴きたくなりました。
この日は、ようやくその思いがかなえられたわけです。

結論から言うと、2007年度のツィクルスは、この日の素晴らしい出来に遠く及ばなかったような気がします。
もし、あのとき、2008年度のシューベルト・ツィクルスのように、スダーンさんがザロモンセットを集中的に取り上げていたら…と思うと残念です。
しかし、過去を振り返るよりも、この日の演奏会が、この日の曲目で開催されたことを、大いに喜ぶべきでしょう。

一曲目の「驚愕」が始まった瞬間、ピリオド系の明るく鋭い音がホールに満ちて、幸せな気分になりました。
スダーンさんは、速いテンポの途中でちょっとブレーキを踏んでためをつくり、思いっきり拳を突き出してアクセントを加え、ものすごく力んで音をえぐる。
指揮者の力みが空回りすることなく、全てオーケストラから音となって出てくる快感。
このコンビの相性が、いま本当に素晴らしい状態にあることは、日頃の演奏会でわかっていますが、古典派の曲でこんな演奏を聴かされては、ただただ唖然とするばかりです。

第2楽章の「びっくり」の部分の直前では、なんと旋律がコンマスの高木さんのソロになり、高木さんは立ち上がって客席の方を向いて弾きました。
管楽器奏者から高木さんの方に向かって『Solo』、『Tutti』(総奏のこと)、『?』などと書かれた紙が高々と掲げられ、笑ってしまいました。
そういうわけで、本来の「びっくり」の一撃の部分は、そちらに気をとられてあまりびっくりしませんでしたが、その前に本当にびっくりしてしまいました。
高木さんのソロが出てくる箇所は、その後の楽章でも随所に現われました。

第2楽章、第3楽章と、緩急を織り交ぜながら全く飽きさせずに曲は進み、第4楽章は駆け抜けるようなスピード。
これを一糸乱れず弾ききった東響のメンバーはすごい。
専門的なことはわかりませんが、小編成のハイドンでこういう演奏をするのは、かなり難しいのではないでしょうか?
それを「難しそう」と感じさせずに名妓を披露するのは、やはりプロ中のプロと思います。

休憩後の「ロンドン」も、同様のスタイルの演奏でしたが、アクセントはさらに強くなり、爆演にならないギリギリの熱演。
めまぐるしいスピード感は、ストラヴィンスキーやプロコフィエフの並みにエキサイティング。
爽快感が駆け抜けていった演奏でした。
ぜひ、ぜひ、続編としてザロモンセットの別の曲の演奏会も開催してほしいものです。

協奏交響曲は、交響曲に比べると少し優雅な演奏。
オケと高木さんはノン・ヴィブラートのようだったのに対して、チェロの西谷さんは大きくヴィブラートをかけていたように見えましたが、何か意図があったのでしょうか?
4人のソリストとも好演でしたが、ここでは、高木さんのヴァイオリン・ソロが特に存在感を示しました。

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