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2009年6月の4件の記事

2009年6月20日 (土)

ラザレフ/日フィル(2009/6/20)

2009年6月20日(土)14:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第611回定期演奏会)
ヴァイオリン:ニコラ・ベネデッティ(未聴)

<プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクトvol.2>
チャイコフスキー:組曲第4番「モーツァルティアーナ」(未聴)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番(未聴)
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番から第2楽章
    (アンコール)(未聴)
プロコフィエフ:交響曲第2番
プロコフィエフ:交響組曲「3つのオレンジへの恋」より
         マーチ
(アンコール)

会場に到着したのはちょうど休憩時間に入ったとき。
知人に会って「いま来たところです。」と言ったら、「前半、面白かったですよ~。」とのこと。
ちょっと悔しいですが、後半だけでも聴けて良かった演奏会でした。

プロコフィエフの交響曲第2番は、私はCDで数回聴いただけですので、あまり詳しいことはわかりませんが、この日の演奏のただならぬ気迫に圧倒されました。
ラザレフさんの力強い指揮姿は、全く迷いのない確信に満ちたもの。
この比較的珍しい部類の曲を、まるで有名な名曲を指揮するかのように完全に手の内に入った指揮ぶりでした。
ぐいぐいとオケを引っ張る指揮は、動く、動く、動く…。
その指揮に応えて壮大な音のドラマを披露した日フィルのメンバー。
どちらかというと荒々しい音ですが、この曲にはそういうサウンドの方がふさわしい。
下品とか粗野には感じませんでした。
「珍しい曲を、とりあえず音にしてみました」というようなレベルの演奏をラザレフさんが許すはずもなく、相当入念なリハーサルが行われたのではないかと想像しました。
大音量や激しい部分に比較すると、静かな部分がやや流すような印象も散見されましたが、全般的には大満足の演奏でした。

交響曲の後にアンコールとして演奏された「3つのオレンジへの恋」もテンションの高い演奏ですばらしい。
こちらの方が、交響曲より響きが洗練されていたように思います。
ラザレフさんは、最後の一音の指揮は、完全に客席の方を向いて振り下ろし、「ほら、終わったよ、凄いでしょ」というようなジェスチャー。
いつものことのようですし、賛否両論があるようですが、ファンサービスとしては私は好感です。

終演後の拍手の中、退職される方でしょうか、楽員さんに花束が渡され、ラザレフさんが指揮台のところにまで引っ張り出すという場面もありました。
ホームページやプログラム冊子では見つけられなかったので詳しい事情は存じ上げませんが、ほほえましい一幕でした。

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2009年6月15日 (月)

秋山和慶/読響(2009/6/15)

2009年6月15日(月)19:00
サントリーホール

指揮:秋山和慶
読売日本交響楽団
(第483回定期演奏会)
ピアノ:三浦友理枝

《R.シュトラウス没後60年》
R.シュトラウス:組曲「町人貴族」
R.シュトラウス:家庭交響曲

なんと優美なシュトラウス!
以前は、比較的カチッとした音を作っていた秋山さんですが、最近はまろやかな音を聴かせることが多くなったような気がします。
そんな最近の秋山さんが振るリヒャルト・シュトラウスは、まさに20世紀初頭のウィーン風の香り。
極上の手触りの布をなでているような快感に浸ることが出来ました。

「町人貴族」は小編成の曲。
「ナクソス島のアリアドネ」と似た響きの曲だな~と思っていましたが、プログラムの冊子を見ると、失敗に終わった作品を改作し、「ナクソス島のアリアドネ」と「町人貴族」という2つの作品を作ったそうです。
弦楽器奏者の数は少なく、しかし管楽器奏者の数は結構普通に居て、ピアノも加わるという編成は、室内楽的でありながらシンフォニックでもあるという不思議な音響。
随所で繰り広げられる弦楽器奏者のソロ。
もちろん管楽器奏者のソロも盛りだくさん。
下手なアンサンブルだったら、バラバラの印象を与えかねない難しさがあるのではないかと思いますが、さすがは絶妙の棒さばきの秋山さんに名手揃いの読響メンバー。
聴いていて惚れ惚れするような絶妙のソロを披露しながら、伸びのある統一感のとれたサウンドを聴かせてくれました。
ピアノの三浦友理枝さんも、ノリの良いチャーミングな演奏。
自分が弾いていないときでも体を揺らして音楽に浸っていて好印象でした。
割とマイナーな曲ですが、拍手は結構長く続き、会場のウケも上々でした。

休憩後の舞台上は、前半とは対照的に、舞台上は人、人、人…。
この大編成にもかかわらず、優美さは一切損なわれなかったのは驚嘆です。
オケが強奏していても、うるささを全く感じさせないどころか、本当に愛おしくなるような音の御馳走。
きれいに揃えて鳴らしているだけという低次元のレベルではなく、個々の奏者が自発性を持って全力で弾いているのに、まるで一人で弾いているかのような統一感。
その統一感を保ちながら、音は無限の広がりを持って拡散していくようなスケール感。
素晴らしい演奏でした。

「秋山さんが読響を振るのは珍しい」と思っていましたが、プログラムの冊子によると、なんと、1975年以来、34年ぶりとのことです。
それだけ、秋山&東響という最強のコンビの結びつきの強さを表しているのかもしれませんが、2009年に実現した読響との演奏もなかなか魅力的。
東響の艶やかな音とはちょっと違う、読響のしっとりとした音で聴く秋山さんも、また聴いてみたいものです。

ちなみに私は、1985年9月20日の東響定期(会場は東京文化会館)で、家庭交響曲を秋山さんの指揮で聴いたことがあります。
ずいぶん前の演奏会ですが、印象が強かったのか、おぼろげに覚えています。
交通整理がバッチリ決まって好演でした。
しかし、東響に限らず、当時の日本のオーケストラの多くは、現在の読響や東響とはだいぶ異なる水準でした。
24年の歳月は、日本のオケにとっても、秋山さんにとっても、無為に過ごした年月ではありません。
この日の懐の深い演奏を聴いて、本当に幸せな気分になりました。

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2009年6月14日 (日)

新国立劇場「チェネレントラ」(2009/6/14)

2009年6月14日(日)14:00
新国立劇場

ロッシーニ:チェネレントラ
20090614




愚かなことに、個人的にこの作品を過小評価していたので、あまり期待していなかったのですか、予想が完全に外れて、大満足で帰ってきました。

以前DVDでこの作品を観たときは、退屈してしまいました。
「上がったり下がったりばかり」の旋律と「早口」の頻発に、「こんな単純な手口に騙されないぞ」とすら思いました。
しかし、この日は、DVDでは鼻についたはずのこの作品の特徴が、生き生きとした生命感を伴って、なんとも魅力的に私の感情に迫ってきました。
終幕では、「ありきたりのハッピーエンド」と馬鹿にしていたはずなのに、じ~んときてしまいました。
「単なる娯楽作品」という思い込みの印象は、「極上の娯楽」に変わりました。

この作品をこれだけ魅力的に提示してくれた功労者は、歌手の皆さんでしょう。
この日の売りがアンジェリーナ(チェネレントラ)役のカサロヴァさんであることは間違いありませんが、ラミーロ(王子)役のシラグーザさんも凄い。
テクニック的に全く危なげのない歌唱で、伸びのある高音を駆使して会場を圧倒。。
第2幕ではアンコールまで歌いました。

さらには、二人の姉を演じた幸田浩子さんと清水華澄さんのコミカルな演技と歌唱もすばらしい。
日本人だけの上演なら、主役級の役を歌うはずの人ですから当然かもしれませんが、動作も含めて、かなりの存在感を示していました。
(この二人に比べて、他の歌手の演技は控え目な印象もありました。)

この日のカサロヴァさんが絶好調だったのかどうかは、私にはわかりません。
(私がカサロヴァさんを生で聴いたのは2007年のチューリッヒ歌劇場来日公演だけです。)
突出した存在感はさすがです。
ただ、贅沢かもしれませんが、貫禄があり過ぎのような気がしないわけでもなく、もう少し清楚な雰囲気も欲しい気もしてしまいました。

オケはなかなか良かったと思います。
冒頭の序曲では木管や金管の音に雰囲気が乏しく、どうなることかと思いましたが、弦が前面に出てくると好転しました。
オペラ本編に入ると、一部の管楽器のソロを除いて、なかなか良いノリでした。
サイラスさんの指揮姿は私の座った4階席からは見えませんでしたが、おそらくこのノリはサイラスさんが導いたものでしょう。

カーテンコールでのブラボーの嵐は、カサロヴァさんとラミーロ(王子)役のシラグーザさんに集中しましたが、指揮のサイラスさん、二人の姉を演じた幸田浩子さんと清水華澄さんも、私はかなり良かったと思いました。

【指揮】デイヴィッド・サイラス
【演出・美術・衣裳】ジャン=ピエール・ポネル
【再演演出】グリシャ・アサガロフ
【演技指導】グリシャ・アサガロフ/グレゴリー・A.フォートナー

【芸術監督】若杉弘

キャスト
【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ
【ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック
【クロリンダ】幸田浩子
【ティーズベ】清水華澄

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2009年6月13日 (土)

レック/東響(2009/6/13)

2009年6月13日(土)18:00
サントリーホール

指揮:シュテファン・アントン・レック
東京交響楽団
(第568回定期演奏会)
チェロ:ダニエル・ミュラー=ショット

シューマン:チェロ協奏曲
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
(アンコール)
ブロッホ:祈り(アンコール)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
20090613

今季の東京交響楽団の定期演奏会はシューマンが集中的に取り上げられます。
5月の定期演奏会で演奏されたマーラー版の交響曲第1番に続いて取り上げられたチェロ協奏曲は、「まさか、これもマーラー版では?」と錯覚するほど、すっきりと良く響きました。
野暮ったいところなど皆無の、スタイリッシュなシューマン。
それは、オーケストラの音だけでなく、独奏チェロの音にも言えました。
少し先を急ぎ過ぎなように感じるところもなかったわけではありませんが、テクニックに裏打ちされた明快なサウンドをホールの空間に響き渡らせて、シンフォニックなシューマンに仕上がっていました。
こういうスタイルには人によって好き嫌いが出そうですが、私は聴いていて爽快感を感じ、「こういうシューマンは、また聴いてみたい」と肯定的に受け止めました。
会場も大いに沸いていて、アンコールが2曲演奏されました。

さて、無理矢理こじつけたわけではありませんが、5月のマーラー版のシューマンの交響曲、この日の前半の「まるでマーラー版」と感じられるようなシューマンのチェロ協奏曲の後は、本物のマーラーの交響曲。
東響の音は、ふだんは暖色系の色彩のような暖かい音に感じられることが多いのですが、この日は寒色系の色彩のような印象。
曲が始まったときの第一印象は「客観的なアプローチの演奏かな?」と思いました。
しかし、レックさんのつくる音楽は、かなり曲にのめり込んだ、熱狂的(場所によっては感傷的)なもの。
縦の線を合わせることよりも、流れ、勢いの方を感じさせる演奏でした。
大音量における畳みかけるような迫力は、指揮者の半狂乱の一歩手前のような動作から導かれたものだと思います。
また、指揮棒を置いて演奏された第3楽章の比類のない美しさは、「永遠に続いてほしい」と思えるような陶酔で、「次回は9番を聴いてみたい」と感じました。
全曲が終わっても指揮者はすぐには手を下ろさず、静寂が10秒か15秒くらい。
フライングの拍手もなく、指揮者が手を下ろすのを待って会場から大拍手と盛大なブラボーの声。
今月も、東響定期は素晴らしい演奏会でした。

レックさんの前回の東響への客演のときは、私はチケットを知人に譲って、別の演奏会に行ってしまいました。
再度招聘されたということは、そのときの結果が良かったのでしょう。
この日の演奏を聴いて、前回もパスせずに聴けば良かった…と後悔しました。
ぜひまた、招聘してほしい指揮者です。
そして、できれば、次回の曲目は、マーラーの9番を!

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