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2009年8月の4件の記事

2009年8月22日 (土)

ブラジル風バッハ全曲演奏会(2009/8/22)

2009年8月22日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:ロベルト・ミンチュク
東京フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:中嶋彰子
フルート:斉藤和志
ファゴット:黒木綾子
ピアノ:白石光隆
合唱:新国立劇場合唱団
合唱指揮:三澤洋史
司会:加藤昌則

ヴィラ=ロボス没後50年記念
ブラジル風バッハ全曲演奏会

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ
第6番(1938)~フルートとファゴットのための
第9番(1945)~無伴奏合唱のための
第4番(1930-1941)~ピアノのための
第1番(1932)~8本のチェロのための
第5番(1938)~ソプラノと8本のチェロのための

ロビーコンサート
ヴィラ=ロボス:ブラジル民謡組曲
ギター:益田正洋

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ
第3番(1934)~ピアノとオーケストラのための
第8番(1944)~オーケストラのための
第2番(1933)~オーケストラのための
第7番(1942)~オーケストラのための

休憩3回をはさんで5時間という長い演奏会。
14:00開演で、終演は19:00近くでした。
これだけ一気に聴いても、次から次へと出てくるヴィラ=ロボス・サウンドは多彩。
演奏の合間に興味深いトークがあったこともありますが、飽きるどころか、最後まで楽しんで聴き入ってしまいました。

しかし、全曲を聴いたことで、ヴィラ=ロボスの音楽の確固たるイメージが私の頭の中にできあがったかというと、そういうわけではありません。
むしろ、ますます捉えどころが無くなって、ヴィラ=ロボスの作風のイメージが拡散してしまった感じがします。
つまり、それだけ作風が多彩と言うことなのでしょう。

コンサートの初めは、フルートとファゴットの二重奏。
この二つの対照的なサウンドの楽器の組み合わせは、結構良いものだと思いました。

2曲目の第9番は言葉のないコーラスだけの曲。
この曲は弦楽合奏でも演奏され、私の持っているCDはその弦楽合奏版だったのですが、それを人間の声を楽器とした演奏で聴くと、ずいぶん趣が異なります。
「スウィングル・シンガーズの登場よりもずいぶん昔に、ヴィラ=ロボスがこういうアイデアを出していた」という話しがトークの中にありましたが、まさにそういうサウンドです。
前半では、ミンチュクさんは唯一、この曲のコーラスの指揮をされました。

3曲目の第4番はピアノ独奏。
まるでオーケストラを聴いているような豪快なサウンドがピアノから響き渡りました。

8本のチェロで演奏される第1番と第5番は、チェロがこれだけ様々な音色を出せるということを再認識されましたし、第5番のソプラノ独唱の中嶋彰子さんは、目の覚めるような張りのある声で会場を圧倒しました。

ここまでの前半だけでも、楽器編成の多彩さに加えて曲調の多彩さが強く印象に残りました。

ロビーコンサートは、ギター独奏。
私は2階ロビーから見下ろして鑑賞を試みましたが、さすがにギターの音量では無理があったようです。
休憩時間のロビーの喧噪の中では、かすかに音が聴き取れるだけでした。
もっとも、1階ロビーまで行っても、かなりの人垣が出来ていましたので、十分な音量で鑑賞できたかどうかはわかりません。

後半の4曲はオーケストラが舞台上に登場。
これも一筋縄ではいきません。
ファリャの曲のようなサウンドに聞こえる瞬間があるかと思うと、ルロイ・アンダソンの曲のように聞こえる部分もあり、そうかと思うと、ストコフスキー編曲のバッハの曲のように聞こえるところも出て来ます。
ただ、どの曲も、ブラジルに照りつける明るい太陽と広大な大地を連想させるように聞こえるのは、先入観がありすぎでしょうか。
最後の7番は、プログラムの冊子に「ブラジルのマーラーとも呼びたくなる」と書かれていましたが、マーラーかどうかは別として、他の3曲とは少し趣が異なり、洗練された響きを感じました。
東京フィルの演奏水準は、定期演奏会並みのレベルまでは行かなかったかもしれませんが、高いテンションで情熱を持ってこれらの曲を演奏していたと思います。

ヴィラ=ロボスの多彩な音楽が繰り広げられた、なんとも楽しいコンサートでした。

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2009年8月16日 (日)

秋山和慶/東響(2009/8/16)

2009年8月16日(日)15:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団

(フェスタサマーミューザKAWASAKI 2009
フィナーレコンサート)

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲作品72-2
(アンコール)
20090816








東京交響楽団は、なんと前日まで3夜連続で飯森範親さんとベートーヴェンの交響曲全曲を演奏していました。
バテているのではないかとちょっと心配していましたが、その心配は無用でした。
(まあ、新国立劇場でピットに入っている期間中に定期演奏会をやったりするオケですからね。)

11:00からの公開リハーサルを聴いた知人の話では、2時間近くかけてほぼ全曲を通したとのこと。
リハーサルの時間がそれ以外にあったのかどうかは部外者にはわかりませんが、さすがはプロです。

「未完成」は、背筋がゾクゾクするような低音の静寂と、大音量になったときの伸びのある音の対比が効果的。
先を急がずに、あちこちの旋律に目配りをしながら、着実に歩みを進めた感があり、ハッとするような魅力的な箇所が満載でした。

「運命」は、あまり重々しい音にならずに、柔らかい音とスケール感のある音が迫ってきます。
たたみかけるようなリズムも決して下品にならずに着々と構築されました。

「新世界より」は、全般的には都会的なスタイリッシュな演奏。
シンフォニックな響きが爽快です。
しかし、土俗的な部分は、しっとりと歌って対照的。
まるでニューヨークの大都会の雰囲気と、地方の民族的な雰囲気が交錯しているような感覚でしたが、この曲自体が元々そういう側面を持っており、それを見事に描き出したと言うべきでしょう。

アンコールのスラヴ舞曲はスタイリッシュな側面はあまりなくて、しっとりと歌う柔らかい響きが印象的でした。

この日も、近年の秋山さんの円熟した棒さばきで、懐の深さを満喫しました。

「未完成」、「運命」、「新世界より」というと、ついつい通俗名曲の軽いノリを予想してしまいがちですが、この日は3曲とも、定期演奏会の一角に持ってきても恥ずかしくない演奏だったと思いました。

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2009年8月 9日 (日)

千葉ギターアンサンブル(2009/8/9)

2009年8年9日(日)14:00
美浜文化ホール(メインホール)

千葉ギターアンサンブル

http://chiba-guitar.com/index.html


第8回しお風コンサート
~アルゼンチン・タンゴで過ごす夏の午後~

普段こういうコンサートは行かないのですが、知人に誘われて「たまにはこういうのもいいかも」と思い、一緒に出かけました。
無料のコンサートですが、入り口で簡単な印刷物のプログラムが配付されていました。
このホールは354席。
客席はかなり埋まっていました。

演目はギターに編曲された曲の数々で、アルゼンチン・タンゴがメインです。
ふだんあまり聴かない曲目なのでよくわかりませんが、心地良いギター独特の音色にリラックスして聴き入りました。
タンゴと言うと、もう少し情熱的なイメージがあったのですが、ギターの合奏で聴くと、音量の起伏が大きくないせいか、落ち着いた印象の曲に感じます。

11人の合奏という編成は、指揮者なしで演奏するにはちょっと微妙な規模かもしれません。
演目の中には、独奏、二重奏、三重奏で演奏されたものもありましたが、むしろ、そちらの方が、音楽の骨格とリズムがはっきりして心地良く感じられたものが多かったような気がしました。
タンゴはよくわかりませんが、私が比較的よく知っているクラシック音楽からの編曲もので言えば、9人の編成で演奏された「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」よりも、三重奏でえんそうされた「スラブ舞曲」の方が自然な感じでした。
もっとも、11人の合奏の曲の中にも、ステレオ効果が効果的に迫ってきた曲もありましたので、一概には言えません。

曲の合間のトークはユーモアのセンスがあって面白く、15分の休憩をはさんで2時間近くを飽きることなく楽しませていただきました。

ふだん、オーケストラばかり聴いている私ですが、
(ピアノリサイタルも、室内楽のコンサートも、最近は行っていません)
たまには違うジャンルの音楽を聴くのも良いものだと感じました。

演奏曲目:
メルセデス・シモーネ:カンタンド《歌いながら》
アウグスト・ベルト:ラ・パジャンカ
グラシア・デレオーネ:ウン・ラメント《哀歌》
マリアノ・モーレス:灰色の昼さがり
エンリケ・S・ディセポロ:エスペラール《希望》
ハンス・O・ブルグマン:夜のタンゴ
ルロイ・アンダーソン:ブルー・タンゴ
スタンリー・マイヤース:カバティーナ
ロシア民謡:二つのギター
木村弓:いつも何度でも
桑田佳祐:TSUMNAMI
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク第4楽章
セバスチャン・イラディエル:ラ・パロマ
フランク:レントとアンダンティーノ
ドヴォルザーク:スラブ舞曲

俵はごろごろ
コキリコ
ふるさと
ヘラルド・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
カルロス・ガンデル:トモ・イ・オブリゴ《交わす盃》
フランシスコ・カナロ:ラ・ウルティマ・コーパ《最後の盃》
ホセ・ポール:カスカベリート《小さな鈴》
マリアノ・モーレス:ウノ《人は…》
オスバルド・プグリエーセ:レクエルド《想い出》
アンヘル・ヴィジョルド:エル・チョクロ《とうもろこし》
アンコール一曲

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2009年8月 8日 (土)

秋山和慶/東響(2009/8/8)

2009年8月8日(土)18:00
東京芸術劇場大ホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団
(特別演奏会)
ソプラノ:幸田浩子 *

シュトラウス一家の音楽会

ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より
              “侯爵さま”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:チックタックポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と電光」
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より
              “田舎娘の姿で”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:アンネン・ポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:皇帝円舞曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「ジプシー男爵」行進曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「ウィーン気質」より
              “ウィーン気質”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:シャンペン・ポルカ
ヨゼフ・シュトラウス:鍛冶屋のポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」
*
エドアルト・シュトラウス:ポルカ「テープは切られた」
ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨハン・シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲
ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「とんぼ」
(アンコール)
ヨハン・シュトラウスⅡ:トリッチ・トラッチ・ポルカ(アンコール)
20090808

「秋山和慶さんがウィンナ・ワルツの類を振るとどうなるか?」
という興味が第一でした。
最近の円熟ぶりから予想はできましたが、すっかり様になっていました。
しっとりと歌うところは歌い、間を取るところは絶妙の間を取り…。
「シュトラウス一家の音楽はウィーンの団体でないと…」という時代はすでに終わっているようです。
確かに秋山さんらしく、金管が前面に出てくる場面では結構シンフォニックな響きになっていました。
しかし、それは格調の高さにつながります。
プログラムの終盤、「美しく青きドナウ」以降は、崇高な雰囲気さえ感じられました。
極上の娯楽を、極上の芸術に昇華させたようなシュトラウスの音楽でした。

しかし、そうは言っても、真面目一点張りの演奏会ではありませんでした。
「雷鳴と電光」では傘をさした団員が随所で踊りました。
コンマスの高木さんまで参加しました。
シャンペン・ポルカでは、シャンペンのグラスを掲げた人が、1階席後方から登場。
曲の最後では舞台上で秋山さん高木さんとともに乾杯!
客席の数人に小瓶をプレゼントしていました。
トリッチ・トラッチ・ポルカでは、曲の合間でチェロが楽器をくるりと一回転させたりして唖然。
エンターテインメントとしても、思わずニヤリとする趣向がありました。

「美しく青きドナウ」、ラデツキー行進曲と演奏されたのでアンコールはないかと思ったら、舞台上でサイン入り色紙プレゼント(5名)の抽選会の後、2曲のアンコール。
しかし、聴いてみると、ラデツキー行進曲の後のアンコールであっても。選曲に違和感はありませんでした。

アンコールの「とんぼ」の中間部で、秋山さんが指揮の動作をやめて舞台から降り、オケの演奏を見守る光景がありました。
その間、オケは一糸乱れず演奏を続けたわけですが、秋山さんが指揮台に居ない間、微妙に音色が変わったような気がしたのは気のせいでしょうか?
素人の私にはよくわかりませんが、指揮者というのは、ただ立っているだけでも楽員にオーラを与えているとか。
秋山さんが指揮台から降りたことで音色が変わったとしても不思議ではないかもしれません。

なお、この日のもう一人の主役の幸田浩子さんの存在感も格別でした。
客席に語りかけるような仕草や表情。
いかにお客さんを楽しませるかという姿勢がこれだけストレートに出てくる歌手はあまりいないのではないでしょうか。
6月14日の新国立劇場での「チェネレントラ」でも、コミカルな演技が強烈な印象を残しましたが、この日のコンサートスタイルでの歌唱でも、すっかり魅了されてしまいました。
ころころと転がるようでありながら、決してかん高くない、心地の良い、非常に美しい声でした。
最近はほとんどサインをもらう行動はしない私ですが、思わずミーハー気分丸出しで、ロビーでCDを買ってサイン会に並んでしまいました。
200908082

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