コンサート/オペラ2009

2009年9月 5日 (土)

インキネン/日フィル(2009/9/5)

2009年9月5日(土)14:00
サントリーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
日本フィルハーモニー交響楽団
(第613回定期演奏会)
ヴァイオリン:樫本大進

ショスタコーヴィチ:祝典序曲
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

オーケストラ全体が溶け合った豊かなサウンドがホールに響き渡りました。
上質の布の手触りのような優しい音。
決して粗野にならない上品で洗練された音。
でも、弱腰ではなく、意志の強さも感じられるテンションの高い音です。

一曲目の祝典序曲の演奏が始まった瞬間に、この音の魅力に釘付けになりました。
日フィルの管楽器の技術が完璧とは言えなかったような気もしますが、インキネンさんの棒から導かれたこのサウンドとハーモニーは、極上でした。
金管のアクセントも、オーケストラ全体での一撃も、弾力性のある音でした。

続くヴァイオリン協奏曲では、樫本さんの伸びやかなソロの音がインキネンさんの振るオケの音と見事にマッチング。
爆演や熱演というよりは洗練された演奏の印象でしたが、艶やかなヴァイオリンの音が屈指のテクニックに支えられて自在に歌いました。
ベルリン・フィルのコンサートマスター就任はめでたいことですが、ソリストとしての活動が減ることはちょっと複雑な気もします。
オーケストラも手を抜かずに、伴奏ではなく協奏。
しっとりと歌ったかと思うと、うねるような響きを奏で、インキネンさんの指揮でシベリウスの交響曲を聴いてみたくなるような演奏でした。

交響曲はやはり洗練された印象。
野蛮な咆哮はいっさいなく、大音量であっても上品さを失いません。
特に第3楽章の静かな部分の雰囲気は息をのむような美しさ。
フランス音楽のようなと言ったら言い過ぎかもしれませんが、エレガントなショスタコーヴィチでした。
しかし、迫力不足の印象はなく、鳴らすところは透明感のある伸びやかなサウンドがホールに響き渡り、爽快でした。

日フィルからこういうハーモニーを引き出したインキネンさん。
前評判通り、ただ者ではないようです。

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2009年8月22日 (土)

ブラジル風バッハ全曲演奏会(2009/8/22)

2009年8月22日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:ロベルト・ミンチュク
東京フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:中嶋彰子
フルート:斉藤和志
ファゴット:黒木綾子
ピアノ:白石光隆
合唱:新国立劇場合唱団
合唱指揮:三澤洋史
司会:加藤昌則

ヴィラ=ロボス没後50年記念
ブラジル風バッハ全曲演奏会

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ
第6番(1938)~フルートとファゴットのための
第9番(1945)~無伴奏合唱のための
第4番(1930-1941)~ピアノのための
第1番(1932)~8本のチェロのための
第5番(1938)~ソプラノと8本のチェロのための

ロビーコンサート
ヴィラ=ロボス:ブラジル民謡組曲
ギター:益田正洋

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ
第3番(1934)~ピアノとオーケストラのための
第8番(1944)~オーケストラのための
第2番(1933)~オーケストラのための
第7番(1942)~オーケストラのための

休憩3回をはさんで5時間という長い演奏会。
14:00開演で、終演は19:00近くでした。
これだけ一気に聴いても、次から次へと出てくるヴィラ=ロボス・サウンドは多彩。
演奏の合間に興味深いトークがあったこともありますが、飽きるどころか、最後まで楽しんで聴き入ってしまいました。

しかし、全曲を聴いたことで、ヴィラ=ロボスの音楽の確固たるイメージが私の頭の中にできあがったかというと、そういうわけではありません。
むしろ、ますます捉えどころが無くなって、ヴィラ=ロボスの作風のイメージが拡散してしまった感じがします。
つまり、それだけ作風が多彩と言うことなのでしょう。

コンサートの初めは、フルートとファゴットの二重奏。
この二つの対照的なサウンドの楽器の組み合わせは、結構良いものだと思いました。

2曲目の第9番は言葉のないコーラスだけの曲。
この曲は弦楽合奏でも演奏され、私の持っているCDはその弦楽合奏版だったのですが、それを人間の声を楽器とした演奏で聴くと、ずいぶん趣が異なります。
「スウィングル・シンガーズの登場よりもずいぶん昔に、ヴィラ=ロボスがこういうアイデアを出していた」という話しがトークの中にありましたが、まさにそういうサウンドです。
前半では、ミンチュクさんは唯一、この曲のコーラスの指揮をされました。

3曲目の第4番はピアノ独奏。
まるでオーケストラを聴いているような豪快なサウンドがピアノから響き渡りました。

8本のチェロで演奏される第1番と第5番は、チェロがこれだけ様々な音色を出せるということを再認識されましたし、第5番のソプラノ独唱の中嶋彰子さんは、目の覚めるような張りのある声で会場を圧倒しました。

ここまでの前半だけでも、楽器編成の多彩さに加えて曲調の多彩さが強く印象に残りました。

ロビーコンサートは、ギター独奏。
私は2階ロビーから見下ろして鑑賞を試みましたが、さすがにギターの音量では無理があったようです。
休憩時間のロビーの喧噪の中では、かすかに音が聴き取れるだけでした。
もっとも、1階ロビーまで行っても、かなりの人垣が出来ていましたので、十分な音量で鑑賞できたかどうかはわかりません。

後半の4曲はオーケストラが舞台上に登場。
これも一筋縄ではいきません。
ファリャの曲のようなサウンドに聞こえる瞬間があるかと思うと、ルロイ・アンダソンの曲のように聞こえる部分もあり、そうかと思うと、ストコフスキー編曲のバッハの曲のように聞こえるところも出て来ます。
ただ、どの曲も、ブラジルに照りつける明るい太陽と広大な大地を連想させるように聞こえるのは、先入観がありすぎでしょうか。
最後の7番は、プログラムの冊子に「ブラジルのマーラーとも呼びたくなる」と書かれていましたが、マーラーかどうかは別として、他の3曲とは少し趣が異なり、洗練された響きを感じました。
東京フィルの演奏水準は、定期演奏会並みのレベルまでは行かなかったかもしれませんが、高いテンションで情熱を持ってこれらの曲を演奏していたと思います。

ヴィラ=ロボスの多彩な音楽が繰り広げられた、なんとも楽しいコンサートでした。

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2009年8月16日 (日)

秋山和慶/東響(2009/8/16)

2009年8月16日(日)15:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団

(フェスタサマーミューザKAWASAKI 2009
フィナーレコンサート)

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲作品72-2
(アンコール)
20090816








東京交響楽団は、なんと前日まで3夜連続で飯森範親さんとベートーヴェンの交響曲全曲を演奏していました。
バテているのではないかとちょっと心配していましたが、その心配は無用でした。
(まあ、新国立劇場でピットに入っている期間中に定期演奏会をやったりするオケですからね。)

11:00からの公開リハーサルを聴いた知人の話では、2時間近くかけてほぼ全曲を通したとのこと。
リハーサルの時間がそれ以外にあったのかどうかは部外者にはわかりませんが、さすがはプロです。

「未完成」は、背筋がゾクゾクするような低音の静寂と、大音量になったときの伸びのある音の対比が効果的。
先を急がずに、あちこちの旋律に目配りをしながら、着実に歩みを進めた感があり、ハッとするような魅力的な箇所が満載でした。

「運命」は、あまり重々しい音にならずに、柔らかい音とスケール感のある音が迫ってきます。
たたみかけるようなリズムも決して下品にならずに着々と構築されました。

「新世界より」は、全般的には都会的なスタイリッシュな演奏。
シンフォニックな響きが爽快です。
しかし、土俗的な部分は、しっとりと歌って対照的。
まるでニューヨークの大都会の雰囲気と、地方の民族的な雰囲気が交錯しているような感覚でしたが、この曲自体が元々そういう側面を持っており、それを見事に描き出したと言うべきでしょう。

アンコールのスラヴ舞曲はスタイリッシュな側面はあまりなくて、しっとりと歌う柔らかい響きが印象的でした。

この日も、近年の秋山さんの円熟した棒さばきで、懐の深さを満喫しました。

「未完成」、「運命」、「新世界より」というと、ついつい通俗名曲の軽いノリを予想してしまいがちですが、この日は3曲とも、定期演奏会の一角に持ってきても恥ずかしくない演奏だったと思いました。

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2009年8月 9日 (日)

千葉ギターアンサンブル(2009/8/9)

2009年8年9日(日)14:00
美浜文化ホール(メインホール)

千葉ギターアンサンブル

http://chiba-guitar.com/index.html


第8回しお風コンサート
~アルゼンチン・タンゴで過ごす夏の午後~

普段こういうコンサートは行かないのですが、知人に誘われて「たまにはこういうのもいいかも」と思い、一緒に出かけました。
無料のコンサートですが、入り口で簡単な印刷物のプログラムが配付されていました。
このホールは354席。
客席はかなり埋まっていました。

演目はギターに編曲された曲の数々で、アルゼンチン・タンゴがメインです。
ふだんあまり聴かない曲目なのでよくわかりませんが、心地良いギター独特の音色にリラックスして聴き入りました。
タンゴと言うと、もう少し情熱的なイメージがあったのですが、ギターの合奏で聴くと、音量の起伏が大きくないせいか、落ち着いた印象の曲に感じます。

11人の合奏という編成は、指揮者なしで演奏するにはちょっと微妙な規模かもしれません。
演目の中には、独奏、二重奏、三重奏で演奏されたものもありましたが、むしろ、そちらの方が、音楽の骨格とリズムがはっきりして心地良く感じられたものが多かったような気がしました。
タンゴはよくわかりませんが、私が比較的よく知っているクラシック音楽からの編曲もので言えば、9人の編成で演奏された「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」よりも、三重奏でえんそうされた「スラブ舞曲」の方が自然な感じでした。
もっとも、11人の合奏の曲の中にも、ステレオ効果が効果的に迫ってきた曲もありましたので、一概には言えません。

曲の合間のトークはユーモアのセンスがあって面白く、15分の休憩をはさんで2時間近くを飽きることなく楽しませていただきました。

ふだん、オーケストラばかり聴いている私ですが、
(ピアノリサイタルも、室内楽のコンサートも、最近は行っていません)
たまには違うジャンルの音楽を聴くのも良いものだと感じました。

演奏曲目:
メルセデス・シモーネ:カンタンド《歌いながら》
アウグスト・ベルト:ラ・パジャンカ
グラシア・デレオーネ:ウン・ラメント《哀歌》
マリアノ・モーレス:灰色の昼さがり
エンリケ・S・ディセポロ:エスペラール《希望》
ハンス・O・ブルグマン:夜のタンゴ
ルロイ・アンダーソン:ブルー・タンゴ
スタンリー・マイヤース:カバティーナ
ロシア民謡:二つのギター
木村弓:いつも何度でも
桑田佳祐:TSUMNAMI
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク第4楽章
セバスチャン・イラディエル:ラ・パロマ
フランク:レントとアンダンティーノ
ドヴォルザーク:スラブ舞曲

俵はごろごろ
コキリコ
ふるさと
ヘラルド・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
カルロス・ガンデル:トモ・イ・オブリゴ《交わす盃》
フランシスコ・カナロ:ラ・ウルティマ・コーパ《最後の盃》
ホセ・ポール:カスカベリート《小さな鈴》
マリアノ・モーレス:ウノ《人は…》
オスバルド・プグリエーセ:レクエルド《想い出》
アンヘル・ヴィジョルド:エル・チョクロ《とうもろこし》
アンコール一曲

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2009年8月 8日 (土)

秋山和慶/東響(2009/8/8)

2009年8月8日(土)18:00
東京芸術劇場大ホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団
(特別演奏会)
ソプラノ:幸田浩子 *

シュトラウス一家の音楽会

ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より
              “侯爵さま”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:チックタックポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と電光」
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より
              “田舎娘の姿で”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:アンネン・ポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:皇帝円舞曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「ジプシー男爵」行進曲
ヨハン・シュトラウスⅡ:オペレッタ「ウィーン気質」より
              “ウィーン気質”
*
ヨハン・シュトラウスⅡ:シャンペン・ポルカ
ヨゼフ・シュトラウス:鍛冶屋のポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」
*
エドアルト・シュトラウス:ポルカ「テープは切られた」
ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨハン・シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲
ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「とんぼ」
(アンコール)
ヨハン・シュトラウスⅡ:トリッチ・トラッチ・ポルカ(アンコール)
20090808

「秋山和慶さんがウィンナ・ワルツの類を振るとどうなるか?」
という興味が第一でした。
最近の円熟ぶりから予想はできましたが、すっかり様になっていました。
しっとりと歌うところは歌い、間を取るところは絶妙の間を取り…。
「シュトラウス一家の音楽はウィーンの団体でないと…」という時代はすでに終わっているようです。
確かに秋山さんらしく、金管が前面に出てくる場面では結構シンフォニックな響きになっていました。
しかし、それは格調の高さにつながります。
プログラムの終盤、「美しく青きドナウ」以降は、崇高な雰囲気さえ感じられました。
極上の娯楽を、極上の芸術に昇華させたようなシュトラウスの音楽でした。

しかし、そうは言っても、真面目一点張りの演奏会ではありませんでした。
「雷鳴と電光」では傘をさした団員が随所で踊りました。
コンマスの高木さんまで参加しました。
シャンペン・ポルカでは、シャンペンのグラスを掲げた人が、1階席後方から登場。
曲の最後では舞台上で秋山さん高木さんとともに乾杯!
客席の数人に小瓶をプレゼントしていました。
トリッチ・トラッチ・ポルカでは、曲の合間でチェロが楽器をくるりと一回転させたりして唖然。
エンターテインメントとしても、思わずニヤリとする趣向がありました。

「美しく青きドナウ」、ラデツキー行進曲と演奏されたのでアンコールはないかと思ったら、舞台上でサイン入り色紙プレゼント(5名)の抽選会の後、2曲のアンコール。
しかし、聴いてみると、ラデツキー行進曲の後のアンコールであっても。選曲に違和感はありませんでした。

アンコールの「とんぼ」の中間部で、秋山さんが指揮の動作をやめて舞台から降り、オケの演奏を見守る光景がありました。
その間、オケは一糸乱れず演奏を続けたわけですが、秋山さんが指揮台に居ない間、微妙に音色が変わったような気がしたのは気のせいでしょうか?
素人の私にはよくわかりませんが、指揮者というのは、ただ立っているだけでも楽員にオーラを与えているとか。
秋山さんが指揮台から降りたことで音色が変わったとしても不思議ではないかもしれません。

なお、この日のもう一人の主役の幸田浩子さんの存在感も格別でした。
客席に語りかけるような仕草や表情。
いかにお客さんを楽しませるかという姿勢がこれだけストレートに出てくる歌手はあまりいないのではないでしょうか。
6月14日の新国立劇場での「チェネレントラ」でも、コミカルな演技が強烈な印象を残しましたが、この日のコンサートスタイルでの歌唱でも、すっかり魅了されてしまいました。
ころころと転がるようでありながら、決してかん高くない、心地の良い、非常に美しい声でした。
最近はほとんどサインをもらう行動はしない私ですが、思わずミーハー気分丸出しで、ロビーでCDを買ってサイン会に並んでしまいました。
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2009年7月23日 (木)

チョン・ミョンフン/東京フィル(2009/07/23)

2009年7月23日(木)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール

指揮:チョン・ミョンフン
東京フィルハーモニー交響楽団

(第47回東京オペラシティ定期シリーズ)

ブラームス:交響曲第1番
ブラームス:交響曲第2番

確かに、素晴らしい瞬間が多々ありました。
8割から9割は、唖然とするような素晴らしい瞬間だったと思います。

伸びのある突き抜けたようなサウンド。
重厚感よりは機動性の方を重視したような推進力。
決して先を急がずに、2曲ともエネルギーを思う存分に放出して終了しました。

ただ、欲を言うならば、特に木管楽器において、細部の詰めが甘いと感じられる部分が無かったとは言えません。
何気ない単発的なソロのニュアンス。
あるいは、メロディーの冒頭の一音。
チョン・ミョンフンさんがこれだけのスケールの音楽を描き出したのですから、出来れば完璧に近い形で応えてほしかった。
冒頭に書いたように、唖然とするような素晴らしい瞬間が多々あったことを考慮すると、決してそれは、無理な注文ではないように思えます。

第1番の方は、第1、第2楽章はところどころ「おや?」と思いながら聴いていましたが、第3楽章が始まったとたん「おっ、これは!」という素晴らしさ。
第4番は、ところどころ弛緩した部分もあったような気もしますが、終結部が見事。
尻上がりに調子が良くなったのか、リハーサルの時間配分のせいなのかはわかりません。

休憩後の第2番の方は、第1楽章冒頭から包み込まれるようなスケールの大きさ。
ハーモニーも前半よりレベルアップした印象。
第2楽章は若干雑になった感もありましたが、第3楽章で柔らかい響きが戻り、第4楽章は爆演ではなく、きちんとコントロールされた熱狂でした。

私は多少冷静に拍手をしていましたが、終演後の会場は大興奮。
オケのメンバーが引き上げはじめて拍手はいったん鳴りやみかけましたが。拍手を続けている人に同調して会場は再び大きな拍手に。
かなりの時間が経過してから、チョン・ミョンフンさんはオケのメンバーの半分くらいを伴って舞台上に姿を現しました。
服は着替えた後の白いポロシャツようです。
オケのメンバーを促して全員でお辞儀をして、1階席前方の舞台下のお客さんと握手をして引き上げ、ようやく拍手はおさまりました。

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2009年7月20日 (月)

小澤征爾音楽塾「ヘンゼルとグレーテル」(2009/07/20)

2009年7月20(月・祝)15:00
神奈川県民ホール大ホール

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトX
フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」

20090720








この日は初日。
そのせいか、2年前の「カルメン」(4日目の公演)で驚嘆したオケのアンサンブルに比べると、多少荒い部分があったような気がしないでもありません。
でも、この音楽塾の趣旨からすれば、そのことに目くじらを立てるのは野暮というものでしょう。
練習と公演を通じて成長していくという“目指している姿”に従えば、おそらく後の方の公演になるほど、アンサンブルの完成度は高まっていくものと想像しました。
時間とお金があれば、初日と最終日のチケットを買って聴き比べてみたいものです。

そうは言っても、この日のオーケストラ(塾生に混じって高名な方々が何人も弾いていました)には、ため息の出るような素晴らしい瞬間が何度もありました。
最初「弱音部は今一歩かなぁ」などと思いながら聴いていたら、第2幕の幕切れの場面などはうっとりとするほどの雰囲気。
第3幕も後の方に行けば行くほど高揚感と一体感が素晴らしい。
小澤さんのビジュアルでエネルギッシュな指揮姿に、ここまで反応したオケには、九分九厘満足しました。

歌手陣は、バーバラ・ボニーのキャンセルはミーハー的には残念ですが、全員レベルが揃っていて、「あの人がが良かった、あの人が今一歩」ということが無かったのが耳に心地良い。
演出はオーソドックスなものだと思いますが、正統的な演技を手を抜くことなくこなして好感でした。

舞台装置はリアリティがありながらメルヘンチック。
照明の色彩感も嫌みのない効果で、こういう素直なオペラには合っていたと思います。

「ワーグナーの亜流?の中で唯一生き残ったオペラ」という話しを聞いたことがありますが、確かにワーグナーの明るい場面の音楽から官能的な匂いを抜き取ったような雰囲気もあります。
子供にも安心して観せることのできる「人畜無害さ」が、多少物足りなく感じなくもありません。
しかし、超一流の作品かどうかは別として、歴史の中で生き残った、少なくとも一流の作品であるということは事実のようです。

スタッフ
音楽監督・指揮:小澤征爾
演出:デイヴィッド・ニース
装置:マイケル・イヤーガン
衣裳:ピーター・J・ホール
照明:高沢立生
オリジナル・プロダクション:ザ・ダラス・オペラ

管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ
児童合唱:東京少年少女合唱隊
児童合唱指揮:長谷川久恵

出演
グレーテル:カミラ・ティリング
ヘンゼル:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
ゲルトルート(母親):ロザリンド・プロウライト
ペーター(父親):ウォルフガング・ホルツマイアー
魔女:グラハム・クラーク
眠りの精/露の精:モーリーン・マッケイ

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2009年7月12日 (日)

スダーン/東響(2009/07/12)

2009年7月12日(日)14:00
サントリーホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団
(第569回定期演奏会)
ピアノ:ホン・クヮン・チェン

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
シューマン:交響曲第3番「ライン」
(マーラー版)

やはりスダーンさんと東響のコンビは素晴らしい。

前半のブラームスは、一音一音の迫力よりも、静かな流れを重視したような演奏。
私がこの曲に抱いているイメージとは全く異なりました。
個人的には、轟音を響かせてピアノとオケが渡り合うような音響を期待していました。
(例えば、2番ではなく1番ですが、2008年9月21日のキムラ・パーカーさんとスクロヴァチェフスキさんの演奏のような。)
しかし、オケにピアノが優しく寄り添うようなスタイルのこの演奏は、この曲の別の面を見たような印象ですが、十分に魅力的でした。
まるで老大家のブルックナーの緩徐楽章みたいにも聞こえますし、矛盾するようですが、シューマンのピアノ曲のようにも聞こえました。
このピアニストでドビュッシーを聴いたら流れが素晴らしいかもしれません。
スダーンさんの指揮するオケも、柔らかめの響き。
特に弦楽器が前面に出たときの陶酔感は、包み込まれるような心地良さでした。

休憩後のシューマンは、前回の5月に聴いた1番と同様に、野暮ったい風体だった人にスタイリストがついて、洗練されたファッションに変身したかのような印象。
霞が晴れて風景がくっきり浮かび上がってきたかのような感もあります。
プログラムの冊子にワーグナーとの関連の文章が載っていましたが、言われてみればワーグナー風に聞こえなくもありません。
演奏は、奇をてらったり、物珍しさを強調するようなものでは、決してありません。
指揮者とオケの呼吸は例によってピッタリ。
拍子を取っていると言うよりは、合図を送り続けながら見守っていると言ってもよいくらいの余裕のドライヴ。
旋律のひとつひとつが、潤いと伸びやかさを伴って、生き生きとホールに響き渡りました。

素晴らしい演奏でしたが、最後の一音に重なるフライング気味の拍手は残念でした。
この日の演奏は、CD録音していたようです。
確信犯かどうかはわかりません。
しかし、フライング気味の拍手は、CDで何回も聞きたくはないものです。
演奏前に「ご協力をお願いします」というアナウンスが流れましたが、何を協力してほしかったのか、よくわかりませんでした。

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2009年7月11日 (土)

広上淳一/日フィル(2009/07/11)

2009年7月11日(土)14:00
サントリーホール

指揮:広上淳一
日本フィルハーモニー交響楽団
(第612回定期演奏会)
合唱:東京音楽大学

ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」
武満徹:樹の曲
〔日本フィル・シリーズ再演企画第3弾〕
ストラヴィンスキー:詩篇交響曲

プログラムの冊子にはハイドンの後の休憩しか記載がありませんでしたが、楽曲の編成の関係で、一曲ごとに15分の休憩が入るとのアナウンス。
ハイドンは第1ヴァイオリン12人の小編成。
武満徹は舞台上が満杯の大編成。
ストラヴィンスキーは、ヴァイオリンとヴィオラが居ない代わりにピアノが2台の4管編成にP席いっぱいの合唱。
確かに、バラエティーに富んだ選曲でした。
聴き手の私にとっても、2回の休憩時間は、集中力を維持するに好都合でした。

ハイドンは“折衷案”と言ったら言い過ぎでしょうか。
第1楽章や第4楽章などではティンパニを強打させ、ピリオド風の表現をかなり取り入れた印象でしたが、第2楽章などは中間部でのティンパニの強打を除いてずいぶん歌わせた印象。
弦楽器の奏法も、素人の私にはよくわかりませんが、目で見た限りでは、ヴィブラートをかけていた部分とかけていなかった部分があったように見えました。
2007年7月13日の定期演奏会でのハイドンとモーツァルトでは、曲によって微妙に印象が異なりましたが、今回も両方のスタイルが混ざった印象でした。
ただし、“折衷案”だからといって、決して“ちぐはぐ”ではありません。
ハイドンの音楽の魅力、広上さんの指揮の魅力は、一貫して生き生きとした生命感を伴って迫ってきました。
最近は控え目の動きが多い広上さんですが、第4楽章などは、常任だった頃の若い頃の動きが戻ったような印象でした。
ティンパニの強打で、殴りつけるようなパンチのような動作をしたのは、思わずニヤリと笑ってしまいました。

広上さんの「オックスフォード」(2000年6月25日、水戸室内管弦楽団)は以前にも聴いたことがあります。
良く覚えていませんが、以前はそんなにピリオド風ではなかったような気がします。
事実、2007年7月13日の「ロンドン」は、ピリオド風の印象はありませんでした。
もしかしたら、徐々にスタイルを変化させているのかもしれません。

私はこの日の演奏会はハイドンがお目当ての曲だったので、「ここで帰ってしまおうか」と思ったくらい嬉しい演奏でした。

武満徹の曲は1961年初演とのこと。
聴感上は、昔感じた“現代日本の音楽”そのものという印象です。(もっとも、すでに初演から48年経過しています。)
武満徹の曲をそんなに聴いているわけでも、理解しているわけでもありませんが、私は、この曲のような初期の曲の方が、とんがったところがあって好きかもしれません。
曲の印象は好印象でした。
おそらく初めて聴いた曲なので、解釈なのか、そういう曲なのかわかりませんが、金管の音色が多少荒く感じました。
そうは言っても、決して義務的な演奏ではなく、力のこもった演奏だったと思います。

ストラヴィンスキーでは、(デュトワやブーレーズのCDでこの曲を聴いているせいかもしれませんが)第2楽章での木管楽器どうしのやりとりにもう少しニュアンスがほしいと感じました。
合唱はストレートに声を出すことに注力していた感じで、もう少し大人の雰囲気を出してほしい気もしましたが、以前、年末の第九で聴いたときの東京音楽大学の合唱よりは数段上の印象でした。(年数がたっているので、メンバーは違うはずですが。)
私の個人的な集中力の方の問題かもしれませんが、ところどころ流すように感じた部分もありました。
もっとも、ネガティブなことを書いてしまいましたが、全般的には、この曲を聴く喜びを感じさせるレベルには達していたと思います。

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2009年7月 6日 (月)

カリニャーニ/読響(2009/07/06)

2009年7月6日(月)19:00
サントリーホール

指揮:パオロ・カリニャーニ
読売日本交響楽団
(第484回定期演奏会)
ピアノ:清水和音
合唱:国立音楽大学合唱団

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
(アンコール)
ホルスト:組曲「惑星」《ホルスト没後75年》

ちょっと捉えどころの難しい演奏会でした。

カリニャーニさんの客演は2年ぶり。
前回はピンチヒッターでの登板でしたが、今回は最初から年間で組まれていたプログラムです。

イタリア人とか南欧とか、先入観を持ってはいけないのでしょうが、この日の「惑星」、特に「木星」や「天王星」などは、まるでスペインの舞曲のような印象を受ける場面がしばしば。
大音量の部分は、あまりこの曲では感じないリズムやひねりが強く感じられ、4月29日に聴いた秋山和慶/東響のスタイリッシュな「惑星」とは別の曲のようです。

反面、「水星」などの静かな部分や、本来は神秘的であるはずの部分のニュアンスは、いま一歩の感がありました。
もっとも、これは、私の集中力のせいかもしれません。

演奏を通じて、楽譜の縦の線を合わせることはあまり重視していなかったように聞こえました。
2年前は、2007年7月12日17日の2回聴きましたが、あまりそういう印象は受けなかったので、今回は「あれれ?」と思いました。

「海王星」のコーラスは、舞台上手の扉を開けて歌われました。
よくやるように、最後は扉の開き方を調整して音量を絞っていっていましたが、私の席では、フェードアウトがあまりうまくいかず、プチッと音が切れてしまった印象がありました。
コーラスの音色にも、もう少し透明感がほしい気もしました。

休憩前のラヴェルも、私の集中力の欠如のせいか、捉えどころがわからないまま、あっという間に終わってしまいました。
確かに、クリアーな澄んだピアノの音の粒はきれいでしたし、アンコールも同じラヴェルの曲だったのは好感でしたが…。

“一部スペイン舞曲風”に感じた「惑星」は確かに面白かったですが、個人的には、やや不完全燃焼で家路につきました。

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