« フルシャ/都響(2010/12/20) | トップページ | 秋山和慶/東響(2010/12/29) »

2010年12月25日 (土)

新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」(2010/12/25)

2010年12月25日(土)14:00
新国立劇場オペラパレス

ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」

巷は「第九」の季節ですが、NHK-FMのバイロイト音楽祭の放送を聴きながら育った者にとって「年末にワーグナー」は、ツボにはまったようにしっくりときます。

大野和士さんの新国立劇場への出演は、1998年の「魔笛」以来とのこと。
調べてみたら、私は、1998年5月10日の公演を観に行っていました。
ホール内に響き渡る美しさ極まりのない音色は今でも記憶に残っていますが、指揮が大野さんだったことは忘れていました。
プログラムの冊子を見ると、オケは懐かしい「新星日本交響楽団」とあります。

大野さんの立場は、あの頃とは大きく変わりました。
チケットは早々に完売。
Yahoo!オークションでの競争率も、かなりのものだったようです。
当然、大きな期待を抱いて会場に足を運びました。

会場入り口には「チケットを譲って下さい」という紙を持った方が立っていたり、入場してすぐの所には、黒い蝶ネクタイ姿で、オペラ芸術監督の尾高忠明さんが、関係者?の方々と一緒に、観客を出迎えるような形で立っておられました。
欧米の有名歌劇場のプレミエのような、上流階級の社交場のような雰囲気はありませんが、やはり新制作初日の公演は胸が弾みます。

最初はオケも歌手も、ちょっと固くなっている印象もありました。
第1幕冒頭でオケがちょっと危なっかしくて「ん?評論家の先生が酷評するレパートリー公演のときの東フィルと同じ状態か?」と、一瞬心配になりました。
歌手も最初の方は手探り状態みたいな感じで「え?こんなもん?」と思いました。
しかし、オケも歌手も徐々に調子を上げ、媚薬を飲み干すあたりでは、もうフルパワー全開。
東フィルの演奏が隅々まで完璧だったとは言いませんが、「これは!」と圧倒される場面は多々あり、おそらく東フィルにとっても「特別な演奏」だったことでしょう。
そのオケの響き、いや、歌手も含めた舞台の高揚感を引き出したのが大野和士さんであることは異論がないと思います。
第3幕終盤では、トリスタン役のグールドさん、イゾルデ役のテオリンさんも、神がかったように歌い演じる場面もあり、エキサイティングな上演でした。
100%でないにしても、私は十分に満足いたしました。
D席会員割引料金でこれだけのものを観せていただいて、とても文句など言えません。

新国立劇場で同一演目複数公演を聴き比べた経験はないので断言は出来ませんが、回数を重ねた後の公演の方が、オケの音が練れてくる…というウワサも聞きますので、今後の公演は、今日の初日以上に期待できるかもしれません。

大野和士さんの姿は、私が見ることができたのは最後のカーテンコールのときだけですが、大柄の外国人歌手と並んでも、実際の身長以上に大きく見えました。

演出や舞台装置のことは、私はあまり詳しくないのでよくわからないのですが、舞台に水を張った、歩くとピチャピチャと音をたてる様子は「こういうの、ヴォツェックでもあったよなぁ」と思ってしまいました。
もちろん今回の舞台では水が主役ではなく、一要素に過ぎないかもしれません。
最初から最後まで、黒っぽい色が支配する舞台。
その中で、ひときわ目を引く、白、あるいは、赤の衣装。
セリフにも「昼の世界、夜の世界」などとありましたが、「ずっと夜ばかり」の印象。
でも、よくわかりません。
評論家の先生の文章を楽しみに待ちたいと思います。

今日の私は、多少の反省もありました。
朝の寝起きから体調が良くて「絶好の鑑賞日より」と思ったのですが、無意識のうちに会場に行く前からハイテンションになっていたようで、第1幕の途中で、ホッとしたのか、眠くなってしまったのです。
こういう経験は過去にもありました。
NHKホールでのN響定期公演で、開演前の室内楽をはりきって聴いて、本編で眠くなったこともありました。
N響のロビー室内楽は、席取りがバーゲンセール状態なので、最近は寄りつかないように注意してましたが、昨日からNHK-FMでバイロイト音楽祭の放送が始まったこともあり、油断してしまいました。

帰宅後は、本来は今日の上演の余韻に浸っていたいところですが、ティーレマンの「ワルキューレ」なので無視できず、音量を絞って流しています。
「年末にワーグナー」は、「年末に第九」と同じように、日本の風物詩。
そかし、今年の風物詩は特別でした、

スタッフ
【指揮】大野和士
【演出】デイヴィッド・マクヴィカー
【美術・衣裳】ロバート・ジョーンズ
【照明】ポール・コンスタブル
【振付】アンドリュー・ジョージ

キャスト
【トリスタン】ステファン・グールド
【マルケ王】ギド・イェンティンス
【イゾルデ】イレーネ・テオリン
【クルヴェナール】ユッカ・ラジライネン
【メロート】星野淳
【ブランゲーネ】エレナ・ツィトコーワ
【牧童】望月哲也
【舵取り】成田博之
【若い船乗りの声】吉田浩之

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

201012151

201012152

201012153

201012154

201012155

|

« フルシャ/都響(2010/12/20) | トップページ | 秋山和慶/東響(2010/12/29) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214768/50398996

この記事へのトラックバック一覧です: 新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」(2010/12/25):

« フルシャ/都響(2010/12/20) | トップページ | 秋山和慶/東響(2010/12/29) »