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2011年2月26日 (土)

二期会「サロメ」(2011/2/26)

2011年2月26日(土)14:00
東京文化会館大ホール

東京二期会オペラ劇場
R.シュトラウス:サロメ

2011都民芸術フェスティバル参加公演
オランダ/ネザーランド・オペラ及び
スウェーデン/エーテボリ・オペラとの共同制作

この公演のセールスポイントは、コンヴィチュニーさんの奇抜な演出。
事前のメディア等への露出もそれが中心。
でも最終日のこの公演を観て一番印象に残ったのは、サロメ役の大隅智佳子さんの歌唱と演技。
ちょこまかと動き回るコミカルでスピード感のあるサロメは、このハチャメチャな舞台の中で、ひときわ光っていたと思います。
コンヴィチュニーさんの演出にばかり注目が集まっていたとしても、そして現代のオペラ上演が、歌手でも指揮者でもなく、演出家を中心に回っているにしても、もし音楽がお粗末だったら、演出が過激であればあるほど聴くに耐えない舞台になるでしょう。
この日の大隅智佳子さんは、歌手として十分に、そしてこの演出の一要素としても十分に、ある意味、舞台を支配していたと思います。

あえて聴衆の嫌悪感をかきたてるようなコンヴィチュニーさんの演出は、確かに刺激的です。
性的な仕草、暴力、薬物…
舞台上の脇役までもが様々な動きを見せるので、とても字幕など読んでいる時間はありません。
この公演最終日は4日目なので、ネット上では様々な“事前情報”を読むことが出来ました。
先入観無しで観るという選択肢もありましたが、私はそういう“事前情報”は排除せず、結構読んでいました。
それでも、百聞は一見にしかず。
全く新鮮な目で舞台を見ることができ、十分にハチャメチャぶりを満喫しました。

最後の場面で「殺せ、あの女を殺せ」と客席から叫ばせる…というのも、“知識”として先に知っていましたが、まさか客席に座っていた人が日本語で(歌わずに)叫ぶとは思ってもいませんでした。

スピーディーな進行が、嫌悪感をある種の爽快感に変質させてふしぎな心理状態。
こんなに早く「あれ?もう7つのヴェールの踊り?」と感じたのは初めてかもしれません。
その7つのヴェールの踊りも、次から次へと視覚効果が続出し、目の御馳走状態。
御馳走と言っても、限りなく毒物に近い気もしますが…。

もうひとつ、音楽面で特筆すべきはピットで演奏していた都響の素晴らしさ。
これだけ舞台上の一挙手一投足に全神経を集中して見ていても、しばしば意識はオケの音に引き寄せられました。
私の席からはコンサートマスターの矢部さんくらいしか確認出来ませんでしたが、主席奏者総出演に近く、定期演奏会クラスの布陣という話しも聴きました。
都響がピットに入る機会がもっと増えれば、日本のオペラ上演は変わるかも…と思わせてくれる素晴らしいサウンドでした。
もちろん、ドイツの歌劇場にポストをもつ指揮者のゾルテスさんの力量もあってのことだと思います。

都響が次回ピットに入る機会は私は存じ上げていませんが、オペラを演奏する機会はすぐにあります。
3月のB定期(と都響スペシャル)は「青ひげ公の城」。
シェフのインバルさんが指揮し、その前に庄司紗矢香さんの独奏でヴァイオリン協奏曲第2番という豪華なバルトーク・プログラム。
これも、ぜひ聴いてみたい公演です。

それにしても…。
5階席から見下ろしていたので偉そうなことは言えませんが、この日の1階両サイドの空席の多さはちょっとびっくり。
土曜日なのに…。
新国立劇場とは収容人員が違うので単純比較が出来ないのは承知の上で、やっぱりちょっともったいない印象がありました。

スタッフ
指揮:シュテファン・ゾルテス
演出:ペーター・コンヴィチュニー
舞台美術・衣裳:ヨハネス・ライアカー
照明:マンフレット・フォス
演出助手:ロッテ・デ・ビール、澤田康子、太田麻衣子
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:多田羅迪夫

キャスト
サロメ:大隅智佳子
ヘロデ:片寄純也
ヘロディアス:山下牧子
ヨカナーン:友清 崇
ナラボート:大川信之
ヘロディアスの小姓:田村由貴絵
ユダヤ人1:髙田正人
ユダヤ人2:菅野 敦
ユダヤ人3:新津耕平
ユダヤ人4:加茂下 稔
ユダヤ人5:畠山 茂
ナザレ人1:北川辰彦
ナザレ人2:櫻井 淳
兵士1:井上雅人
兵士2:倉本晋児
カッパドキア人:千葉裕一

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コメント

サロメ、どういうお話かさえ定かでないのでなんですが、ナラボート役の大川さんはいかがでしたか?一度、カジュアルなコンサートでしたが間近で聴いた事があって。とっても表現力の豊かな方という印象でした。
京王オペレッタに毎年出られているそうですが。

投稿: oyamanoneko | 2011年2月26日 (土) 21時13分

私は、もう、舞台上のどこを見れば良いのやら、字幕さえ読むひまが無く、なんとかサロメ役の大隅智佳子さんを目で追うのが精一杯。
他の人は誰が誰やらあまり印象に残っていなくてすみません。
でもツィッターでの他の方の感想を見ると
「ナラボートの大川信之は声の力強さ、(略)で優れていたと思う。」
(えすどぅあさん @esdur_josquin)
とのことです。
人のふんどしで…で、すみません!

投稿: 稲毛海岸 | 2011年2月26日 (土) 21時59分

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