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2011年3月27日 (日)

小林研一郎/東響(2011/3/26)

2011年3月26日(土)18:00
サントリーホール

指揮:小林研一郎
東京交響楽団
(第587回定期演奏会)
ソプラノ:森麻季
メゾ・ソプラノ:竹本 節子
テノール:福井敬
バリトン:三原剛
混声合唱:東響コーラス
合唱指揮:樋本英一

モーツァルト:レクイエムより(「涙の日(ラクリモサ)」まで)
モーツァルト:レクイエムより「涙の日(ラクリモサ)」
(再)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

指揮が予定されていた音楽監督のユベール・スダーンさんが来日できなくなり、指揮者が小林研一郎さん(コバケン)になりました。
曲目も全部変更。
払い戻しにも応じるとのことで、当初は大いに戸惑い、迷いました。
しかし、以前、日フィルで聴いたコバケンのベートーヴェンの交響曲第7番(2007年3月23日2008年5月25日)は、いずれも好印象でした。
熱演が期待できるし、相次ぐコンサートやオペラの中止で“音楽に飢えていた”こともあり、払い戻しはせず、そのまま聴きに行くことにしました。
すみだトリフォニーホールの群馬交響楽団東京公演からの“ハシゴ”です。
(ふたを開けてみると、当日までにチケットは全席完売になり、会場にはキャンセル待ちの列が出来ました。)

開演前に場内にアナウンスがあり「ホールは耐震性があるので万一余震が発生しても係員から指示があるまで着席したままでお待ち下さい」とのこと。
世間一般では、中止する主催者を非難する風潮も一部にありますが、開催を決行するも、延期するも、中止するも、主催者は苦渋の決断だと拝察いたします。
私自身、もしこの演奏会が平日の夜で翌日が出勤日だったら、聴きに行ったかどうかわかりません。
この日も「何があっても主催者を恨まない、自分でも後悔しない」と心に決めて出かけました。

開演に先立ち、聴衆も起立しての黙祷。

続いて演奏されたモーツァルトのレクイエムは、全曲ではなく「涙の日(ラクリモサ)」まで。
静かに祈るような演奏ではなくて、激情に突き動かされるような演奏。
東響コーラス(全員暗譜)が素晴らしいのはいつものことですが、コバケンの棒に乗って激しく歌うのを聴くのは、また格別の思い。
私の近くの席の方は涙をぬぐいながら聴いていましたが、本当に、人間の力の無力さ、自然の力の恐ろしさに対する畏怖、亡くなられた方々、避難している方々への思い、等々、もろもろの感情が押し寄せてくるような気持ちで聴いていました。

拍手をしてよいのか迷いましたが、会場では「涙の日(ラクリモサ)」の最後の音が静かに消えていった後、静かに、やがて盛大に拍手が始まりました。
コバケンのスピーチの後、「拍手無しで」と言われて「涙の日(ラクリモサ)」を再度演奏。
拍手無しで独唱者が引き上げた後、コバケンのスピーチ。
「後半は、普通の演奏会とさせて下さい」
と言って、いろいろお話しされた後、オケを起立させて、結局最後は拍手で前半終了。
私の個人的な思いでは、前半のレクイエムの後の全ての拍手を「無し」にすれば、もっと震災の被災者を悼む気分が高まったような気もしますが、まあ、素晴らしい演奏、素晴らしい歌唱を讃える拍手ということで、日本式で良いかもしれません。

後半の英雄交響曲は、前半2楽章で、弱音の部分でずいぶんテンポを落としていたように感じられました。
あれ、コバケンって、こんなにねっとりとした指揮をしたっけ?という意外感もありましたが、音楽が弛緩した印象はありません。
いつもの東響の“磨き抜かれたサウンド”とは少し違い、激しく荒々しい印象。
後半2楽章は、たたみかけるように激しく演奏されましたが。それでも雑な演奏にならないところが、さすが東響。

休憩前に「涙の日(ラクリモサ)」をもう一回演奏したのは別として、心配していたコバケン流のアンコールはなくて安堵。
スピーチも、まあいつものことだし、許容範囲。
会場には、私同様に音楽に飢えていた聴衆が集まったようでマナーも良好。
フライングのブラボーも無し。

休憩後もP席に東響コーラスが残り、後半のエロイカを聴いていたのは、ちょっと見慣れない光景でした。
確かに、P席がまるまる空席になるよりは、はるかに好ましく、なかなか粋なはからいだったかもしれません。

休憩時間のロビーでは、独唱者が並んで義援金を募っていて、私は福井敬さんの箱に入れました。
「アイーダを聴けなくて残念でした。トゥーランドットを楽しみにしています」と直接お伝えすることが出来て良かったです。

20110326_2

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