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2011年3月の7件の記事

2011年3月27日 (日)

小林研一郎/東響(2011/3/26)

2011年3月26日(土)18:00
サントリーホール

指揮:小林研一郎
東京交響楽団
(第587回定期演奏会)
ソプラノ:森麻季
メゾ・ソプラノ:竹本 節子
テノール:福井敬
バリトン:三原剛
混声合唱:東響コーラス
合唱指揮:樋本英一

モーツァルト:レクイエムより(「涙の日(ラクリモサ)」まで)
モーツァルト:レクイエムより「涙の日(ラクリモサ)」
(再)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

指揮が予定されていた音楽監督のユベール・スダーンさんが来日できなくなり、指揮者が小林研一郎さん(コバケン)になりました。
曲目も全部変更。
払い戻しにも応じるとのことで、当初は大いに戸惑い、迷いました。
しかし、以前、日フィルで聴いたコバケンのベートーヴェンの交響曲第7番(2007年3月23日2008年5月25日)は、いずれも好印象でした。
熱演が期待できるし、相次ぐコンサートやオペラの中止で“音楽に飢えていた”こともあり、払い戻しはせず、そのまま聴きに行くことにしました。
すみだトリフォニーホールの群馬交響楽団東京公演からの“ハシゴ”です。
(ふたを開けてみると、当日までにチケットは全席完売になり、会場にはキャンセル待ちの列が出来ました。)

開演前に場内にアナウンスがあり「ホールは耐震性があるので万一余震が発生しても係員から指示があるまで着席したままでお待ち下さい」とのこと。
世間一般では、中止する主催者を非難する風潮も一部にありますが、開催を決行するも、延期するも、中止するも、主催者は苦渋の決断だと拝察いたします。
私自身、もしこの演奏会が平日の夜で翌日が出勤日だったら、聴きに行ったかどうかわかりません。
この日も「何があっても主催者を恨まない、自分でも後悔しない」と心に決めて出かけました。

開演に先立ち、聴衆も起立しての黙祷。

続いて演奏されたモーツァルトのレクイエムは、全曲ではなく「涙の日(ラクリモサ)」まで。
静かに祈るような演奏ではなくて、激情に突き動かされるような演奏。
東響コーラス(全員暗譜)が素晴らしいのはいつものことですが、コバケンの棒に乗って激しく歌うのを聴くのは、また格別の思い。
私の近くの席の方は涙をぬぐいながら聴いていましたが、本当に、人間の力の無力さ、自然の力の恐ろしさに対する畏怖、亡くなられた方々、避難している方々への思い、等々、もろもろの感情が押し寄せてくるような気持ちで聴いていました。

拍手をしてよいのか迷いましたが、会場では「涙の日(ラクリモサ)」の最後の音が静かに消えていった後、静かに、やがて盛大に拍手が始まりました。
コバケンのスピーチの後、「拍手無しで」と言われて「涙の日(ラクリモサ)」を再度演奏。
拍手無しで独唱者が引き上げた後、コバケンのスピーチ。
「後半は、普通の演奏会とさせて下さい」
と言って、いろいろお話しされた後、オケを起立させて、結局最後は拍手で前半終了。
私の個人的な思いでは、前半のレクイエムの後の全ての拍手を「無し」にすれば、もっと震災の被災者を悼む気分が高まったような気もしますが、まあ、素晴らしい演奏、素晴らしい歌唱を讃える拍手ということで、日本式で良いかもしれません。

後半の英雄交響曲は、前半2楽章で、弱音の部分でずいぶんテンポを落としていたように感じられました。
あれ、コバケンって、こんなにねっとりとした指揮をしたっけ?という意外感もありましたが、音楽が弛緩した印象はありません。
いつもの東響の“磨き抜かれたサウンド”とは少し違い、激しく荒々しい印象。
後半2楽章は、たたみかけるように激しく演奏されましたが。それでも雑な演奏にならないところが、さすが東響。

休憩前に「涙の日(ラクリモサ)」をもう一回演奏したのは別として、心配していたコバケン流のアンコールはなくて安堵。
スピーチも、まあいつものことだし、許容範囲。
会場には、私同様に音楽に飢えていた聴衆が集まったようでマナーも良好。
フライングのブラボーも無し。

休憩後もP席に東響コーラスが残り、後半のエロイカを聴いていたのは、ちょっと見慣れない光景でした。
確かに、P席がまるまる空席になるよりは、はるかに好ましく、なかなか粋なはからいだったかもしれません。

休憩時間のロビーでは、独唱者が並んで義援金を募っていて、私は福井敬さんの箱に入れました。
「アイーダを聴けなくて残念でした。トゥーランドットを楽しみにしています」と直接お伝えすることが出来て良かったです。

20110326_2

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2011年3月26日 (土)

沼尻竜典/群響(2011/3/26)

2011年3月26日(土)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:沼尻竜典
群馬交響楽団
(東京公演)
ピアノ:小菅優


バッハ:(G線上の)アリア
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
シューマン:「子供の情景」から(アンコール)
ブラームス:交響曲第2番

震災の影響で当初予定の指揮者(カール=ハインツ・シュテフェンス)の来日がキャンセルになったとの告知が群響ホームページに掲載され、それをTwitterで知りました。
沼尻さんが振ると聞いて急に聴きたくなり、翌日トリフォニーホールのチケットセンターへ。
チケット購入時に「指揮者変更は存じておりますので、電話連絡等は不要です」と申し上げたところ、「こちらでは(指揮者変更は)把握しておりません」とのこと。
チケットセンターは、地方都市オーケストラ・フェスティバル中止の電話連絡で大忙しの様子でした。

この日、私は、震災以降、初の演奏会鑑賞。
群馬交響楽団も、震災後、最初の演奏会だったそうです。
私が群馬交響楽団を生で聴くのも、1981年3月27日、群馬音楽センター(指揮:豊田耕児さん)以来。
偶然とは言え、ちょうど30年ぶりでした。

演奏会全体、特に後半のブラームスの交響曲第2番を支配していた異様なまでの高揚感は、指揮者や楽員のいろいろな思いが炸裂したものだと思います。
被災した方々、被災したこの日本への思い、演奏できる歓び、魂からの叫び。
スケールの大きな音のパワーに酔いしれました。
弱音部での管楽器の“入り”のニュアンスは“もう少し”と言いたい気もしましたが、そんなことはこの演奏の価値の中では重箱の隅のような些細なこと。
これだけ鳴らしても爆演にならず、高次元の音の威力を構築したのは立派です。

前半は、前日までの仕事の疲れが残っていて、少し眠気を感じながら聴いていたので、たいそうなことは書けませんが、ドビュッシーですら、まるでR.シュトラウスのような粘り気のあるパワーある演奏。
ベートーヴェンでの小菅さんの心を込めたソロとともに、オケもパワー全開でこたえていました。

演奏会に先立って、黙祷を捧げた後、バッハのアリアを献奏。
演奏後の拍手は無し。
心にしみいる音楽でした。

なお、この日は開演前にロビー・コンサートがあったのですが、「義援金に御協力を御願いしまーすっ」の大声の連呼にかき消されがちであり、聴いている人も少なく、ちょっと演奏者には気の毒な設定だったかもしれません。

20110326

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2011年3月25日 (金)

中止または延期になった公演

東北関東大震災にて被災された方々のことを思うと、深い悲しみを感じるとともに、大自然を前に無力感すら感じております。
私および私の住居は被災を免れましたが、震災当日の電車の運休により、帰宅難民として勤務先で一夜を明かしました。

クラシック音楽の業界でも、公演中止が相次いでおり、大変残念ではありますが、鉄道の運転状況、電力事情、余震の可能性などを考えると、致し方ないことと思います。
私自身、開催されたとしても、足を運ぶことには慎重にならざるを得ません。

それでも、もう一度、自分が買ったチケットのラインナップを見ると、いつの日か、この日本に平和が戻ったときには、再度企画していただきたいものばかりです。
東京シティ・フィルの演奏会が、中止ではなく延期であることには、かすかな希望の日を感じております。

■中止または延期になった公演
 (私が聴きに行く予定だったもの)


2011年3月12日(土)14:00=中止
すみだトリフォニーホール


指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第474回定期演奏会)

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」より
       第1幕への前奏曲
マーラー:交響曲第5番



2011年3月16日(水)10:30=中止
すみだトリフォニーホール


指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

(公開リハーサル)

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」


2011年3月17日(木)19:00=延期
東京オペラシティ・コンサートホール


指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第247回定期演奏会
ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ最終回)

ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェン:交響曲第5番



2011年3月19日(土)11:00=中止

ミューザ川崎シンフォニーホール


指揮:ユベール・スダーン
Tokyo Symphony
モーツァルト・プレーヤーズ

(モーツァルト・マチネ第4回)
ヴァイオリン:高木和弘
ヴィオラ:青木篤子


モーツァルト:歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」



2011年3月20日(日)14:00=中止
神奈川県民ホール大ホール


ヴェルディ:アイーダ

スタッフ
 指揮:沼尻竜典
 演出:粟國淳


キャスト
 アイーダ:横山恵子 並河寿美
 ラダメス:福井 敬 永田峰雄
 アムネリス:清水華澄 小山由美
 アモナズロ:堀内康雄 黒田 博
 ランフィス:小鉄和広 佐藤泰弘
 エジプト国王:斉木健詞 片桐直樹
 伝令:二塚直樹 二塚直樹
 巫女:中嶋康子 中嶋康子


バレエ:谷桃子バレエ団
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団



2011年3月21日(月・祝)14:00=中止
新国立劇場オペラパレス


プッチーニ:マノン・レスコー

スタッフ
 【指揮】リッカルド・フリッツァ
 【演出】ジルベール・デフロ
 【装置・衣裳】ウィリアム・オルランディ
 【照明】ロベルト・ヴェントゥーリ


キャスト
 【マノン・レスコー】スヴェトラ・ヴァッシレヴァ
 【デ・グリュー】グスターヴォ・ポルタ
 【レスコー】ダリボール・イェニス
 【ジェロント】妻屋秀和
 【エドモンド】望月哲也
 【旅籠屋の主人】大澤 建
 【舞踏教師】羽山晃生
 【音楽家】池田香織
 【軍曹】大塚博章
 【点灯夫】松浦 健
 【海軍司令官】森口賢二


【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団



2011年 3月23日(水)19:00=中止
東京文化会館


指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団
(第712回定期演奏会 Aシリーズ)
ピアノ:児玉桃


モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」
ブルックナー:交響曲第9番



2011年3月27日(日)14:00=中止
横浜みなとみらいホール


ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン

タルティーニ:クライスラー コレッリの主題による変奏曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」
アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ第4番
      「キャンプの集いの子供の日」
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番
アンタイル:ヴァイオリン・ソナタ第1番



2011年3月29日(火)19:00=中止
サントリーホール


指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団
(第713回定期演奏会 Bシリーズ)
ヴァイオリン:庄司紗矢香
ソプラノ:ベアトリス・ユリア=モンゾン
バリトン:バーリント・サボー


バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」
(演奏会形式・原語上演)


2011年4月7日(木)19:00=中止
指揮:エリアフ・インバル
演奏:東京都交響楽団

(東京文化会館50周年バースデーコンサート)

ベートーヴェン:付随音楽「エグモント」序曲
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

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2011年3月 8日 (火)

コルステン/読響(2011/3/8)

2011年3月8日(火)19:00
サントリーホール

指揮:ジェラール・コルステン
読売日本交響楽団
(第536回名曲シリーズ)

ソプラノ:エヴァ・メイ

《エヴァ・メイ=オペラ・アリアの夕べ》
ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクアーレ」から
        「その眼差しの魔力を」
ロッシーニ:歌劇「なりゆき泥棒」から「そのときが近づく」
ヴェルディ:歌劇「椿姫」第3幕への前奏曲
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「不思議だわ、
       ああ、そは彼の人か…花から花へ」
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」から「暗い森」
ロッシーニ:歌劇「結婚手形」から
       「この喜びを聞いて下さい」
ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」序曲
ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」から
       「高い身分と豪勢な暮らし…フランス万歳!」
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から
       「私のお父さん」
(アンコール)
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」から
       「ムゼッタのワルツ」
(アンコール)
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から
       「さようなら、過ぎ去った日よ」(アンコール)

「盗っ人に追い銭」(?)して良かった、良かった、大満足!
エヴァ・メイさんの滞在期間が、チューリッヒ歌劇場側の理由で短縮になり、当初出演予定の3公演のうち、定期演奏会だけがキャンセル。
聴けなくなったのが悔しくて一回券を買ってしまったオペラ・アリアの夕べ。
普通の一回券料金を追加で払ったことで、定期演奏会キャンセルのリカバリー以上のものを聴けたので、もう全ては水に流して、心より満足しています。

私がエヴァ・メイさんの声を聴くのはおそらくチューリッヒ歌劇場来日公演の「椿姫」以来。
この日はP席での鑑賞。
最初は「やはりP席で歌を聴くのは…」と感じましたが、曲が進んで調子が乗ってくると、十分に素晴らしい。
「反対側」のハンディをあまり感じない、なんともチャーミングな美声による耳への御馳走です。
お客さんの拍手も正直で、最初の方の慣らし運転(?)では、それなりに、調子が出てきて声が会場を圧倒するようになると熱烈に反応。
エヴァ・メイさんもサントリーホールの客席を心得たもので、曲によってはときどき横を向いたり、後ろを向いたりして歌ってくれました。
P席側を向いて声を出してくれたときは、瞬間的にS席状態。
私にとってエヴァ・メイさんは、容姿、声の質、ともに、一番好きな女性歌手かもしれません。
細くはないけど、デブでもなくて、ちょうど良い体型。
眼差しがきれいで、声もきれいで、もうたまりません!
読響さん、よくぞ、このクラスの歌手を招聘してくれたと感謝感激です。

今日の読響の響きは、良い意味と悪い意味の両方で、まるで歌劇場のオーケストラ。
「荒いなぁ」「テミルカーノフさんのときと同じオケとは思えない」と感じる場面も多々ありましたが、歌声を支えるときの艶やかさはチューリッヒのオケのよう…と言ったらほめすぎでしょうか…。
爆演スレスレのノリも随所にあり。
最初の「シチリア島の夕べの祈り」序曲では「あまり鳴らないなぁ…」という気もしましたが、冒頭の静かな所で、客席でくしゃみをした人がいたのは御愛嬌。
「ウィリアム・テル」序曲でのチェロ首席の毛利さんの独奏は「これからドヴォルザークの協奏曲でも始まるのかい?」と言いたいくらいのスケール。
雄弁過ぎるくらい。
まあ、いろいろ面白かったです。

なお、プログラム冊子には(たぶん私が読んだ限り)記述がありませんでしたが、エヴァ・メイさんは、この日の指揮者、ジェラール・コルステンさんの奥様です…と読響のWEBサイトには注記がありました。

20110308

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2011年3月 6日 (日)

児玉宏/東響(2011/3/6)

2011年3月6日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:児玉宏
東京交響楽団
(川崎名曲全集第65回)
ピアノ:ハヴィエル・ペリアネス

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ショパン:マズルカ作品17-4
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第7番

児玉宏さんは、前々から聴きたいと思っていた指揮者です。
ずっと都合がつかず、生演奏はこの日が初めて。
ミュンヘン在住で、日本では関西にポストを持っていることもあり、なかなか関東圏で聴ける機会は、さほど多くはありません。
演目は、児玉さんにしてはオーソドックス(?)で拍子抜けするくらいですが、ドイツ仕込みの腕前を味わうには絶好のプログラムだったかもしれません。

それにしても、児玉宏さん、舞台に出てきたときの貫録、ただよわせる雰囲気はなかなかのもの。
(そろそろ顔写真は変えた方が良いのでは?)
有無を言わさず「俺についてこい」…という形容が適切かどうかわかりませんが、ぐいっ、ぐいっ、と。
それでいて、指揮の動作に力みはなく、しなやか。
客席にお辞儀をするときに、顔を上に向けて見回してから頭を下げるのは「ピットが長かったからでは?」という俗説を聞いたことがあるが、本当にそんな感じ。

前半の「未完成」も十分に良かったとは思います。
でも、「定期演奏会だったらもう少し細部の仕上げが出来たかも」という(些細な)部分を感じないでもない。
その点、後半のベートーヴェンの方が、私としては、仕上げがより効いていた印象を持ちました。
むやみにあおらず、しなやか柔軟性をもって会場を満たした音は極上。

児玉宏さんのベートーヴェンは(モーツァルトも、シューベルトも)ピリオド風ではなく、昔ながらのもの。
ドイツ仕込みと言っても、飯守泰次郎さんのようなズシンと重みのある音とはずいぶん違う、しなやかな雰囲気です。

…と、やたら「しなやか」という言葉ばかり使っていますが、そのしなやかさを満喫した演奏会でした。

なお、モーツァルトの協奏曲を弾いたペリアネスさんの音はクリアー。
私は舞台後方寄りで聴いていたにもかかわらず、その席のハンディを全く感じず、弾むような音を楽しみました。

20110306

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2011年3月 5日 (土)

藤原歌劇団「ルチア」(2011/3/5)

2011年3月5日(土)15:00
東京文化会館大ホール

藤原歌劇団公演
ドニゼッティ:ルチア

2011都民芸術フェスティバル参加公演

この日は、いくつかの障害を乗り越えて最後まで聴くことがで、「聴いて良かった、最後まで居て良かった」と気分良く会場を後にすることが出来ました。

指揮の園田隆一郎さんが素晴らしい!
冒頭の「この先、どうなることか」と不安になったピットの東フィルの、硬い、溶け合わないサウンドを少しずつ解きほぐし、中盤にさしかかる頃にはイタリア・オペラを“聴く”喜びを十分に感じさせてくれる展開に。
最初の方では「休憩時間に帰ろうかなぁ」とすら思った気持ちを押しとどめさせてくれたのは、園田隆一郎さんの棒でした。
アンサンブルを立て直した後は、雄弁な“伴奏”。
かなり鳴らしていても、決して声の邪魔をせず、かき消すこともなく、見事なバランス感覚を示したように感じました。

歌手で迫力と伸びのある声を響かせてたのは、エドガルド役の村上敏明さんとエンリーコ役の谷友博さん。
コーラスも、指揮の棒に乗って、艶のある表情豊かなハーモニーを響かせていたように思います。

事前のセールスポイントは佐藤美枝子さんのルチア。
「さすがに狂乱の場は可憐な声を駆使した技巧を堪能させてくれたけど。」
「後半の狂乱の場に備えて前半はセーブしていたのかなぁ…。」
「(前半は)寄り添う、あるいは周りを囲む男性歌手陣の迫力の方が、まさっていた印象。」
などとツィッターでつぶやいたら、すかさず“識者”の方から理路整然とした反論が返ってきて、恐縮してしまいました。
いわく
> ベルカントは型、です。
> 今日の歌手で型がきちんとしていたのは佐藤さん。
> 男声は残念ながら。ただ響かせればいい、というものではないと思います。
とのことです。
私は遠い5階席からの鑑賞でしたので、的はずれな感想を申し上げたかもしれません。

でも、あくまでも私個人の感想としてですが、狂乱の場の佐藤美枝子さんのルチアは十分に素晴らしかったし、型にはまっていなかったのかどうかは素人の私にはわかりませんが、エドガルド役の村上敏明さんとエンリーコ役の谷友博さんの声も、私は大いに楽しませていただきました。
音楽面では、冒頭からの“しばらくのあいだ”があったものの、とりあえず「素晴らしかった」と言いたいと思います。

懸念事項は演出でした。
演出の意図は不勉強な私には定かではありませんが、動きにとぼしく感じられる舞台は、まるでニューイヤー・オペラ・コンサートのよう。
簡素なセットはともかく、歌手がひとつ動くたびに動きを止めて歌い、また動いては止まって歌い…という、カク、カク、カク…という動作は、私は違和感を感じました。
もっとも、コンヴィチュニー演出のめちゃくちゃ動きの多いはちゃめちゃな「サロメ」を観た直後だから、余計にそう感じたのかもしれませんが…。

そうそう、「サロメ」で思い出しましたが、この日「ルチア」は、僅かの空席はあったものの、満席に近い入り。
先日の「サロメ」(私が鑑賞したのは最終日)で空席が目立ったのとは対照的。
チケットの価格、公演回数、その他、様々な要因があるとは思いますが、とりあえず(マナーの良い)お客さんが多いにこしたことはありません。

なお、この日の朝、起床したときは、前日までの仕事の疲労が抜けきれていなくて「今日は安いチケットだし、やめておこう」と思いました。
体調が悪いときは無理しない方が良いことは経験済み。
それでも、治療院でマッサージを受けて体調が回復したので、思い直して会場に向かいました。

それ以前に。この日のチケットを買ったのは、第3の選択肢。
ユジャ・ワンさんのピアノ・リサイタル(夜)は完売で買えなかったし、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(ネット上で大評判です)は、一瞬、躊躇しているうちに、私が買えるような安い方の券はなくなってしまって…という消去法。
でも結果オーライでした。

公演監督:岡山廣幸
指揮:園田隆一郎
演出:岩田達宗

キャスト
ルチア:佐藤美枝子
エドガルド:村上敏明
エンリーコ:谷友博
ライモンド:彭康亮
アルトゥーロ:川久保博史
アリーサ:牧野真由美
ノルマンノ:所谷直生

合唱:藤原歌劇団合唱部
東京フィルハーモニー交響楽団

20110305

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2011年3月 1日 (火)

これまでに聴いたブリュッヘン/新日本フィル

個人的な趣味の範疇ですが、私がこれまでに聴いたブリュッヘン/新日本フィルの演奏会を振り返ってみました。


2005年2月19日(土)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮 :フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第381回定期演奏会)

ラモー:歌劇「ナイス」序曲
モーツァルト:交響曲第31番「パリ」
シューマン:交響曲第2番

なんとか行くことが出来て、当日券で入った演奏会。
これで私の心に火がつきました。
18世紀オーケストラのCDはたくさん持っていましたが、来日演奏会は聴き逃していたので、これが私の“初・生・ブリュッヘン”でした。


2007年1月26日(金)19:15
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第412回定期演奏会)

シューマン:交響曲第4番ニ短調(初演版)
ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」より



2007年2月3日(土)15:00
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(名曲シリーズ〈クラシックへの扉〉第66回)

ハイドン:交響曲第104番ニ長調「ロンドン」
ベートーヴェン:交響曲第1番
モーツァルト:「ドンジョヴァンニ」序曲
(アンコール)

待望の新日本フィル指揮台への再登場でした。


2009年2月7日(土)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第441回定期演奏会)

天使ガブリエル、イヴ :
 マリン・ハルテリウス(ソプラノ)
天使ウリエル:
 ジョン・マーク・エインズリー(テノール)
天使ラファエル、アダム:
 デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バス)
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

ハイドン:オラトリオ「天地創造」



2009年2月11日(水・祝)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(「ロンドン・セット」全曲演奏会 第1回)

ハイドン:交響曲第96番「奇蹟」
ハイドン:交響曲第95番
ハイドン:交響曲第93番
ハイドン:交響曲第93番~第4楽章
(アンコール)



2009年2月14日(土)10:30
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(「ロンドン・セット」全曲演奏会 第2回 公開リハーサル)

ハイドン:交響曲第97番より
ハイドン:交響曲第98番より



2009年2月15日(日)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(「ロンドン・セット」全曲演奏会 第2回)

ハイドン作曲交響曲第94番「驚愕」
ハイドン作曲交響曲第98番
ハイドン作曲交響曲第97番
ハイドン作曲交響曲第98番~第4楽章
(アンコール)



2009年2月20日(金)19:15
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(「ロンドン・セット」全曲演奏会 第3回)

ハイドン作曲交響曲第99番
ハイドン作曲交響曲第100番「軍隊」
ハイドン作曲交響曲第101番「時計」
ハイドン作曲交響曲第101番「時計」~第2楽章
(アンコール)



2009年2月28日(土)15:00
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(「ロンドン・セット」全曲演奏会 第4回)

ハイドン作曲交響曲第102番
ハイドン作曲交響曲第103番「太鼓連打」
ハイドン作曲交響曲第104番「ロンドン」
ハイドン作曲交響曲第104番~第4楽章
(アンコール)

ハイドンも、ブリュッヘンさんも、両方とも大好きな私は大喜びでした。


2011年2月8日(火)19:15
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第1回

ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」



2011年2月10日(木)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第2回公開リハーサル

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」より
ベートーヴェン:交響曲第4番より



2011年2月11日(金・祝)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第2回

ベートーヴェン:交響曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」



2011年2月15日(火)10:30
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第3回公開リハーサル

ベートーヴェン:交響曲第7番より
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」より



2011年2月16日(水)19:15
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第3回

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン:交響曲第7番



2011年2月19日(土)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:リーサ・ラーション
アルト:ウィルケ・テ・ブルメルストゥルーテ
テノール:ベンジャミン・ヒューレット
バリトン:デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

フランス・ブリュッヘン・プロデュース
≪ベートーヴェン・プロジェクト≫第4回

ベートーヴェン:交響曲第8番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」



2011年2月27日(日)14:00
すみだトリフォニーホール


指揮:フランス・ブリュッヘン
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第473回定期演奏会)
第1ソプラノ:リーサ・ラーション
第2ソプラノ:ヨハネッテ・ゾーマー
アルト:パトリック・ヴァン・グーテム
テノール:ヤン・コボウ
バス:デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭
J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調

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