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2011年5月 8日 (日)

スダーン/東響(2011/5/8)

2011年5月8日(日)11:00
洗足学園音楽大学 前田ホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団

(モーツァルト・マチネ第5回)
ソプラノ:三宅理恵
アルト:中島郁子
テノール:経種廉彦
バス:久保和範
合唱:東響コーラス

モーツァルト:レクイエム

ミューザ川崎シンフォニーホールが震災で損傷したために、代替会場で開催されることになった演奏会。
全席指定から、全席自由に変更されました。
当初に指定券を購入した人は「優先エリア」なるものが設定されるそうですが、それでも自由席には変わりがありません。
自由席は好きでないので、何度も、何度も、何度も、払い戻ししようと思しました。
でも、やっぱりスダーンさんのモーツァルトの魅力には勝てません。
結局、一度は払い戻しのための郵送用封筒に入れたチケットを祭開封してのホールへ。

レクイエムは3月定期で小林研一郎さんの指揮でも途中まで演奏した曲目ですが、今回は全曲です。

会場に着いたのは開演40分前くらいでしたが、すでにロビーまで開場。
ロビー内にはすでに長い列。
係員の方が「優先エリアに入るお客様は、客席内で再度チケットを御提示下さい」と言っていましたが、実際には人数が多くて確認は機能していませんでした。
席の選択に優柔不断の御婦人方をよけながら、私好みの席へ。
「優先エリア」は、いわゆるS席っぽいエリアです。
そういう席が好きな方が多数派だとは思います。
でも、私の好みの席は、一部のホールを除いて、1階中央ではありません。
とりあえず自分好みの納得の場所に座れたのでホッと一息。
席についたのが開演30分前でした。

ステージの奥の方にオケと合唱が配置されていたので、最前列でも指揮台まで3~5メートルくらいの距離があります。
オケは対向配置ではなく、4台のコントラバスは右側に配置。
左奥にバロックティンパニ。
合唱は東響コーラスには珍しく3列だけの少人数で、おそらく40人前後でしょうか。

演奏は予想通りのメリハリをつけた、ややスリムなモーツァルト。
しかし急いでいる印象は皆無で、時節柄、深い祈りの感情を呼び覚まさせるような感銘の極み。
ときおりみせるするどい音のアタックは凄まじいですが、熱演というよりは、自然の猛威への畏れの感も。

スダーンさんは、演奏前のお辞儀をするときも、終演後に客席を振り返ったときも、笑顔は全くなく、目は深い悲しみに満ちた視線。
カーテンコールを繰り返すうちにようやく表情がほぐれた感じ。
この曲目は震災前から決まっていたものですが、3月の来日をキャンセルせざるを得ない状況に追い込まれた体験から、やはり特別な感情はあったかもしれません。

私自身、モーツァルトのレクイエムを、こんなに深い感銘をもって聴いたのは、もしかしたら初めてかもしれません。
私はキリスト教徒ではありませんので、神の前に…という言葉が不適切であれば、大自然の前に無力な人間の、ただひたすら祈るだけの存在としてこの空間に居る、ある種の恍惚感のような不思議な感覚で聴いていました。

会場も、曲間での咳ばらいもあまりなく、演奏が終わってもしばしの静寂。
指揮者が手を下ろす前に拍手を始めた方が居たのは少し残念でしたが、それでも目くじらを立てるほどのフライングではありません。

東響コーラスが暗譜で素晴らしい歌唱を聴かせてくれたのはいつものことなので想定内ですが、40人くらいの少人数はあまり聴いたことがないかもしれません。
分厚い東響コーラスも魅力的ですが、少数精鋭のスリムな響きの東響コーラスも、また違った魅力でした。
会場からは、いつものように、合唱の皆さんが退場を始めると拍手。
最後の方が舞台の袖に消えるまで拍手は続きました。

独唱では、ソプラノの三宅理恵さんの澄んだ伸びのある歌声が特にきれい。
メゾソプラノも中島郁子さんも豊かな声量で素晴らしい。
このお二人には、今後、注目していきたいと思いました。

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