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2011年8月の11件の記事

2011年8月29日 (月)

大野和士/東フィル(2011/8/29)

2011年8月29日(月)19:00
サントリーホール

指揮:大野和士
(サントリー芸術財団サマーフェスティバル2011
第41回サントリー音楽賞受賞記念コンサート)
東京フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:並河寿美
アルト:坂本朱
合唱:国立音楽大学、東京オペラシンガーズ
合唱指揮:田中信昭、永井宏、宮松重紀

マーラー:交響曲第2番「復活」

細部まで磨き上げられていたとは言えないかもしれませんが、豪快な演奏に圧倒されたことは確かです。
皇太子殿下御臨席となった演奏会。
私は、1月の新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」に続いて、大野和士さんの指揮する公演に続いて殿下の御尊顔を拝しました。

その殿下御臨席の演奏会で、ソロ・カーテンコールに“一般参賀”という俗称を使うのは不適切かもしれませんが、オーケストラが引き上げた後も、大野さんは2回、舞台に呼び戻されました。

確かに、もの凄い演奏。
ただ、もし超一流オーケストラとプロのコーラスだったら…という思いを抱いたことも事実です。
コンサートマスターの荒井さん率いる弦楽器群は、強奏の迫力も弱音部のニュアンスも豊か。
しかし、対する管楽器群は、弱音部のニュアンスが、多少「ん…」という場面がないわけではありません。
コーラスも「もし全員プロだったら…」と思う場面はありました。

…と、ネガティブっぽい感想になってしまいましたが、前述のように細部を突けばいろいろありましたたが、総じて、これだけパワーのある音を引き出すのは、さすがは大野さんだし、(私にしては)高価なチケットを購入したことに値する満足感は得られたと思います。

この日は東京フィルの主催公演ではなかったので、第2楽章の前に、遅れて来たお客さんを入場させていました。
大野和士さんも、指揮台の前に置かれた椅子に座って、比較的長いインターバル。

特にアナウンスもなかったのに、楽章間の独唱者入場でもほとんど拍手はなかったし、曲の最後も残響が消えるまで静寂。
全般的に、良い聴衆だったと思います。
よって、フライングのブラボーではありませんが、それでも、あの残響が消えていった余韻の静寂の中で、一人、一番にブラボーを叫ぶセンスは、私は違和感を感じました。

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2011年8月28日 (日)

山本貴志(P)(2011/8/28)

2011年8月28日(日)14:00
行徳文化ホールI&I

ピアノ:山本貴志
(若手ピアニストシリーズvol.2)

ショパン:舟歌
ショパン:練習曲第5番「黒鍵」
ショパン:練習曲第9番
ショパン:練習曲第12番「革命」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」

リスト:狂詩曲第15番「ラコッツィマーチ」
リスト:愛の夢第3番
リスト:パガニーニ大練習曲より第3番「ラ・カンパネラ」
リスト:3つの演奏会用練習曲より第3番「ため息」
グノー/リスト:ファウスト・ワルツ
ショパン:練習曲第4番
(アンコール)

前半は、個人的な体調の影響で少々眠気を感じながらの鑑賞になってしまったので偉そうに感想を語りにくいのですが…。
熱情の最後は良く言えば豪快な熱演、意地悪く言えば粗野、粗雑に感じました。

個人的に眠気が覚めた後半でも、前半で垣間見た粗野かもしれない側面は、やはり感じられてしまいました。
リストの曲自体がそういう側面を持っているのかもしれませんけれど…。

確かに「愛の夢」の最初の方、あるいは「ラ・カンパネラ」の弾き始めなど、格調高く魅惑的にピアノを歌わせる場面もありました。
しかし超絶技巧の部分になると君子豹変してしまう、もどかしさ。
う~ん、そこまで力まなくても、ピアノは十分に音を出すのに…。

でも、最後の「ファウスト・ワルツ」では、格調の高さと超絶技巧が融合し、この日一番の演奏に感じられました。
やはり、こうあってほしい。

予定の曲目終了後、拍手に堪えて山本さんはマイクを持ち、アンコールを演奏する前に、いろいろな難しさを語りました。
リップサービスかもしれませんが、プロなのだから、あまりそういうことは言わない方が良いのではないかという気がしないでもありません。


2012年1月8日追記:

このとき、ずいぶんネガティブな感想を書いてしまいましたが、2012年1月に同じホールで小菅優さんのピアノ・リサイタルを聴いたときに、楽器のコンディションに疑念が湧いてきました。
私個人の、単なる憶測でしかありませんが、「もしかしたら、この時、山本貴志さんも苦労していたのでは?」と、思いました。

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2011年8月21日 (日)

サイトウキネン・フェスティバル松本(2011/8/21)

2011年8月21日(日)16:00
まつもと市民芸術館・主ホール

指揮:沼尻竜典(中国の不思議な役人)、
    小澤征爾(アリア、青ひげ公の城)
サイトウ・キネン・オーケストラ
(サイトウキネン・フィスティバル松本2011)
〈フィレンツェ歌劇場との共同制作による新作〉

バッハ:(G線上の)アリア
バルトーク:バレエ「中国の不思議な役人」
バルトーク:オペラ「青ひげ公の城」

パワー全開!
祝・全快!
小澤征爾さんの指揮する「青ひげ公の城」は、繊細なニュアンスと壮大なスケールを両立した驚異のサウンドでした。

私にとっては、サイトウキネン・フェスティバル松本は、4年ぶり2回目。
いや、最初の年は、オペラコンサートで2往復しましたので、3回目と言うべきかもしれません。
やはり、松本文化会館ではなく、まつもと市民芸術館でのオペラには、格別のものがあります。

最初に小澤征爾さんが登場してちょっとビックリ。
沼尻さんの怪我のニュースもありましたので、一瞬、小澤さんが「中国の不思議な役人」も指揮するのか!?と…。
しかし、そうではなくて、東日本大震災の被災者のためにバッハのアリアを演奏。
登場したときはブラボーの混じった拍手で迎えられましたが、演奏終了後の拍手はありませんでした。

静かに祈った後、沼尻竜典さんが足を引きずりながら、でも、歩いてピットの中に入ってきました。
さすがに「中国の不思議な役人」終演後の答礼はピットの中からでしたし、ピットから退場するのは、場内が休憩時間に入ってからでしたが…。

沼尻さんの指揮するピットの中のオケは、最初のうちは小澤征爾さんがアリアを演奏した直後のせいか、少々ぎこちなく感じられなくもありませんでしたが、曲が進むに連れて音にパワーが乗り、躍動感のある舞台を見事に導いたと思います。
十分に満足のいく、素晴らしい演奏だったと思います。
しかし…。
休憩後の小澤さんは、さらに、遙かに、凄かった!
私の座った4階席からはピットの指揮台の位置はほとんど見えませんでしたが、鏡のような舞台装置に映り込む指揮姿からうかがい知るに、は力強くしなやか。
特に、第5の扉(広大な領地)の場面の音のスケールには、唖然として聴き入る以外ありませんでした。

「青ひげ公の城」のバック、「中国の不思議な役人」の主役を務めたダンス・カンパニーのNoism(ノイズム)は、正メンバーから成るNoism1と、研修生から成るNoism2で構成されているそうです。
躍動感のあるステージで、黒子を使って操り人形を模しような動きは、視覚的な面白さがあります。
さほど奇抜ではなく、音楽を生かした演出と言って良いでしょう。
「役人」「青ひげ公」に一貫したものが感じられ、好印象。
終演後は、演出家にもブラボーが多数飛んでいました。

歌手の方は、青ひげ公の暗く沈んだような陰影のある声の表情、ユディットのはしゃいだり驚いたりする声の表情、もちろん素晴らしかったです。
しかし、一番雄弁だったのは、例によって小澤征爾さんの指揮するオケの音。
バックのダンスの視覚効果と相まって、刺激的な目と耳の御馳走でした。
テレビ・カメラが入っていましたので(NHKかどうかまでは確認しませんでしたが)後日放送されるのも楽しみです。

この日は、「中国の不思議な役人」「青ひげ公の城」ともに、フライングの拍手やブラーボーは一切無く、幕が降り、暗転し、再度ピットの譜面灯が点灯するまで、長い静寂が保たれていました。

最初にバッハのアリアが演奏されたこともあって、当初の告知の休憩込みで2時間をオーバーし、終演は18:30を過ぎました。
19:00過ぎの特急の指定券を買ってあったので「終演後にソバでも食べて帰ろうか」と思っていたのが、あまり時間が無く、売店で売り切れ間際の食料を買い込んで乗車しました。
「ギリギリ乗れるかも」の特急の、1本後の特急にしておいて正解でした。
隣りの席の方は、「青ひげ公」の上演中、時計ばかり見ていて、終わるやいなや、出て行きました。
上演に集中していない様子で、ちょっとかわいそうでした。

蛇足(1)
この日は、沼尻さんも十分に良かったですが、さすがに小澤さんは格が違いました。
沼尻さんと小澤さんの組み合わせと言えば、カザルスホールでの新日本フィルのハイドン交響曲全曲演奏会の最終回もそうでした。
あの時の沼尻さんはまだ駆け出しで、小澤さんとの差は、かわいそうなくらいでした。
あのときに比べれば、差は十分に縮まっていると思います。

蛇足(2)
今回は、休日公演の最安席を買えた幸運。
しかし、松本駅に着いた後、チケットを紛失するという失態を演じました。
駄目もとで尋ねたスーパーのサービスカウンターに落としものとして届いていました。
大汗をかきました。
「松本まで来て、何もせずに帰るのか…。」
「会場で事情を話して入場させてくれるだろうか…。」
「いや、落とすとしたら、チケットを取り出して確認したあの辺りだ…」と。
チケット取れたのも幸運、紛失したのが見つかったのも幸運でした。

出演:
青ひげ公:マティアス・ゲルネ
ユディット:エレーナ・ツィトコーワ
吟遊詩人:アンドラ-シュ・パレルディ
井関佐和子、宮河愛一郎、藤井泉、櫛田祥光、中川賢、青木枝美、
真下恵、藤澤拓也、計見葵、宮原由紀夫、亀井彩加、角田レオナルド仁
Noism1、Noism2
SKF松本合唱団

演出・振付:金森穣
空間:田根剛、 リナ・ゴットメ、ダン・ドレル(DGT)
衣裳:中嶋佑一(artburt)
照明:伊藤雅一(株式会社 流)、金森穣

20110821




追記(2011/8/28):
すでに報じられているように、この初日を振った小澤さんは、2日目、3日目を体調不良で降板しました。
この初日のときもあまり体調が良くなかったそうです。
4階席から見ていた私には全くわかりませんでした。

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2011年8月14日 (日)

辻本智美(P)(2011/8/14)

2011年8月14日(日)19:00
フィリアホール

辻本智美ピアノリサイタル
~ドビュッシーの世界~

ドビュッシー:2つのアラベスク
ドビュッシー:ピアノのために
ドビュッシー:映像第1集
ドビュッシー:前奏曲集第1集
ドビュッシー:子供の領分~ゴリウォーグのケークォーク
        
(アンコール)

お盆休み4日目。
再び、錦糸町から半蔵門線~田園都市線で青葉台へ。

フィリアホールでの辻本智美さんのピアノ・リサイタル。
ドビュッシー・プログラムは、まさに耳のご馳走。
あっという間に聴き終わった感じでした。

この演奏会、昼夜2公演で、昼の部は未就学児童入場可。
子供連れのお母さんも本格的なリサイタルを聴ける機会の提供は、意義はわかっていても、なかなか行動できるものではありません。
その現場を目撃したい気持ちも少しあったのですが、私のような人種は思いっきり浮くことは目に見えているので、遠慮して夜の部へ。

夜の部は未就学児童入場不可。
昼夜2回公演のせいか、あるいは私のような人種が興味を抱く曲目のせいか、聴衆の数が多かったとは言えません。
しかし、本当に好きな人たちだけが集まったような居心地の良さ。
小学校低学年と思われるお子さんも何人か居ましたが、その鑑賞マナーの良さと集中力には驚きました。

辻本さんの弾くピアノの音は、ぬくもりがあると言うか、ピアノの周りから上品な香りが漂って来るような雰囲気。
過剰な感情移入なく、気品を持って演奏された印象。
指揮者で例えれば、デュトワさんではなくフルネさんのような雰囲気。
終演後は「子供の領分も全曲聴きたかったなぁ…」と欲張りなことを思ってしまいましたが、水墨画とネオンサインが交錯するような、めくるめくような音の大波小波は、本当に素敵なひとときでした。

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2011年8月13日 (土)

レヴィ/東響(2011/8/13)

2011年8月13日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:ヨエル・レヴィ
東京交響楽団

(東京オペラシティシリーズ 第62回)
ヴァイオリン:シン・ヒョンス

プロコフィエフ:古典交響曲
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス
        
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第4番
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
(アンコール)

お盆休み3日目は初台へ。
本来、首席客演指揮者ルイゾッティが久しぶりに振るはずだった演奏会です。
指揮者交代を知ったときは少しがっかりしましたが、演奏を聴いた後は、足を運んで良かったという満足感で家路につきました。

プロコフィエフの古典交響曲は、2日前に山田和樹さんの指揮する横浜シンフォニエッタの凄い演奏を聴いたばかりですが、今日の東響もまた違った、少し大人の演奏で良かったと思います。
やはりこじんまりした可愛い曲ではなく、後の大交響曲群を予感させるスケールの大きな曲としての演奏でした。

続くシン・ヒョンスさん独奏のストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲は「こんなに情熱的に、激情を持って演奏できる曲なのか!」と驚嘆しました。
息がつまるような追い込みに聴き手の私も肩に力が入りました。
素晴らしいヴァイオリニストです。
アンコールで演奏されたクライスラーの無伴奏の曲も、息もつかせぬような超絶技巧を満喫しました。

休憩後のベートーヴェンは、ピリオド・スタイルではない昔ながらの演奏。
しかし暑苦しくはなく、脂ぎっていない。
皮下脂肪の少ない、しなやかな筋肉の躍動ようなベートーヴェンは清涼感を感じさせるものでした。
アンコールの序曲「コリオラン」も同様。
交響曲の第2楽章の後、楽器のトラブル(?)で長い間合いを余儀なくされましたが、指揮者は、にこやかな表情で落ち着いて待ちました。
第3楽章以降の演奏に、そのトラブル(?)の影響を全く感じさせなかったのは、指揮者もオーケストラもさすがです。

お盆休みの2日間、新日本フィル、東京交響楽団と、相次いで指揮者交代。
東響はソリストも交代という事態でしたが、小泉和裕さんもヨエル・レヴィさんも準備万端の高水準で、円熟の味わいでした。
レヴィ氏は協奏曲も含めて全曲暗譜。
小泉さんも(協奏曲は私の席からは見えなかったが「新世界より」は)暗譜でした。

20110813

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2011年8月12日 (金)

小泉和裕/新日本フィル(2011/8/12)

2011年8月12日(金)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:小泉和裕
新日本フィルハーモニー交響楽団

<新・クラシックへの扉>
金曜午後2時の名曲コンサート
ピアノ:広瀬悦子

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番
(アンコール)

お盆休み第2日。
午後は今日も錦糸町へ。
きのう聴いた公開リハーサルの本番も聴きました。

最初のショパンのピアノ協奏曲では、暑さ疲れのせいか少々眠くなりながらの鑑賞でしたので、感想を述べにくいのですが、広瀬さんのピアノは昨日のリハーサルよりもはるかに感興が乗り、細やかな気遣いが行き届き、ショパンを聴く喜びを感じさせてくれたと思います。
ショパンのオーケストレーションとは思えないほどシンフォニックなオーケストラのサウンドも魅力的でした。

休憩後のドヴォルザークの「新世界より」も、しなやかで力強いサウンド。
昔のように力まなくても自然とこういう音がオケから出てくるあたりが近年の小泉さんの円熟を物語っているのでしょうか。
アンコールに演奏されたスラヴ舞曲は弦の歌い回しが美しい限り。

新日本フィルの「新・クラシックへの扉」シリーズは、私は本当に久しぶりに足を運びました。
2008年2月以来だと思います。
このシリーズは、定期演奏会と違って、ハーディングさんもメッツマッハーさんも振りません。
聴き手の中には「定期演奏会と客層が違うし…」と仰る方もいらっしゃいます。
事実、その通りだと思います。
でも、不思議と居心地の良さを感じたことも事実です。
定期演奏会ほどピリピリとしていないというか…いや、定期演奏会の会場や客層がそれほどピリピリしているわけではないので、うまい言葉が見つかりませんが…。

そして、一番重要なことは、プロのオーケストラの、本拠地での主催公演としてのクオリティは十分あることを再認識したこと。
そのこと自体は、前日の公開リハーサルでの真剣勝負の練習からも明らかでした。

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2011年8月11日 (木)

山田和樹/横浜シンフォニエッタ(2011/8/11)

2011年8月11日(木)19:00
フィリアホール

指揮:山田和樹
横浜シンフォニエッタ

(第4回演奏会)
フルート:白尾彰

伝ハイドン(レオポルド・ホフマン作):フルート協奏曲二長調
ハイドン:交響曲第104番二長調「ロンドン」
ライネッケ:フルート協奏曲二長調
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典交響曲」
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典交響曲」
         ~第4楽章
(アンコール)

お盆休み1日目は、新日本フィル公開リハーサルの後、いったん帰宅。
数時間休んでから再度錦糸町へ戻り、半蔵門線~田園都市線で青葉台のフィリアホールへ。
とんでもなく凄い演奏でした。

新日本フィル首席の白尾彰さんのフルート独奏で始まった伝ハイドンの協奏曲から、山田和樹さんの凄さを見せつけられました。
出だしから若いオーケストラ(この曲では弦楽だけ)の表情の喜びに満ちていること!
白尾さんがそのオーケストラのじゅうたんの上を転がり回るように妙技を披露。
それでも、白尾さんの音色は大人の味わい深い音。
白尾さんは休憩後に再び登場し、ライネッケのフルート協奏曲も演奏。
20世紀初頭に書かれた時代遅れのロマン派の曲がラフマニノフの作品のように傑作に聴こえる素晴らしい演奏。
オーケストラのスケールの大きさ、白尾さんの懐の深い、味わい深いソロ。
白尾さんもバックの演奏も含めて会心のできだったのでしょう。
本当に嬉しそうでした。

(どちらかと言うと秘曲に近い)協奏曲でこれくらい凄いのですから、(名曲中の名曲である)交響曲はもっと凄い。
まずは、ハイドンの「ロンドン」交響曲。
ピリオド・スタイルではなく、遅めのテンポ、それもここぞというときには、ためをつくって、さらに遅くなる。
その巨匠風の演奏が、いささかも間のびすることなく、徹頭徹尾、表情豊かに演奏されたのは驚異的。

最後のプロコフィエフの古典交響曲はさらに輪をかけて凄い。
この曲が、かわいらしいこじんまりとした曲などではなく、まるでショスタコーヴィチのような皮肉やユーモアに満ちた、大作曲家の立派な交響曲であることを誇示。
アンコールに第4楽章が再び演奏されましたが、事前の打ち合わせに無かったようで、山田さんが4本指を掲げた後、身構えるも、オケの方の準備ができてなくていったん手をおろしたほど。
アンコールでの演奏は、本編のときの演奏よりもスピード感が増した印象。
山田和樹さんは途中でオケの中に入って行き、フルートの前に立ち、2人の奏者を立たせて吹かせ、会場からは曲の途中でジャズのように拍手が起きる場面も。

若い奏者が集まったオーケストラですが、舞台上には私の知っているだけでも、東響の荒絵理子さん(オーボエ)、近藤千花子さん(クラリネット)の姿も。
この年代の、このクラスの奏者が集まっているとしたら、演奏が凄いのも納得。
音が若いのはマイナスに作用せず、勢いとなってほとばしっていました。

このコンビ、ゴールデン・ウィークのラフォル・ジュルネでも聴きましたが、この日はフィリアホールという小ホールで聴いたこともあって、ヨーロッパ各地でひっぱりだこの山田和樹さんの凄さを満喫し、体感させられた演奏会となりました。

この演奏会、カメラが入っており、プログラム冊子(¥300)には「演奏会まるごと配信プロジェクト始動!」と載っていて、e-onkyo musicで9月上旬に配信されるとのことです。

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小泉和裕/新日本フィル公開リハーサル(2011/8/11)

2011年8月12日(金)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:小泉和裕
新日本フィルハーモニー交響楽団

(公開リハーサル)
ピアノ:広瀬悦子

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ショパン:ピアノ協奏曲第1番

お盆休み1日目。
まずは錦糸町に向かいます。
先日の「トリスタン」に続いて、新日本フィルの公開リハーサルを、休暇を取らなくても聴けるのが続きました。
元音楽監督の小泉さんが新日本フィルを振るのは10年ぶりとか。

「新世界より」では、冒頭からスケールの大きな力強い音が鳴り、小泉さんが所々で止めなければリハーサルであることを忘れるほど。
最強音で鳴らしても、音が飽和せず、濁らず、威力あるサウンド。
小泉さんの近年の円熟を見せつけるような快演です。

休憩後は広瀬悦子さんを迎えてショパンの協奏曲。
冒頭のオーケストラの“序奏”(?)が、シンフォニーのようなスケールの大きさに感じられて驚きました。
広瀬さんは最初は音が硬質の感もありましたが、曲が進むに連れてチャーミングな香しい音に変質。
まあ、リハーサルですからね。
これは本番も大いに期待できそうです。

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2011年8月 6日 (土)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2011/8/6)

2011年8月6日(土)15:00
ティアラこうとう大ホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(真夏の第九こうとう2011)
ソプラノ:日比野幸
アルト:金子美香
テノール:与儀巧
バリトン:萩原潤
合唱指揮:四野見和敏
ティアラこうとう真夏の第九合唱団

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

合唱が(東京シティ・フィル・コーアではなく)ティアラこうとう真夏の第九合唱団とのことで、一抹の不安を抱きながらも、飯守泰次郎さんのベートーヴェンが聴きたくて足を運びました。

プログラム冊子に記載はありませんでしたが、東京シティ・フィルのTwitterによると、マルケヴィチ版ではなく、ベーレンライター版とのこと。
でも私にとっては、版うんぬんよりも、飯守泰次郎さんのベートーヴェンであることが最重要で、どこをとっても、威力のある重量級のサウンドの快感に酔いしれました。

オーケストラは第1ヴァイオリンが10人程度の小編成でしたが、響きの薄さは全く感じません。
東京シティ・フィルの定期演奏会の、良いときのような白熱した演奏になりました。
楽章間で汗を拭う楽員さんもちらほら。
独唱の4人も澄んだ声のハーモニー
合唱は危惧したほどでもなく、アマチュアとしては上々でしょうか。
もちろんプロの合唱団や、プロオケの附属の合唱団のようにはいっていないですし、発声自体(特に低音)にまだ多少の課題はあるような印象でした。
それでも飯守泰次郎さんの煽りにはついていっていました。

終演後、拍手をさえぎって合唱指揮の方がマイクを持ち「この合唱団は2年目になるが、今回は東北地方で被災して音楽活動が出来ない方々をゲストにお迎えした」と紹介。
10人弱の方が前に呼ばれ、代表して2名の方が挨拶。
一人は涙で声をつまらせてのスピーチになりました。

…というわけで、最後はちょっと違う雰囲気になってしまいましたし、先ほどまで主役だったはずの飯守泰次郎さんが脇役みたいになってしまったのも違和感がありましたし、最後の一音にかぶるようなフライングのブラボーもありましたが、それでも、飯守さんの第九が聴けた喜びは大きいものでした。

なお、この日のチケットには開場14:30(開演30分前)と印刷されていました。
しかし、実際は14:15(開演45分前)の開場で、14:30頃からは、たぶん事前に告知の無かったロビーでのプレコンサートがありました。
ラヴェルの弦楽四重奏曲から第1楽章。
矢崎彦太郎さんを主席客演指揮者に迎えている効果を室内楽でも体現してくれたような、ニュアンス豊かな演奏。
早めに行って、このプレコンサートが聴けて良かったです。

プレコンサート:

ラヴェル:弦楽四重奏曲~第1楽章

第1ヴァイオリン:古賀恵
第1ヴァイオリン:原ゆかり
ヴィオラ:戸田麻子
チェロ:薄井伸介


20110806

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2011年8月 3日 (水)

ルイジ/PMFオーケストラ(2011/8/3)

2011年8月3日(水)19:00
サントリーホール

指揮:ファビオ・ルイジ
PMFオーケストラ

PMFファカルティ
バリトン:トーマス・ハンプソン

マーラー:リュッケルトの詩による歌
マーラー:亡き子をしのぶ歌
マーラー:交響曲 第1番「巨人」

夏休み明け2日目。
さすがに休み明けの平日の2日連続は少しきつかったですが、なかなか聴き応えのある演奏会でした。

実は私は、PMFオーケストラを生で聴くのは初めてでした。
いろいろ“噂”は聞いていましたが、良い意味で想定外でした。
「所詮、学生オケだし」という感想を聞いたこともありましたが、個々の奏者の技量、積極性は(楽器の値段も?)かなり高いと感服しました。
これが重なり合ったときに超一流オケのようなハーモニーになりきらないのは面白いところで、そこがユース・オーケストラっぽくて逆に安心しましたが、断じてアマチュアの演奏ではありません。

私は、ある音楽大学のオーケストラを聴いて、プロとの音の魅力の差に愕然としたこともあります。
そうかと思うと「ユース・オーケストラだから…」と心配しながら聴いた、ピットでの小澤征爾音楽塾のオーケストラの演奏の素晴らしさに驚嘆したこともあります。
あるいは、オールスター・オーケストラであるサイトウキネン・オーケストラと、常設の都響を、いずれもコンサートマスターが矢部達哉さんで短期間に聴き比べて「都響には、常設オケの良さがあるよな~」と思ったこともあります。

この日のPMFオーケストラは、小澤征爾音楽塾ほどの完成度には達していなかったように感じましたが、マーラーの「巨人」の、とりわけ最終楽章で、ルイジさんの半狂乱に近い煽りの指揮に乗って、各国から集ったプロの卵たち…ほぼ全員、金の卵たちが、全てを開放して爆発した演奏は、十分すぎるほど爽快で、十分に「お金を取れる」演奏だったと思いました。

トマス・ハンプソンさんの独唱による歌曲は、舞台の後ろの方で聴いたのと、マーラーの歌曲自体、私はさほど聴き込んでいないのでノーコメントにしておきます。
会場は大いに沸いていました。

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2011年8月 2日 (火)

チョン・ミョンフン/アジア・フィル(2011/8/2)

2011年8月2日(火)19:00
サントリーホール

指揮:チョン・ミョンフン
アジア・フィルハーモニー管弦楽団

ベートーヴェン:交響曲第7番
ブラームス:交響曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第5番~第4楽章より
(アンコール)

夏休み明け初日。
8月になっても都内ではそれなりに平日夜の演奏会があるのが悩ましいところです。

この日は“オール・スター”オーケストラのアジア・フィル。
分厚い響きと機動力、積極的な演奏は、さすがに選抜メンバーです。
同じチョン・ミョンフンさんが5月に韓国から連れてきた若いオーケストラとは、やはり格段の差。
ところどころ「常設のオーケストラなら、こうはならないんだよな~」と思う箇所もありますが、それはごく僅か。
前半のベートーヴェンの7番が終わった時点で会場は熱狂の中。
私個人は、しつこく「常設の在京上位オケだったら…」と思いつつ、興奮させられたことも事実です。

後半のブラームスではさらに音に深みが増し、スケール感も加わり、圧巻。
アンコールは意表を突かれてベートーヴェンの5番の第4楽章より。
最後はお約束の、オケのメンバーが引き上げた後も続く拍手。
指揮者とオケのメンバーが再度登場しての答礼。

プログラム冊子によると、経済的事情により中断していたのが再開できたのは仁川(インチョン)市のバックアップによるものとか。
アジアにおけるハブ空港競争と結びつけて考えるのは早計かもしれませんが、多少複雑な思いを抱きつつ、考え過ぎかなもと思いつつ、帰路につきました。

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