バイエルン国立歌劇場「ロベルト・デヴェリュー」(2011/9/23)
2011年9月23日(金・祝)15:00
神奈川県立県民ホール
バイエルン国立歌劇場日本公演
ドニゼッティ:ロベルト・デヴェリュー
この作品が「ヴェルディやプッチーニの傑作に匹敵する大傑作なのでは?」と思わせてくれるハイレベルのプロダクションでした。
終演後の体感は、「愛の妙薬」とはにわかには結びつかないものでした。
“劇”的な歌唱。
もちろんグルベローヴァさんは「凄い」としか言いようがない圧倒的な存在感でしたが、脇を固める歌手も、スター歌手の一人舞台にさせない質の高さ。
ピットの中も凄い。
指揮のハイダーさんはオペラの職人指揮者に位置付けられるのかな?
でも、ピットの中は(来日拒否組を補ったエキストラの比率は存じ上げませんが)バイエルン国立歌劇場管弦楽団を名乗るオケであるからして、実に雄弁かつドラマティック。
断じて「伴奏」ではないレベルです。
第1幕、第2幕を続けて上演し、休憩は1回。
これは演出上の理由によるとの場内アナウンス。
クリストフ・ロイさんの演出は(チラシに書かれていたネタバレの抜粋引用)「女王を企業の女社長とした現代の舞台。フィナーレで愛も地位も捨てる彼女は、自らカツラを脱ぎ捨てて、老いた姿をさらす。」
この読み替え演出も、私は違和感なく鑑賞できました。
素人の私の演出判断基準はただひとつ「視覚効果として面白く感じられたか」だけなので(低レベルで失礼)、読み替えだからではなく、テンションの高いスピード感のある舞台に魅了されました。
奥行きのあるセットを縦横無尽に、かつ迅速に動き回る出演者。
コーラスの面々の動きですらスピード感があり、片時も目を離せず、緊迫感のある舞台上の動き。
この上演に比べたら先日観た別団体の「カルメン」が、安っぽい舞台装置での学芸会に思えてきます。(と言ったら言い過ぎですかね。暴言失礼。)
一番安いチケットで観ておいて、こういうことを言うのは不謹慎かもしれませんが、高額料金を徴収する外来オペラは、やっぱり、こうでないと!
終演後の長い、長い、本当に長~いカーテンコールは「時間を測っておけば良かった」と思ったくらい。
コンサートであれば、指揮者のソロカーテンコールを3~4回に匹敵するかも。
歓声はもちろんエリザベッタ(グルベローヴァさん)が最大ですが、サラ(ソニア・ガナッシさん)への歓声もかなりのものでした。
この日のプログラム冊子は1部3,000円。
先日の別団体の公演では、スター歌手総キャンセルのためか、無料でいただけました。
しかし、有料でも優良な方がはるかに好ましい。
グルベローヴァさんがキャンセルせずに来日してくれたことを、有料のプログラム冊子とともに喜びたい気分です。
日本経済新聞と産経新聞との勝負、私は(限られた私の体験において、ではありますが)日本経済新聞の圧勝に軍配を上げたいと思いました。
指揮:フリードリッヒ・ハイダー
演出:クリストフ・ロイ
美術・衣裳:ヘルベルト・ムラウアー
照明:ラインハルト・トラウプ
合唱指揮:ゼーレン・エックホフ
エリザベッタ:エディタ・グルベローヴァ
ノッティンガム公爵:デヴィッド・チェッコーニ
サラ:ソニア・ガナッシ
ロベルト・デヴェリュー:アレクセイ・ドルゴフ
セシル卿:フランチェスコ・ペトロッツィ
グァルティエロ・ローリー卿:スティーヴン・ヒュームズ
ロベルトの召使:ニコライ・ボルチェフ
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