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2011年11月 1日 (火)

テルミカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル(2011/11/1)

2011年11月1日(火)19:00
サントリーホール

指揮:ユーリー・テルミカーノフ
サンクトペテルブルグ・
  フィルハーモニー交響楽団

(2011年日本公演)
ヴァイオリン:庄司紗矢香

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
      BWV1004から「サラバンド」
(アンコール)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
エルガー:エニグマ変奏曲から「ニムロッド」
(アンコール)

読響さんがなかなか呼んでくれないので、めったに聴かない外来オケに浮気。
テミルカーノフさんの、深い、深い、深遠なる音の世界…。

前半の1.75倍くらいに増えた大編成での「春の祭典」、これがまた凄いのなんの。
この曲がこんなに深い、深い、深い音楽だとは!!
そうです、この曲は、神への祈りの曲だったのです。
まるでブルックナーのような春の祭典!
絶妙の弱音のさざめき、咆哮する金管の神々しさ。
掟破りだと思っていた異教徒のための曲が、ブルックナーから連なる神への畏怖に通じた音楽史にすっぽりと収まったような…。

テミルカーノフさんの指揮姿は、いつものように魔術師のよう。
シルクハットをかぶったらよく似合うだろうと思うのも何回目でしょうか。
その魔術師が、手首を軽くひねるとオケの音が大きくうねる。
左手を軽く握ると金管が咆哮する。
なんとも鮮やかな魔術。
しかもそれは、外面的なこけおどしでは無いという…。

普通なら「春の祭典の後にアンコールぅ?しかもエルガーぁ?」と言うかもしれませんが、この日の、こんな深遠なる神に祈る「春の祭典」の後に、またまた深い慈しみに満ちたエルガーの「ニムロッド」は、まさにピッタリの選曲。
涙が出なかったのが不思議なくらいの深い感動。
静かに始まり、大きく高揚し、また静かに終わる、数分間の至福。
テミルカーノフさんのソロ・カーテンコールが1回だけで終わったのが物足りないくらいの幸福感を与えていただきました。

ちなみに、前半も十分に良かったのですが、後半が凄すぎて、ずいぶん昔のことのように思えるくらい。

冒頭の「セヴィリアの理髪師」序曲も、テミルカーノフさんが振ると、なんとも上品な音楽に大変身。
チャイコフスキーのバレエ音楽のような、モルダウ冒頭のような、エルガーのような、…とにかくロッシーニとは思えない品の良さ。

庄司紗矢香さん独奏のメンデルスゾーンの協奏曲も、もしかしたら今まで私が聴いた庄司紗矢香さんの生演奏の中で一番良かったのでは?と思えるくらい。
庄司さんのヴァイオリンは、こすって音を出しているとは思えない、摩擦を全く感じさせない艶やかな美音。
テミルカーノフさんの指揮するオケも、手触りの良いじゅうたんのよう。
その上にふわりと乗って、自在に舞い踊る庄司さんのヴァイオリン。
全く隙が無い細部の磨き上げ。
でも、神経質にならず、伸びやか。
結構、随所で気合いを込めて弾いていましたが、熟成を感じされる音は、熱演と言うよりは名演と言うべきでしょう。
もちろん、この日の庄司さんの音の深さは、テミルカーノフさんに触発された部分もあったのではないでしょうか。

こうして聴いてみると、…失礼、拝聴させていただくと、さすがの読響さんも、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル直系のこのオケには一歩譲ると言わざるを得ないかもしれません。
それでも、やっぱり読響さん、テミルカーノフさんを呼んで下さい。
テミルカーノフさんが振った読響も別格の素晴らしさです。
チケット買って通いますから。

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