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2011年11月の20件の記事

2011年11月30日 (水)

カンブルラン/読響(2011/11/30)

2011年11月30日(水)19:00
サントリーホール

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第509回定期演奏会)

ベルリオーズ:序曲「リア王」
チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

「チャイコフスキーって実はフランス人だったんだよ」とウソを言われても、「ふーん、やっぱりそうなんだ」と納得してしまいそう。
帰宅しても頭の中でチャイコフスキーが鳴りっぱなしで、ヘッドフォンいらず。

1曲目のベルリオーズの序曲「リア王」からして、(良い意味での)ふわっとした響きに身体がとろけそうになります。
決して力を抜いた演奏ではなく、オケのメンバー全員が渾身の力演をしているように見えますが、聴こえてくる音は極上の手触り。

続くチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」も「ベルリオーズの作品だよ」と言われれば「ふーん、そうなんだ」と納得してしまいそう。

1曲目も序曲で、2曲目も一応(幻想)序曲。
そして、4月のプロコフィエフ9月のベルリオーズに続く、ロミオとジュリエット・ツィクルス。
昨シーズンのような「3つのペレアスとメリザンド」のような題はついていませんが、意図したことは明らかです。

そして後半は…。
後半が始まる前のチューニングから音に気合いが入っていたように感じたのは気のせいでしょうか?
「悲愴」交響曲は、のたうちまわるようなチャイコフスキーではなく、第2楽章など、まるで「くるみ割り人形」のような明るさ。
標題的と言うよりも、純音楽的に磨き上げらていた印象。
金管の咆哮も、そしてシンバルさえも、全くうるさくならずに純度の高い音。
いやー、良いものを聴かせていただきました。
この演奏会をもってカンブルランさんがしばらく不在になるのは寂しい限り。
次回、4月が、今から待ち遠しいです。

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2011年11月27日 (日)

二期会「ドン・ジョヴァンニ」(2011/11/27)

2011年11月27日(日)14:00
日生劇場

東京二期会オペラ劇場
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
(ライン・ドイツオペラとの共同制作)
《二期会創立60周年記念公演》

溜池山王(国会議事堂前)駅から千代田線で日比谷駅へ。
このハシゴは楽勝。
もしタクシーに乗ったら、良い顔はされないでしょう。

“カロリーネ・グルーバー演出の”「ドン・ジョヴァンニ」と言った方が良いのでしょう。
まず“現在の”ヨーロッパの主流の(かどうか知見はありませんが)演出上位の上演を観ることが出来たことを喜びたいと思います。
そして、それは視覚的に目新しくてなかなか面白く拝見しました。
しかし残念なことに、私の頭脳では、舞台の内容についていくのは厳しかったことも事実です。

まず、冒頭、序曲の前に幕が上がり、大きな絵がかけられた邸宅?に、嵐のような雨の吹きつける音、時折、雷鳴。
そこへ飛び込んできた普通の服の若い男女。
このカップル、単なる無言の役かと思って観ていたら、途中から歌い出して、どうやらマゼットとツェルリーナらしい。
巨大な額縁に入った絵…と思ってみていたら、その中に描かれている(と錯覚していた)人物が動き出して、おやおや。
その絵…というか額縁の中にドアが出てきたり、額縁の中にまた額縁が出てきたり…。
絵の中に入り込んじゃう設定なのか???
最後に復活したドン・ジョヴァンニが舞台上で堂々と振舞う場面も私には良くわかりませんでしたが、それは恐らく私の鍛練が足りないのでしょう。

ドン・ジョヴァンニ役の宮本益光さん、実は私は、「第九」の独唱のときなど、あまり良いと思わないのですが、オペラになると別人のように素晴らしい。
芸達者かどうかは意見の分かれるところかもしれませんが、少なくとも存在感があり、いかにもワルの「プレイおじさん」。

トウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズは、ピリオド・スタイルではないモーツァルトとしては、まずまずだったと思いますが、舞台上に気を取られ過ぎて、申し訳ありませんが、印象薄。
沼尻さんが全体を掌握し、まとめていたのは確かだと思うが…。
やっぱり演出上位、今風のヨーロッパのオペラだったのかな…と、面白かったと同時に、多少視覚的に疲れた気分もありました。

スタッフ
指揮:沼尻竜典
演出:カロリーネ・グルーバー

装置:ロイ・スパーン
衣裳:メヒトヒルト・ザイペル
照明:山本英明
演出助手:家田 淳

舞台監督:大仁田雅彦
公演監督:三林輝夫

キャスト
ドン・ジョヴァンニ:宮本益光
騎士長:斉木健詞
ドンナ・アンナ:文屋小百合
ドン・オッターヴィオ:今尾 滋
ドンナ・エルヴィーラ:小林由佳
レポレッロ:大塚博章
マゼット:近藤 圭
ツェルリーナ:盛田麻央

合唱:二期会合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
管弦楽:トウキョウ・モーツァルトプレイヤーズ

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パーヴォ・ヤルヴィ/パリ管弦楽団ゲネプロ(2011/11/27)

2011年11月27日(日)11:15
サントリーホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
パリ管弦楽団

(ゲネプロ)
ピアノ:ダヴィッド・フレイ

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」 より
メシアン:忘れられた捧げもの より
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 より

EMIミュージック・ジャパンさんからのご招待で、ゲネプロを見学させていただきました。
…と言っても私はVIPではなく、SACDを買って付いていたシールをハガキに貼って応募し、当選したのです。
指定された10:50にホール正面へ。
EMIミュージック・ジャパンの御担当者様から「EMI」の名札を渡されました。
3名ほど来ていない方がいる…とのことで、数分待ってから楽屋入口から案内されて1階客席へ。
15列目より後ろの中央エリア(通常は招待席エリア)で聴かせていただきました。

11:15頃開始で終了は12:20頃。
ペトルーシュカを15分くらい。
配置転換して、メシアン(かな?)を12~3分。
最後はダヴィッド・フレイさんが加わってラヴェルのピノ協奏曲。
パリ管弦楽団の音は何ともゴージャス。
本番はさぞかし…。

パーヴォ・ヤルヴィさんは、ペトルーシュカではチェロに指示を出して何度もやり直しをした後、ついにはチェロだけの分奏も。
客席を振り返ってスタッフにパランスや音量を確認する場面も。
ペトルーシュカではピアノは指揮者のまん前に置かれていましたが、ペトルーシュカのリハーサルが終わると、そのピアノをホールのステージ昇降の機構を使って舞台下に格納。
楽員さんが珍しそうに覗き込んだりしていました。
協奏曲では舞台下手に置かれていたピアノを使いました。
配置転換には12~3分かかりました。
本番では協奏曲の後、休憩時間に行われるのでしょう。
次の曲はオケだけですが、ピアノは閉じたまま置いて演奏されました。
協奏曲では、指揮者が止めたり、ピアニストが何か言ったりして最後の詰め。
ラヴェルになると、オケの音はなんともカラフル。

終了後は楽屋口ではなく、ホール正面の扉から退出させていただきました。
残念ながら、私は本番のチケットを持っていないのでこれにて退散。
ゲネプロでこんな音だから、本番はきっと凄いことになったことでしょう。
聴かれる方が羨ましい。

それでも、貴重な気合いをいただいて、高価なSACDを買った甲斐がありました。
EMIミュージック・ジャパンさんに感謝をこめて、これから発売される定盤名演SACDも、カモになることにします。

サントリーホールを背にして、おそらくパリ管弦楽団演奏会に向かうと思われる人々とすれ違いながら、地下鉄の溜池山王(国会議事堂前)駅へ向かうのは、ちょっと不思議な気分でした。

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2011年11月26日 (土)

ベロフ(P)(2011/11/26)

2011年11月26日(土)19:00
すみだトリフォニーホール

ミシェル・ベロフ
ピアノ・リサイタル

シューマン:アラベスク
リスト:ピアノ・ソナタロ短調
ドビュッシー:忘れられた映像
ドビュッシー:映像第1集
ドビュッシー:映像第2集
ドビュッシー:レントより遅く
(アンコール)
ドビュッシー:アラベスク第1番(アンコール)

先日、読響の深夜の音楽会公開収録で聴いた別のピアニストとは、とても同じピアノとは思えない音。
(聴いた席の位置もほぼ同じです)
気品があり、ぬくもりがあり、優しさを感じさせる音。
しかし、決して生ぬるい音ではありません。

クリアではありますが、シャープというのとは少し違う。
角が面取りしてあるような…。

前半のシューマンとリストも十分に素晴らしかったのですが、ベロフさんと言えば、やはりドビュッシー。
後半になると、まるで解像度が上がったかのように感じられる多彩な音のパレット。
シンセサイザーの音など、ベロフさんのピアノの音の前では、敵ではありません。
目を閉じて聴いていると、大画面いっぱいに音の粒がちりばめられている感じ。
目を開けると、舞台上にはピアノが一台だけあるのが不思議に感じられるくらい。
もう、何度も「うわ~、これはたまらん」と、耳からの快感に陶然となりました。

この日の聴衆も素晴らしかったです。
集中力、静けさ。
3階席はクローズだったと思いますが、1、2階席は9割以上は埋まっていたのではないでしょうか。
素晴らしい演奏の終演後のロビーは、お客さんの顔が、皆、輝いています。

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飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2011/11/26)

2011年11月26日(土)15:00
ティアラこうとう大ホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第27回ティアラこうとう定期演奏会
チャイコフスキー交響曲全曲シリーズ第2回)
ピアノ:梅村知世

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第5番

“ワーグナーの”ピアノ協奏曲!
最初の音が鳴ったとたん、ワーグナーの前奏曲かと思いました。
凄かった!
驚いた!
しかし、後半は、さらに!さらに!さらに凄かった!

チャイコフスキーのピアノ協奏曲も、飯守泰次郎さんが振ると、いつもの、あの重低音がとどろきます。
協奏曲でのオーケストラは、伴奏などではなく、主役を奪うような迫力。
ドスン、ドッカン…。
いやー、面白い。

ピアノ独奏の梅村知世さんは、おそらくまだ“新人”に近いキャリアだと思いますが、最初のうちは「飯守さんの圧倒的な力技に、無理して対抗しなくも…」とも思ったのですが、第2、第3楽章は、結構頑張っていたように思います。
逸材であることは確かでしょう。
でも、申し訳ないですが、飯守さんが凄すぎました。

…と、前半の協奏曲に驚いていたら、後半の交響曲はさらに気合い入りまくりの沸騰。
西欧風の洒落たチャイコフスキーなどではなく、土俗的なチャイコフスキー。
第4楽章はオケの方も気合いが入り過ぎて、早めに沸点に達してしまったような感もありましたが、これだけ燃えてくれれば不満はありません。
先日聴いたテミルカーノフさん(英国紳士のような上品な香りのする演奏と言って良いでしょうか?)とは対極にあるような、これはこれで素晴らしい演奏だったと思います。

東京シティ・フィルメンバーによる
プレ・コンサート

トランペット:上田仁
第1ヴァイオリン:黒川史恵
第2ヴァイオリン:桜井春栄
ヴィオラ:柳澤崇志
チェロ:薄井信介
コントラバス:瀬野恒

トレルリ:トランペット協奏曲ニ長調

なお、開演前のロビーでのプレコンサートは、バロック音楽で、トランペット+弦楽五重奏の編成の、10分弱の曲。
ピッコロ・トランペットという小さいトランペット使用との紹介がありました。
こういうクリアな響きを聴くと、室内楽の演奏会も、もっと聴いてみたくなります。

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2011年11月25日 (金)

カンブルラン/読響(2011/11/25)

2011年11月25日(金)19:00
サントリーホール

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第543回サントリーホール名曲シリーズ)
メゾ・ソプラノ:林美智子

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
ショーソン:愛と海の詩
ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ドビュッシー:海

カンブルランさんと読響のコンビ、今日は絶好調ではなかったでしょうか?
(もしかしたら、ベルリン・フィルを聴いた人に「まだまだ甘い」と言われるかもしれませんが、聴いていない私は)押し寄せる音の波に酔わされ、引き込まれ、圧倒されたドビュッシーの「海」でした。

この日の曲目は、一目瞭然の?海プログラム。

冒頭の一曲からして「フィンガルの洞窟って、こんなに繊細な曲だったんだ!」と目から鱗が落ちる美しさ!
こんなにも一音一音を大切に紡いだ演奏は、思わずため息をつきたくなる美しさ!

2曲目のショーソンの曲は、歌曲と言うにはオーケストラも相当に雄弁な曲で、3曲中、2曲目はオーケストラのみの間奏曲。
私の席の位置では、独唱も、3曲目での毛利さんのソロも、方角的にハンディがありましたが、それでも小交響曲のような、独唱付きのオーケストラ曲(林さん、すみません!)の魅力は十分に感じ取れました。

休憩後の「さまよえるオランダ人」序曲は、前半で感じた繊細さに加え、スケール感と透明感を兼ね備えた名演…
…だと思しますが…。
「笑うところじゃないですよ!」はわかっていますが、どうしても、あの下野さんが振った「湯治場オランダ人」を思い出してしまって…。
すみません。
後半の方は普通にシンフォニックな響きを堪能しました。
もう一回、まじめに聴き直したいです。

そして、最後のドビュッシー「海」は、もう、微弱音からフルスケールの強奏まで、隅々まで完璧に近く磨き上げられた、めくるめく音の世界に身を委ねるだけ。
ゲスト・コンマスの長原幸太さんの好リードにもよるのでしょうか?
開演前、チューニング直前に、ゲスト・コンマスとして長原幸太さんが登場したとき、会場はかすかにざわつき、プログラム冊子をめくる人が多数。
確かに“見慣れない”ですものね。

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2011年11月23日 (水)

東京文化会館「古事記」(2011/11/23)

2011年11月23日(水・祝)14:00
東京文化会館大ホール

東京文化会館50周年記念フェスティバル
記念オペラ「古事記」
黛敏郎:古事記

当初は初日だけ鑑賞の予定でしたが、初日の舞台があまりにも素晴らしかったので、急きょ予定を組み替え、2日目(最終日でもあります)も鑑賞することにしました。
他会場の別公演との二者択一で悩んだのですが、“再演の可能性の低さ”の勝負で苦渋の選択。
「私が生きているうちに再演があるだろうか?」と思ったら、「やっぱり上野に行こう」という結論になりました。

ただ、この日の私の席は、周囲の人の一部の鑑賞マナーがあまりよろしくなく、上演中にしゃべったりするのに閉口。
第2幕で耐えきれず、突っついて無言で注意することに。
その後は静かになったが、後味は良くありません。

初日のときの私の席は都響から購入した券でした。
初日の私の周囲の人の鑑賞マナーの良さは、チケットの流通経路によるものかも?
上演自体は初日に遜色ないと思いますが、やっぱり初日の感動は心の中に大切に取っておいた方が良かったのかな…と、前半の2幕が終わったときには思いました。

しかし、休憩後の第3幕、第4幕は、(まだ私の周囲には、ガサゴソ物音をたてる人や、コンコンと咳をし続ける人はいたものの)少なくともおしゃべりは止んで、それなりに楽しむことは出来ました。

日本神話をドイツ語で描いた壮大な作品。
素人の私には、ワーグナーの亜流なのか、保守的な作品なのか、はたまた実は斬新なのか…わかりませんが(1996年初演の作品です)、これだけ楽しめれば何であろうとOK…と思いました。
世界各地の異なる文化圏に、似たように存在する創世記、神話が、日本にも存在することを紹介した…と言うか、「普遍的」を目指した作品でもあるとのこと。
しかし、日本人の私にとっては、感動的に「わが国」を意識させられる作品。
日本神話版のミニ・リング…などと言ったら、ワグネリアンに叱られそうですが(暴言失礼)、第4幕の最後に国を治める神が下界に降りていって終わるところなど、日本人の私としては、宗教的とも思える感動。

この日も初日に続いてカメラによる収録が入っていました。
開演前に1階最後列のカメラに近寄って「NHK」の表示を確認しました。
まもなく受信料の引き落としですが、喜んで支払わせていただくことにいたします。

帰宅して調べてみたら、この作品の演奏会形式での日本初演、ほとんど記憶が残っていないのですが、記録によれば、私は聴いていたようです。
2001年10月27日、サントリートール、大友直人指揮/東京交響楽団定期。
プログラム冊子も出てきて、証拠も見つかりました。
私は何を聴いていたのでしょう…。

指揮:大友直人
演出:岩田達宗

出演
イザナギ:甲斐栄次郎(バリトン)
イザナミ:福原寿美枝(メゾソプラノ)
スサノヲ:高橋 淳(テノール)
アマテラス:浜田理恵(ソプラノ)
オモイカネ:妻屋秀和(バス)
アシナヅチ:久保田真澄(バス)
天つ神/クシナダ:天羽明惠(ソプラノ)
使者:吉田浩之(テノール)
語り部:観世銕之丞
風の神/見張りの神:門間信樹(バリトン)
雨の神:清水理恵(ソプラノ)
雷の神:羽渕浩樹(バリトン)
雲の神:高橋華子(メゾソプラノ)

合唱:新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

舞台美術:島 次郎
衣裳:前田文子
照明:沢田祐二
振付:高野美智子
合唱指揮:三澤洋史
舞台監督:菅原多敢弘

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2011年11月20日 (日)

東京文化会館「古事記」(2011/11/20)

2011年11月20日(日)14:00
東京文化会館大ホール

東京文化会館50周年記念フェスティバル
記念オペラ「古事記」
黛敏郎:古事記

日本人としてのアイデンティティを自覚させられたと言ったら大げさでしょうか?
でも、あまりに素晴らしく、心に残る深い感動を味わったので、もう一回観たいくらいです。
残念ながら、もう一回の公演の日時は、別の公演のチケットを持っています。
でも、それをパスしても行きたいくらいです。

事前の私の期待度は、さほど高くはなかったのです。
「都響がピットに入るなら、珍しいオペラも聴いてみてもいいかな…。とりあえず安い券を買ってみようか」という程度の軽い気持ちで買ったチケット。
ところが、上演が始まってみると、なんと、なんと、これは凄いではありませんか!!
最初の一音から引き込まれ、あとは夢中で舞台上を見つめ、音の渦に身を任せるだけ。
事前の期待がこんなに良い方に裏切られるからチケット漁りはやめられません。

もちろん書かれた音楽は素晴らしい!!
しかし、それをこんな音で鳴らして客席を圧倒した大友直人さんの指揮する都響も、めちゃくちゃ素晴らしい!!
オケと一緒に咆哮し、ささやき、ストーリーを動かす合唱も素晴らしい!!
歌手もみな素晴らしい!!
おそらく出演者全員が、この作品の価値を信じて疑わず、高いモチベーション。

群衆のように動き回るコーラスも含めて、登場人物のスピーディーな舞台上の動きも特筆すべきもの。
そう、この演出も、かなり、かなり、…非常に素晴らしい。
怒って身を隠したアマテラスを呼び戻すための踊りのシーンの高揚感など、筆舌に尽くし難い!!

休憩後の第3幕でのスサノヲによるヤマタノオロチの退治は、合唱団の言葉によって情景描写され、舞台上は後方の照明効果で描き、具体的な“物”での描写はありませんでしたが、音楽の威力は偉大。
第4幕の最後は国を治める神が降りて行き、静かに終わる。
語り部の観世銕之丞さんは、第1幕冒頭と第4幕の終結直前に登場。
ここは日本語での語りで字幕無し。

「ワーグナーに見せてみたい」などと言ったら、ワグネリアンに叱られそうですが(暴言失礼)、日本の神話の世界をドイツ語で描く壮大な作品。
最初の一音で魅了され、第1幕のかなり早い箇所から引き込まれてしまったのは、私が日本人だからだけでしょうか?
でも、プログラム冊子(無料でした)に、演出の意図…と言うより、作品観…が2ページほどの文章でわかりやすく書かれていて、それを読んだだけでも、日本人としてのアイデンティティを自覚させられました。
素晴らしい作品、素晴らしい上演でした。

この日は、14:00からの開演に先立ち、11:00から小ホールで演出家によるプレトークもありました。
…が、私は、体力温存のためにパス。
まあ仕方がありません。
物理的には可能でも、欲張るのは禁物。
かつてN響のロビー室内楽をはりきって聴いて、肝心の本編で睡魔に襲われたこともありましたので。

なお、本日の上演は、会場にカメラが入っていて、収録されていました。
映像で再現できるなどと不遜なことは言えませんが、この素晴らしい上演が記録されたことは喜ばしい限り。
NHKかどうかまでは未確認ですが、民放が収録するとも思えないような気もします。

指揮:大友直人
演出:岩田達宗

出演
イザナギ:甲斐栄次郎(バリトン)
イザナミ:福原寿美枝(メゾソプラノ)
スサノヲ:高橋 淳(テノール)
アマテラス:浜田理恵(ソプラノ)
オモイカネ:妻屋秀和(バス)
アシナヅチ:久保田真澄(バス)
天つ神/クシナダ:天羽明惠(ソプラノ)
使者:吉田浩之(テノール)
語り部:観世銕之丞
風の神/見張りの神:門間信樹(バリトン)
雨の神:清水理恵(ソプラノ)
雷の神:羽渕浩樹(バリトン)
雲の神:高橋華子(メゾソプラノ)

合唱:新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

舞台美術:島 次郎
衣裳:前田文子
照明:沢田祐二
振付:高野美智子
合唱指揮:三澤洋史
舞台監督:菅原多敢弘

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2011年11月19日 (土)

スダーン/東響(2011/11/19)

2011年11月19日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団

(第594回定期演奏会)
ソプラノ:エレナ・ネベラ、森麻季
バリトン:青山貴
合唱:東響コーラス

シェーンベルク:モノドラマ「期待」
フォーレ:レクイエム

初台~市ヶ谷~六本木一丁目と乗り継いで“2軒目”へハシゴ。
先週の土曜日にマゼールが客演していた東響にも、シェフが帰ってきました。

このプログラム、時間的には短めの演目ながら、なんとも贅沢です。
前半のシェーンベルクのソプラノ独唱はエレナ・ネベラさん。
後半のフォーレ-のソプラノ独唱は森麻季さん。
全く性格の異なる2曲のコントラストを、ソプラノをそれぞれに一人ずつ迎えて一晩で味わう贅沢。
しかも、この2人のソプラノ、どちらも「見事!」の歌唱でした。

まず、前半のエレナ・ネベラさん独唱によるモノドラマ「期待」が、劇的!…劇的!…刺激的!!
ドラマティックな歌唱に、オケも咆哮につぐ咆哮!
スダーンさんも、ところどころ唸り声をあげての指揮。
シェーンベルクなのに?会場は大喝采!

今シーズンの東響定期の“シェーンベルク・ツィクルス”が発表されたとき、一瞬ひいてしまいましたが、こうして続けて聴いてくると、(理解して聴いているという自信はありませんが)意外と耳に心地良いし、会場のウケも悪くありません。
21世紀も11年目の今、既に古典になっていて当然の作曲家なのでしょう。

後半のフォーレのレクイエムは、前半とはうって変わって安息の境地。
東響コーラスはいつも通り暗譜、いつも通り澄んだ美しいハーモニー、いつも通りのハイレベル!
森麻季さんの声も透き通った伸びのある声が無理なくホールを満たす。
第1ヴァイオリン~ヴィオラ~第2ヴァイオリン~チェロと並び変えたオケの音、そしてオルガンの柔らかい音も美しい限り。
合唱はP席ではなく舞台上。
青山さんは合唱の前、森さんはP席後方での歌唱。

ちなみに、この日は字幕の電光板が用意されていました。
おそらく、パイプオルガンの両脇と、LC、RCブロックの4箇所。
経費はかかると思いますが、演奏中にプログラム冊子をめくる音とかが発生しなくて、字幕のサービスは喜ばしいことだと思います。

残念なことに、野武士の雄たけびのようなブラボーは、今回も健在&顕在でした。
まあ、フライングのブラボーではないことは良かった…と思うことにします。
でも、フォーレのレクイエムの後にブラボーは、あまりふさわしくないような気もします。

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カンブルラン/読響(2011/11/19)

2011年11月19日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第7回オペラシティ・マチネーシリーズ)

《マエストロ・セレクション・ポピュラー・ピーシーズ》
ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
        第1幕への前奏曲
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの
          愉快ないたずら」

つい先日の日曜日に日生劇場のピットに入っていた読響。
シェフが帰ってきました。
2ヶ月ぶり…というハイペースの来日、喜ばしいことです。

この日は振替席でしたので、舞台は1/3くらいしか見えないし、それを一生懸命見ても首が痛くなるだけなので、視覚は諦めて聴くことに専念しました。
場所だけで言えば、たぶん上から2番目のランクの席に至近距離です。

この、やる気満々の常任指揮者による“有名曲”の演奏が、全く手を抜かない素晴らしさ…なのは何度も体験済みですが、今回も全く同様。
無造作に4曲並べたようでいて、実は十分に考え抜かれた選曲では?
前半の初期ロマン派、後半の後期ロマン派。
ドイツ系の系譜。
序曲、交響曲、前奏曲、交響詩。

4曲いずれもが生命感とモチベーションのみなぎる素晴らしい演奏でしたが、特に後半の「…マイスタージンガー」と「ティル…」の圧倒的高揚感!
「ティル…」のこんな演奏、聴いたことがないかも…とすら思いました。
「やはり読響は良い常任を見つけた」という毎度毎度の同じ感想。

1年目の硬派な選曲から、2年目の有名曲のラインナップに「大衆迎合」との批判的な論調も一部にあったのですが、毎回凄い演奏で吹き飛ばしてくれています。
カンブルランさんは超有名曲でも手抜きなし、やる気十分の演奏をしてくれるので、安易な気持ちでパスできません。
もう、ずいぶん前になってしまいましたが「展覧会の絵」を軽い気持ちで聴きにいって、鬼気迫る演奏に、内心「しっ、失礼しましたっ!」と大いに反省したことを、今でも鮮明に覚えています。

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2011年11月13日 (日)

NISSAY OPERA「夕鶴」(2011/11/13)

2011年11月13日(日)14:00
日生劇場

NISSAY OPERA 2011
團伊玖磨:夕鶴

先日のみなとみらいでの交響曲に続き、下野達也さん指揮、読響による團伊玖磨・第2團…いや、第2弾。
日生劇場へ行くのはこの日が初めてでした。
下野達也さん指揮の読響がピットに入らなかったら、おそらくチケットは買わなかったと思います。
「夕鶴」は、私は、生はもちろん、映像やCDでも接したことはなく、初めての鑑賞でした。
有名すぎて「どんなものかいな?」という思いがありましたが、舞台装置も含めて素晴らしいプロダクションだったように思います。
簡素な舞台装置に、照明を駆使して各場面を鮮やかに作り出す効果は、実に見事。
機織りのところも、照明だけで機織りの動く様子を障子越しに見ている雰囲気を見事に表現していました。

音楽的には、最初の方だけは日本語歌唱に、なんだか外国語オペラの訳詩上演のような違和感も感じましたが、次第に慣れ、途中からは日本語につけられた旋律を楽しむことが出来ました。
團伊玖磨さんのオーケストレーションも実に見事で、機織りの場面をハープと小太鼓などで克明に描いていたのは脱帽。
第1幕(第1部?)が異様に長く、第2幕(第2部?)があっけないほど短いのだけは「???」。
初めて観た私は「ストーリー的に、ここまで来てしまったら、最後まで一気に行くのか?????」でした。

ピットの下野達也さん指揮する読響の好演は想定通り。
このコンビで「想定通り」ということはハイレベルを意味します。
コンマスに藤原さんと小森谷さんの二人が揃っていました。

歌唱の面では、男声陣の声が割と言葉を聞き取りやすく、女声(つう)の声は少しだけ言葉は聞き取りにくかったでしょうか。
でも、つうの声の方が西洋オペラ的と言えるかもしれないし、聴き慣れていない私は、自信ありません。
日本語歌唱でも字幕付きなのは良かったと思います。
ドイツ人でも、ワーグナーの楽劇はドイツ語字幕付きで見たい…という話しを聞いたことがあるような…。
真偽は定かではありませんが。

指揮:下野竜也
演出:鈴木敬介

【キャスト】
つう:田辺彩佳
与ひょう:大間知覚
運ず:青山貴
惣ど:山下浩司
子どもたち:パピーコーラスクラブ

【管弦楽】読売日本交響楽団
【主なスタッフ】
美術:若林茂熙
照明:吉井澄雄
衣裳:渡辺園子

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2011年11月12日 (土)

マゼール/東響(2011/11/12)

2011年11月12日(土)18:00
テアトロ・ジーリオ・ショウワ

指揮:ロリン・マゼール
東京交響楽団

(創立65周年記念特別演奏会)

ベートーヴェン:交響曲第1番
マーラー:交響曲第1番「巨人」

赤坂から千代田線、代々木上原から小田急線で、新百合ケ丘へ。
第1番&第1番、第1番&第1番…のハシゴ。
私の住まいから新百合ケ丘へ行くには、赤坂を経由する行き方もある。
それならば途中下車しようか…という訳のわからぬ理由付け。
このハシゴ、結果は大吉と出ました。

特に後半の「巨人」は、凄まじい…しかし、爆演ではなく、高度にコントロールされた熱演。
演奏終了直後に舞台袖に入ったマゼールさんは、出迎えたスタッフの方に小さくガッツポーズ。
舞台に呼び戻されると、何度も、何度も、オケに向かって拍手。
会場はブラボーの嵐。
一般参賀(ソロカーテンコール)は1回。

前半のベートーヴェンの交響曲第1番では、このスター指揮者の棒で東響の音がガラリと変わる…というわけではなく、いつも聴く東響のサウンドで、でも、やはりそれなりにパワーアップして立派にマゼールの棒に応えている感じ。
そういう意味では東響の力量もかなりのものと言えるでしょう。
ところどころで「あれ?東響の皆さん、緊張してますかね?」と思う箇所があって(特に第1ヴァイオリン)…でも、聞くところによると、マゼールさん指定の弓使いは結構難しいとのこと。
(プログラム冊子の金子建志さんの解説文が面白いです。)

しかし、この前半のベートーヴェンで「いつもの東響の音がベース」と思った印象は、後半のマーラーでは覆りました。
この「巨人」でのオケの演奏は「いつもの東響を超越した音」と言わざるを得ません。
ベートーヴェンでの木管も十分に見事でしたが、
(オーボエ首席の荒さん、いつものことですが素晴らしいです。)
「巨人」で木管は、いや金管も、いやいや弦も打楽器も、全奏者が絶好調を通り越して「東響からこんな音、聴いたことが無い」状態でした。

テアトロ・ジーリオ・ショウワの音響は、私の席は、直接音がかなり来る場所だったので良かったですが、1階席とかではどう聴こえたのでしょう?
(会場の熱狂を見ると心配ご無用かな?)
基本的にここは歌劇場の設計ですから、舞台の上の反響板は簡素な(たぶんかなり薄っぺらい)もの。
側面の壁も相当に薄い。
そして、密閉されていない、大きな隙間(楽員さんや指揮者が出入りするところ)から見える舞台裏は広大な空間が控えているよう。

音響(と収容人員)の観点から言えば、ミューザで聴きたかった…ということになるのですが、それは今さら言っても仕方がないこと。
この演奏会が、川崎市の支援を得て、こうして実現したことを喜ぶべきでしょう。

会場は満席ではなかったのは、場所が都心から離れていたからでしょうか?
でも、1階の招待席っぽいエリアが結構空いていたのは、まさか川崎の議員さんではないですよね?(あくまでも単なる想像、根拠は全くありません)
あ、すみません。川崎に納税していないのに聞かせていただいて、こんな悪態をついてはいけませんね。

プログラム冊子には、元楽団長の金山茂人さんの文章で、マゼールさんと東響の前回(初回)の共演(1963年、昭和38年)のことが載っています。
金山さんは楽員として演奏していたそうです。
そのときは、楽員さんの緊張でミスが出て、ボロボロだったとか。
それから48年。
今や東響はマゼールの棒に立派に応えられるオケになりました。

ゲルギエフさんが東響を振ったのは2007年でしたね。
あの時はマリインスキー歌劇場管弦楽団の来日の合間でリハーサルがあまり出来ず、確かスダーンさんが下稽古をしたとか。
(演奏会自体は素晴らしかったです。)
それに比べれば、今回のマゼールさんは、一応リハーサル日程をきちんと取れたのでしょう。
この1公演だけで終わるのはもったいないですが、東響にとっては、48年前のリベンジと言うよりも、貴重な、貴重な、将来につながる大きな財産となったことでしょう。

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ラザレフ/日フィル(2011/11/12)

2011年11月12日(土)14:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第635回定期演奏会)
ピアノ:岡田博美

【ラザレフが刻むロシアの魂《season1 ラフマニノフ》】
ショパン:ピアノ協奏曲第1番
ラフマニノフ:交響曲第1番

後半のラフマニノフの交響曲第1番では、ラザレフさん大暴れ。
相当にオケをしごいたことが伺い知れる?演奏。
緩急自在…と言うよりは、急急強引…いや、豪快。
音をたてて足を踏み出す。
指揮台を降りて第2ヴァイオリンとチェロまん前に立って振ったり。
最後はお約束の客席を振り返っての終結。
このラフマニノフのドッカン、ドッカン…は、意地の悪い目で見れば、日フィルとしては、ラザレフのスケールに合わせてかなり背伸びをしている、…いや、させられている感も多少感じられましたが、お仕事モードのつまらない演奏よりも、よほど楽しい。
いや~、本当に面白かったです。

前半のショパンのピアノ協奏曲第1番は、聴いているときは「オケも割りと好調かも」と思っていましたが、後半の、ど迫力の音を聴いた後だと「やっぱり多少伴奏モードだったのかな?」と思ってしまいます。
でも、まあ、ショパンですし…。

後半終了後は、前半のショパンの印象がどこかへ飛んで行ってしまいましたが、過度に感情移入せず、神経質にもならず、中庸の佳演だったのではないでしょうか。
オケも後半に比べればかなり大人しかったとは言え、酷評するほど悪くはなかったと思います。

この日は、私にはかなり珍しく、1階のS席エリアに座りました。
しかし、日頃の習性は身体に刻まれているようで、エスカレーターを上がりそうになるわ、挙句の果てには「あ、P席に空いているところがある。後半に移っちゃおうかな…」と想起したり…。
貧乏性です。

偶然か必然か、1番を2曲並べたプログラム。
私は日フィルの生演奏を聴くのはかなり久しぶりですが、このラフマニノフのシリーズ、続きが聴きたくなりました。

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2011年11月11日 (金)

矢崎彦太郎/東京シティ・フィル(2011/11/11)

2011年11月11日(金)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:矢崎彦太郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第253回定期演奏会
フランス音楽の彩と翳 Vol.18
「失われた音を求めて ― プルースト生誕140年」)
ピアノ:菅野 潤

アーン:ベアトリス・デストゥの舞踏会
ドビュッシー:ピアノと管弦楽のための幻想曲
ドビュッシー:「亜麻色の髪の乙女」
アンコール)
フランク:交響曲ニ短調

矢崎彦太郎さんという指揮者が、東京の聴衆から正当な注目を得ているとは言い難いと思います。
そういう私も、まだ片手で数えられるくらいしか、演奏会で聴いてはいないのですけれど、毎回、驚嘆させられます。
この日も、期待通り、…いや、期待をはるかに上回る素晴らしさ!
超熱演!
あのしなやかな動きは、素人目には鈴木雅明さんの動きと同じくらい音楽的に雄弁に感じられます。
専門家から見れば、フランス音楽の大家と古楽の大家では中味は全然違うのでしょうが…。

後半のフランクの交響曲 が気合い入りまくりの熱い演奏。
矢崎さんが振るとシティ・フィルの音が南欧の太陽の輝きを帯びるから不思議。
矢崎さんのしなやかな動きが熱を帯びてくると、動く…動く…動く!
オケは完全にのせられている!

残念ながら、お客さんの数は多くはありませんでしたが、集まった人達は、おそらく矢崎彦太郎さんを聴きたくて足を運んだ聴衆。
演奏終了後すぐに席を立つ人はあまりいなかったですし、拍手は熱いものでした。

前半も、フランス音楽の粋な面を堪能させてくれる演奏。
冒頭のアーン作曲の曲は、管楽器、打楽器、ピアノ、ハープという編成。
(正団員だけではないですがが)木管が健闘。
オーボエ一番奏者の鷹栖美恵子さんの音はいつ聴いてもきれい。
メンバー表に載っていないフルートの方も素晴らしい音色。

このアーン作曲の曲から弾いていた菅野潤さん独奏のドビュッシーは、印象派の協奏曲はラヴェルだけじゃない!こんな素晴らしい曲があるんだ!…という発見。
まさに“ドビュッシーが書いたような”ドビュッシーの曲。
飯守さんのときとは別のオケのような音…と言ったら言い過ぎでしょうか。

矢崎さんが来シーズンも首席客演指揮者に留任するというのは、本当に嬉しい知らせでした。

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2011/11/29追記:
当日の開場の掲示は「月の光」となっていましたが、後日、東京シティ・フィルのホームページに訂正が出ていて、正しくは「亜麻色の髪の乙女」だったとのことです。

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2011年11月10日 (木)

ボージチ/都響(2011/11/10)

2011年11月10日(木)19:00
サントリーホール

指揮:ヴォルフガング・ボージチ
東京都交響楽団

(第724回定期演奏会Bシリーズ)
ピアノ:フレディ・ケンプ

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
        ~第2楽章
(アンコール)
R.シュトラウス:家庭交響曲

尖っていない、優しさに満ちたモーツァルト。
このウィルヘルム・ケンプの遠縁にあたるというピアニスト。
「ぜひ、ベートーヴェンを聴いてみたい」
…と思ったとたん、アンコールで願いが瞬時にかないました。
そういう色眼鏡で見ることは良くないと思いつつ、この慈しむようなピアノの響きは、懐かしさを感じさせるもの。
ボージチさんの指揮する都響の響きも極上の美しさでした。

そして、この極上の美しさは、大編成にふくれあがった後半も持続しました。
家庭交響曲の最初の音を聴いて思ったのは「ああ、このマエストロと一緒に都響にピットに入ってもらって、ばらの騎士を聴いてみた~い」ということ。
柔和な優しいサウンドは、透明感とはちょっと違って、濁り酒の感覚。
コクがあって旨味がある。
強奏でもうるささ皆無の極上の響き。

リヒャルト・シュトラウスは、個人的には、ちょっと聴き疲れすることが多くて、やや苦手な作曲家なのですが、今日の都響のふんわりとした優しい響きだったら、もっと聴いていたい、いつまでも聴いていたい…。
それでいて聴き終わった後は、十分な充足感を得られた演奏会でした。
都響にしては?お客さんが結構少なくてちょっと意外でしたが、会場は大いに沸いていて、演奏には大満足でした。

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2011年11月 6日 (日)

小川典子&都響メンバー(2011/11/6)

2011年11月6日(日)17:30
東京文化会館小ホール

ピアノ:小川典子
都響メンバー

 ヴァイオリン:双紙正哉
 ヴィオラ:小林明子
 チェロ:清水詩織
 コントラバス:高橋洋太
ナビゲーター:朝岡聡

(東京文化会館50周年記念フェスティバル地域連携企画
「東京文化会館は音盛り。-うえの音楽人フェスティバル-」
小川典子&都響メンバーによる「ます」)

ショパン:幻想即興曲Op.66
シューマン:「こどもの情景」より第7曲「トロイメライ」
リスト:「パガニーニによる超絶技巧練習曲集」より
    第3番「ラ・カンパネラ」
シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」
シューベルト:セレナーデ
(ピアノ五重奏版)(アンコール)

みなとみらいで、もう満腹…なはずなのに、もう一軒寄ってから帰る蛮行…。
横浜からの帰途、上野に寄り道。
かなり…たぶん10年以上…久しぶりの東京文化会館小ホール。
(隣の大ホールにはよく来ています。)
50分のショート・プログラムとの予告でしたが、18:20終演予定が、実際は18:50頃に終演となりましたので、実際には80分くらいかかりました。
元々「ほんとに50分で終わるの?」という曲目ですが、朝岡聡さん(一部、小川典子さんも)のトークもありました。

ショート・プログラムで、入場料も安価。
ハシゴに最適化された演奏会。
もちろん、主催者にその意図は無いと思いますが…。
いや、朝から夜までお祭りのように演奏会が連なるイベントの一環ですから、ハシゴが前提ですかね。
もちろん、みなとみらいからのハシゴは想定していないと思いますが…。

最初は小川典子さんの独奏。
幻想即興曲、トロイメライ、ラ・カンパネラと、一曲ずつ拍手をはさんだとは言え、こうして有名曲を3曲並べてソナタのような効果を出した選曲がまず素晴らしい。
小川さんのピアノの音はメカニックにならず美しい音色。

続く五重奏では、小川さんの力量は当然のこととして、都響メンバーのクオリティに驚嘆!
この優しい音色は、確かに都響定期で聴ける名演と同質のもの。
完全にミニ都響(当たり前ですが…)。
いやはや、こういうレベルの奏者が集まっているんだから、都響のクオリティが高いのは当然ですね。

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テルミカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル(2011/11/6)

2011年11月6日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:ユーリー・テルミカーノフ
サンクトペテルブルグ・
  フィルハーモニー交響楽団

(2011年日本公演)
ピアノ:ルーステム・サイトクーロフ

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ショパン:マズルカ イ短調
(アンコール)
チャイコフスキー:交響曲第5番
エルガー:愛の挨拶
(アンコール)
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」
 ~「小さな4羽の白鳥の踊り」
(アンコール)

みなとみらいのマチネへ。
…と言っても読響ではなく、読響が呼んでくれない!ので、めったに聴かない外来オケに浮気…の第2回。

ラフマニノフのピアノ協奏曲からして、オケからは壮大なスケール、かつ、香しいニュアンスのサウンドが立ち上がります。
ちょっとした“合いの手”くらいの旋律でさえも、実に意味ありげに響く。
本編の協奏曲では、私はP席だったのでオケの音ばかり聴いていましたが、ピアノ独奏のサイトクーロフさんも、アンコールのショパンのマズルカのソロを聴く限りでも、なかなかの音楽性と美しい音色…。
…って、すみません、本当に、オケの音ばかり聴いていたので、ピアノのことはあまり覚えてなかったりして…。

そして後半のチャイコフスキーの交響曲第5番…。
テミルカーノフさんの指揮で、この曲や、チャイコフスキーの交響曲を聴くのは初めてではないのに、もう、圧倒されっ放し。
テミルカーノフさんにしては…と言って良いのかわかりませんが、結構煽り気味?
むせび泣く、大きくうねる、爆発する、高らかに歌う…。
それを例によって指先をちょこちょこっと動かして見事に操る。

そうやって壮大なチャイコフスキーを指先で操っていても、最後の4楽章の、あの、間違って拍手が起きることのある箇所では、右腕をぐるりと大きく回して客席に「まだ続くよ」とさりげなく示したのもさすが。

下野竜也さん曰く(読響のプログラム冊子による)「テミルカーノフさんの指揮、ああ見えて、ものすごく情報量が多いんですよ」とのこと。
確かに、動かないときもあるけど、多くの場合、指先の微細な動きを駆使してオケを操っているのが、P席から見ていて、素人の私にもよくわかりました。

風貌からして魔術師のテミルカーノフさん、魔術のような指さばきでチャイコフスキーを演奏した後、やはり魔術師のように、指揮台の譜面の下から、サッと別の譜面を取り出してアンコール2曲。
愛の挨拶、4羽の白鳥の踊り、もう「見事!」としか言いようがない。
みなとみらいでも一般参賀…ソロカーテンコールがありました。

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2011年11月 5日 (土)

新国立劇場「パゴダの王子」(2011/11/5)

2011年11月5日(土)14:00
新国立劇場

ブリテン:パゴダの王子
(第1幕のみ鑑賞)

忙中閑あり…いや、忙中に閑を作り、初台へ。
この演目、2回目の鑑賞です。
ただしこの日は、所用のため第1幕のみ。
こういう贅沢が出来るのも、オペラと違ってD席が間際まで残っているため。
前回は第1幕の上演中、個人的体調によりかなり眠かったので、その補完にもなりました。

初日とは異なる配役ですが、舞台から受けるビジュアルなイメージは十分統一されていて違和感はありませんでした。
東フィルのサウンドは、初日も十分良かったと思いますが、公演を重ねたことで、より洗練された響きになっていたような気がします。
眠くて目を閉じていた場面も、この日はしっかりと見ることが出来、無行って良かったと思いました。

この後、第2幕、第3幕とさらに面白くなるのはわかっていますし、東フィルの音が初日よりも向上しているようなので去りがたい気持ちが強くなりましたが、無理して行ったのだから仕方ありません。
無理しても…、1幕だけでも…。
「また観たいっ!」素晴らしいプロダクションだと思いましたから。

スタッフ
【振付】デヴィッド・ビントレー
【音楽】ベンジャミン・ブリテン
【美術】レイ・スミス
【照明】沢田祐二
【指揮】ポール・マーフィー
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト:
さくら姫:米沢唯
王 子:菅野英男
女王エピーヌ:本島美和
皇 帝:堀登
北の王:江本拓
東の王:輪島拓也
西の王:福岡雄大
南の王:貝川鐵夫

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2011年11月 4日 (金)

クヮトロ・ピアチェーリ(2011/11/4)

2011年11月4日(金)19:00
王子ホール

クヮトロ・ピアチェーリ
大谷康子(第1ヴァイオリン)
齋藤真知亜(第2ヴァイオリン)
百武由紀(ヴィオラ)
苅田雅治(チェロ)
(第11回定期演奏会
ショスタコーヴィチ・プロジェクト11)

レイ・リァン(1972-):セラシ・フラグメント(2005)
西村朗(1953-):弦楽四重奏曲第2番「光の波」(1992)
ショスタコーヴィチ(1906-75):弦楽四重奏曲第12番(1968)

個人的プロジェクト「行ったことのないホールを減らそう計画」で、この日はなんと王子ホールの初体験。
さすがに主催公演のチケット入手は“一見さん”の私には敷居が高いので、クヮトロ・ピアチェーリ第11回定期演奏会のチケットを入手。
それにしても、気合いの入った選曲です。

前半の2曲の現代音楽は、ともに“理解”して聴けたなどと大それたことはとても言えませんが、十分に“感じる”ことができました。
スゴイ!
これが、現代の弦楽四重奏曲なんだ!
弦楽四重奏という“枠組み”の中でこれだけのことが出来る。
体感的には、その“枠組み”を突破して音がはじける快感。

私はふだんオーケストラばかり聴いているので、弦楽四重奏の現代音楽は、編成がスリムな分、オーケストラで聴く曲よりも、先進性、斬新さ、多様性を感じられ、まだまだ弦楽四重奏という“枠組み”に未来はあると感じました。
大変失礼ながら、西村朗さんの曲を「魅力的!」と感じて堪能したのは2回目です。
(前回は、2011年1月のシュトックハンマー/都響A定期
そういう意味では、素晴らしい演奏だったということでしょう。
古典でも、演奏がつまらなければ、曲の魅力も半減します。
確かに作曲家が一番偉い?のかもしれませんが、演奏の質によって、かなりの印象の違いがあります。
これは、現代音楽でも言えるような気がします。

ちなみに、西村朗さんは予想通り会場に来ていらっしゃいました。
そして、予想に反して、2曲目の演奏前に舞台に呼ばれて、マイクを持ってのトーク。
面白いお話しでした。

さて、後半のショスタコーヴィチは、年代的には交響曲13番と14番の間の曲とのこと。
前半のバリバリの現代音楽の後に聴くとすっかり古典…のはずですが、鋭い切れ味の熱演に目から鱗。
齋藤真知亜さんの弓、「あんなに切れて大丈夫?」と思うくらい切れていました。

19:00開演で20:30過ぎには終演という、時間的には短いプログラムながら、難曲の現代の弦楽四重奏曲に、これがまた、さほど長くはないけど凝縮されたショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。
物足りなさ皆無の、素晴らしい白熱した演奏会でした。

クヮトロ・ピアチェーリ、もしかしたら細部の音の詰めは外来の超一流の弦楽四重奏団には一歩譲るのかもしれません。
(私は最近は生でほとんど聴いていないので実体験無しの推測です。)
でも、国内の弦楽四重奏団でも十分技術的に高いレベルにあり、興奮されてくれる演奏が聴けたということで見直した次第です。

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2011年11月 1日 (火)

テルミカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル(2011/11/1)

2011年11月1日(火)19:00
サントリーホール

指揮:ユーリー・テルミカーノフ
サンクトペテルブルグ・
  フィルハーモニー交響楽団

(2011年日本公演)
ヴァイオリン:庄司紗矢香

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
      BWV1004から「サラバンド」
(アンコール)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
エルガー:エニグマ変奏曲から「ニムロッド」
(アンコール)

読響さんがなかなか呼んでくれないので、めったに聴かない外来オケに浮気。
テミルカーノフさんの、深い、深い、深遠なる音の世界…。

前半の1.75倍くらいに増えた大編成での「春の祭典」、これがまた凄いのなんの。
この曲がこんなに深い、深い、深い音楽だとは!!
そうです、この曲は、神への祈りの曲だったのです。
まるでブルックナーのような春の祭典!
絶妙の弱音のさざめき、咆哮する金管の神々しさ。
掟破りだと思っていた異教徒のための曲が、ブルックナーから連なる神への畏怖に通じた音楽史にすっぽりと収まったような…。

テミルカーノフさんの指揮姿は、いつものように魔術師のよう。
シルクハットをかぶったらよく似合うだろうと思うのも何回目でしょうか。
その魔術師が、手首を軽くひねるとオケの音が大きくうねる。
左手を軽く握ると金管が咆哮する。
なんとも鮮やかな魔術。
しかもそれは、外面的なこけおどしでは無いという…。

普通なら「春の祭典の後にアンコールぅ?しかもエルガーぁ?」と言うかもしれませんが、この日の、こんな深遠なる神に祈る「春の祭典」の後に、またまた深い慈しみに満ちたエルガーの「ニムロッド」は、まさにピッタリの選曲。
涙が出なかったのが不思議なくらいの深い感動。
静かに始まり、大きく高揚し、また静かに終わる、数分間の至福。
テミルカーノフさんのソロ・カーテンコールが1回だけで終わったのが物足りないくらいの幸福感を与えていただきました。

ちなみに、前半も十分に良かったのですが、後半が凄すぎて、ずいぶん昔のことのように思えるくらい。

冒頭の「セヴィリアの理髪師」序曲も、テミルカーノフさんが振ると、なんとも上品な音楽に大変身。
チャイコフスキーのバレエ音楽のような、モルダウ冒頭のような、エルガーのような、…とにかくロッシーニとは思えない品の良さ。

庄司紗矢香さん独奏のメンデルスゾーンの協奏曲も、もしかしたら今まで私が聴いた庄司紗矢香さんの生演奏の中で一番良かったのでは?と思えるくらい。
庄司さんのヴァイオリンは、こすって音を出しているとは思えない、摩擦を全く感じさせない艶やかな美音。
テミルカーノフさんの指揮するオケも、手触りの良いじゅうたんのよう。
その上にふわりと乗って、自在に舞い踊る庄司さんのヴァイオリン。
全く隙が無い細部の磨き上げ。
でも、神経質にならず、伸びやか。
結構、随所で気合いを込めて弾いていましたが、熟成を感じされる音は、熱演と言うよりは名演と言うべきでしょう。
もちろん、この日の庄司さんの音の深さは、テミルカーノフさんに触発された部分もあったのではないでしょうか。

こうして聴いてみると、…失礼、拝聴させていただくと、さすがの読響さんも、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル直系のこのオケには一歩譲ると言わざるを得ないかもしれません。
それでも、やっぱり読響さん、テミルカーノフさんを呼んで下さい。
テミルカーノフさんが振った読響も別格の素晴らしさです。
チケット買って通いますから。

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