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2012年3月25日 (日)

齊藤一郎/セントラル愛知響(2012/3/25)

2012年3月25日(日)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:齊藤一郎
セントラル愛知交響楽団

(第15回地方都市オーケストラ・フェスティバル)
リコーダー:鈴木俊哉
チェロ:多井智紀
箏:野村祐子
尺八:野村峰山

木下正道:「問いと炎II」リコーダー・チェロとオーケストラの為の(世界初演)
水野みか子:レオダマイア~尺八、箏と管弦楽のための~(管弦楽版世界初演)
J.S.バッハ(野平一郎編曲):ゴルトベルク変奏曲(東京初演)

曲が曲だけに、聴衆の数が多かったとは言えません。
しかし、拍手は暖かい、熱いものでした。

プレトークで斉藤さんが「東京にはオーケストラが(ニューシティ、ユニフィルも入れて)たくさんあります。そこへ私たちが来て演奏するときに、ベートーヴェンだ、ブラームスだ、というわけにはいかないと思いました。」と言うようなことをおっしゃっていました。
確かに、意気込みを感じる意欲的な3曲。
特にゴルトベルク変奏曲の管弦楽版は、次にいつ聴けるか?…という機会だと思いました。
神奈川県民ホールで、福井敬さんの出る方の組の「タンホイザー」との二者択一で迷いに迷い、タイムリミットまで迷い、結局「トリフォニーから動かなくて良いから」という理由でしか選択できませんでしたが(「タンホイザー」2日目の大評判はネット上を飛び交っておりますが)、我が身はひとつ。
こちらを選んで悔いはない(どちらを選んでも悔いはなかったと思いますが)素晴らしい体験でした。

1曲目の木下正道さんの曲は、特殊奏法を駆使し、絞り出すような音響の連続。
公開リハーサルは1階席で聴いたのでわかりませんでしたが、本番で座った席から見下ろすと、確かにオケが7群に別れて配置されています。
隙間は詰めていなくて、空けてありました。

2曲目の、箏:野村祐子さん、尺八:野村峰山さんは御夫婦とのこと。
水野みか子さんの曲は、かなりシンフォニックな響き。
楽器の限界に挑むような箇所は少なく、多層的だが均質的。
そこに加わる邦楽器は絶妙のアクセントです。しかし、こういうバリバリの現代曲を弾かされる邦楽器奏者のお二人、準備は大変だったでしょう。

この2曲の初演曲を悠然と振っていたように見えた指揮者の斉藤さんは、2曲とも指揮を終えると大汗を拭っていました。
舞台上の全員が集中力でこれらの難曲を「聴かせる」「音楽」としてホールに響かせたのは見事!
きっと準備は大変だったのでしょう。
2曲とも、現代曲なのに、会場の拍手は暖かいものでした。
ブラボーの声もかかっていました。

さて、休憩後は、いよいよ、野平一郎さんの編曲による、ゴルトベルク変奏曲の管弦楽版です。
先週の「室内楽コンサート」で指揮者の斎藤さんが「ストコフスキー編曲のバッハとは全然違いますよ」と語っていましたが、本当に全然違う。
ハイビジョン3D映像とモノクロ・フィルムの違いくらい違う。
音の粒子が多いのなんの。
体感的にはウェーベルン編…を巨大にした感じに近いかもしれません。
ブランデンブルク協奏曲の複雑さを維持したままフルオーケストラに拡大したものよりも、まだ複雑…という雰囲気。
聴いていて、編曲したという違和感は全くありません。
しかし、再創造と言って良いほど手が込んでいて、ところどころ、ムクムクっと暗雲が立ち込め、さながらベリオのレンダリングのようになるのも面白い。
暗雲はベリオほど長くは続かないですが。
変奏に巻き込まれ、あれよあれよと驚いているうちに、アリアが回帰し、はっと我にかえるのは原曲と同じですが、聴き疲れ感はかなり違う。
楽しくてわくわくする体験でしたが、聴き終わった後は、少し疲労感を感じました。
本当に音が多かった。
ある楽器に着目していると、違う楽器も結構重要な音を奏でていて、多少目が回る感もありました。
そういう意味では、野平さんの編曲、凄い、現代音楽と言って良いのでしょう。
斎藤さんは右手で指揮しながら、左手で汗を拭く場面もありました。
終演後も大汗を拭っていました。

3曲とも、演奏終了後に作曲者(野平さんも作曲者と言って良いでしょう!)が舞台上で聴衆の拍手を受けるという同時代性。
こういう路線を続けるのは経済的に大変かもしれませんが、オーケストラの明確な個性と言う意味では、素晴らしいと思います。

20120325_2

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