« 齊藤一郎/セントラル愛知響(2012/3/25) | トップページ | インバル/都響(2012/3/29) »

2012年3月27日 (火)

秋山和慶/広響(2012/3/27)

2012年3月27日(火)19:00
すみだトリフォニーホール
 

指揮:秋山和慶
広島交響楽団

(第15回 地方都市オーケストラ・フェスティバル)
チェロ:マーティン・スタンツェライト

エルガー:チェロ協奏曲
カザルス編:カタルーニャ民謡「鳥の歌」
(アンコール)
ブリテン:イギリス民謡組曲「過ぎ去りし時‥」
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム
エルガー:行進曲「威風堂々」第5番
(アンコール)

私は個人的には、秋山さんにもっと東響定期を振ってほしいのですが、我が国の音楽界の全体最適を考えた場合、秋山さんが広島や九州にポストを得ていることは、良いことなのでしょう。
この日の演目は、広島で演奏した曲を持ってきたのではなく、東京公演だけのためにセットアップされたプログラムとのことです。

一曲目のソロのスタンツェライトさんは広響の首席奏者とのこと。
ソリスト並みの堂々たるチェロ。
よくぞこんな方を首席奏者に…。
オケの音は「今の秋山/東響だったらこうは鳴らないだろう」と思ってしまいますが、秋山さんの棒に食らいつくように反応して、ストレートに音が出て来るあたりは、「80年代の秋山/東響」っぽいかもしれません。

秋山和慶さんが東響以外のオケを振るのを、私は生でそれほど多くは聴いてはいませんが、総じて東響よりも音がシャープに出る傾向があるように思います。
昨年12月の読響定期しかり、この日の広響の東京公演もしかり。
先述のように「80年代の秋山/東響」を聴いているようで楽しいのですが、つい先日の東響定期でのスクリャービンの圧倒的名演を思い起こすと、今の東響には、あの秋山さんの細かい棒の「行間」をすら、読み取る力があるのでは?…と思えてきます。

閑話休題。

首席奏者のスタンツェライトさんは、協奏曲の後のアンコールに「鳥の歌」を弾きました。
エルガーの後にこの曲は、バッハの無伴奏などよりも、はるかにふさわしい曲のように思いました。
一音一音をないがしろにせず、魂を込めて弾かれた祈りのような演奏でした。

後半1曲目のブリテン、イギリス民謡組曲は、曲集としての統一感はあまり感じられず、むしろ、様々なスタイルの曲を寄せ集めた印象。
バラエティに富んだ曲調の変化が魅力かもしれません。
秋山さんの棒にストレートに反応する広響の演奏スタイルが長所として出た印象。
こういう、割りと珍しい部類の曲を携えて上京する意気込みには拍手!

シンフォニア・ダ・レクイエムは、曲自体が入魂の作で、それを広島のオケが演奏する意義をこじつけたくなりますが、選曲にはそれなりの意図があったことは事実でしょう。
演奏も冒頭から気合いの大迫力。
最後の静かな部分では、さすがに音色と緊張感の持続に多少課題ありの感もありましたが、よくぞこの曲を持ってきて下さいました。
入魂のこの曲を、入魂のこの演奏で聴くと「さすがは大作曲家ブリテン!ショスタコーヴィチくらい人気が出ても良いのでは?」と思えてきます。
そして、大傑作であるけれど「確かに祝典にはふさわしくないですよね…」と、当時の我が国の対応、心情も理解せざるを得ません。
でも、この曲が人類の宝として残されたことに、経緯はどうあれ、我が国が関与したことは、…。
う~ん、なんとも複雑な…。

アンコールは威風堂々第5番。
エルガー、ブリテン2曲、エルガーという、一貫して英国で貫かれたプログラム。
東響の方が格上であることは動かしがたい事実で、たぶん秋山さん在任中に覆ることはないだろうとは思いますが、秋山さんの棒にストレートに反応するあたりは、東響とは違う魅力として味わうべきでしょう。
そして、この日の演奏、全奏者が相当気合いを入れて演奏していたのが見てとれましたが、爆演にならず、乱暴にならず、緊密なアンサンブルを保持したことは、将来への希望が持てる演奏だったと思います。

会場でいただいた、広島での定期演奏会のパンフレットで、秋山さんが指揮する曲を見ると、広島まで聴きに行きたくなります。

Img_1155

|

« 齊藤一郎/セントラル愛知響(2012/3/25) | トップページ | インバル/都響(2012/3/29) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214768/54326225

この記事へのトラックバック一覧です: 秋山和慶/広響(2012/3/27):

« 齊藤一郎/セントラル愛知響(2012/3/25) | トップページ | インバル/都響(2012/3/29) »