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2012年3月 7日 (水)

スクロヴァチェフスキ/読響(2012/3/7)

2012年3月7日(水)19:00
サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

(第513回定期演奏会)

ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
ブルックナー:交響曲第3番

驚いたことに、この老巨匠は、前回よりも、まだ「進化」を続けています(たぶん)。
いや「深化」と言った方が適切かもしれません。

この日は、たいした量の仕事はしていないのに、神経を使う仕事があったため、気疲れして、ぐったり。
この全身の疲れを癒すのには、ショスタコーヴィチとブルックナーが良いのではないかと思ったのですが…。
行ってみたら、そこはパワースポットでした。
神が降臨し、魂を洗われて、帰宅したら疲れはすっかりとれていました。
信者の集会。
約1名、場違いな拍手を懲りずに2回していましたが…。

ショスタコーヴィチの交響曲第1番で、まろやかな響きに驚きます。
ふわっと立ち上がる豊穣なサウンド。
軽くはなく、艶やか、かつ深いサウンド。
時折見せる鋭い音は慣れ親しんだスクロヴァチェフスキ・サウンド。
しかしそこが際立つことはなく「全体」の「部分」をなしています。
刺激的でない…いや、鋭い音もあったのですが…円熟の極みのような若き時代のショスタコーヴィチの作品。
いやー、大作曲家だけあって、若くして凄い(深い)曲を書いたものですね。
そういう側面を見せてくれたスクロヴァチェフスキさんにも感服です。

後半のブルックナーの交響曲第3番は、一歩一歩、山を登るように歩み、第1楽章の途中で、パッと眺望が開ける
。あ、頂上に出ちゃった、この後どうするんだろう?
…心配無用でした。
峰を歩み、少し下ったり、平らなところを歩んだり、また登り、何度も何度も頂点を極めたり…。
ショスタコーヴィチでもそうでしたが、結構、緩急をつけたりしているのですが、作為的に感じるところは皆無で、何の不自然もなく流れます。
昔ながらの若々しく、多少荒々しいスクロヴァチェフスキさんの側面もあるのですが、磨き上げられた、ふわっと立ち上がって、あっという間にホール空間に充満する香しい音の印象が強い。

スクロヴァチェフスキさんは、やはり多少歳をとったのか(いや、もちろん近年は、もともと歳はとっていたのですが)出入りの際の歩くスピードは少し遅くなったかな?
でも、ずっと背筋を伸ばして立ちっぱなしで指揮をしましたし、2曲とも暗譜でした。
手の動作は全く衰えていない印象。
お疲れモードだった私は、はるかに高齢の老巨匠からパワーをもらいました。

欲を言えば、弱音部での金管の音色がもう少し…という気もしないでもありませんが、あの演奏、あの神々しい時間と空間に対して、やっぱりそれは、欲ばりというものでしょう。

“信者の集会”だと知らずに来て、曲が終わるやいなや拍手を始め、誰も追従せず、いったん拍手を止めざるを得なくなった方、約1名。
前半で懲りたかと思ったら後半でも同じことを…。
しかし会場の空気は寛容だったかもしれません。
仕方ない奴だなぁ…。
でも、凄演だったからまあいいか…。
意外と、フライングに対して時折感じる、殺気だった空気はなかったような気がしました。

20120307

追記(2012/3/11):
音楽評論家・東条碩夫先生のブログ
「東条碩夫のコンサート日記」のこの演奏会に関する記事へのリンク

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コメント

ブルックナーの3番、好きな曲なのでとても楽しみにしていました。ホルンには何度も苦笑いさせられましたが、全体としては意外なほど(ミスターSの急速な緩急や独自のスコア改訂もさほど気にならずに)自然な流れの音楽で、満足でした。・・・あぁ、フライング拍手さえなければ。二度やるなんて犯罪です。私は心が狭いので、とっ捕まえて出禁にしてやりたい。演奏後の静寂も「音楽」だと思うのですが。この翌々日、スピノジ=新日本フィルのフォーレ・レクイエムを聴いて、改めてそのことを実感しました。心を打つコンサートでした。

投稿: 黒猫 | 2012年3月10日 (土) 22時57分

黒猫さま
コメントをいただき、ありがとうございました。
本文中に追記しましたが、音楽評論家・東条碩夫先生も、ブログで嘆いていらっしゃいますね。
私も、気にならなかったわけでは全くなく、「あちゃー」と思いましたが(まさか2度目もやるとは…)、「嫌なことは脳内から消して、素晴らしかった演奏のことだけを覚えておきたいな」と思っております。

投稿: 稲毛海岸 | 2012年3月11日 (日) 09時20分

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