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2012年3月の24件の記事

2012年3月30日 (金)

インバル/都響(2012/3/30)

2012年3月30日(金)19:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(都響スペシャル)
メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール:ロバート・ギャンビル

マーラー:亡き子をしのぶ歌
マーラー:大地の歌

一般参賀、この日は2回。
退団される楽員さんへの花束贈呈もあって、会場は熱狂の嵐!!
オケのメンバーが引き上げた後の舞台に2回呼び戻された指揮者と独唱者。
その後ろの方では、退団する楽員さんがメンバーから握手攻めに。
そこへ歩み寄る指揮者と独唱者。
先日のスクロヴァチェフスキさんと読響の演奏会でも思ったのですが、退団される楽員さん、さみしいことは確かですが、場内総立ちで熱狂的な一般参賀が繰り広げられる、こんな演奏で最後を飾れたのは、幸せな気持ちなのではないでしょうか?
涙よりも、満面の笑顔こそが似合う、ラストステージだったのでは?。

この日の席は、前日と同じP席ですが、位置関係が昨日とはかなり違うので、声も比較的よく聴こえました。
ハジの方で前方だったので、たぶん、直接音と壁からの反射音が多かったものと思われます。
亡き子をしのぶ歌では、歌唱の起伏が昨夜よりもはるかに多く感じられました。
これは素晴らしい!
1階S席エリアの皆さんの大盛り上がりの気持ちが、昨夜よりもよくわかります。

大地の歌で、昨夜の私の席の位置では、口をパクパクさせているようにしか見えなかったテノールも、気迫の熱唱であったことが本日判明!
位置的にメゾソプラノ優位の場所でしたが、1階S席エリアで聴いたら、おそらく対等だったことでしょう。
昨夜は夢中で聴いていたのであまりわからなかったのですが、本日、比較的冷静に聴いていると、オケの皆さん、平然と…、淡々と…、難なく弾いているようでいて、表情付けやアクセントがめちゃくちゃ細かい。
それなのに音楽としては大河の流れ。

私は昨夜よりも冷静に聴いていたにもかかわらず、昨夜よりも興奮したのは、席の位置、2日目の演奏、退団される楽員さんなど、様々な要素があったと思します。
1階S席の皆さんの熱狂は、少し羨ましかったです。
しかし、この熱狂の空間に居合わせたことは、望外の喜びです。

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2012年3月29日 (木)

インバル/都響(2012/3/29)

2012年3月29日(木)19:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第731回定期演奏会Bシリーズ)
メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール:ロバート・ギャンビル

マーラー:亡き子をしのぶ歌
マーラー:大地の歌

インバルさんと都響によるマーラー・ツィクルス2012が9月に始まりますが、実質的にはこの日が初日でした。
これ以上ないような素晴らしい幕開け!
初心者で申し訳ありませんが、「大地の歌」の曲の素晴らしさは、私はこの日になってようやく、初めてわかったかもしれません。

終演後は、オケが引き上げた後の“一般参賀”。
インバルさんと歌手のお二人、3人揃ってのトリオ・カーテンコール(と言うのでしょうか??“ソロ”・カーテンコールではないですしね。)。

一曲目のフェルミリオンさん独唱の「亡き子をしのぶ歌」は、私は、さほど聴き込んでいる曲ではないのですが、オーケストラ・パートが完璧に磨き上げられています。
声の方は、私はP席で聴いていましたので、方向がハンディ大。
しかし、無理して声を張り上げている様子はなく、情感込めて、後方にもかなり響く余裕の声量だったと思います。

後半の大地の歌も、同じくP席で聴いていると、方向的には歌手の声には大きなハンディ。
テノール < メゾ・ソプラノ < オケ、これは致し方ない。
仮に、P席の中でも、横方向に移動したら、音響的に、メゾ・ソプラノ < テノールになっていたかもしれません。
歌手が舞台裏で歌っているかのように聴こえてしまうのはP席の宿命。
でも全く不満なし。
さながら「大地の歌」リアル・カラオケ状態の音響ですが、そのカラオケ(失礼!)の見事なこと!!
プログラム冊子には、“交響曲”「大地の歌」との記載ですが、P席で聴くと、これはもう交響曲以外の何者でもない。
凄い音が鳴っているのですが、熱演でも爆演でもなく、オケの皆さん、平然と弾いている様子。
インバルさんもちっとも力んでいなくて、冷静に、ひょうひょうと合図を出す。
それがこんな音に成る(鳴る)のだから、このコンビの相性は凄過ぎます!

この日は、私の近くの席の人の鼻息が耳障りでした。
普通ならそういうときは集中力をそがれ、怒り心頭に発するところなのですが、なぜかそんなことにはならず、かなり演奏に惹きつけられ、堪能していました。
私みたいな心の狭い人間でも。
…と言うことは、演奏が凄過ぎたと言うことかもしれません。

P席で聴く、リアル・カラオケ状態の大地の歌。
マイク乱立で、おそらくCD化されるのでしょうが、CDではこの日の私の体感、リアル・カラオケ状態は味わえないでしょう。
いや歌手のお二人も良かったですよ。
特に、私の席の位置からだと、メゾ・ソプラノのフェルミリオンさん。
「正面で聴きたいっ!」と思いましたから。

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2012年3月27日 (火)

秋山和慶/広響(2012/3/27)

2012年3月27日(火)19:00
すみだトリフォニーホール
 

指揮:秋山和慶
広島交響楽団

(第15回 地方都市オーケストラ・フェスティバル)
チェロ:マーティン・スタンツェライト

エルガー:チェロ協奏曲
カザルス編:カタルーニャ民謡「鳥の歌」
(アンコール)
ブリテン:イギリス民謡組曲「過ぎ去りし時‥」
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム
エルガー:行進曲「威風堂々」第5番
(アンコール)

私は個人的には、秋山さんにもっと東響定期を振ってほしいのですが、我が国の音楽界の全体最適を考えた場合、秋山さんが広島や九州にポストを得ていることは、良いことなのでしょう。
この日の演目は、広島で演奏した曲を持ってきたのではなく、東京公演だけのためにセットアップされたプログラムとのことです。

一曲目のソロのスタンツェライトさんは広響の首席奏者とのこと。
ソリスト並みの堂々たるチェロ。
よくぞこんな方を首席奏者に…。
オケの音は「今の秋山/東響だったらこうは鳴らないだろう」と思ってしまいますが、秋山さんの棒に食らいつくように反応して、ストレートに音が出て来るあたりは、「80年代の秋山/東響」っぽいかもしれません。

秋山和慶さんが東響以外のオケを振るのを、私は生でそれほど多くは聴いてはいませんが、総じて東響よりも音がシャープに出る傾向があるように思います。
昨年12月の読響定期しかり、この日の広響の東京公演もしかり。
先述のように「80年代の秋山/東響」を聴いているようで楽しいのですが、つい先日の東響定期でのスクリャービンの圧倒的名演を思い起こすと、今の東響には、あの秋山さんの細かい棒の「行間」をすら、読み取る力があるのでは?…と思えてきます。

閑話休題。

首席奏者のスタンツェライトさんは、協奏曲の後のアンコールに「鳥の歌」を弾きました。
エルガーの後にこの曲は、バッハの無伴奏などよりも、はるかにふさわしい曲のように思いました。
一音一音をないがしろにせず、魂を込めて弾かれた祈りのような演奏でした。

後半1曲目のブリテン、イギリス民謡組曲は、曲集としての統一感はあまり感じられず、むしろ、様々なスタイルの曲を寄せ集めた印象。
バラエティに富んだ曲調の変化が魅力かもしれません。
秋山さんの棒にストレートに反応する広響の演奏スタイルが長所として出た印象。
こういう、割りと珍しい部類の曲を携えて上京する意気込みには拍手!

シンフォニア・ダ・レクイエムは、曲自体が入魂の作で、それを広島のオケが演奏する意義をこじつけたくなりますが、選曲にはそれなりの意図があったことは事実でしょう。
演奏も冒頭から気合いの大迫力。
最後の静かな部分では、さすがに音色と緊張感の持続に多少課題ありの感もありましたが、よくぞこの曲を持ってきて下さいました。
入魂のこの曲を、入魂のこの演奏で聴くと「さすがは大作曲家ブリテン!ショスタコーヴィチくらい人気が出ても良いのでは?」と思えてきます。
そして、大傑作であるけれど「確かに祝典にはふさわしくないですよね…」と、当時の我が国の対応、心情も理解せざるを得ません。
でも、この曲が人類の宝として残されたことに、経緯はどうあれ、我が国が関与したことは、…。
う~ん、なんとも複雑な…。

アンコールは威風堂々第5番。
エルガー、ブリテン2曲、エルガーという、一貫して英国で貫かれたプログラム。
東響の方が格上であることは動かしがたい事実で、たぶん秋山さん在任中に覆ることはないだろうとは思いますが、秋山さんの棒にストレートに反応するあたりは、東響とは違う魅力として味わうべきでしょう。
そして、この日の演奏、全奏者が相当気合いを入れて演奏していたのが見てとれましたが、爆演にならず、乱暴にならず、緊密なアンサンブルを保持したことは、将来への希望が持てる演奏だったと思います。

会場でいただいた、広島での定期演奏会のパンフレットで、秋山さんが指揮する曲を見ると、広島まで聴きに行きたくなります。

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2012年3月25日 (日)

齊藤一郎/セントラル愛知響(2012/3/25)

2012年3月25日(日)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:齊藤一郎
セントラル愛知交響楽団

(第15回地方都市オーケストラ・フェスティバル)
リコーダー:鈴木俊哉
チェロ:多井智紀
箏:野村祐子
尺八:野村峰山

木下正道:「問いと炎II」リコーダー・チェロとオーケストラの為の(世界初演)
水野みか子:レオダマイア~尺八、箏と管弦楽のための~(管弦楽版世界初演)
J.S.バッハ(野平一郎編曲):ゴルトベルク変奏曲(東京初演)

曲が曲だけに、聴衆の数が多かったとは言えません。
しかし、拍手は暖かい、熱いものでした。

プレトークで斉藤さんが「東京にはオーケストラが(ニューシティ、ユニフィルも入れて)たくさんあります。そこへ私たちが来て演奏するときに、ベートーヴェンだ、ブラームスだ、というわけにはいかないと思いました。」と言うようなことをおっしゃっていました。
確かに、意気込みを感じる意欲的な3曲。
特にゴルトベルク変奏曲の管弦楽版は、次にいつ聴けるか?…という機会だと思いました。
神奈川県民ホールで、福井敬さんの出る方の組の「タンホイザー」との二者択一で迷いに迷い、タイムリミットまで迷い、結局「トリフォニーから動かなくて良いから」という理由でしか選択できませんでしたが(「タンホイザー」2日目の大評判はネット上を飛び交っておりますが)、我が身はひとつ。
こちらを選んで悔いはない(どちらを選んでも悔いはなかったと思いますが)素晴らしい体験でした。

1曲目の木下正道さんの曲は、特殊奏法を駆使し、絞り出すような音響の連続。
公開リハーサルは1階席で聴いたのでわかりませんでしたが、本番で座った席から見下ろすと、確かにオケが7群に別れて配置されています。
隙間は詰めていなくて、空けてありました。

2曲目の、箏:野村祐子さん、尺八:野村峰山さんは御夫婦とのこと。
水野みか子さんの曲は、かなりシンフォニックな響き。
楽器の限界に挑むような箇所は少なく、多層的だが均質的。
そこに加わる邦楽器は絶妙のアクセントです。しかし、こういうバリバリの現代曲を弾かされる邦楽器奏者のお二人、準備は大変だったでしょう。

この2曲の初演曲を悠然と振っていたように見えた指揮者の斉藤さんは、2曲とも指揮を終えると大汗を拭っていました。
舞台上の全員が集中力でこれらの難曲を「聴かせる」「音楽」としてホールに響かせたのは見事!
きっと準備は大変だったのでしょう。
2曲とも、現代曲なのに、会場の拍手は暖かいものでした。
ブラボーの声もかかっていました。

さて、休憩後は、いよいよ、野平一郎さんの編曲による、ゴルトベルク変奏曲の管弦楽版です。
先週の「室内楽コンサート」で指揮者の斎藤さんが「ストコフスキー編曲のバッハとは全然違いますよ」と語っていましたが、本当に全然違う。
ハイビジョン3D映像とモノクロ・フィルムの違いくらい違う。
音の粒子が多いのなんの。
体感的にはウェーベルン編…を巨大にした感じに近いかもしれません。
ブランデンブルク協奏曲の複雑さを維持したままフルオーケストラに拡大したものよりも、まだ複雑…という雰囲気。
聴いていて、編曲したという違和感は全くありません。
しかし、再創造と言って良いほど手が込んでいて、ところどころ、ムクムクっと暗雲が立ち込め、さながらベリオのレンダリングのようになるのも面白い。
暗雲はベリオほど長くは続かないですが。
変奏に巻き込まれ、あれよあれよと驚いているうちに、アリアが回帰し、はっと我にかえるのは原曲と同じですが、聴き疲れ感はかなり違う。
楽しくてわくわくする体験でしたが、聴き終わった後は、少し疲労感を感じました。
本当に音が多かった。
ある楽器に着目していると、違う楽器も結構重要な音を奏でていて、多少目が回る感もありました。
そういう意味では、野平さんの編曲、凄い、現代音楽と言って良いのでしょう。
斎藤さんは右手で指揮しながら、左手で汗を拭く場面もありました。
終演後も大汗を拭っていました。

3曲とも、演奏終了後に作曲者(野平さんも作曲者と言って良いでしょう!)が舞台上で聴衆の拍手を受けるという同時代性。
こういう路線を続けるのは経済的に大変かもしれませんが、オーケストラの明確な個性と言う意味では、素晴らしいと思います。

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室内楽「群響」(2012/3/25)

2012年3月25日(日)13:00
すみだトリフォニーホール(小ホール)

第15回地方都市オーケストラ・フェスティバル
室内楽コンサート「群馬交響楽団」

第1ヴァイオリン:水谷 晃(コンサートマスター)
第2ヴァイオリン:秋葉美果(第2ヴァイオリン首席奏者)
ヴィオラ:加藤大輔
チェロ:長瀬夏嵐
クラリネット:野田祐介
(クラリネット第一奏者)

ハイドン:弦楽四重奏曲Hob.III-79
モーツァルト:クラリネット五重奏曲イ長調K.581
モーツァルト:クラリネット五重奏アレグロ変ロ長調
(アンコール)

こちらも抽選に当選しました。
無料です。

よくある開演前のロビー・コンサートみたいな軽い気持ちで入場したのですが、意外や意外、驚きのクォリティ、真剣勝負。
やはりわが国では、難関を突破してオケの首席奏者として採用された若手の演奏家の皆さんの力量は、あなどれないものがあります。
(これは群響だけでなく、都響でも感じましたし。)

ふだん同じオケで弾いている響きの同質性は室内楽でも不可欠の要素。
そこに、ふだん指揮者にしごかれて知っているスケールの大きさ、アグレッシブな姿勢が加わる。
私はふだん群響をあまり聴かないのでわかりませんが、群響のリピーター・リスナーなら「ミニ群響」と思ったのではないかと想像しました。
(これは群響だけでなく、都響でも感じましたし。)

このメンバーによる四重奏、五重奏、もっと聴いてみたい!!
こんなクオリティの高い演奏を無料で聴かせていただいて申し訳ないくらいです。

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齊藤一郎/セントラル愛知響公開リハーサル(2012/3/25)

2012年3月25日(日)11:00
すみだトリフォニーホール

指揮:齊藤一郎
セントラル愛知交響楽団

(第15回地方都市オーケストラ・
フェスティバル公開リハーサル)
リコーダー:鈴木俊哉
チェロ:多井智紀
箏:野村祐子
尺八:野村峰山

木下正道:「問いと炎II」リコーダー・チェロとオーケストラの為の(世界初演)
水野みか子:レオダマイア~尺八、箏と管弦楽のための~(管弦楽版世界初演)

抽選に当選しました。
無料です。

最初に斉藤さんが「木下さんの曲はオケが7群に分かれています」と解説。
弦楽1、2、木管1、2、金管、打楽器、チェレスタとハープ。
ゲネプロだけあって、全曲通し。
その後、客席で聴いていた作曲の木下さんが譜面を持ってステージに上がり、「ここはこうして下さい」というようなお願いを何カ所も。
演奏のし直しはなくて、この曲はこれでリハーサル終了。

終了後は通常のオケの並びに配置転換、7~8分。

2曲目は水野みか子さんの曲。
この曲は何箇所か止めてやり直し。
全曲通した後も、作曲家の水野さんが何か言う前に、指揮者が指示して一部やり直し。
その後、同様に客席で聴いていた水野さんからのお願い。
こちらはそれほど多くない。
逆にオケのメンバーから質問が出たりしていました。

指揮の齊藤一郎さんの要所での解説、配置転換中の事務局の方のお話しも面白い。
1年前の中止になった演奏会の曲目で、1年越しの世界初演。
木下さんの曲は、当初演奏しようとした「問いと炎」(I?)に読経が入っており、お坊さんに出演を依頼したら「お彼岸はかき入れ時なので」と断られたとのこと。
それで木下さんが「じゃあ、もう一曲書くよ」と言って書いたのが、この日に初演する「問いと炎II」とのこと。
初演間際に完成した野平一郎さんのゴルトベルク変奏曲も、この1年、加筆あり。
指揮者の総譜の読み込みも万全とのことでした。

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2012年3月24日 (土)

神奈川県民ホール「タンホイザー」(2012/3/24)

2012年3月24日(土)14:00
神奈川県民ホール

ワーグナー:タンホイザー
≪びわ湖ホール・神奈川県民ホール・東京二期会・京都市交響楽団・
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演≫

キャストは(こういう言い方は大変失礼で申し訳ないのですが)福井敬さんが出演しない方の組。
しかし、女声陣の方は、佐々木典子さんに、並河寿美さんと、申し分なし。

第1幕での印象。
びわ湖公演で音楽評論家・東条碩夫先生のブログで酷評された男性歌手陣は危惧していましたが、修正されたのか、今日はさほどのことはなくて一安心。
でも「明日のキャストの福井敬さんだったら…」と思ってしまうのは私の個人的嗜好ではありますが…。
ヴェーヌス役の並河寿美さんはやはりさすが。
声にハリと艶があります。
オーケストラは「さすがは沼尻さんの指揮!」「神奈川フィルにしてはかなり頑張っている!」とは思いましたが「もう少し音に艶があれば…」という思いもしないでもない。
県民ホールは3階席後方でも舞台もピットも見やすくて好きなのですが、例によって空調(?)の暗騒音は多少気になります。
舞台装置は色彩感があまりなく、淡い色はついているが水墨画みたい。
背景は「板に描いた絵」っぽい。

しかし、第2幕の舞台装置は、打って変わり、写実的。
豪華なはずの内装(?)は「模型」っぽい感もありましたが、まずまず。
合唱が第1幕よりも迫力と凝集のハーモニーとして迫ってきたのは、この舞台装置が反響板になったから??
それとも??
第2幕から登場のエリザベート役の佐々木典子さん、迫力は凄い。
存在感あり。
しかし、多少「絶叫」調に感じた箇所もあったように感じたのは私の気のせい?
男声歌手陣、悪くはないのですが「明日のキャストだったら…」という思いはやはり残ります。
ピットの神奈川フィルは「欲を言えば…」という箇所はもちろんありますが、まあ、ここまで沼尻さんの棒に反応してくれれば文句は言うまい…と思いました。
プロンプター・ボックスから何度も合図を出す手が出るのが見えるのはかなり気になります…。

第3幕は再び水墨画みたいな舞台装置。
視覚的には混とんとした印象ですが、音楽のパワーは強い。
第3幕が私的には一番良かったかもしれません。
エリザベートの佐々木典子さん、第3幕は万全。
ヴェーヌス役の並河寿美さんも万全。
タンホイザーも第3幕が一番良かったように感じました。
しかし、やはり主役は沼尻さんとプロンプターさんだったような…。

途中、いろいろな思いはありましたけど、最終幕が良ければ全て良し…ということにしておきましょう。
ピットの神奈川フィルが無欠点だったとは口が裂けても言えませんが、沼尻さんの棒にこれだけ反応してくれれば、私としては十分です。
不満はありません。

明日のキャストはもっと凄いのかなぁ…と思いつつ、後味は悪くないタンホイザーでした。

ところで、この上演、PAはどの程度使っているのでしょうか??
部分的に使うのは新国立劇場でも珍しくありませんが、音楽評論家・東条碩夫先生のブログで、2010年3月27日、同じ県民ホールの「ラ・ボエーム」について、
> 第1幕では、各歌手とも声が異様に遠く聞こえ、
> しばしばオーケストラにかき消されることがあったが、
> 如何なる魔術を使ったのか、後半はよく聞こえるようになった。
と書かれていたのが、ずっと気になっていました。

キャスト
ヘルマン:大澤建
エリーザベト:佐々木典子
タンホイザー:福井敬
ヴォルフラム:大島幾雄
ヴァルター:岡田尚之
ハインリヒ:大野光彦
ビテロルフ:加賀清孝
ラインマル:鹿野由之
ヴェーヌス:並河寿美
牧童:福永修子
4人の小姓:岩川亮子、栗原未和、田中千佳子、本田華奈子
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

スタッフ
指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ
舞台装置・映像デザイン:ギュンター・シュナイダー=ジームセン
            ジェームズ・ムルダー
            アレクサンダー・シュナイダー=ジームセン
衣裳デザイン:ウォルター・マホーニー 
タンホイザー舞台装置製作:サンディエゴ・オペラ・シーニック・スタジオ
照明:マリー・バレット
音響:小野隆浩
舞台監督:八木清市

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2012年3月23日 (金)

インバル/都響(2012/3/23)

2012年3月23日(金)19:00
東京文化会館

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第730回定期演奏会Aシリーズ)
チェロ:宮田大

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番

凄まじい演奏、凄まじい曲。
上野にしては珍しく(?)、“一般参賀”になりました。

ショスタコーヴィチの、このいびつな時間構成の…いや、いびつなのは時間だけではない、この交響曲は、まるでインバルさんと、都響と、東京文化会館の音響を念頭に書かれた曲であるかのように思えてきます。
第1楽章では、鉄のカーテンがスキップしながら突進してくる幻覚を覚えるような、のけぞりたくなる不気味な音の塊の連続、容赦なし。

最終楽章は、何度も、何度も、何度も、繰り返し、繰り返し、ナイフでえぐられるような、おどろおどろしい瞬間の連続。
低弦のうねり、ヴァイオリンやフルートの絶叫、金切り声。
緊張感は片時も途切れず。

コンサートマスターの矢部さんのソロにも脱帽。
「あれ?ファゴット?」
「あれ?今度はクラリネット?」
…ずっと矢部さんのヴァイオリンのソロの音でした。

それにしても、この、憂うつ極まりない緊張の連続を、良くぞここまで音にしたものです。
作曲家も、指揮者も、オケのメンバーも。

ある意味、デジタル情報の集まりでしかない(失礼!)総譜を、物凄い精度で高速に読み取り、補完機能(?)を駆使してオーケストラというアナログな音に変換する、超高級D/Aコンバータのインバルさんのの指揮。
凄すぎます。

後半が凄かったので、前半の驚きの印象が薄れてしまいましたが、休憩前の宮田大さんのソロによるロココ風の主題による変奏曲もかなりのものでした。
聴く前はちょっと曲を軽く見ていましたけど、なんとなんと、「こんなに魅惑的な曲でしたっけ?」と言うくらい絶妙なソロ。
雑な音は皆無。
丁寧。
丁寧だけど、縮こまっていなくて十分すぎるほど自己主張。
伸びやか、ささやき、陶酔など、多彩極まりないチェロの音です。
バックのオケも自在でしなやかに支え、この曲も、都響定期で演奏されると、こんな立派な音になるのね(失礼!)と、私にとっては、目から鱗の演奏でした。

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2012年3月20日 (火)

スクロヴァチェフスキ/読響(2012/3/20)

2012年3月20日(火・祝)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

(第54回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)

プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」第2組曲
チャイコフスキー:交響曲第4番

3月のMr. Sフェスティバル最終日。
2月から続いた読響“ミネソタ”祭りも最終日。

みなとみらいでのこのシリーズにはかなり珍しいことだと思いますが一般参賀。
マエストロは、オーボエの蠣崎(かきざき)さん(かな?)と腕を組んで?登場。
拉致答礼?
…と思ったら、蠣崎さんがマエストロの手を取って引っぱり出したとか?
ソロ・カーテンコールではなく、デュオ・カーテンコールですね。
蠣崎さんは、マエストロが四方にお辞儀している隙をついて引っ込んじゃいましたけど…。

まず、開演前のロビーでの、事務局・市川さんによる解説が、かなり面白い!

スラヴというのはいわゆる東欧のことで、スクロヴァチェフスキさんの生まれたポーランドは、チェコやスロヴァキアとともに「西スラヴ」に位置することのこと。
今は音楽の世界もグローバル化しているので、あまり気にもしていませんでしたが、スクロヴァチェフスキさんとチャイコフスキーって、お国ものとまでは言えなくても、かなり近しい位置関係にあることを、初めて気がつきました。
(ミネソタ州のミネアポリス在住というイメージが強かったりして。)

あと、マエストロはポーランド生まれですが、生誕の地は現在はウクライナ領内になっているとのこと。
プロコフィエフの生まれも現在のウクライナ、チャイコフスキーは生まれは違うが祖先はウクライナがルーツと、共通点ありとのことです。

それから、マエストロは現在88歳と5ヶ月。
プロコフィエフの生涯と30年重なっていますが、会ったことはないそうです。
マエストロがパリに行ったときには、プロコフィエフはパリから出てしまった後だったので、すれ違いとのこと。
チャイコフスキーとは重なっていませんが、ムラヴィンスキーに「チャイコフスキーから直接聞いた第4交響曲の最終楽章の望ましいテンポ」の話しを聞いたことがあるとか。
いやはや、凄い人です。

前半のプロコフィエフは、出だしからして音が深い、深い。
強烈な金管の咆哮のはずなのですが、騒々しさ皆無。
もちろん外面的な迫力、気迫も十分感じられます。
感じられるのですが、音には無限のニュアンス。
音に込められた深み、香りたつような音。

それは後半のチャイコフスキーでも同様でした。
実に深い音。
金管の最強奏ですら、ただのお祭り騒ぎではない深い味わい。
強いんだけど、うるさくない美しさきわまった音。
第2楽章のしっとりとした音色、第3楽章のピツィカート、いずれも極上のニュアンスが宿る。

今回の初日に、
> 驚いたことに、この老巨匠は、前回よりも、
> まだ「進化」を続けています(たぶん)。
> いや「深化」と言った方が適切かもしれません。
と書きましたが、「たぶん」という思いは、確信に変わりました。

終演後は退任されるソロ・コンサートマスターの藤原さんに花束。
お疲れ様でした。
ソロ・ヴィオラ奏者、生沼さん最後のステージのときも思ったことですが、この老巨匠とのこんな演奏会で最後を飾れたのは、藤原さんにとっては幸せなことかもしれませんね。

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2012年3月18日 (日)

寺岡清高/大阪交響楽団(2012/3/18)

2012年3月18日(日)15:00
すみだトリフォニーホール

指揮:寺岡清高
大阪交響楽団

(第15回 地方都市オーケストラ・
フェスティバル・特別参加)
ピアノ:長尾洋史

ヘンゼルト:ピアノ協奏曲
フランツ・シュミット:交響曲第4番

児玉宏さんの体調不良で指揮者と曲目の一部が変更になった演奏会。
代演の寺岡さんは、一週間前にウィーンから呼び戻され、ヘンゼルトは名前も知らなかったとのことです。
このヘンゼルトは当初の予定通り。

この、珍曲…と言って良いようなピアノ協奏曲は、意外にも…と言っては申し訳ないのですが、結構良い曲、かなり良い演奏だったと思います。
“知られざる曲”にありがちな「やっぱり歴史に残らなかったのは訳があるんだよね…」というような物足りなさを感じずに聴くことが出来たのは少々驚きでした。
珍曲?なのに暗譜で弾いた長尾洋史さんは、入魂の献身的な演奏。
長尾さんの好演なくして、この“驚き”はなかったと思います。
バックの寺岡さんも、一週間前に作曲家の名前も知らなかったとは思えない好リードで、オケも良く鳴っていました。

そして休憩後は、寺岡さんの希望で変更された曲。
他の予定されていた2曲をこの曲に変更したということは、寺岡さんはこの曲に自信を持っていたということでしょう。
全曲を貫く沈痛な趣きは時代性でしょうか?
プレトークで「今の時期に演奏するのにふさわしい曲」とおっしゃっていましたが、トランペットのソロで静かに始まり、最後もトランペットのソロで静かに終わる。
沈痛な印象ですが、途中経過は変化に富んでいます。
ロー・テンション一本槍の曲ではなく、強い感情や高揚した思い、喜び、あるいは救い…のような印象を受ける部分もあり、平板ではありません。
大阪での定期演奏会の後だけあって、演奏のクオリティも十分。
(…と偉そうに感想を言えるほど、この曲を知っておりませんが…。)

「こんな曲でお客さん入るのかなぁ…」と余計な心配をしましたが(有料入場者かどうかは私にはわかりませんが)1階席で見る限り、結構お客さんは入っていました。

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室内楽「セントラル愛知響」(2012/3/18)

2012年3月18日(日)13:00
すみだトリフォニーホール(小ホール)

第15回地方都市オーケストラ・フェスティバル
室内楽コンサート「セントラル愛知交響楽団」
常任指揮者・お話:齊藤一郎
作曲・お話:木下正道
リコーダー:鈴木俊哉
チェロ:多井智紀。

木下正道:Crypte IV-b(チェロ独奏)
サルヴァトーレ・シャリーノ:風によって
    運ばれた対蹠地からの手紙
(リコーダー独奏)
木下正道:真実における灰 X(リコーダー&チェロ)

「演奏会」になったのは開演後40分くらい経ってから。
それまでの、実演を交えながらのトークが爆笑もの。
作曲家の木下正道さんのトーク自体がめちゃくちゃ面白い上に、2人の奏者とのかけあいにも大爆笑。
「このお二人は、なんとロマン派のレパートリーを持っていないのです。」
「いや、ありますよ。」(チェロの多井さん)
「本当ですか?弾いてみて下さいよ。」
(サンサーンスの白鳥を演奏)(チェロの多井さん)
「初めて聴きましたよ。」
これがもし事前の打ち合わせ通りのやりとりだったのなら、木下さん、芸人になれるのでは?
あとは、チェロとリコーダーの特殊奏法のことなど。

この爆笑トークは、常任指揮者の齊藤一郎さんが登場するとさらにヒートアップ。
25日に演奏する野平一郎さん編曲の管弦楽版のゴルトベルク変奏曲のこと。
「単にオケに音を置き換えただけでなく、斬新な要素をふんだんに盛り込んだ編曲なんです。」
「ストコフスキー編のバッハとか、お聴きになったことがあるでしょう?あれとは全然違います。」
そして、ピアノに向かって弾き始めた齊藤一郎さん「ゴルトベルク変奏曲」(の一部)が、なんとなんと、めちゃくちゃ素晴らしい。
さすがは指揮者!
その“通常の演奏”は、繰り返しの部分にチェロの通奏低音に加えての演奏。
ずっと聴いていたいくらい素晴らしい。
さらに野平一郎さん編曲の、何度も転調を繰り返す箇所を「間違えてピアノを弾いているみたいに聞えると思いますが」と前置きしてから演奏。
「繰り返しを全部やると90分くらいかかるので、25日はどうしようかと、いま思案中です。」
「それでは、25日、よろしくお願いいたします。」
と言って去って行き、ようやく本編。

その前に、話がはずみすぎるのを危惧した?ホールスタッフからメモが差し入れられ、
「え?時間ないの?大阪響は3時からでしょ?」
(会場から「プレトークが2時半から」の声)
「いま何時?…まだ大丈夫、余裕ですよ。」
などと。

爆笑トークの後の「演奏会」は、特殊奏法?連続のバリバリの現代音楽。
これがチェロだけで出している音?
これがリコーダー1本の音?
以前、クヮトロ・ピアチューリの演奏会で現代音楽を聴いて「弦楽四重奏でこんな音が出せるんだ!」と驚嘆したときの記憶がよみがえりました。
こういう多彩なサウンドを聴いていると、既存の楽器に出せる音の可能性は無限。
まだまだ開発の余地があるかも?
シンセサイザーが主流にならない理由がよくわかります。

ちなみにこの演奏会(トークショー)、事前応募の抽選で、無料です。
無料でこれだけ楽しませてもらって、申し訳ないくらいです。

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2012年3月17日 (土)

ラザレフ/日本フィル(2012/3/17)

2012年3月17日(土)14:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第638回定期演奏会)
チェロ:横坂源

エルガー:チェロ協奏曲
ラフマニノフ:交響曲第2番
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
(アンコール)

私は近年は、日フィルをあまり聴いてこなかったのですが、これがあの、ラザレフ就任の少し前に評論家の先生に「荒れたアンサンブル」などと酷評されたオケなのでしょうか?
立ち直って反転攻勢に出るとは、ラザレフさんはどんな荒療治をしたのでしょうか?
日フィルの演奏面での課題はただ一つ、ラザレフさんが、いつまで首席指揮者を続けてくれるか、だけではないでしょうか?

一曲目の横坂源さんの独奏によるエルガーのチェロ協奏曲は、芯の強いチェロの音。
私はP席で聴いていたにもかかわらず「反対側」のハンディをほとんど感じずに楽しめたくらい。
オケの方も単なる伴奏ではなく、気合いみなぎる演奏。
それもそのはず、ラザレフさんの目の光らせ方、凄し!

休憩後のラフマニノフの交響曲でのラザレフの大暴れは、凄いとしか言いようがありません。
11月にS席エリアから見たときは、ただ暴れているだけに見えたのですが(失礼!)、この日にP席から見ていると、ただの無謀な大暴れなどではなく、各奏者へのキューの出しまくりであることが素人の私にもわかりました。
ある意味、手綱を全く緩めていないどころか、ムチを打ち続けているのですが、おそらくムチを打たれ続けた奏者も、やらされ感どころか、ハイ・モチベーションで弾いていたことでしょう。

基本的に「力強く」なのですが、それは優しさに裏打ちされたパワー。
第3楽章など、その最たるもの。
近くの席の年輩の女性がハンカチをくしゃくしゃにして泣いていて、確かにわが国では、いろいろなことを思い出させる演奏ではあります。

ラザレフさんによるラフマニノフの交響曲第2番と言うと、ずいぶん前ですが、1994年2月11日のN響定期で聴いたことがあります。
徳永二男さんがコンサートマスターを退任される最後の演奏会でした。
私は当日券で最前列で聴きました。
あの時も「良かった」と思いましたが、ラザレフさんはまだ若かったはず。
今のラザレフさんは18年の年月を経て、でも老けていなくて、さらに凄い!

こんな演奏を聴かされたらリピーターにならざるを得ないかもしれません。
ここ数年、日フィルの熱心な聴き手でなかった私ですが、少なくともラザレフさんのときだけでも(いや、インキネンさんのも?)リピーターになろう!と決心させられた、昨年11月とこの日3月の定期演奏会でした。
“一見さん”ですみません、お仲間の末席に加えて下さい。

この日の演奏会は、当初、聴けない見込みでした。
前日の飯守泰次郎さんの常任指揮者最後の定期演奏会は外せません。
でも、ラザレフさんのラフマニノフの2番も、本心は、ぜひとも聴きたい。
当初諦めていたこの演奏会を聴けることになったのは、わが国の宝・小澤征爾さんのキャンセルによってこの日の日程が空いたため…と言うのは、なんとも複雑な気分ではありますが。

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2012年3月16日 (金)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2012/3/16)

2012年3月16日(金)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第257回定期演奏会
チャイコフスキー交響曲全曲シリーズ第4回(最終回))
ヴァイオリン:渡辺玲子
合唱:東京シティ・フィル・コーア
合唱指揮:藤丸崇浩
バンダ:東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部

チャイコフスキー:交響曲第2番「小ロシア」
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
エルンスト:シューベルトの「魔王」による大奇想曲
(アンコール)
チャイコフスキー:祝典序曲「1812年」作品49(合唱付き)

飯守泰次郎さんの常任指揮者としての最後の定期演奏会で、東京シティ・フィル定期初!の全席完売!と来れば、それはオケのメンバーだって燃えないわけにはいかないでしょう。
全席完売でも若干の空席があるのは読響で慣れているので気にしない、気にしない。

1曲目の交響曲第2番「小ロシア」の冒頭から、オケには気合い…を通り越して“殺気”がみなぎる。
お世辞にもきれいな音とは言えない土俗的な重低音。
砲丸投げの重たい玉でテニスの打ち合い(撃ち合い)をしているような重量感×スピード感。
唖然としたまま全4楽章が、あっという間に終わってしまいました。

休憩後の渡辺玲子さん独奏のヴァイオリン協奏曲では、その“殺気”が独奏者の方に乗り移ってしまった感もあり。
ノーカットでは無い方の版での演奏だったと思いますが、渡辺玲子さんの気迫は尋常ではなかったと思います。
まだまだ若くてきれいなだけの子には負けないわよ、私だってまだ若いのよ、でもキャリアは十分に積んでいるのよ…みたいな(違うか…)。
飯守さんも結構足を踏み鳴らして指揮していましたけど、飯守さんの再三の煽りのにもかかわらず、オケは少しおとなしい感も…。
第3楽章は爆発しましたけど、まあ、前半の交響曲で全力投球し、後には1812年が控えているのでね。
手抜きというほどのレベルではなかったですけど。

ヴァイオリン協奏曲の後の渡辺玲子さんのアンコールにはびっくり。
ただ、超絶技巧は凄かったけど、アクロバティックなスポーツみたいで、音楽の感動と言うのとはちょっと違うような…。
でもまあ、“殺気”の続きという意味では、緊張感が連続するアンコールで良かったです。

さて、最後の「1812年」、合唱付き。
この日はP列の座席は撤去されていて、コーラスはその狭いところに2列で無理矢理並んでスタンバイ。
曲はいきなりアカペラで始まりビックリ。
オルガンも入ってきて、ようやくオケが弾き始めると、もう曲は全開。
冒頭のアカペラを聴いて「あ、こりゃワーグナー的だよ」と思いましたが、それのどこが悪い!
飯守さんが振れば、こうなるに決まっています?
いや、こうなることを期待しています!
「ワーグナー的」と思い、それをさらに期待して聴いていって、確かにそういう場面は多々あったのですが、オケと、合唱と、バンダが、全て全開になると、もうワーグナーを超越?した壮大な空間。
交響曲であれだけ土俗的な、良い意味で汚い音を出していたのに、この曲では洗練されたサウンドの側面が強い。
開演前のピアノを弾きながらのプレトークで、飯守さんは「1812年」のことを「200年前の大騒ぎの曲として気軽に聴いていますが、ナポレオンの遠征は当時のロシアの人たちにとっては、国が無くなるのではないかという、ものすごい恐怖の出来事だったんです。そして我々は、去年同じような恐怖を体験しました。」と。
確かに、合唱入りバージョンで聴いてみると、その混沌とした格闘のような側面も強く感じました。

この日は、交響曲も「1812年」も、残響が消えるまで拍手は起こらず、快適。
天井の高いオペラシティの特性か、残響は響くんだけどスッと消えていく感じで、そこへ間髪を入れずに拍手が恥じまる。
残響が消えるやいなや…ではあるのですが、残響をかき消すよりよほど良いです。

終演後は“一般参賀”にはならずちょっと残念。
でも、CDを買って、サインをいただいて、でも、マエストロを前にすると、感動、興奮、感謝、尊敬、…マエストロへの“思い”を言葉にすることは簡単にはできませんね。

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2012年3月15日 (木)

ダウスゴー/新日本フィル(2012/3/15)

2012年3月15日(木)19:15
サントリーホール

指揮:トーマス・ダウスゴー
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第491回定期演奏会)

チャイコフスキー:幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
シベリウス:交響曲第7番
ニールセン:交響曲第4番「不滅」

驚いたことにこの北欧の巨人(長身!)は、3曲を全く違うオケのように異なる音色に染め上げました。

一曲目のチャイコフスキーでは、基本的に抑制された緊迫感(←萎縮ではなく)で、かなり限られた部分で全解放(開放)。
その分、解き放たれた箇所のパワーは凄まじいものがあります。
パッと見では、あまり打点を明確にしない指揮の印象がありましたが、そういう部分での、特に低弦のうごめくような様子は比類のない微細かつ迫力の揺らぎ。
もちろん、きちんと刻むときは、はっきり振ります。

2曲目のシベリウスでは、チャイコフスキーで見せたような抑制と解放のコントラストはさほど際立っておらず、全般的に高いテンション。
しかしその音はただ外へ向かうのではなく、深く深く内省的。
日頃の新日本フィルではあまり聴かないサウンドだったかもしれません。
「あ、新日本フィルって、こういう音も出せるんだ!」(失礼!)

そして後半のニールセン。出てきたダウスゴーさんは、振り向きざますぐに振り下ろしていきなり全開!
凄まじい気迫!
もはや冒頭のチャイコフスキーでの抑制された印象は皆無。
発散!
拡散!
微弱音ですらチャーミングなはっとする表情。
この交響曲の白眉はもちろんティンパニの競演。
私の席からは見えませんでしたが、終演後に確認すると、もう一組のティンパニはコントラバスの後ろの客席寄りに配置されていました。
もちろんティンパニだけではなく、フルオーケストラが熱狂的!

3曲を全く異なるオケのような違う系統の音に仕立て上げた北欧の巨人の指揮者は、3曲とも譜面台なし。
どの曲が一番日頃の新日本フィルの音に近かったかと言うと、ニールセンかな。
でも、全員、完全に、あっちの世界?へ行ってしまっていました。
もちろん、指揮者も一緒に。

いやはや、それにしても、この日の私は、日中、体調があまり良くなく、夕方サントリーホールへ向かうために電車に乗ったものの、途中で引き返そうか?…と思ったくらい。
でも、せっかく一回券を買ったのだから、行くだけ行って、駄目なら休憩時間に帰ればいいや…という状態だったのが、終演後は元気いっぱいで帰ってきました。
音楽の力は凄い。
いや、凄い音楽でした。

話しがあちこち飛びますが、この日の客席は、空席もそれなりにありましたが、むごいと言うほどでもなくてよかったです。
(「全席完売のはずなのに…」のときの読響の空席とどちらが多かったかな?)
定期会員で完売のはずのP席にもそれなりの空席があったのは残念。
B席エリアは結構埋まっていました。
…と言うことは、前売りの一回券を買った人(私もその一人)が多かったということでしょうか?
私は当初、P席会員の放出するチケットを狙って、Yahoo!オークションに「ダウスゴー」でアラートまでかけたのですが、普段の新日本フィルサントリー定期と違ってほとんど出品がなく、出品されても高額に競り上がるので、「これならB席会員割引価格とたいして変わらん!」と、あきらめて一回券を購入しました。

ダウスゴーさんの振る新日本フィルの演奏会が今夜の一回だけというのは、よっぽどスケジュールをやりくりして来てくれたのでしょう。
そんな北欧の巨人に対してわが国は、昨夜の地震で驚かせてしまいました。
これに懲りずに、また来て下さい!

それにしても…。
アルミンクさんには「ばらの騎士」キャンセル以降、いろいろな思いがあるがあるのは事実ですが、プロデューサーとしての新日本フィルへの貢献は、絶対に否定できないほどの素晴らしく大きなものがあると思います。
いっそのこと、音楽監督退任後は、来日しなくていいから(おいおい)欧州でプロモーターをやってもらってはどうでしょう?

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2012年3月13日 (火)

スクロヴァチェフスキ/読響(2012/3/13)

2012年3月13日(火)19:00
サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

(第547回サントリーホール名曲シリーズ)

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン:交響曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第5番

昔のCMではありませんが、コクがあるのにキレがある。
疾走するベートーヴェンですが、一糸乱れず追従する読響のアンサンブル。
基本的に速め…のはずなんですけど、今日も例によってせかせかした印象はなく、弦と木管はまろやかなくらい。

前半で「凄い、凄い」と喜んでいたら、後半はもっと凄かった。
この老巨匠が、これだけのスピード感みなぎる音の連射を読響から繰り出させるのには、もう、唖然として身を任せるのみ。
バロック・ティンパニかどうかは終演後は舞い上がっていて確認し忘れましたが(モダンだとツイッターで教えて下さった方が)、その少し乾いたティンパニの音と、金管が繰り出すアクセントも変幻自在でした。

この日は、ソロ・ヴィオラ奏者、生沼さん最後のステージとのことで花束贈呈あり。
最後に引き上げるときも拍手。
上手側で袖で答礼。
今日は鈴木さんが内側で弾いていました。
生沼さんが引退されるのはさみしいことですが、考えようによっては、ミスターSとのこんな演奏会で最後を飾れたのは、生沼さんにとっては幸せなことかもしれませんね。

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2012年3月11日 (日)

新国立劇場バックステージツアー(2012/3/11)

2012年3月11日(日)
新国立劇場

バックステージツアー

「さまよえるオランダ人」終演後)

バックステージツアーは抽選です。
初めて当選しました。
費用は保険料200円。
アンケートに答えて、記念品(ボールペンとポストカード)をいただきました。
倍率はうろ覚えで「5倍と言ったっけ??」と思っていたら、ツィッターで教えて下さった方によると「7倍」とのこと。
普段の私はD席だから当選しなくて、この日は奮発してB席だったから当選した…のかどうかはわかりません。
(違うと推測しますけど。)

最初、1階席中央付近に座って、舞台上で行われている格納作業を見学。
いや~新国立のS席エリアって、初めて座りましたけど、抜群の眺めですね。
格納していたのは「オテロ」用の水を張るための水槽とのこと。
舞台下、奈落の底に降ろしていました。

その後、靴にカバーを付けるように指示され、立ち上がって、まず客席側からピットを覗く。
このピットは上下するそうで、下げれば音はこもり気味になる。
この日のピットは、やや深い方だけど、一番下までは降りていなかったとのこと。
高さを決めるのは指揮者だそうです。
あと、譜面を照らす照明用のコードがたくさん見えましたが、新国立はコンセントの数が多くて、他の劇場だったら、もっと凄い量のコードが床にあるはずとのこと。
最大120人くらい入れるピットで、この日は80~90人くらいだろうとのことでした。
指揮台はかなり高くなっているので、一番前の奏者も指揮が見えるに、最前列の奏者の席は高くなっていました。
指揮者を照らすスポットライトが天井に二つ。
一つが故障しても良いように、とのことです。
指揮者の姿が歌手が見るモニタ画面によく映るように、指揮者の後ろだけ壁が白くなっているとのことです。

その後、上手の袖へ。
楽屋は客席を囲むように地下に配置されているとのことで、移動中にちらりと覗けました。
新国立劇場は4面舞台で、上手、下手、奥にも、本舞台と同じスペースがあり、舞台装置を組んであって、すばやく転換できるそうです。
上手舞台の奥の扉が開いており、トラックがそのすぐ外まで来ていて、装置の搬出をしていました。
この日は中劇場の公演が終わったから、とのことで、滅多に見られない光景とのことでした。

その後、本舞台に移動し、「オランダ人」のセットの船の裏へ。
行ってみてびっくり、機械仕掛け、プラス、電子操作盤、プラス、送風機。
しかも、歌手が上り下りする階段は2列。
船の角度を30度にしたとき用と、40度にしたとき用ですって。
電子操作盤はタッチパネルのハンディ端末が一つと固定操作盤が一つ。
常時後ろに2人待機し、キューが出るのにあわせて船の動きを操作していたそうです。

その後、船の表側に移り、舞台の所々に設けられた“ふた”を開けて見せていただきました。
中には階段が設けられており、歌手の方は奈落の底からその狭い階段を上がってくるそうです。
しかも、その舞台装置は水平移動するので、階段を含めて二重構造になっているそうです。
その後、はるか上方に吊してあるゼンタの部屋の舞台装置が降りてくるところを見せていただきました。

プロンプターの入る場所も見せていただきました。

ここで写真撮影タイム。
舞台側は撮影しては駄目だが、客席側は撮影して良いとのことです。
歌手が指揮を見るためのモニタが8台見えました。(私の撮った写真ではわかりにくいですが、2つ、白く光っているのがそうです。)
この他に、ワゴンにのせた移動式のモニタもあるそうで、歌手の動きに合わせて設置するそうです。

舞台下手に移ると、そこはモニタと操作盤(卓)の世界。
舞台に一番近いところに舞台監督用のモニタと操作盤。
少し下がって、何人かが座れる操作盤と、モニタと、PCもたくさん。
舞台は、プログラミングして、コンピュータで制御しているそうです。

後は、小道具。
見た目は本物に似せてありますが、かなり柔らかい素材で、触らせてもらえました。
「アメガラス」とおっしゃっていましたが、要するに飴のような材質とのこと。
上演中、次々に投げつけられていたのは、この小道具ですが、船の後ろで操作盤を操作している人たちは、結構真剣に、飛んでくるのをよけているそうです。

その後、奥舞台を回って上手側からロビー(ホワイエ)に戻り、アンケートに答えて解散。

いやー、面白かったです。

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新国立劇場「さまよえるオランダ人」(2012/3/11)

2012年3月11日(日)14:00
新国立劇場

ワーグナー:さまよえるオランダ人

指揮のトマーシュ・ネトピルさん、新国立劇場合唱団、ピットの東響、素晴らし過ぎます!
歌手は…。

普段と違うエリアの席だと飛行機のビジネスクラスみたいで落ち着きません。
その上、昼食後のせいか第1幕は眠くなってしまいました。
意識は失わなかったので音は一応聴いていましたが、時々まぶたが重くなり失敗。
やはり私には、昼食は(昨日のように)パンをかじる程度の軽食にしておく方が合っているのかもしれません。

それはともかく、ピットの中のオケは、昨夜サントリーホールでの定期演奏会で素晴らしい演奏をした東京交響楽団。
期待の若手指揮者の指揮姿を見るためにB席を奮発したのですが、この日の席ではほとんど見えず残念。
同じ区分でも、もっと後ろの方なら見えるのに…。
音自体は、引き締まった、少し透明感のあるクリアーなもの。
CDで出ている「わが祖国」の演奏で聴いた印象にかなり近い。
オケと合唱が主役の印象です。
もちろん、それを操ったのは指揮者です。

オケとコーラスの威力は抜群…という意味では、小澤征爾さんの振るオペラを観ている体感に近いかな。
歌手は…。
まあ好みだとは思いますが、ゼンタは貫禄があり過ぎの気もしました。
声も体型も。
私的には、もう少し可憐な少女っぽさも見せて欲しい感じ。
でも役柄は芯が強い女性ではあるので、やっぱり好みでしょうかね。

新制作ではありませんが、私は観るのは初めての舞台。
写実的ではなく、象徴的な舞台装置。
船を操舵する舵輪と、糸車の形状を酷似させ、オランダ人とゼンタの関係性を表している…と言うのは、観ていた時にわかったのではなく、終演後に参加したバックステージツアーで説明されてわかった鈍い私。

今日の全幕を聴き終えて、私は、ようやく昨年の爆笑ものの下野/読響による「湯治場オランダ人」の後遺症・呪縛が解けたような気がします。
そういう意味では、私もゼンタに、…いや、ネトピルさんと東響に、救済されたようなものかもしれません。

スタッフ
【指揮】トマーシュ・ネトピル
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野睦

キャスト
【ダーラント】ディオゲネス・ランデス
【ゼンタ】ジェニファー・ウィルソン
【エリック】トミスラフ・ムツェック
【マリー】竹本節子
【舵 手】望月哲也
【オランダ人】エフゲニー・ニキティン

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

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2012年3月10日 (土)

秋山和慶/東響(2012/3/10)

2012年3月10日(土)18:00
サントリーホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団

(第598回定期演奏会)
ヴァイオリン:神尾真由子

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲
スクリャービン:交響曲第4番「法悦の詩」

みなとみらい~(みなとみらい線・東横線)~武蔵小杉~(目黒線・南北線)~六本木一丁目。
楽勝のハシゴ。
途中、改札も出ず、同じホームの反対側に一回乗り換えただけ。

1年に1回限りの秋山さんが東響定期を振る機会。
「第九と四季」も毎年凄い演奏なのですが、やっぱり秋山さんにはこういう演目がよく似合います。

ストラヴィンスキーの最初の音が鳴ったとき、若い頃の秋山さんの音が戻ってきたようで嬉しくなりました。
近年は円熟され、ときにまろやかに感じることもあるのですが、ストラヴィンスキーの複雑怪奇なスコアを、指揮棒1本で自在に操る秋山さんの技巧は健在。

神尾真由子さん独奏のコルンゴルトでは、第1楽章で私(だけ?)が感じた違和感は何でしょう?
第2楽章の切々と歌う旋律、第3楽章の躍動感あふれるリズムと迫力は十分に堪能しました。
第1楽章で若干粗雑(私の気のせい?)に感じられた印象は消え失せました。
まあ、終わり良ければすべて良し…としましょう。

休憩後のスクリャービンは、もう、耳のご馳走。
巨大編成のオーケストラが、寄せては返し、変幻自在に収縮する。
神秘的というよりは印象派のような…。
この巨大編成がフルボリュームで鳴っても、サントリーホールの空間を飽和させないように慣らしたのは本当に凄い。

すかいらーくがスポンサーを降りたとき。
ミューザの天井が崩壊して本拠地でリハーサルできなくなったとき。
東響の演奏レベルが落ちるのではないかと危惧しました。
しかしそれは全くの杞憂でした。
過密日程をものともせず、東響の快進撃は続きます。
そう言えば、いま上演期間中の新国立劇場の「さまよえるオランダ人」のピットに入るのは、どこのオケでしたっけ?

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金聖響/神奈川フィル(2012/3/10)

2012年03月10日(土)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:金聖響
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

(第279回定期演奏会)

ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
ベートーヴェン:交響曲第8番
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
バッハ:(G線上の)アリア

たぶん第1ヴァイオリンが12人、対向配置、バロック・ティンパニ使用。
金聖響さんらしい、打点のはっきりした明確な棒さばきのもと、歯切れ良い音。
プログラム冊子に版の記載はありませんが…。
いわゆる“名曲プログラム”なので多少危惧していたのですが、“定期演奏会のクオリティ”で指揮者の意図が行き渡っている様子。
昨年のゴールデンウィークにも、新百合ケ丘で同じコンビのエロイカも聴きました。
会場のアコースティックのせいか、練習時間の制約かは門外漢の私にはにはわかりませんが、本日の定期演奏会の方がはるかに良く感じました。
(曲は違いますけどね。)
躍動感とスピード感、メリハリと情感を、存分に楽しめました。

完全なピリオドスタイルでないにせよ、バロック・ティンパニを使い、歯切れ良く進むベートーヴェンは快感。
“快速”ですが、せかせかした印象は無く、暴力的でもなく、無味乾燥にもならず、音に潤いがあります。

金管の音色はまあ…。
でも、そこを気にしながら聴くよりも、演奏を楽しんだ方が勝ち。
頭の中の補正回路の限界をこえたのは、8番の第3楽章くらいでしょうか。(甘い?)

個人的には、金聖響さんには、ハイドンも演奏してほしいのですが、まあ、集客とか、いろいろ事情はあるのでしょう。
(ずいぶん前になりますが、大阪まで金聖響さんの指揮するオール・ハイドン・プログラムを聴きに行ったことがあります。)
でも、ハイドンでなくても、今日のベートーヴェンでも、聖響さんの古典派の魅力は満喫出来ました。

今日はコンサートマスターの席に石田さんが戻りました。
(…と言えるほど神奈川フィルを多く聴いてはいませんが…。)
昨年ゴールデンウィークの新百合ケ丘では、ゲスト・コンマスが都響の山本さんでした。1月定期は東響の廣岡さんでした。
2月は来ませんでした。

交響曲第5番演奏終了後の盛大な拍手の中、金聖響さんがマイクを持ち、今年度締めくくりの感謝、支援への感謝、そして「昨年の明日」のこと、震災翌日の演奏会(聴衆約700人)のことなどを語りました。
スピーチの後、照明を落としてバッハのアリアの演奏と黙とう。
演奏が終るとオケのメンバーが立ち、迷っていた聴衆も次第に次々と立ち、場内総立ちで黙とう。
鼻をすする音が時々聞こえるくらいの長い静寂。
私も1年前のいろいろなことを思い出して目頭が熱くなりました。
黙とう終了後は拍手で散会。

神奈川フィルの演奏会に行くと、寄付、寄付、寄付…と繰り返し言われて、私などは多少ひいてしまうのですが、CDを購入するのが僅かでも支援になるのなら、それくらいは協力出来ます。
演奏会でも聴いたマーラーの9番のCDを記念に購入。
確か、2月も聴きにくればスタンプ3つで無料でもらえたものですかね?

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2012年3月 9日 (金)

スピノジ/新日本フィル(2012/3/9)

2012年3月9日(金)19:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ジャン=クリストフ・スピノジ
新日本フィルハーモニー交響楽団

(すみだ平和祈念コンサート2012)
ソプラノ:三宅理恵
バリトン:青山貴
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

ショスタコーヴィチ:室内交響曲作品110a
バーバー:弦楽のためのアダージョ
フォーレ:レクイエム

11日ではありませんが、3月の第2金曜日は、やっぱり特別な日です。
その特別な日に「平和祈念」と冠された演奏会が、本当に特別な演奏で終了しました。

ハーディングさんの代替公演、昨年6月のマーラーの交響曲第5番を聴いた後のような…などと言ったら「全然違うだろ!」と叱責されそうですが、あのときも、深い深い、激しい悲しみの後に勇気づけられるような最終楽章に、本当に満ち足りた気分で会場を後にしました。

この日のスピノジさんの指揮は、もう、なんとも、素晴らしいとしか言いようがない。
なんとも満ち足りた、希望を抱くことのできる至福の境地。
クリスチャンでない私ですら、神を感じられるかのような演奏でした。

演奏会の冒頭、オケのメンバーが登場する前に、スピノジさんのスピーチ、たぶんフランス語、通訳付き。
「プログラムについて簡単に…」と始めたトークは熱弁になり、10分くらいに。
ショスタコーヴィチの暗澹たる曲調のこと、後半のフォーレの、鎮魂歌だけど希望を持てる曲のことなど。
熱く語っていました。

曲順が変わって1曲目になったショスタコーヴィチの室内交響曲。
なんと壮絶で、なんと緊張感をはらんだ曲、そして演奏なのでしょう。
とても弦楽合奏だけで演奏しているとは思えない広大な時空。
スピノジさんは第2楽章など、半狂乱に近い激しい動き。

2曲目に変わったバーバーのアダージョは、1曲目のショスタコーヴィチの救いの無い暗さを癒すように、悲しいだけでなく慈しみも込めて奏でられる。
これまた弦楽合奏だけとは思えないスケール。
大編成でなくても、会場を圧倒し、聴衆は、ただただ、物音ひとつたてずに聴き入るのみ。

前半では沈痛過ぎて涙は出なかった私ですが、後半のフォーレのレクイエムでは何度も目頭が熱くなりました。
なんと優しさに満ちた、心の充足感を感じる演奏なのでしょう。
感謝、感謝、ただただ感謝。
客席の空席がどう、オケの編成がどう、合唱がどう、独唱者がどう、そして指揮者の服装がどう、…と言うことを超越した、ただただ心を満たされる演奏。
この稀有の演奏会は、新日本フィルにとって大きな財産として残ることでしょう。

先週の定期で見せたような「いたずらっ子がそのまま大人になって指揮者になっちゃった」だけではない、スピノジさんの凄さを目の当たりにして、驚嘆する以外にありません。
「出張中のビジネスマンがそのまま指揮台に立っちゃった」みたいな服装のことも、どうでもよい。
どうでも良いのですが、鳴っている音と見た目の服装のギャップは多少なりともあるかもしれません。
でも、あんな演奏をされたら、Tシャツでも許しちゃいます、私。
(首席客演会社員のタイトルを与えてみてはいかがでしょう?
係長クラスなのに事業部長も驚くような凄い仕事をやってのける会社員…。)

それにしてもこの日は、3曲とも、指揮者が手を下ろしてもまだ静寂が保たれ、脱力して、うんうんとうなずいたりするまで拍手が起こらなかったのは本当に素晴らしい会場でした。
フォーレで歌詞の紙を見るカサコソした音が多少あったのは許容範囲内?
目くじらを立てる気にならないくらい、広い心になれて、心に余裕が持てる演奏でした。

新日本フィルさん、ぜひぜひ次の招聘を!
切望しております。

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2012年3月 8日 (木)

クアルテット・エクセルシオ(2012/3/8)

2012年3月8日(木)19:00
東京文化会館小ホール

クアルテット・エクセルシオ
ヴァイオリン:西野ゆか・山田百子
ヴィオラ:吉田有紀子

チェロ:大友肇

ハイドン:弦楽四重奏曲第77番「皇帝」
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」
スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」
モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番~第2楽章
(アンコール)

少し時間があったが、乗り換え駅の秋葉原で途中下車すると「非常に危険」なので、一目散に目的地へ。
今日は都響定期ではなく…。
小ホールから、暗い大ホールを見るのは初めてかもしれません。

室内楽初心者の私でも予習不要の選曲。
ちょっぴり嬉しくて、オケ偏重リスナーの私には珍しく、チケットを買いました。

「素晴らしい!」という瞬間は多々ありました。
あったのですが…。
多少のもどかしさのような思いを感じる瞬間も少なからずあったような…。
この相反する思いは何なのでしょう?
常設、専業のカルテットである強み。
でも、普段オケの中で弾いていないハンディ?

1+1+1+1>4となって、カルテットの醍醐味を感じる箇所。
1+1+1+1=4にとどまっているような気もする箇所。
比べてはいけないかもしれませんが、昨年11月に同じ会場、ほぼ同じ位置の席で、都響メンバーと小川典子さんによる「ます」を聴いたときは…。

いろいろ勝手に推測すると、今日の東京文化会館小ホールは、かなり空気が乾燥していたようで、風邪をひいていない私でも咳をしたくなりました。
曲の間でペットボトルを取り出して喉を潤す人が居て、普段なら「おいおい!」と思うのですが、今日は「そうだよねー」と思ったり。
演奏中に目薬をさす人も…。

まあ、こういうときもありますよね。

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2012年3月 7日 (水)

スクロヴァチェフスキ/読響(2012/3/7)

2012年3月7日(水)19:00
サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

(第513回定期演奏会)

ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
ブルックナー:交響曲第3番

驚いたことに、この老巨匠は、前回よりも、まだ「進化」を続けています(たぶん)。
いや「深化」と言った方が適切かもしれません。

この日は、たいした量の仕事はしていないのに、神経を使う仕事があったため、気疲れして、ぐったり。
この全身の疲れを癒すのには、ショスタコーヴィチとブルックナーが良いのではないかと思ったのですが…。
行ってみたら、そこはパワースポットでした。
神が降臨し、魂を洗われて、帰宅したら疲れはすっかりとれていました。
信者の集会。
約1名、場違いな拍手を懲りずに2回していましたが…。

ショスタコーヴィチの交響曲第1番で、まろやかな響きに驚きます。
ふわっと立ち上がる豊穣なサウンド。
軽くはなく、艶やか、かつ深いサウンド。
時折見せる鋭い音は慣れ親しんだスクロヴァチェフスキ・サウンド。
しかしそこが際立つことはなく「全体」の「部分」をなしています。
刺激的でない…いや、鋭い音もあったのですが…円熟の極みのような若き時代のショスタコーヴィチの作品。
いやー、大作曲家だけあって、若くして凄い(深い)曲を書いたものですね。
そういう側面を見せてくれたスクロヴァチェフスキさんにも感服です。

後半のブルックナーの交響曲第3番は、一歩一歩、山を登るように歩み、第1楽章の途中で、パッと眺望が開ける
。あ、頂上に出ちゃった、この後どうするんだろう?
…心配無用でした。
峰を歩み、少し下ったり、平らなところを歩んだり、また登り、何度も何度も頂点を極めたり…。
ショスタコーヴィチでもそうでしたが、結構、緩急をつけたりしているのですが、作為的に感じるところは皆無で、何の不自然もなく流れます。
昔ながらの若々しく、多少荒々しいスクロヴァチェフスキさんの側面もあるのですが、磨き上げられた、ふわっと立ち上がって、あっという間にホール空間に充満する香しい音の印象が強い。

スクロヴァチェフスキさんは、やはり多少歳をとったのか(いや、もちろん近年は、もともと歳はとっていたのですが)出入りの際の歩くスピードは少し遅くなったかな?
でも、ずっと背筋を伸ばして立ちっぱなしで指揮をしましたし、2曲とも暗譜でした。
手の動作は全く衰えていない印象。
お疲れモードだった私は、はるかに高齢の老巨匠からパワーをもらいました。

欲を言えば、弱音部での金管の音色がもう少し…という気もしないでもありませんが、あの演奏、あの神々しい時間と空間に対して、やっぱりそれは、欲ばりというものでしょう。

“信者の集会”だと知らずに来て、曲が終わるやいなや拍手を始め、誰も追従せず、いったん拍手を止めざるを得なくなった方、約1名。
前半で懲りたかと思ったら後半でも同じことを…。
しかし会場の空気は寛容だったかもしれません。
仕方ない奴だなぁ…。
でも、凄演だったからまあいいか…。
意外と、フライングに対して時折感じる、殺気だった空気はなかったような気がしました。

20120307

追記(2012/3/11):
音楽評論家・東条碩夫先生のブログ
「東条碩夫のコンサート日記」のこの演奏会に関する記事へのリンク

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2012年3月 4日 (日)

藤原歌劇団「フィガロの結婚」(2012/3/4)

2012年3月5日(日)14:00
東京文化会館

藤原歌劇団
モーツァルト:フィガロの結婚

楽器の修理とかで開演が14:20くらいになってちょっと拍子抜け。
コンマス氏をはじめ、チェロを弾くような仕草をしていましたが、終演後に東フィルの団員さんのツィートによれば、チェンバロの修理だったとか。
私の席からは、舞台袖で椅子に腰掛けて待つマエストロ・ゼッダ氏の姿の一部が見えました。
悠然と座っており、落ち着いたもの。
したがって、登場してすぐの序曲も、すぐにオケのエンジンがかかりました。

まあ、そんなマエストロの振る序曲は良いに決まっていますが、第1幕での歌手陣の声が今ひとつもどかしさを覚え、「ん???」
特にフィガロが…。
開演遅れの影響があったのかどうかはわかりませんが…。

正直、第1幕ではピットのオケに声が負けている気もしたのですが、第2幕になると皆さん調子が出て来た感じで、不感症の私もようやくオペラを「聴く」楽しみを感じ始めました。
第2幕終盤以降はそのような印象はほとんどなく、一部の歌手を除いて存分にオケと相乗効果の陶酔のハーモニーを実現していたと思います。。
もちろん、指揮は、ずーーっと良かったのですけれど。

マエストロ・ゼッダ氏の指揮姿は、ひょうひょうと力を入れずに振っているように見えますが、じーーーっとよく見ていると、めちゃくちゃ情報量が多いことが、素人の私にすらわかります(たぶん)。
あんな風に振られたら、もう、ああいう演奏をするしかないでしょうね、オケは。

スザンナは、第1幕冒頭は多少硬かったような気もしましたが、滑り出してしまえば大活躍。
舞台を引き締める要の役を存分に果たしていたように感じました。
ケルビーノは第1幕の速いアリアは「もう少し!」と思いましたが、第2幕の「恋とは…」は十分に良かったです。
伯爵は第1幕は多少迫力不足を感じましたが、第3幕での迫力は凄かった。
気合いが入っていました。

合唱はどうだったんだでしょう?
「他の団体のコーラスだったら??」と思わないでもなかったのですが…。
まあ、歌う向きとか、音響的にいろいろありますしね。

演出は私にはよくわかりませんでした。
抽象化されたセットなのかなぁ??
意地悪い見方をすれば、経費節減とも思えなくもないですが…。
でも、奥行きのない舞台が、結果的に歌手が客席に近い側で歌うことになり、音響的に有利に働いていたことは、たぶんあるでしょう。
これは先日の二期会の「ナブッコ」も同様です。

この日の上演、日本人歌手陣をどう“ひいき目”に見ても、主役はピットのマエストロ・ゼッダ氏であって、終演後に舞台上に登場したときに一番拍手が大きかったのも当然。
格が違います。

最安席、都民芸術フェスティバル価格で、これだけ楽しませていただいて、あら探しをしてはいけませんね。
ごちそうさまでした。
とっても美味しかったです。
シェフの腕が存分にふるわれた料理でした。

指揮:アルベルト・ゼッダ
演出:マルコ・ガンディーニ

アルマヴィーヴァ伯爵:谷友博
伯爵夫人:清水知子
フィガロ:上田誠司
スザンナ:納富景子
ケルビーノ:松浦麗
マルチェッリーナ:二渡加津子
バルトロ:田中大揮
バジリオ:小宮一浩
ドン・クルツィオ:岡坂弘毅
バルバリーナ:時田早弥香
アントニオ:清水良一
農民の娘:中川悠子、丸尾有香

東京フィルハーモニー交響楽団
合藤原歌劇団合唱部
藤原歌劇団合唱部
東京フィルハーモニー交響楽団

20120304


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2012年3月 3日 (土)

スピノジ/新日本フィル(2012/3/3)

2012年3月3日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ジャン=クリストフ・スピノジ
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第490回定期演奏会)

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
ドヴォルジャーク:交響曲第9番「新世界より」

インフルエンザで1月定期のハーディングさんの指揮を聴けなかったので、お正月のニューイヤーコンサート以来の新日本フィル。
やはりトリフォニーホールの舞台には新日本フィルがよく似合います。

スピノジさんの指揮、おそらくメンバー全員が共感し、楽しみ、力一杯に演奏していたのではないでしょうか?

前半のモーツァルトは、ピリオド・スタイルなのか、折衷案なのか、私のような素人にはわかりません。
見ていた範囲では、ノンビブラートではなかったような気も…。
でも、そんなことはどうでもいい!と思わせる、もう、喜びに満ちあふれた演奏。
変わったことはしていませんが…。
いや、しているのでしょううが…。
オケから生気あふれる弾むような音が次々に飛び出す。
作為的に感じられるところは…。
あるのでしょうが、客席で渦に巻き込まれている私は、違和感も感じず、ただただ、濁流…いや、清流に身を任せるのみ。

ネット上で、いたずらっ子がそのまま大人になって指揮者になっちゃった…というような話しが飛び交っていたように記憶していますが、まさにそんな印象。
こんなにも、見ているだけでも楽しく、幸せな気分にさせてくれる指揮者。
当然、それを見て演奏しているオケの音も、演奏する楽しさに満ちあふれています。

後半の「新世界より」は、メンバーにとっては、もう数えきれないくらい演奏してきた曲でしょう。
それなのに、新鮮なパワー、ある種のサプライズを与えてくれる指揮。
ルーティーンな演奏などでは全くなく、緊張感、気合い、高揚感、陶酔感、驚嘆を感じさせる演奏。

残念なことに、演奏終了後の静寂の中、怒鳴るようなブラボーの声(1名)が、客席から発せられました。
せっかくフライングの拍手もなく、余韻の静寂を味わっていたのに、寝ているのを叩き起こされたような気分です。
スピノジさんは「心臓バクバク」のような仕草をして、苦笑してから聴衆の方を向いたような気がしましたけど…。
決してフライングではありませんでしたが、あの静寂の中で、一人、大声で怒号のように叫ぶ感性には、私は全く共感出来ません。

まあ、それはともかく、終わり悪くても、他は全て良し。

アルミンクさんの次の音楽監督、もしハーディングさんが多忙で無理なら、スピノジさんはいかが?
まずは一日でも早く、首席客演指揮者でもなんでも、肩書きを持ってもらった方が良いのでは?
(すみません、素人で部外者のたわごとです。)
でも来シーズンの予定にはスピノジさんの名前は入っていないんですよね。

まあ、首席客演指揮者就任披露演奏会の後、一度も来ていない、来る予定をキャンセルした、次に来る予定が発表されていない人も、別のオーケストラにはいらっしゃいますからねぇ…。

横道にそれました。
スピノジさん、再々登場希望の指揮者です。

20120303

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