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2012年4月の18件の記事

2012年4月30日 (月)

ジルベルシュタイン(P)(2012/4/30)

2012年4月30日(月・祝)15:00
すみだトリフォニーホール

≪ロシア・ピアニズムの継承者たち≫
第6回 リリヤ・ジルベルシュタイン

ピアノ:リリヤ・ジルベルシュタイン
指揮:ヴァシリス・クリストプロス
新日本フィルハーモニー交響楽団

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」
(1919年版)
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
リャードフ:ワルツOp.9-1
(アンコール)
リャードフ:ミュージック・ボックス(音楽玉手箱)(アンコール)

チャイコフスキーのピアノ協奏曲後に2曲のアンコール。
後ろに控える新日本フィルの楽員さんの多くが、身を乗り出して、目を輝かせて聴き、儀礼的でない両手を使った拍手をしている様子からして、ただ事ではありませんでした。

ソロ、管弦楽、協奏曲というバラエティに富んだ曲目。
1曲目はソロで「展覧会の絵」。
聴き惚れているうちに、あっという間に終わってしまった感じです。
ピアノ「だけ」のハンディなど皆無。
ラヴェルが編曲したくなった気持ちもわかるし、冨田勲先生には悪いですが、シンセサイザーが主流にならなかった理由もよくわかります。
ジルベルシュタインさんのピアノの音は、テクニックを駆使していることを全く感じさせない旋律美。
音の粒子の細かさを誇示してはいなくて、全体として一体化した音響の印象。
しかし、フル・オーケストラに匹敵するようなスケール感。
その上深みもあります。

休憩後の2曲目はピアノはお休み。
指揮者とオーケストラだけで「火の鳥」。
前半のピアノ独奏時の照明を抑え目にした舞台とは印象が一変。
明るい舞台にオケの皆さんが勢揃い。
クリストプロスさんの指揮は、基本的に切れ味鋭く、豪快なのですが、乱暴ではなく、木管の歌わせ方など、かなり魅惑的。
クリストプロスさんのことを、以前、どなたか評論家の先生が「ドイツ若手三羽烏の一人」というようなことを書いていました。
トーマス・ファイさんと、あともう一人…は忘れましたが…。
その期待通り、若々しい音づくりながらも非凡な才能の印象。
この演奏会のためだけの来日なのでしょうか?

3曲目は協奏曲。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
この曲が、豪快で乱暴な難曲などではなく、チャイコフスキーの旋律美の散りばめられた美しい曲であることを、まるで初めて知ったような気分。
凄すぎ!
協奏曲でもクリストプロスさんは非凡な才能を発揮し、歌わせ、鳴らす。
その勢いを、いきり立つことなく堂々と受け止め、泰然と貫禄の横綱相撲の演奏をしてのけた女傑ピアニスト、恐るべし!
聴き手の私は、ただただ唖然。

《ロシア・ピアニズムの継承者たち》シリーズは、企画はいつも素晴らしいと思うのですが、集客が伴っていないことも少なくありません。
しかし、この日はかなり入っていました。
(3階正面はほとんど空いていましたが)。
有料入場者の割合は門外漢の私には不明ですが、聴衆の鑑賞マナー、集中力はかなり良かったと思います。

アンコールで再びソロの妙技を披露してくれたジルベルシュタインさん。
展覧会の絵や協奏曲での女傑の印象から一転、可愛らしい少女のような演奏。
チャーミングな音でした。

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2012年4月29日 (日)

新国立「ドン・ジョヴァンニ」(2012/4/29)

2012年4月29日(日)14:00
新国立劇場

モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ

オペラは最終日に観るに限ります。
もう一回、いや、何回でも観たいですけど、もう公演がありません。
財布にとても優しい!
新制作でない再演でこれだけやってくれれば言うこと無しです。

この日は、D席と間違えてクリックしてB席を買ってしまった公演。
しかし結果オーライ。
ピットの中の指揮者がよく見える!
パワフルかつ細かい!
楽しい!

ネット上での評判は、ドン・ジョヴァンニ役のクヴィエチェンさんが突出…と言うものが多かったかもしれませんが、私の耳が甘いのか、上演を重ねて修正されたのか、歌手の大半は素晴らしく感じます。
口コミでの評判が今ひとつだった歌手でさえも素晴らしいではないですか!

指揮のマッツォーラさんは、ここぞという時には上体を激しく揺さぶっての情熱的な指揮。
激しいながらも指揮棒の動きはかなり細かい。
ピットの東フィルは、見ている限りではノンビブラートではないようですが、左手の動きはかなり控え目かな?
スリムでスピーディーな音は美しく心地良い。

このプロダクションの鑑賞は私は今回が初めて。
アサガロフさんの演出は、伝統的のような、現代的なような、良い意味での折衷案なのかな?
視覚的に面白いのと、音楽の邪魔をしないのとを両立したような印象で私には好感。
口コミで不評だった一部歌手の演技も、私はさほど気にならず。

休憩後の第2幕はさらにヒートアップ…いや、熱くはないのですが、スピード感がめくるめく快感。
最後まで聴くと、やはりドン・ジョヴァンニ役のクヴィエチェンさんが頭ひとつ上に出ていた印象ですが、女声陣も、来日組と、日本人のツェルリーナ役の九嶋香奈枝さんも含めて総じて素晴らしかったと感じました。

歌手陣で一人(男声)、アリア?の後、ブーイングが飛んでいたような…。
私も、その方だけは「不調だったのかなぁ…」という印象。

カーテンコールはかなり盛り上がりました。
熱狂的と言って良いでしょう。
やはりドン・ジョヴァンニ役のクヴィエチェンさんと、指揮者のマッツォーラさんへのブラボーが特に盛大。
指揮者へは、第2幕冒頭で入場したときもブラボーの声がかかりました。

東フィルも指揮者の要求によく応え、スピーディーで刺激的な音を、乱れず、遅れず、飛び出さず、文句無しのレベルで出していたと思います。
こういう上演があるから、再演も目が離せません。
間違ってB席を買って、結果オーライの大正解。めでたし、めでたし。

スタッフ
【指揮】エンリケ・マッツォーラ
【演出】グリシャ・アサガロフ
【美術・衣裳】ルイジ・ペーレゴ
【照明】マーティン・ゲップハルト

キャスト
【ドン・ジョヴァンニ】マリウシュ・クヴィエチェン
【騎士長】妻屋秀和
【レポレッロ】平野和
【ドンナ・アンナ】アガ・ミコライ
【ドン・オッターヴィオ】ダニール・シュトーダ
【ドンナ・エルヴィーラ】ニコル・キャベル
【マゼット】久保和範
【ツェルリーナ】九嶋香奈枝

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2012年4月28日 (土)

インバル/都響(2012/4/28)

2012年4月28日(土)14:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(プロムナードコンサートNo.348)
クラリネット:佐藤路世(都響首席奏者)

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番
ドヴォルザーク:交響曲第7番

都響公式ツィッターの「5回連続券の受け付け最終日です」という悪魔のささやきの誘惑に勝ち、一回券で入場。
最近の私は、昼食後の公演で眠くなってしまうのが続いていましたが、この日は全く大丈夫でした。
法則は自分でもよくわかりませんが、ゴールデンウィーク初日の、のんびりとした気分を吹き飛ばされるような壮絶な演奏でした。

インバルさまが振ると「魔弾の射手」序曲が「協奏曲の前にとりあえず一曲」などではなく、“凄み”を帯びます。
ざわめきのように始まり、うねり、急速展開し、高らかに…。
この曲のこんな演奏、生で聴いたことがない…と思えてきます。
まったく容赦のない、いや、手抜きのない、真剣勝負!

クラリネット首席奏者の佐藤路世さんによるウェーバーのCl協奏曲第2番は「ああ、都響の音は、こういう名手によって構成されているんだよね!」と再認識。
柔らかい音はまさにミニ都響ですが、ソリストとしての存在感も十分。
バックのインバルさまの指揮する都響も万全の「共」演、「協」演。
さすがに緊張されていたのかな?
演奏ではそれは微塵も感じなかったのですが、演奏終了後のカーテンコールでは、多少、周りが見えていないぎこちなさ。
でも、それはそうでしょう。
バックはインバルさまの指揮する都響ですし、都響の主催公演ですしね。

休憩後のドヴォルザークの交響曲第7番は、揺らす!煽る!凄まじい!
基本、早めだと思いますが、緩急ならぬ、急・急・自在。
インバルさまの揺さぶりに一糸乱れず追従する都響の底力!
そうは言っても、コンミスの四方さん、結構必死で何度もオケの方を見ていたのかな?
第1楽章と第2楽章、第3楽章と第4楽章を間合いを置かずに指揮。
オケのメンバーも会場の聴衆も、緊張感が全く途切れず、ホールの空間が、異様な熱気をはらんだインバル・ワールド、トランス状態!

インバルさまと都響のドヴォルザークの本番を聴いたのは、たぶんこの日が初めてです。
3月の9番の日は日程が合わず、2010年6月の8番は、公開ゲネプロで聴いて度肝を抜かれたのですが、本番は完売で聴けず。
おそらく本番はもっと凄かったのでしょう。

ドヴォルザーク:交響曲第7番での、新・首席オーボエ奏者は、部分的に気負い過ぎ?の感もあったような気がしますが、入団して1ヶ月目でこんな演奏に巻き込まれたら無理もないですかね?
見た目・爆演でも、粗雑にならない現在の都響のハイクオリティ。
1ヶ月目としては上々、期待大です。

今回の3月~4月のインバルさまと都響の公演は、1公演(「新世界」の日)を除いて、残りは全て聴いてしまったことになります。
インフルエンザ発症で行けなくなった1月定期を振り替えた結果、「大地の歌」2日連続になったときは、さすがに体力に自信が無かったですが…。
ちなみに、1月にインフルエンザに感染した時に処方された薬は「イナビル」。
その時に行けなくなった1月定期を振り替えた3月の都響スペシャルの指揮者は「インバル」。
語感が似ているのは単なる偶然です。(つまらなくてすみません。)

この日もマイクが多数設置してありました。
もしかして、3月~4月のインバルさまと都響の公演は、全公演CD化ですかね?
今回インバルさまが離日する際に、空港でゴールデンウィークの出国ラッシュに巻き込まれて、「4月下旬に日本に居るのはもう嫌だ!」と思わないことを祈ります。

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2012年4月22日 (日)

カンブルラン/読響(2012/4/22)

2012年4月22日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第55回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)
サクソフォーン:須川展也

メシアン:ほほえみ

〈イベール没後50年〉
イベール:3つの小品(指揮者無し)
(Fl:倉田優、Ob:辻功、Cl:藤井洋子、Fg:井上俊次、Hr:松坂隼)
イベール:アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲
スコットランド民謡:美しいドゥーガーのほとりにて
(アンコール)
フランク:交響曲ニ短調

スダーンさま、ラザレフさま、ハーディングさま(←ここがアルミンクさまでないのは問題だと思いますが…)が戦列を離れている隙に白星を積み上げた都響と読響の首位争い。
読響が土日の連勝で0.5ゲーム差の首位に立ちましたが、この日でカンブルランさまが戦列を離れるため、4月はインバルさまが残っている都響が首位で終わる公算大?

それはともかく、…。

一曲目は、メシアンの「ほほえみ」。
カンブルランさまの本来の中心レパートリーはここにあるのかもしれませんが、私は個人的にメシアンが苦手なので…、そして今日もそれを再確認したわけで…、感想はパス。

〈イベール没後50年〉の1曲目は「3つの小品」。
指揮者なしで、木管(中心の)五重奏。
読響の木管セクションの秀逸さを誇示するような楽しい演奏。
音色の透明感と艶やかさ。
スピード感も。

〈イベール没後50年〉の2曲目は、須川展也さんの独奏で室内小協奏曲。
「え?もしかしてPAを使ってエコーをかけているんじゃないの?」と勘違いするくらいの美音の共鳴。
ソロもオケも。楽しい、楽しい!

そして、後半のフランクの交響曲ニ短調、これは凄い!
カンブルランさまが凄いことは十分知っていましたが、それでも凄い!
地の底がうごめくように始まり、スルスルスルっと昇って、あっという間に天へ突き抜ける!
ワーグナー的でありながらドビュッシー的でもラヴェル的でもあり、少し戻ってブルックナー的でもあり、シューベルトのグレイト的でもある。
そして、そのいずれもが亜流ではなく、超一級品のフランクの個性!
本当に唖然とする音響でしたが、聴いていて「興奮!」と言うのとは少し違う感情。
何と言っても鳴っている音に品格があります。
もしかしたらカンブルランさまが読響から引き出した、これまでで最高の音かもしれません。
これは年末の第九が楽しみです!

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2012年4月21日 (土)

ノリントン/N響(2012/4/21)

2012年4月21日(土)15:00
NHKホール

指揮:ロジャー・ノリントン
NHK交響楽団

(第1725回定期公演Cプログラム)

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第2番
ベートーヴェン:交響曲第4番
ティペット:交響曲第1番

先週の演奏会よりも、指揮者の意図が、より浸透した印象。
先週は今回の客演の初日、この日は4公演目です。

前半のベートーヴェンでは、今回は完全にノリントン節炸裂!
先週のエロイカのとき、なかなか良いけど、シュトゥットガルト放送響ではさらに…などと、多少のもどかしさ(というか重さ)を感じたのですが、本日は不満は全くなし。
ノンビブラートの弦の美しいこと!

個人的体調により、眠かったので(←進歩がない私…)陶然となって聴いていた前半のベートーヴェン。
急速第2楽章、緩急の変化、小細工、などのディテールを楽しめなかったのは残念ですが、こうしてピリピリせず、リラックスしてのんびり楽しむのも良いものです。
音楽自体は十分に刺激的でしたけど。

休憩後は目が冴え(覚め?)、後半のティペットの交響曲第1番を楽しみました。
この曲は、私は直前にNAXOS MLで2回、一夜漬けで予習しただけなので、演奏の良し悪しを感想として述べる立場にありませんが、N響は次回いつ演奏するかわからないような曲なのに最大限の協力、努力をしたと思います。
ノンビブラートだったかどうかは不明ですが、かけていても相当控え目だったのだろうと思います。
テカテカしたところのないピュアなサウンドでした。
この曲第1番は、割りと伝統的な印象と、斬新とは言わないまでもそこそこの新しさも感じる楽しい曲。
(尾高さんか大友さんあたり、指揮してくれないですかね?)
こういう曲を日常レパートリーのように演奏してしまうN響は流石!
いや、本番までは数多くの苦労と努力があったのかもしれませんが、そんな素振りも見せずに、さらりと、しかし効果的にやってのけてくれました。
ノリントンさんも各楽章ごとに左手を指揮棒で叩いてねぎらっていました。

ノリントンさんは、今日もオケのメンバーの大半が引き上げるまで舞台袖に立ち、見送っていました。

この日も私にしてはかなり奮発して、1階前方壁寄り(先週の土曜日とは反対側)の席で鑑賞。
この場所だと、巨大ホールでも、素直に音を楽しめます。
しかし、この月は、私にしては珍しく、ひと月の間に2回もNHKホールへ行ってしまいました。
1階席を買い続けるほどの財力は無いので当分行かない予定です。
9月以降は未定ですが…。

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2012年4月20日 (金)

インバル/都響(2012/4/20)

2012年4月20日(金)
東京文化会館

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第733回定期演奏会Aシリーズ)
ピアノ:辻井伸行

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番

読響さんがテミルカーノフさまを呼んでくれない今、ショスタコーヴィチ演奏の最強コンビの座は、当分揺らがないでしょう。
でも、次は?
インバルさまがマーラー・ツィクルスを終えた後、ショスタコーヴィチで残っている曲があるから…と続きをやってくれることを、心より祈願いたします。

後半のショスタコーヴィチが凄演でしたが、冒頭の「インバルさま/都響のショパン」も、素晴らしかった!
出だしからして力強い音!
オケが前面に出ない伴奏部分でも気を抜かずにニュアンス絶妙。
聴く前は、正直、「前半はどうなることやら…」と思っていましたが、良かった、良かった。
私は辻井さんには比較的、好意的な方なので、とりあえず好意的に聴きました。
去年の読響定期の時より、ずっと良かったと思います(曲は違いますけど)。
ただ、ずいぶん硬質なピアノの音に感じられる箇所が多かったのはホールの音響のせいですかね?
第2楽章など、音の粒の美しさが際立つ魅惑的な演奏でしたが…。
2007年にラフマニノフを聴いたときの印象を、私は過去の記憶を美化しているのかなぁ…。
でも、まだまだ“若手”なので、辻井さんにはブームに流されず、着実にキャリアを積んでいってほしいと思います。
いまは、騒がれ過ぎ…の感がありますし…。

演奏会冒頭と、演奏終了直後の出入りでは辻井さんをエスコートしなかったインバルさま。
辻井さんはマネージャーさん(?)に手を引かれて出入り。
それがカーテンコール何回目かからはインバルさまがエスコート。
「アンコールは弾かせないぞ」だったりして(違うか…)。

後半のショスタコーヴィチの交響曲第10番では、凄い音が鳴ることは、先月の4番の後なので十分に予測して臨みましたが、それでも、驚嘆で、しばし空いた口がふさがらない!
弱音からいきなり強奏に移行する際ですら、つなぎ目がわからない鏡面仕上げのような…。
音から音への移行は、例えば低弦からいきなりホルンへ…というような受け渡しが、鉄壁の二遊間の連携ダブルプレーのように、あたかも必然のように決まる。
まさに鉄壁のアンサンブル、サイトウキネンでさえも敵ではない?
(コンサートマスターは同じ矢部さんだったりしますが…。)
小太鼓を伴って疾走する最強音の凄まじさも唖然としますが、延々と続く微弱音で、全く緊張感が途切れず、恐ろしいまでに静まり返る大空間にも唖然。
客席と舞台上にこれだけの人が居るとは思えない時空でした。

この日は“一般参賀”なし。
しかし、心配した「休憩時間に帰る人多数」「ショスタコーヴィチの途中で帰る人あり」にはならず、良かったです。
もちろん、休憩時間に帰った人も少しは居たようですが、後半から来た人も結構居たような…?
めでたし、めでたし。

ちなみにこの日は、新・首席奏者就任披露演奏会でもありました。
演奏終了後、インバルが真っ先に起立を促したのは…。
2番目のファゴットさんも…?

開演前にステージ上で、すでに音出しをしている新・首席オーボエ奏者。
普段は開演直前に着席する私も、この日は早々に着席しました。
チューニングのとき、「ああ、オペラシティで聴き続けた音は、この音だよ!」と、悶絶しそうになりました。
水曜日に「不在」を聴いているだけに…。

東京シティ・フィルにとっては、オーボエ一番奏者が移籍したのは痛いことですが、都響の新・首席オーボエ奏者にとっては、都響で活躍する方が良いに決まっているし、都響にとっても良いに決まっています。
3月に東京シティ・フィルでお見送りして、今月、都響でお出迎えした私は、キャリア・アップは素直に喜びたいと思います。
これを機会に、もっとオーボエが近くに見える席への移動も考えましたが、チケットの値段を見て、やっぱりやめました…。

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2012年4月18日 (水)

宮本文昭/東京シティ・フィル(2012/4/18)

2012年4月18日(水)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:宮本文昭
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第258回定期演奏会
宮本文昭 音楽監督就任披露演奏会)
ピアノ:小山実稚恵

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
シューマン:トロイメライ(アンコール)
ブラームス;交響曲第2番

昨年の年末の第九で、もどかしい気持ちを抑えられなかった私は、この日のソリストが小山実稚恵さんでなかったら、聴きに行かなかったかもしれません。
しかし!
危惧は良い方に外れました。
宮本さんの指揮で聴くのは3回目ですが、この日が一番良かったと思います。
前途に明るい光が!

冒頭の「マイスタージンガー」前奏曲は、前任者、飯守泰次郎さんの十八番。
いきなり前任者の中心レパートリーで始めるとは大胆な…。
一曲目から全力投球、確かに豪快。
この曲では、指揮する身体の力がもう少し抜ければ、もっと良くなるかも…という思いがありました。
でも、まさか続く2曲でそれが実現してしまうとは…。

小山実稚恵さんの独奏よるモーツァルトのピアノ協奏曲第27番では、モーツァルトだけあって宮本さんの力みが消え、それのよってオケも伸び伸びと弾く好循環に入り始めた印象。
軽めではあるが十分美しい音。
基本的にはオケ全体が木管調の音色に感じられるのは、私の先入観でしょうか?
小山実稚恵さんのピアノは久しぶりに聴きましたが、以前のチャーミングな音の表情に再会できたのは嬉しい限り。
力まず、急がず、慌てず、焦らず。
ある意味淡々と奏でる音の美しさ。
アンコールのトロイメライは、さらにため息の出るような美しさ。

力まなくたってオケは鳴る、爆発する。
それを証明したのが休憩後のブラームスの交響曲第2番。
モーツァルトでも感じたことですが、基本、木管調の音、弦楽合奏でさえも。
従って音色は多彩ではない印象ですが、それは個性と言うべきなのでしょう。
素人が指揮して、こんな音、出ませんよ。
素人が指揮して、こんなに鳴りませんよ。
演奏終了後、汗を拭く奏者が何人もいた、この日の東京シティ・フィル。
手放しで大絶賛とはいきませんが(まだ良くなる余地がある!)、年末の第九でのもどかしさを吹き飛ばしてくれたのは嬉しい限り。
就任披露演奏会として、これ以上望めない演奏だったと思います。

ただ…。
言っても仕方ないことですが、オーボエの一番奏者を失った痛手は小さくない…。
規格内だけどドットの欠けがある液晶パネルのような?
荒さんの居ない東響のような…。
広田さんの居ない都響のような…。
私は都響で待っているから良いですけど…。

そうそう、今シーズンの東京シティフィルに、宮本音楽監督が呼んできたのは、かなりスゴイ顔ぶれの日本人指揮者の皆さんだけではありません。
日本人ソリストの皆さんも結構スゴイ顔ぶれだったりします。

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追記:
この日、ヴィオラのトップに座った方は?
もしかして?
…いや、自信がない…。
…とツィートしたら、教えてくれた人がいらして、やはり、川本嘉子さんでした!
宮本さんの人脈、スゴイ!

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2012年4月15日 (日)

大友直人/東響(2012/4/15)

2012年4月15日(日)14:00
サントリーホール

指揮:大友直人
東京交響楽団

(第599回 定期演奏会)
バリトン:トーマス・バウアー

ラフマニノフ:ヴォカリーズ(オーケストラ版)
マーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」より
  むだな骨折り
  不幸な時の慰め
  天国の喜び
  魚に説教するパドゥアの聖アントニウス
  塔の中の囚人の歌
  死んだ少年鼓手
  少年鼓手
スクリャービン:交響曲第2番

東響の今シーズンは、マーラーの歌曲ツィクルスです。
この日はその幕開け。

前半眠かったので(←進歩がない!)偉そうに感想を語れないのですが、トーマス・バウアーさんの独唱による「子供の不思議な角笛」から7曲、かなり良かったのではないでしょうか?
私の席は「反対側」の方向でしたが、その音響的ハンディをあまり感じない。
暗譜だったと思いますが、完全に手の内に入った万全の歌唱。
「子供の不思議な角笛」でありますから、当然の如く、角笛交響曲が想起される曲に耳が喜んでいる感覚。
昨シーズンのシェーンベルク・ツィクルスが(知った時は一瞬ひいたのですが、実際に聴いてみると意外と)知的好奇心をくすぐる楽しい1年でした。
今シーズンも、たぶんそうなることでしょう。

後半のスクリャービンの交響曲第2番は、私にとっては昨年秋の都響A定期を体調不良で聴けなかったリベンジ。
そして先月の秋山和慶さんによる「法悦の詩」に続く2ヶ月連続のスクリャービン。
秋山さんの圧倒的スケール感には少し及ばない印象もありましたが、曲の作りが違うだけに比較するのは野暮でしょう。
そして、さすがは東響、とりあえず音にしてみました…などというレベルであるはずもなく、この曲を聴く楽しみを存分に与えてくれました。
神秘性・複雑性よりもロマンティックな面を出した演奏のように感じましたが、これは大友さんの個性でしょう。
木管と金管の音色はさすが東響!
終盤でところどころ、弦のアンサンブルが微妙になりかけましたが、それはまあ些細なこと。
足を運んで良かった演奏会でした。
ただ、客席、特にP席は、お客さんの入りが寂しい状態。
歌曲だったかもしれないですけれど。

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2012年4月14日 (土)

ノリントン/N響(2012/4/14)

2012年4月14日(土)18:00
NHKホール

指揮:ロジャー・ノリントン
NHK交響楽団

(第1724回定期公演Aプログラム)
ピアノ:マルティン・ヘルムヒェン
ヴァイオリン:ヴェロニカ・エーベルレ
チェロ:石坂団十郎

ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン:三重協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

ノリントンの勝利!…と言えたかどうかは微妙。
オケの皆さん、弾いていて楽しかったのかなぁ…。
何度も強打することが出来たティンパニ氏は楽しそうだったけど。
それでも、前半はかなりの欲求不満がありましたが、後半のエロイカは良かった!
手放して絶賛は出来ないけど、足を運んで良かった!と思いました。

会場に入ると、舞台中央…と言って良いくらいの位置に置かれた仮設の反響板にちょっとびっくり。
コントラバスはその前に一列(つまり、最後列)。
前半はかなりスリムに刈り込んだ編成。
舞台裏で仕切りに音を出すのが聞こえてきて、お、やる気あるみたい…と。

しかし、冒頭の「フィデリオ」序曲から、ノリントン節が炸裂…ではあるのですが、以前、シュトゥットガルト放送響の来日で聴いた時に比べると、なんとなく腰が重いような気がするのは私の先入観でしょうか?
もちろん、あちらはサントリーホール、こちらはNHKホールですが…。

三重協奏曲でピアノがオケの方を向いて、奏者が客席に背を向ける方向で配置されると会場がかすかにざわめいたような(?)
私の席からはよく見えなかったのですが、指揮者は主に第1ヴァイオリンの方を向く位置を基本に、あちこち向いて指揮していた様子?
(もちろん対向配置です。)

三重協奏曲のソリスト3人は気迫みなぎる熱演で素晴らしかった!
ビブラートうんぬんは置いといて、この曲でこれだけ熱演してくれれば言うこと無し。
まさに音楽を弾く喜びを発散させ、聴く喜びを与えてくれました。
しかし、バックのオケはかなり大人しい印象。
う~ん。

…というわけで、前半のオケの演奏には結構不満はあったのですが、後半のエロイカはその不満がかなり解消されました。
もちろん、シュトゥットガルト放送響来日の時に比べると、特にノリントン特有の、だらーーん…と脱力するあたりが完全に脱力しきれない感はありましたが、まあ手兵だったシュトゥットガルト放送響と比べては、客演で迎えたN響には酷でしょう。
もちろん、私がシュトゥットガルト放送響来日の時のエロイカを生で聴いていなければ、今日の後半の演奏を手放しで絶賛したことでしょう。
やれば出来るではないですか!
放送「公共」楽団!

ちなみに、この日は、1階席前方壁寄りで聴きました。
昨年12月のデュトワさんの千人の交響曲の時に、3階L列で聴いて「音が来ない」感に失望しました。
定期会員だったとき(20世紀の話しです)は、たぶん十数年、座り続けた場所だったのに。
…というわけで、この日は私にしては奮発してチケットを購入しました。
まあ、ある程度以上の規模ならどこのホールでもそうだと思いますが、席の場所が大きく違うと、同じホールとは思えない眺望の違い。
もちろん音も。
したがって、この日は巨大ホールの音響への不満は感じませんでした。

とても仕事をしている人間とは思えない(←人に言われる前に自分で言います!)2日連続の昼夜ダブルヘッダーから帰宅して、意外と疲れなかったのは、4公演とも(!)素晴らしかったからだと思います。

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アルミンク/新日本フィル(2012/4/14)

2012年4月14日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:クリスティアン・アルミンク
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第492回定期演奏会)
ヴァイオイリン:マティアス・ヴォロング

スーク:組曲「おとぎ話」
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番~ガヴォット
(アンコール)
ヤナーチェク(P.ブレイナー編):「イェヌーファ」組曲

君子豹変…と感じることが多い近年のアルミンクさま。
そのように感じるのは、私のアルミンクさま歴が短いせいなのか、それとも…?
冒頭のスークの「おとぎ話」から、以前「ハーリ・ヤーノシュ」を指揮した時を思い出すような迫力、情感の込め方、淡白な印象皆無。

2曲目のドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲でも、バックのオーケストラは、激しいアルミンクさま…を継続。
伴奏ではなく「共奏」かつ「競争」。
ヴァイオリン・ソロは滑らかにつないだ旋律をたっぶり鳴らし、会場は大喝采。
ソリスト・アンコールのバッハは、清涼感のある美しい演奏でした。

後半のヤナーチェクの「イェヌーファ」組曲は、かなりの…極上!と言って良い音の仕上がり。
オペラの抜粋に留まらず、管弦楽曲としてのドラマ。
迫力も情感も十分ながら、力任せの乱暴な演奏などではなく、バランスをとって鳴らしながら何度もクライマックスを築きました。

客席は結構寂しい。
1階、2階、3階、まんべんなく空席が目に付きます。
しかし、拍手はかなり熱かったと思います。
ブラボーの声もかかり、沸いていました。
熱烈な拍手にふさわしい、エキサイティングな体験!と言って良い、素晴らしいヤナーチェクだったと思います。

在京オケへの注目は、インバルさま、カンブルランさま、スクロヴァチェフスキさま、スダーンさま、ラザレフさま、…。
新日本フィルですらハーディングさまに移っているのかもしれません。
しかし、この日の演奏を聴く限り、アルミンクさまが積み上げた10年近い歳月は、半端でない重みがあります。
震災直後の新国立「ばらの騎士」キャンセルに端を発した、このコンビの埋め難い隙間風は、この日の演奏を聴く限り、そして少なくとも客席側から見ている限り、解消したように感じられます。
2013年8月の任期満了の告知で、関心は「次」に移りつつありますが、まだ1年以上先。
それまでは現・音楽監督による「次の演奏会」に注目していきたいと思います。

20120414

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2012年4月13日 (金)

カンブルラン/読響(2012/4/13)

2012年4月13日(金)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第193回東京オペラシティ名曲シリーズ)
ヴァイオリン:松山冴花

〈ドビュッシー生誕150年〉
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラロ:スペイン交響曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」
(1947年版)

カンブルランさま、恐るべし!
昨夜、都響がゲーム差1.0で首位にたったと思ったら、今夜は読響が同率首位に並ぶという混戦。
セントラル・リーグよりも、パシフィック・リーグよりも、Jリーグよりも、大相撲よりも、優勝争いが面白すぎる在京オーケストラ・リーグ!

とても勤め人とは思えない(人に言われる前に自分で言います!)平日の初台マチネ、ソワレの2本立ては、大成功でした。
新国立「オテロ」は17:00頃に終演。
体力勝負の自信は無いので、移動は最小限に…。
隣りのオペラシティへ移るだけの19:00開演。
こういうハシゴは楽です。
ワーグナーの楽劇を通しで観るのと、さほど変わらないですし。

横道にそれました。

冒頭の牧神の午後への前奏曲では、カンブルランさんは、静止したままフルートのソロで開始。
カンブルランさんが振ると、透明感のある、ややクールなサウンドが、フワッと立ち上がり、スパッと突き抜ける。
月並みな形容ですがニュアンス豊かで濁りの無い音。

2曲目の松山冴花さんのソロによるスペイン交響曲は、独奏ヴァイオリンは、やや太めの筆で描いた旋律。
豪快と言ったら言い過ぎかもしれませんが、重量感はそれなりにある音。
反面、繊細さは多少犠牲になっている感はありますが、これはまあ、スタイルなのでしょう。

スペイン交響曲でのもうひとつの聴き物は、バックのオーケストラ。
カンブルランさんが手抜きすることなく振ると、シンフォニック!ファンタスティック!エキサイティング!
オケが前面に出る場面では「うわっ、これは交響曲だよ」。
こんなスペイン交響曲のオーケストラ・パートを聴いたのは初めてかも。
大収穫です!

そして、後半はさらに凄かった。
「ペトルーシュカ」は、最後が静かに終わる方の版。
エッジを立てず、流線形に磨き上げた美し過ぎるサウンド。
2月に沼尻さんが振った演奏と同じオケ、同じホールとは思えないほど。
ピアノを指揮者の正面に置いての演奏。
開演前のロビーでの解説によれば、練習日数は4日とのことです。

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新国立劇場「オテロ」(2012/4/13)

2012年4月13日(金)14:00
新国立劇場

ヴェルディ:オテロ

初日を観て「もう一回観たい!」と思い、でももう一回観ると、さらにもう一回観たくなるリスクがあるので、最終日を鑑賞。
平日マチネのため、午後半休をとって初台へ。

基本的な印象は、初日と同じですが、初日とは反対側のサイドに座ったので、初日には見えなかった部分が見えて面白い(もちろん逆もあります)。
第1幕冒頭のオケの凄まじい音、「鳴らし過ぎ?」と思うくらいで、歌手の声をかき消しがちなのも同様。

個人的に昼食後で眠くなってしまったのも初日と同じ(進歩が無い…)。
初日と違ったのは、オテロの声が冒頭から大きく響き渡ったこと。
もっとも、尻上がりにボルテージが上がっていくタイプには変わりないようで、後へ行くほど、もっと凄みを増して行った感はあります。

休憩後は眠気も取れ、目もさえて気迫みなぎる舞台を十分に堪能したのも初日と同じですが、追体験と言うよりは再体験。
冷静に聴いていられるはずもなく、圧倒される思いで、もう一回鑑賞できたことを喜びます。

歌手の皆さん、最終日ということもあってか、初日以上に白熱した歌唱。
オテロも、デズデーモナも、イアーゴも、みんな初日以上に素晴らしかったですが、特にエミーリアの清水華澄さんの終幕での歌唱は、絶叫寸前ギリギリの迫力!

ピットの東フィルは、初日同様に東フィルとは思えない(失礼!)素晴らしさ。
圧倒的迫力!
音の磨き上げは初日以上?
声をかき消すほどの音量バランスは、おそらく私が4階席で聴いていたからで、下の方の階で聴いたら、違った印象を受けたかもしれません。
ただ、一番最後の微弱音は少し不用意だったかも…。

素晴らしかったからもう一回観に行ったら「あの感動を胸にしまっておけば良かった…。」ということも結構あるのですが、今回に限ってはそのような印象は皆無。
半休をとる決心をした自分をほめてやりたい(?)。
仕事のしわ寄せはありましたけど。

スタッフ
【指揮】ジャン・レイサム=ケーニック
【演出】マリオ・マルトーネ
【美術】マルゲリータ・パッリ
【衣裳】ウルスラ・パーツァック
【照明】川口雅弘

キャスト
【オテロ】ヴァルテル・フラッカーロ
【デズデーモナ】マリア・ルイジア・ボルシ
【イアーゴ】ミカエル・ババジャニアン
【ロドヴィーコ】松位浩
【カッシオ】小原啓楼
【エミーリア】清水華澄
【ロデリーゴ】内山信吾
【モンターノ】久保田真澄
【伝令】タン・ジュンボ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

20120413

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2012年4月12日 (木)

インバル/都響(2012/4/12)

2012年4月12日(木)19:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第732回定期演奏会Bシリーズ)
ピアノ:児玉桃

モーツァルト:ピアノ協奏曲第8番「リュッツォウ」
ブルックナー:交響曲第7番

シンバルの似合う、インバルさまのブルックナーの7番。
この日も一般参賀(1回)。
会場の熱狂ぶりは凄まじい。
ちょっと響きがきれい過ぎる感もありましたが、これはこれで、快感のシャワーではあると思いました。

前半は児玉桃さんの独奏でモーツァルト。
桃さんのピアノは、可愛らしいだけのモーツァルトではなく、クリアな音の粒子がたくさん散りばめられた名妓の披露。
スリムな編成のオケも切れ味があり、ピリオド風味でなくても十分に爽快。
さすがに、17番とか23番のようなわけにはいきませんが、オードブル(失礼!)にはちょうど良い演奏だったかもしれません。

そして、後半のブルックナーは、深淵?…壮大?…いや、流麗かも。
メタリックに磨き上げられたサウンド。
これほどシンバルが似合う演奏がありましょうか!?
重箱の隅を突けば、都響にしては珍しく、ごく一部で金属のつなぎ目が見えた箇所もあったような?気もしましたが、まあ生演奏ですから、目くじらをたてるほどのものではありません。
インバルさんとしては、第1楽章終了後に間合いを置かずに第2楽章を始めたかったようで、残響が消えてすぐに指揮棒を構えたのですが、会場から咳払いが起こってしまい、始められなかった様子。
そのせいか、第2楽章冒頭はアンサンブルが少し…?

それにしてもこの日のインバルさんは気合いが入っていました。
鬼のような形相で振るインバルさんのお顔は、私は久しぶりに見たような気がします。
ずいぶん声を…、歌声や、唸り声を出していて、レコーディングの方はどう処理するのでしょう?と余計な心配も。

インバルさんの、気迫の…でも流麗な…凄演を前に、意外と冷静に聴いていられたのは、「ウィークリー・インバルさま」のおかげ。
何とも贅沢な話しです。
フィラデルフィア・サウンドのような(違うよ!お前はわかってない!と言われそうですが)ブルックナーを鳴らした都響に脱帽でした。

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2012年4月 8日 (日)

東京春祭「タンホイザー」(2012/4/8)

2012年4月8日(日)15:00
東京文化会館

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-
東京春祭ワーグナー・シリーズvol.3

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」(ドレスデン版)
(演奏会形式・映像付)

桜満開?
上野駅で降りると、改札口へ向かう人の列が大変な人混み。
開演10分前くらいに駅に着いたので、ちょっと焦りました。
(余裕で間に合いましたが。)
スマホのネットワークも、トラフィックひっ迫のせいか、なかなかつながらない。

閑話休題。

こういうことを言うのは不謹慎かもしれませんが、大関クラスと十両クラスの違いを見せつけられた感じ。
もちろん、この日は大関クラスの方。

オーケストラのゴージャスなサウンドは、さすがは(紅白)歌合戦ホールで慣らし(鳴らし)たオケだけのことはある?
いやはや、普段、悪態をついていても、放送「公共」楽団は、やはりうまい。
重厚…と言うのとは少し違うかもしれませんが、まあショルティのようなハンガリー系?のワーグナーと思えば、爽快!爽快!
その気になれば出来るではないですか!

歌手陣と合唱は、舞台後方の、やや高い位置での歌唱。
後方は、天井反響板も、側面、後方の反響板も撤去されていましたので、音響的にはハンディがあったはずですが、皆さん、それを感じさせない貫禄の歌唱。
声を張り上げる場面だけでなく、小さな声で歌う場面の、それでも美しく通る声に脱帽です。

舞台後方に映写される「映像付き」ですが、動画と言うよりは静止画に近く、私はあまり効果的とも思えませんでした。
まあ、好き好きでしょうが…。
歌手は演奏会用の衣装。
個人的には「反響板を撤去してまで映像を付けなくても…」と思いました。

グールドさんは、2007年の画家タンホイザーも歌ったんでしたっけ?
私のようなオペラ入門者は、カーセン演出の奇抜な舞台(あれはあれで面白かったですけど)よりも、本日の演奏会形式の方が、落ち着いて聴いていられたような…。

今日は少し疲れ気味で「自粛しようか?出かけようか?」と迷ったのですが、「第1幕だけ、…いや、第2幕まで観て帰ろう」と上野に向かい、結局、最後まで観て…いや、聴いてしまって、終演後は救済されて元気いっぱい。
音楽の力は凄い。

なお、最安席3,000円の恩恵を受けながら文句を言うのも筋違いかもしれませんが、完売最安席エリアに結構あった空席を見ると、価格設定は難しい…と思いました。
そう言う私自身、疲れ気味で「3,000円のチケットだし、自粛しようかな…」と一時は思ったわけですし。

指揮:アダム・フィッシャー
タンホイザー:ステファン・グールド
エリーザベト: ペトラ=マリア・シュニッツァー
ヴェーヌス:ナディア・クラスティーヴァ
ヴォルフラム:マルクス・アイヒェ
領主ヘルマン:アイン・アンガー
ヴァルター:ゲルゲリ・ネメティ
ビーテロルフ:シム・インスン
ハインリッヒ:高橋 淳
ラインマール:山下浩司
牧童:藤田美奈子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀

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2012年4月 7日 (土)

インバル/都響(2012/4/7)

2012年4月7日(土)19:00
東京文化会館

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(東京春祭のStravinsky vol.1
インバル & 都響の《ストラヴィンスキー》)

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)

なんとなく、「春の祭典」を聴く気になっていましたが、それは前年に予定されていた(中止になった)演奏会でした…。
しかし、2曲の全曲演奏を完璧に近い形で、しかも平然と披露されると、続けて「春の祭典」も聴きたいくらいの気分でした。
それくらい、聴いていて疲労感ゼロ、爽快感100%の素晴らしさ!
終演後は“一般参賀”にはなりませんでしたが、よくもまあ、…と呆れるほどの音。

前半の「ペトルーシュカ」を、例によってインバルさんは、ひょうひょうと振り、都響の皆さんは気負うことなく平然と弾く。
それでいてこのレベルの音響が構築される。
この曲、さほど難しい曲ではなかったのか…と錯覚させられるような演奏です。

後半の「火の鳥」全曲も凄い、凄い。
曲芸的な箇所でも全く破綻しない緊密なアンサンブル。
絶叫せずに高らかに響きわたる最強奏。
しかし、一番驚嘆したのは、微弱音の美しさ。
恐る恐る音を出す様子は皆無で、神経質でもなく、まさに息をのむような美しさ。
まさに、指揮者と全奏者があうんの呼吸。
次々と出てくるトップ奏者の絶妙のソロも突出せずに、全体の一部分としてピタリと符合する。
終曲はさすがに全奏者が渾身の力演で、大きく身体を揺らしての演奏でしたが、それでも緊密なアンサンブルは全く崩れませんでした。

遠目だったので定かではありませんが、後半の「火の鳥」では、首席オーボエ奏者として入団された鷹栖美恵子さんさんが、3番?奏者として、のっていたような…。
多少緊張されていたような…??
凄いところへ来てしまった…??
第2幕でのルサルカのような心境??
都響に移籍されても、待ち構えていて応援しますよ!

この日は私にしては珍しく、普段と違う位置の席だったが、予想外に良い音で意外。
東京文化会館は5階に限る…と信じて疑わなかったのですが、他にも良い音の場所はあるものです。
しかし、苦い思い出も多々あるので、あちこち試す気にはなりません。

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下野竜也/新日本フィル(2012/4/7)

2012年4月7日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:下野竜也
新日本フィルハーモニー交響楽団

(新・クラシックへの扉・第20回)
ソプラノ:半田美和子

グリーグ:序曲「秋に」
グリーグ:組曲「ホルベアの時代から」
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲、第2組曲
グリーグ:「ソルヴェイグの子守歌」
(アンコール)

意外と生で聴く機会は多くない「ペール・ギュント」…と言いたいところですが、2月の読響でも、なんとヴァンスカ様の指揮で聴きました。
2012/2/14
2012/2/15
この日は、その読響の正指揮者の下野さんが、新日本フィルでオール・グリーグ・プログラム。

冒頭の、序曲「秋に」から、いきなり炸裂する下野さん流。
豪快、爽快にオケを鳴らし、パワー全開。
弦楽合奏の「ホルベアの時代から」は、弾むような喜びに満ちた演奏です。

後半の「ペール・ギュント」も下野さん節の炸裂!
「山の魔王の…」、「イングリッド…」、「ペール・ギュントの帰郷」などではパワー炸裂のシンフォニックなサウンド。
対する「オーゼの死」や「アニトラの踊り」などは情感たっぷり。
ソプラノの半田美和子さんは、本編の「ソルヴェイグの歌」ではパイプオルガンの前での歌唱。
澄んだ歌声が清涼感。
下野さんが「もう一曲歌っていただきます」と紹介して、指揮台横で「ソルヴェイグの子守唄」。

お客さんの入りは多いとは言えない状態でしたが(6割くらいでしょうか??)、演奏のレベルは、主催公演だけに、定期演奏会クオリティ。
もし前半がグリーグのピアノ協奏曲だったら、お客さんはもっと多く入ったのでしょうか?
私などは下野さんのオール・グリーグに、一回券に発売日に飛びついた口なのですが…。
もっとも、この日は、同じ14:00から、新国立劇場で「オテロ」(私が初日を観た演目)、16:00からサントリーホールで、日本フィル定期(私が前日に聴いたプログラムの2日目)、19:00から東京文化会館で都響と、供給過剰であるのは否めないかもしれません。

201204072

20120407

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2012年4月 6日 (金)

インキネン/日フィル(2012/4/6)

2012年4月6日(金)19:00
サントリーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
日本フィルハーモニー交響楽団

(第639回定期演奏会)

【マーラー撰集 Vol.3】
シベリウス:付随音楽「死(クオレマ)」
マーラー:交響曲第5番

近年、日フィルのリピーターで無かった私は、昨年10月、そして先月のラザレフさん指揮の演奏会で大いに反省ました。
…というわけで、今月も拝聴。
“パワフル・ラザレフ”とは一味違う“センシティブ・インキネン”。
ラザレフさんとインキネンさんは、良い補完関係にあると言って良いのでしょう。

前半のシベリウスの「死(クオレマ)」は4曲。
プログラム冊子の記載とは異なり、悲しいワルツを最後に演奏。
日フィルさん!いつからこんなに繊細な音を出すオケに…と、驚き!(←私は一見さんです、すみません)。
弱音のニュアンスは、耽美的ではありませんが、ひたすら美しいと思える音。

後半のマーラーの交響曲第5番は、ドロドロしていないスッキリ系のマーラー。
冷静に構築した音ではありますが、「組み立てた」という印象は無い均質化されたハーモニー。
燃えてはいない演奏ですが、無機質ではなく、ハッとするようなニュアンスを内包した音。

あえて重箱の隅を突つくなら、楽章によって仕上がりに僅差があったようで、私が一番良かったと思ったのは第1楽章、次いで第4楽章。
しかし他の楽章も不満と言うほどのものではなく、存分に惹きつける所が多々ある演奏。
おそらく2日目はもっと良くなることでしょう。

冒頭のトランペットは、インキネンさんは奏者に任せて、指揮の動作はせずに開始。
しかし、あごをかすかに動かし、目つきは気合い十分。
任せたようでいて、顔だけでグイグイ。
手綱はしっかりと、目で握っていた印象でした。

終演後、最後のカーテンコールでは、インキネンさんが引き上げた後ではなく、指揮者台の上で一緒に、オケのメンバー全員と一緒にお辞儀。
日フィルのリピーターさんには珍しくも無いのでしょうが、そうでない私は、ちょっと感激してしまいました。

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2012年4月 1日 (日)

新国立劇場「オテロ」(2012/4/1)

2012年4月1日(日)14:00
新国立劇場

ヴェルディ:オテロ

初日の東京フィルとは思えない(失礼!)素晴らし過ぎる!ピット。
舞台上の歌手も白熱!
こういうことがあるから再演も外せません。

指揮のジャン・レイサム=ケーニックさん、かなり練習時間をかけたとのオケのメンバーのツィートも見ましたが、冒頭から鳴る、鳴る、鳴りまくる!
これがヴェルディらしい音なのかどうかはわかりませんが、これだけ隅々まで神経が行き届いていながら気迫十分の鳴らしっぷりだと、理屈抜きに快感!
第1幕では、声をかき消してしまう?鳴らし過ぎ?…という印象の箇所もありましたが、ドラマティックかつシンフォニック!

オテロ役のフラッカーロさんは、第1幕では、多少初日の緊張があったのかどうかはわかりませんが、長い節回しは良いけど、瞬発力のパワー、パンチ力に少し欠ける感もあったのですが、第2幕以降は調子が出てきてボルテージ・アップ!

代役のデズデーモナのマリア・ルイジア・ボルシさんは、高貴な品のある声ながらも力強さは十分。
絶叫することなく、むしろ抑制された歌唱にすら感じられるが、声を張り上げずとも十分に存在感のある声。
背負った悲しい運命を見事に演じ切ったと思います。

イアーゴは、少し健康的過ぎる印象も受けたが、まあ、それは贅沢と言うもの。

照明の変化(だけ!)でドラマを描いた演出も素晴らしい。
このプロダクションは、私は今回が初鑑賞。
プレミエのときは「水を張った舞台」ということがクローズアップされて報道されていたと思いますが、この再演を見た印象は、プログラム冊子にある通り、静的な舞台装置に光の変化を巧妙に使用した視覚効果。
かなり刺激的で楽しい。
舞台中央のセットが第2幕でくるりと回転する効果は「???」でしたけど。

後半開始(第3幕前)に指揮者がピットに現れると、ブラボー!の声がいくつもかかります。
みんなわかっています。
ピットの東フィルが、初日からこんなに凄いことはめったにない(失礼!)と言うことを…。
雑な音など皆無、完璧に近く磨き上げられています。

第1幕では、やや「ピット優位」の感もありましたが、第3幕に至っては、舞台上の歌手も含めて、エネルギッシュ!ハイボルテージ!白熱した舞台!
オテロ役のフラッカーロは、後半の2幕は文句なし。
新国立の空間が異様な熱気を帯びる。
第4幕終盤で、舞台も客席も、会場全体が取り憑かれたようになった雰囲気は形容しがたいものでした。

こういう公演になることがわかっていれば、S席…、いや、B席くらいは奮発しても良いのですが、こればかりはフタを開けてみないとわからないので、私はたいていD席、この日もD席。
この日のチケットのコストパフォーマンスは抜群!
でも、ピットの指揮者の姿、見たかったです。

昨年6月のバタフライも、再演演目だからパスしようと思ったら、ネット上で大評判で、慌てて日程をやりくりして観に行きました。
先日のオランダ人は、指揮者に期待してB席を買ったら、オケは良かったと思いましたが(ネット上の評判はあまり良くなかったですね)、歌手陣が今ひとつピンとこなかった感があります。
株式投資みたいなものですね。

私は、かなりのハイテンションで鑑賞していたようで、帰宅途上、多少の疲労感。
続けて摂取すると、身体にはあまり良くないかもしれません。
新国立には、ぜひ、続けて呼んでほしいマエストロです。

スタッフ
【指揮】ジャン・レイサム=ケーニック
【演出】マリオ・マルトーネ
【美術】マルゲリータ・パッリ
【衣裳】ウルスラ・パーツァック
【照明】川口雅弘

キャスト
【オテロ】ヴァルテル・フラッカーロ
【デズデーモナ】マリア・ルイジア・ボルシ
【イアーゴ】ミカエル・ババジャニアン
【ロドヴィーコ】松位浩
【カッシオ】小原啓楼
【エミーリア】清水華澄
【ロデリーゴ】内山信吾
【モンターノ】久保田真澄
【伝令】タン・ジュンボ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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