下野竜也/読響(2012/5/15)
2012年5月15日(火) 19:00
サントリーホール
指揮:下野竜也
読売日本交響楽団
(第515回定期演奏会)
ヴァイオリン:三浦文彰
ライマン:管弦楽のための7つの断章
-ロベルト・シューマンを追悼して-
(日本初演)
シューマン:ヴァイオリン協奏曲
パガニーニ:パイジェルロの「水車屋の娘」の
「わが心、もはやうつろになりて」
による変奏曲Op.38(アンコール)
シューマン:交響曲第2番
三浦文彰さんのアンコールとシューマンの交響曲第2番はエキサイティング!
シューマンのヴァイオリン協奏曲は捉え所がよくわからず、冒頭のライマンは気が狂いそうになりましたが、終わり良ければ全て良し…ですかね。
プレトークで「シューマンが精神を病んでいく様子…」と下野さんが語ったライマンの7つの断章、多少の現代音楽でも驚かないつもりでいたのですが、もしこの曲がBGMとして一日中かかっていたら、本当にメンタル的に異常をきたしてしまいそうな体感でした。
プレトークで「スピーカーを通した音ですが…」と下野さんが言って流したきれいなメロディ。
「シューマンが、自殺未遂の前、最後に作曲した曲」とのことで、「このメロディが現われます」とおっしゃっていて、確かに現われるのですが、きぃーー、きぃいーーというガラスをこすったような騒音(失礼!)の中から、断片的にきれいなメロディが浮かび上がると、かえって異常感が倍増。
いやはや、よくもまあ、こんな曲を書いたものだと…。
でも、本当に、シューマンは、こんな感じで病んでいったのかも…と思える曲ではありました。
続く、三浦文彰さんによるシューマンのヴァイオリン協奏曲、なんか、淡々と(?)弛緩した(?)テンポで弾かれたように感じたのは、私の理解力不足でしょうか?
しかし、アンコールが超絶技巧で、めちゃくちゃ面白かった。
「アンコールばかり練習してきたの?」と意地悪いことを考えたら、“三浦文彰さん・通”の友人に休憩時間にロビーで話しを聞くと、三浦さんは腕が立つので、協奏曲はさらりと弾けて(!)しまい、アンコールであっと驚かせることがよくあるのだとか…。
協奏曲から会場大喝采で、“取り残された・感”があったのですが、それにしても、アンコールは面白かった。
本編の協奏曲は…、うーん?
気を取り直して、休憩後のシューマンの交響曲第2番、これが下野さん気合い入りまくりの快演!
音楽を聴く喜びって、このワクワク感なんですよね。
スクロヴァチェフスキさんのレパートリーだったために、下野さん、これまで、あまり振らなかった(?)のかな?
下野さんの指揮の動作は切れ味鋭く、ときに広上淳一さんの動作みたいに大見得?を切る場面も…。
しかし、その見た目ほどはシャープなサウンドではなく、弾力性のあるなめらかな音の連続。
第3楽章のゆったりとした部分も含めて、音が語りかけてくるような魅惑。
第1、第2、第4楽章は、飛び跳ねたくなるような、はつらつとした躍動。
…というわけで、冒頭のライマンで気が狂いそうになり、協奏曲で長く感じた演奏会、三浦さんのアンコールで目を覚まし、シューマンの交響曲第2番で「そうそう、こういうのを期待して聴きに来たんだよ!」と喜んでお開き。
後味はものすごーーく良い!
しかし、秋の日生劇場「メデア」の予告編ですか?と邪推していたライマンの作品が、予想外に私と相性が悪かったので、「メデア」はどうしようかなぁ…。
聴きたくないような、相性をもう一回、確かめに行きたいような…。
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コメント
昨日は本当にありがとうございました。
三浦くん、そちらからは、私も含め正面に陣取る女性陣の鼻の下を伸ばした満面の笑みがまる見えだったのではないでしょうか^^;。
三浦くんのベートーベンのコンチェルトが聴きたいのですが、それが叶う日はいつになりますやら。
まだ19歳って、すごいですよね。これからもご一緒に!見守っていきましょうね(^^)。
こういう若い演奏家さんたちを聴くのがどんどん楽しみになってきちゃって、おばさん力ますますupです。どうしましょう。
シューマンの2番、素晴らしかったですね。始まったとたんに圧倒され、気がついたら2楽章が終わってました。そのことにびっくりして慌てたほどでした。真ん前の席で、まるでスピーカーの「中」にいるみたいでした。
投稿: oyamanoneko | 2012年5月16日 (水) 11時28分
こちらこそ、いろいろ教えていただき、ありがとうございました。
定期演奏会のソリストに呼ばれること自体、凄いと思います。
残念ながらルックスに“父性本能”はくすぐられませんでしたが、アンコールには驚嘆しました。
投稿: 稲毛海岸 | 2012年5月16日 (水) 23時43分