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2012年5月19日 (土)

アルミンク/新日本フィル(2012/5/19)

2012年5月19日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:クリスティアン・アルミンク
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第494回定期演奏会)
ソプラノ:天羽明惠
アルト:アネリー・ペーボ
テノール:望月哲也
バリトン:イシュトヴァーン・コヴァーチ

ボーイソプラノ:髙坂祐人、田代新
ボーイアルト:小林雪音、髙坂幸代

(東京少年少女合唱隊メンバー)
指導:長谷川久恵

合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

ドヴォルザーク:交響詩「金の紡ぎ車」
マーラー:「嘆きの歌」
(初稿版)

企画の勝利です。
しかし、それだけではありません。
演奏の勝利、歌唱の勝利、指揮の勝利。
悲しい(哀しい)曲ですけど。

やや類似したストーリーを題材にし、ルーツの近い二人の作曲家の曲を並べたアルミンクさんらしい企画。
こういうの、もっと評価されるべきだよな~と開演前から少し感動します。

ドヴォルザークでは、さほど作曲家の民族的な側面は出していなかったように感じます。
あくまでもシンフォニックなストーリーや描写する音楽としての、熱弁さの側面を強く出した演奏の印象。
音は強く、揃ってよく鳴っており、指揮者とオケの関係は復調したのかな?と嬉しくなるくらい。
アルミンクさんの貴公子のような風貌で時々忘れてしまいますが、地理的には、アルミンクさんの出身地のウィーンと東欧は、結構近いはず。
かつての「ハーリ・ヤーノシュ」での熱く激しい演奏や、先週のモルダウの情感も思い出します。
この日の演奏のようなスタイリッシュでないときもあるのも面白い。
曲によって使い分けているのかな。

前半の演奏終了後も会場はかなり湧いていましたが、後半のマーラーでの、演奏終了後、数秒の静寂を保った後に始まった拍手も熱かった。
アルミンクさんの時にこれだけ会場が湧くのは久しぶり?(暴言失礼!)
確かに賞賛に値する、秀逸な、音楽監督による定期演奏会にふさわしい演奏でした。

独唱、合唱だけでなく、バンダと副指揮者、いや、舞台上のオケだって小編成ではありません。
これを統率し、これだけの統一感を持った演奏、歌唱に仕上げたアルミンクさんの力量は、もっと、もっと、評価されて良いと思います。

作品としての「嘆きの歌」は、個人的には、音を聴く“予習”はしたのですが、せっかく先週聴きに来てプログラム冊子を入手したのに、歌詞対訳を“予習”しなかったのを後悔しました。
演奏直前にざっと和訳を読んだだけですが、読まないより読んだ方が良かったのは言うまでもありません。
ただ、演奏中に字面を追ってしまうと、せっかくの生演奏を聴いているのにつまらなくなってしまうのは体験済みですので、プログラム冊子はしまって聴きました。

「嘆きの歌」という作品は、マーラーが大作曲家として扱われるようになったから、頻繁に演奏されるようになった曲なのでしょうか?
いや、もし仮にそうであっても、このマーラー最初期の作品は、マーラーが大作曲家であることを証明する傑作であることを、アルミンクさんは教えてくれました。

今シーズンの定期演奏会のラインナップは、恒例だったオペラが無くて残念でしたが、この日の「嘆きの歌」は、その穴を埋めるような素晴らしい“総合芸術”だったように受け止めました。
アルミンクさんが任期中にマーラーを振る機会は残り僅か。
もっと聴いておけば良かった…。

新日本フィルのトリフォニー定期は、今シーズンはあと一回(2日)で終わり。
早いものです。
この分だと、アルミンクさんが任期中に振るマーラーの回、最終回も、あっという間に来てしまうような気がします。

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コメント

はじめまして。
最近、新日本フィルを聞きにトリフォニーに通い始めました。稲毛海岸さんとも同じ空間に何度もいたようです。

私は18日の金曜日に聞きに行って来ました。マーラーは苦手中の苦手なんですが、終演後はかなりショックを受けて放心してましたね。やはり世の中に天才はいるのだと。若くしてこういったものを作る人がいることが信じられないです。まだまだ初心者なので善し悪しはわかりませんが、新日本フィルというのはこういったあまり他でやらないような作品を取り上げますね。埋もれている中にいいものはたくさんあるし、あちこちで聞くことができるものよりも、新しい発見があったいいかもしれません。震災時にいろいろとあったようですが、そういった意味でマエストロはもっと評価されていいような気がします。

4月のチェコ特集も聞きましたが、だてに10年一緒にやっていないなぁと感じました。
地味なプログラムかもしれませんが、個人的にはすごく良かったです。チェコもの、好きなので。

稲毛海岸さん、稲毛在住ですか?
私は高校生活を稲毛で過ごしました。お友達もたくさんいて、懐かしいです。


投稿: eterna | 2012年5月22日 (火) 21時56分

eternaさま

コメントありがとうございます。

アルミンクさんが音楽監督として新日本フィルに貢献してきたことは、あの震災の前までは、もっと高く評価されていたような気がします。
震災後のひとつの不幸な出来事と、その後の反動は、新日本フィルの団員の皆さんが、それまで、いかにアルミンクさんを頼りにしていたか…ということの裏返しのような気がしてきました。
アルミンクさんの任期満了まであと1年と3~4ヶ月。
一回一回を大切に聴いていこうと思っております。

なお、私は、1年くらい前までは、稲毛に住んでおりましたが、職住近接のため、もう少し錦糸町に近い方に転居いたしました。
それなりに仕事もしながら、こうして、あきれるほど演奏会に通っていられるのは、ひとえに、激減と言って良いくらいの通勤時間短縮の効用です。

投稿: 稲毛海岸 | 2012年5月22日 (火) 23時03分

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