山下一史/都響(2012/7/1)
2012年7月1日(日)14:00
東京文化会館
《響の森》vol.31 ブラームス&ベートーヴェン
指揮:山下一史
東京都交響楽団
ヴァイオリン:渡辺玲子
チェロ:長谷川陽子
ブラームス:悲劇的序曲
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲
ベートーヴェン:交響曲第7番
シューベルト:「ロザムンデ」~間奏曲第3番(アンコール)
なかなか関東で聴けない山下さんの指揮。
発売初日にチケットを買ったのですが、想定以上の力強さと格調の高さ!
山下さん、さらに“高み”に登られたようです。
一曲目の悲劇的序曲から、山下さんらしい、しなやかな音が弾力性を持って響く!
(…と言いつつ、この日も曲目を勘違いしていて、大学祝典序曲のつもりで居て驚きました…。)
山下さんの指揮を生で聴くのは、私はたぶん3回目だと思いますが、都響で聴く山下さんはさらに素晴らしい。
私の印象は、山下さんの音づくりの魅力はメロディ・ラインの美しさだと思っていましたが、今日もその通りだし、さらに力強いかも。
二重協奏曲でも山下さんは暗譜。
協奏曲もオケからしなやか、かつ、力強い音で始まる。
その音を聴いて力んだのか、あるいは開始での緊張感か、出だしだけはソリストお二人とも少し力が入っってしまった印象。
しかし流れ出せば万全。
このお二人ならではの美音の駆使。
お二人の音が絡み合うと、個別に聴いているときにも増して結構スリリング。
協演にして競演。
それを懐の深い音で山下さんと都響が支える。
素晴らしい!
後半のベートーヴェンの第7番は、2007年にニューフィル千葉を山下さんが指揮したときにも聴きました。
あの時は旋律の歌わせ方に魅せられた記憶がありますが、5年経って、オケもいま絶好調の都響で、さらにパワーアップ!
いや、いたずらに出力だけ大きくしたのではありません。
弾力性がありながら力強く、メリハリも効いて、メロディを歌わせながら、過度にセンチメンタルにならず、実に格調高い。
終楽章ですら熱狂せず、着々と歩み、頂点を極める。
一回聴いているだけに十分期待していたのですが、それを上回りました!
考えてみれば、指揮者にとって、5年の年月は短くはありません。
それを5年前の体験で想定してチケットを買った自分が恥ずかしい。
そして、やはり都響の素晴らしいアンサンブルあっての、この拡張高い名演だったのだろうと思いました。
アンコールの「ロザムンデ」間奏曲は、山下さんは指揮台に上がらず、オケと同じ平面での指揮。
これもメロディ・ラインの美しさは素晴らしいですが、やはり格調の高さをも感じる演奏。
至福のひととき。
最安席、格安料金で、こんなに幸せな気分にしていただいて申し訳ないです!
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