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2012年7月13日 (金)

下野竜也/日本フィル(2012/7/13)

2012年7月13日(金)19:00
サントリーホール

指揮:下野竜也
日本フィルハーモニー交響楽団

(第642回定期演奏会)
【日本フィル・シリーズ再演企画】

戸田邦雄:合奏協奏曲「シ・ファ・ド」【日本フィル・シリーズ第19作】
 ピッコロ:遠藤剛史【日本フィル団員】
 バス・クラリネット:伊藤寛隆【日本フィル首席奏者】
 コーラングレ:坪池泉美【日本フィル団員】
 トランペット:オッタヴィアーノ・クリストーフォリ【日本フィル客演首席奏者】
 ヴィブラフォン:福島喜裕【日本フィル団員】
 ヴィオラ:小池拓【日本フィル首席奏者】
山本直純:和楽器と管弦楽のためのカプリチオ【日本フィル・シリーズ第10作】
 箏:片岡リサ
 三味線:野澤徹也
 尺八:石垣征山
 邦楽打楽器:望月太喜之丞・黒坂昇・冨田慎平
 竜笛:西川浩平
 ドラムス:三浦肇
 ギター:尾尻雅弘
黛敏郎:弦楽のためのエッセイ【日本フィル・シリーズ第9作】
松村禎三:交響曲第1番【日本フィル・シリーズ第14作】

想定外!
素晴らし過ぎ!
ラザレフさんが振った時の日フィルに匹敵!
演奏が良ければ20世紀音楽でも面白い!
会場も湧く!
結論「定期演奏会」でした!

一曲目の戸田邦雄さんの合奏協奏曲のソロは日フィル団員さん。
なんとなんと、良い演奏ではないですか!
確かに折衷案的で、初演後、高い評価には至らずに埋れてしまった曲。
しかし…。
当時はともかく、21世紀の今になって聴けば、通俗的(?)な側面が耳に心地良い。
ラフマニノフが、結局、時代に(次代に)生き残ったように、今一度、耳を傾けてみるべき作品かもしれません。
そしてそれは、良い演奏あってこそ。

2曲目の山本直純さんの和楽器と管弦楽のためのカプリチオは、演奏が終わった直後の会場の熱狂は凄いものがありました。
コンマスの扇谷さんが引き上げを始めなければ、拍手はまだ続いたかもしれません。
楽団員の皆さんも「こんなにウケるんだ~」と言いたいのか、皆さんニコニコしていました。
箏、三味線、尺八、邦楽打楽器、竜笛、ドラムス、ギターと、多彩な独奏楽器(すなわち出演料)を要する曲。
ある意味、ごちゃまぜで、次から次へと何かを繰り出す印象の曲。
整頓されていないとも言えそうですが、あえてそうしたのかもしれず…。
「次は何が起こるのだろう?」と全く飽きさせない曲。
この曲がもう少し短く、こんなに多くの独奏者を必要としない(演奏しやすい)編成だったならば、外山雄三さんの管弦楽のためのラプソディと並ぶ人気曲になったかも…と思いました。

休憩後の2曲は、シリアスな曲、コアな曲と言って良いのでしょう。
まずは黛敏郎さんの弦楽のためのエッセイ。
美しい。
複雑なのだろうけれど美しい。
この弦楽合奏の透明感、純度と切れ味!
これが本当に「ラザレフさん指揮でない時の」日フィルなのでしょうか!

最後の松村禎三さんの交響曲第1番も、「本当に状態が良い時の」「ノッてしまった」日フィルの演奏。
混沌とした曲を、ありのままに音にして、それでも聴衆の集中力を引きつけ、維持させ、聴かせる。
微弱音の美しさは「本当に日フィルですか?」と何度も思いました。
さすがにこの曲の演奏終了後は、山本直純さんの曲の後ほどの熱狂までには至りませんでした。
それでもブラボーの声はかかり、この手の曲としては十分過ぎるくらい開場は湧きました。
オケの皆さんも「練習した甲斐があったねぇ」というような満足そうな表情でした。

下野さんは、いつもの下野さんと表情が少し違って、眉を釣り上げての指揮。
すなわち、総譜をかなりの集中力で読み取っていました。
さすがの下野さんも、かなりの労力だったのでしょう。
しかし指揮の動作は音を置きに行く様子はなく、いつも通り流麗だったのはさすが!

定期会員の欠席と思われる空席はそれなりにあった模様です。
私も「どうしようか?」と迷ったことは事実です。
しかし「お呼ばれ」のかり出された現代音楽の演奏会ではなく、主催公演、それも定期演奏会で、本気で練習し、本気で演奏すれば、こういう聴衆を惹きつける素晴らしい演奏になるのですね。

残念…と言って良いのかどうかわからないのですが、4人の作曲家で、誰一人として、会場にいらっしゃらず、舞台にも呼ばれませんでした。
すでに皆さん、他界されているのです。
しかし、こういう見方もできます。
書かれた総譜は永遠の命を持ち、優れた指揮者と、優れた演奏家たちによって、今生まれたかのように再生される、と。

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