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2012年7月 7日 (土)

ハーディング/新日本フィル(2012/7/7)

2012年7月7日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第497回定期演奏会)

シューベルト:交響曲第7(8)番「未完成」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

凄い!
凄すぎる!
最後の方は目頭が熱くなって困りました。
昨日聴きに来なかったことを激しく後悔させられた演奏会。
ああ、生きていて良かった。
ハーディングさまと同じ時代に生まれて良かった。
幸せ、幸せ。
定期演奏会はこの日シーズン最後でしたが、最高のフィナーレとなった演奏会でした。

前半の「未完成」は、恐ろしほどの演奏。
平穏な安らかな日々に突然、何度も、何度も、繰り返し襲いかかる脅威!
何事もあの大震災に結びつけるのは早計かもしれませんが、ハーディングさまの阿修羅のような形相を見るに、私が抱いていたこの曲のイメージが豹変する体験でした。

今回は隅々までリハーサルが行き届き、徹底されているよう。
音は相当のレベルまで磨き上げられ、うごめくような微弱音から、襲いかかる強奏まで、不自然なく豹変。
100%ではないかもしれませんが、ハーディングさまのスケールを音に変換して実現していたと思います。

後半の「英雄の生涯」では、冒頭で一人だけいきなり先に飛び出して音を出してしまった方がいて…。
それはハーディングさまのうなり声でした!
「指揮者はオケより先に出る」という原則を音で聴かせてくれました。
それはともかく…。
凄かった…。

先日のエルガーのときに若干感じられた“もどかしさ”が、ほぼ払拭された…と言っても良いレベルの完成度
細部に至るまでの「ハーディングさまの音」の徹底度。
分厚いR.シュトラウスではなく、透き通っているような、ゴールデンウィークの「町人貴族」にも通じる音。
スケルトン・モデルのR.シュトラウスですが、その透明度の美しさは比類がない。
こんな「英雄の生涯」は聴いたことがないかも…と思えてきます。
私、こんな音を聴いていて本当に良いのだろうか?…と、まるで禁止薬物でも摂取して高揚しているかのような気分でした。

崔コンマスのソロも、絶妙、かつ極上。
ハーディングさまは、崔コンマスのソロをただの一度も「指揮」しませんでした。
全く干渉せず、完全に“お任せ”でした。
崔コンマスの存在を無視するかのように、オケに向かってだけ指揮していたハーディングさま。
一回だけ崔コンマスの方を見たときは、崔コンマスの弓の動きにオケの出を合わせて指揮棒を振りました。
終演後のお二人の熱い抱擁を見るに、信頼関係は半端ではないのでしょう。

特に、3.11前には「当たり前」だと思っていたNJPの木管首席の皆さんのハイレベルの音に魅了されました。
今日はその個々の音が一つの方向だけを向いて溶け合い、鳴り響いた日でした。
新日本フィルの木管の皆さんの音は、本当は凄いのです。
わかっていましたけど、久しぶりに聴いたような気がする…と言ったら言い過ぎでしょうか?
(暴言失礼!)
終演後のオケの皆さんの嬉しそうな顔!

個人的な感想ですが、ハーディングさまとNJPだからと言って、毎回ここまで凄いわけではないと感じます。
ハーディングさまの求めるレベルにオケがついていけてないかも…と感じる日もありました。
この日は、本当に、本当に、特別な日だったかも…と思いました。

「未完成」の第1楽章も第2楽章も、「英雄の生涯」も、ハーディングさまは、音が鳴り終わった後の数秒の「無音」をも、手は動かさずとも「指揮」していました。
聴衆もハーディングさまが脱力するまで静寂を保ちました。
会場全体がハーディングさまに集中していました。
ハーディングさまは、客席までをも「指揮していた」とも言えるかもしれません。
この様子を先日のエルガーのときの“あの拍手”の主に見せてあげたい。
もっとも、あの方が来場したら、今日も余韻ぶち壊しをかましたかもしれないので、来場されなくて本当に良かったと思います。
(執念深くてすみません。損な性格です…。)

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コメント

木管・金管から「さすが新日フィル!」という音を久しぶりに聴くことができて、ホッとしました。
ハーディングさんの「英雄の生涯」は、好き嫌いの分かれるところでしょうが、私が普段聴いている「巨匠風」の演奏スタイルでは気付かない魅力も多々発見できたので、良かったです。「未完成」のような手垢にまみれた!曲を丁寧にきっちりと聴かせてくれた点も素晴らしかった。
9月からの新シーズンに期待です。

投稿: 黒猫 | 2012年7月 8日 (日) 21時48分

黒猫さま
おっしゃる通り、来シーズンが楽しみですね。
あと、定期は「これ以上無い」と思える演奏でシーズンオフに入りましたが、まだ公演が残っている「~扉」シリーズには注目若手指揮者が登場するので、それも楽しみですね。

投稿: 稲毛海岸 | 2012年7月 9日 (月) 06時32分

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