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2012年8月12日 (日)

ウルバンスキ/東響(2012/8/12)

2012年8月12日(日)15:00
昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団

(フェスタサマーミューザKAWASAKI2012)
ピアノ:ベフゾド・アブドゥライモフ

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー:ノクターンOp.19-4
(アンコール)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

サマーミューザのラインナップが発表になったときにウルバンスキさんの名前に大喜びしたのですが、まさかこれほどとは。
“夏祭り”の演奏会に対する期待を遥かに凌駕し、定期演奏会クオリティをも凌駕し、マゼールさん、ゲルギエフさんの特別演奏会に迫るのではないかというテンションの高さ。
首席客演指揮者に招いた、事務局も大勝利です。

前半のチャイコフスキーは、冒頭からして、東響の音がモダンなサウンドに変貌している印象。
ウルバンスキさんは、最初は譜面を開かずに振っていましたが、途中から譜面を開きました。
しかし、楽譜にかじりついている様子はなく、それこそ、ピツィカートひとつに至るまで、ていねいに表情付けが徹底されている印象。
アブドゥライモフさんのピアノは、この曲の豪快な側面を封印し、チャーミングで表情豊かな曲として演奏したのでしょうか。
ピアノは、がなりたてず、魅惑的なメロディを、歌う、歌う、歌う。
透明感のある高音域のクリアーさもあって、土俗的ではなく洗練された方の印象。
それにしても、ピアニストも凄いのですが、伴奏をここまでのレベルで鳴らしたウルバンスキさんも凄い。
ピアノの音に耳を奪われながら、しばしばオケの音、それも“合いの手”に過ぎないような箇所にさえも耳を奪われました。

アンコールは、本編にも増してチャーミングな音。
静かな、本当に静かな、物理的には小さな音なのに、胸に迫るものは大きいです。

さて、前半の協奏曲でのオケの鳴らし方からして非凡な音でしたが、休憩後のショスタコーヴィチは、もう唖然とするしかないコントロール。
そう、コントロールなのです。
指揮者は熱狂はしていないのです。
力のこもったグイグイという指揮なのに、冷徹にコントロール。
特に弱音部の持続を、形容しがたいニュアンス(←語彙枯渇失礼)で維持した指揮者も東響も素晴らし過ぎ!
そして、えぐるような箇所では、確かにウルバンスキさんは力強く腕を振りますが、全奏者が申し合わせたように、前のめりの姿勢になって、全身で音を出す。
「テンポが独特」との前情報でしたが、全般的には奇をてらった印象はなく、正攻法の横綱相撲で寄り切った印象。
何箇所か、おっ、と思う箇所はあったのですが、あっという間に通り過ぎてしまいました。
結果は有無を言わさぬ説得力の勝利。

演奏終了直後、起立する前、ウルバンスキさんが汗を拭っている間、弦のトップ奏者の皆さんが握手しあっていたのは、東響定期でもあまり見ない光景だったかもしれません。
オケの皆さんにとっても、会心の演奏だったのでしょう。
技術的に完璧ではない箇所もあったような気もしますが、重箱の隅を突くことに意味はありません。

“夏祭り”の演奏会ながら、会場は、お義理の拍手などではなく、大興奮の拍手。
いや、東響にとっては、“夏祭り”どころか、ウルバンスキさんを迎えて、必死のリハーサルだったに違いありません。
まだ着任前ですが、実質的には就任披露演奏会。
一回目の客演で「新世界より」という有名曲プログラムを振った後、次は定期演奏会に招聘されてショスタコーヴィチ、今季は名前がないと思ったら、オフシーズンに待望の再招聘。
そして、首席客演指揮者就任の発表。
ともあれ、この才能ある若い指揮者に、ポストを引き受けてもらったことは慶賀の至り。
東響の明るい未来を祝福いたします。

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