« スラットキン/N響(2012/9/22) | トップページ | スクロヴァチェフスキ/読響(2012/9/24) »

2012年9月23日 (日)

ピノック/紀尾井シンフォニエッタ東京(2012/9/23)

2012年9月23日(日)14:00
紀尾井ホール

指揮:トレヴァー・ピノック
紀尾井シンフォニエッタ東京

(第86回定期演奏会)
クラリネット:パトリック・メッシーナ

オール・モーツァルト・プログラム
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」
モーツァルト:クラリネット協奏曲
モーツァルト:交響曲第39番

ピノックさんの音楽性の秀逸さ!…としか言いようがない素晴らしい音楽!
緩急、強弱の多彩なピリオド・スタイルだが、耳触りな箇所は皆無。
その上畳み掛ける迫力です。
ピノックさんの指揮はCDでも大好きで、今でもよく聴きますが、私にとっては本当に久しぶりの生演奏。
期待に違わぬ、大興奮の幸せな時間でした。

一曲目の「リンツ」交響曲でも、そのピノックさんのスタイルは健在。
作為的でも暴力的でもない、健やかで爽やかなピリオド・スタイル。
それなのに、スリリングの連続。
ピノックさんの音楽のセンスの良さが際立つエクセレント・モデルです。
ピノックさんにとってピリオド・スタイルは、手段であって、目的ではないということなのでしょう。
緩急、強弱、フレージングやアクセントの一つ一つが、全て耳新しい。
CDは耳にたこができるくらい聴いているのですが、それでも耳新しい。
もっとも、私の持っているCDは、20世紀に録音されたものですが…。
そして結構音に重みもあります。

続くクラリネット協奏曲は、この曲の印象を覆すような、これまたスリリングな演奏。
第1楽章からアグレッシブ!
(暴力的でない…と言っているのと矛盾するようですが…。)
この曲は、枯淡の境地の、ただただ美しい…だけの曲などではなく、もともとソリストの妙技を披露する協奏曲だったのです。
独奏のメッシーナさんも、ピノックさんの速めのテンポに乗って技巧を駆使します。
その音はめまぐるしく変化しながらも、美しさを保ち続けます。
バックのオケも、交響曲に勝るとも劣らない表情付けで追従。
牽引したのはソリストでしょうか?
指揮者でしょうか?
両方でしょうか?

休憩後に登場したピノックさんは、この前半終演時の満面の笑顔はどこかに消え、心なしか硬い表情。
それは39番への並々ならぬ決意だったのでしょうか?
始まった39番はとてつもなく気合の入ったものでした。
凄まじい、煽る、煽る!
しかし下品ではありません。
ピノックさんのピリオド・スタイルは、20世紀に録音された宝物のようなCDでもそうですが、エッジをたてず、流麗に音を処理します。
こういうスタイルだと物珍しさは狙えず、音楽性で勝負するしかありません。
そして、その勝負の音楽性が素晴らし過ぎるのです!
多様なスタイルが存在する現代の音楽シーンにおいて、「秀逸な中庸」と言えるような気がします。
CDも、何度も聞いても、飽きが来ません。

過去の唯一の生演奏の鑑賞は、ずいぶん前の水戸室内管弦楽団だけでした。
よって想像するしかないのですが、今日の畳み掛けるような迫力は、モダン・オケだからでしょうか?
それとも、ピノックさんの変化でしょうか?
いや、最近のピノックさんはこうなのでしょうか?
いや、昔からライヴはこうだったのでしょうか?

この日の客演コンサートマスターは長原幸太さん。
棒に反応してグイグイひっぱるリードも貢献したのでしょう。
終演時のピノックさんは、一瞬にして本当に嬉しそうな笑顔に変貌しました。
ピリオド云々はどうでも良い、素晴らしいモーツァルトでした。

追記1:
ちなみに、36番でオーボエに池田昭子さん。
わーい、池田さんをこんな近くで見るの、私は初めてかも…と喜びましたが、当然のことながら、クラリネット協奏曲も、39番も、オーボエの出番はございませんでした。
良い音を出していましたよ、リンツ交響曲で。

追記2:
前回の私のピノックさんの生演奏初鑑賞(つまり、今日を入れて2回しか聴いたことがないのです)を調べてみると、1999年11月22日に、アクロス福岡(福岡シンフォニーホール)での水戸室内管弦楽団の演奏会でした。
このときは九州旅行を先に計画し、調べたら演奏会もあって、聴けたのでした。
かなり後ろの方の席でしたけど。

|

« スラットキン/N響(2012/9/22) | トップページ | スクロヴァチェフスキ/読響(2012/9/24) »

コメント

「1日目を買うと2日目も行きたくなるから2日目だけで」、って言い訳!を、この私、何度か聞いておりますが、次にもしそのセリフが出たら、友人として「後悔しないように、1日目と2日目と両方買っといたほうがいい」と申し上げることにいたします。ふふふ。


なコンマス、長原くんだったんですね。いいなあ。

投稿: oyamanoneko | 2012年9月24日 (月) 15時27分

oyamanonekoさま
覚えていなくていいです(爆)。

投稿: 稲毛海岸 | 2012年9月24日 (月) 23時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214768/55728281

この記事へのトラックバック一覧です: ピノック/紀尾井シンフォニエッタ東京(2012/9/23):

« スラットキン/N響(2012/9/22) | トップページ | スクロヴァチェフスキ/読響(2012/9/24) »