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2012年10月13日 (土)

小林研一郎/読響(2012/10/13)

2012年10月13日(土)14:00
東京芸術劇場

指揮:小林研一郎
読売日本交響楽団

(第148回東京芸術劇場マチネーシリーズ)
ヴァイオリン:米元響子

スメタナ:交響詩「モルダウ」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース
       ~スケルツォ
(アンコール)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲

コバケンは、本来は、レパートリーの広くない指揮者であるべきなのでしょう。
そのコバケンが、得意中の得意曲であるモルダウとオケコンを振り、オケが読響となれば悪い演奏になろうはずがありません。
別のオケで最近聴いたブラームスとは雲泥の差。
読響に来演する外国人指揮者と比しても遜色ない名演!でした。
私にとっては、久しぶりに聴く「本来の」コバケンだったような気がします。

冒頭の「モルダウ」、プロの演奏を素人が比較しては申し訳ないですが、先月、別のオケで聴いたブラームスの交響曲とは全く違います。
もちろん良い方に。
コバケンの得意曲(の6曲のうちのひとつ)だから当然…という見方も出来ますが、この隅々まで磨かれたニュアンスは、先月、一番もどかしさを感じた要素です。
鑑賞した席の位置の関係で、音の分解能があまりわからず断言出来ませんが、音色もかなりスメタナっぽく(つまり、機械的、あるいは純粋にシンフォニックではなく)「らしく」仕上がっていた印象です。

続くモーツァルトの協奏曲での米元響子さんのソロの音は、細いのか太いのか、私の席の音響ではよくわかりませんでしたが、なかなかのもの…つまり、モーツァルトを弾く喜びのような感情が音に込められた、心地よい演奏だったと思います。
義務的、禁欲的ではないモーツァルトでした。

本編の協奏曲も良かったのですが、アンコールのクライスラーが、より一層はじけた、楽しい演奏になっていたのは、若手ヴァイオリニストに共通でしょうか?
リサイタルも聴いてみたいと思いましたが、オケの演奏会だけでも取捨選択が大変なので、たぶん無理でしょう。
また、オケの演奏会にソリストとして呼んでほしい方です。
私が前回聴いたのは、5年くらい前だったと思います。

そして後半のバルトーク、管弦楽のための協奏曲。
1995年東響定期で一般参賀となった得意曲。
当然、事前の期待値も、別のオケのブラームスとは比べものにならないくらい高かったのですが、その高い期待がほぼ満たされた…ということは、相当に高水準の演奏だったと思います。
コバケンは楽章間の間合いをいっさい置かず、全曲を通して振りました。
咆哮する金管も、強打する打楽器も、音が濁らない。
それだけでなく、弱音でうごめくような低弦の形容し難いニュアンスも、おそらく細部まで意思が徹底されています。
この、右手一本で、太い筆で描いたようでいて、細部に至るまで意思が徹底された音は、別のオケで聴いたブラームスの不満が完璧に払拭されています。
…と言うよりも、本来の、私にとってのコバケンは、こっちなのですが…。

想像するに、コバケンは、隅々まで丹念に練習して仕上げたのではなく、振ったら、身体から曲のオーラが発散して、自然と出来てしまったのではないでしょうか?
そして今の読響のポテンシャルは、コバケンの意思を音に変換できる力量を有しているのです。

多くの聴衆にとって、演奏会は一期一会でしょう。
本日の演奏を聴いた聴衆と、先月の別のオケのブラームスを聴いた聴衆は、全く違う印象を抱いたかもしれません。
私は多少の予備知識があったので、盗っ人に追い銭(←意味不明)をしてリターンがありましたけど。

コバケンが読響の特別客演指揮者に就任すると聞いた時、正直、違和感がありました。
でも、このコンビ、意外と良いかもしれません。
三大○○曲はともかく、来季の読響のラインナップを見る限り、読響の事務局は、たぶん、コバケンに依頼すべき曲を十分に理解しています。
これは大きい!

ちなみに読響の来季ラインナップには、コバケンのブラームス・プロも入っています。
先月の別のオケでの演奏を聴いて「絶対に行かない!」と思っていましたが、何だか、聴いて確認したくなってきました。

20121013

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コメント

コバケンさんの演奏会は殆ど行かないので(僅かばかりの経験では残念な結果でした)よくわからないのですが、「得意曲の6曲」って何ですか?得意曲でリベンジしてみようかなという気もしなくはないものですから。

投稿: 黒猫 | 2012年10月14日 (日) 19時57分

黒猫さま
すみません、スメタナの連作交響詩「わが祖国」全6曲のうちの1曲、「モルダウ」という意味です。
2009年5月25日に都響との演奏を聴いた感想を書いておりますので、よろしければ御高覧いただければ。
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/2009525-2420.html
来年4月の読響にも全曲が予定されており、今から楽しみです。

投稿: 稲毛海岸 | 2012年10月14日 (日) 21時45分

あぁ、なるほど。私の勘違いで失礼しました。
読響、都響、東響と続々発表されている来季のプログラム、面白そうなものが多くて楽しみですね。長らく親しんだ大物音楽監督たちが最終シーズンを迎え寂しくなりますが・・・。

投稿: 黒猫 | 2012年10月14日 (日) 22時41分

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