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2012年11月 9日 (金)

山田和樹/日本フィル(2012/11/9)

2012年11月9日(金)19:00
サントリーホール

指揮:山田和樹
日本フィルハーモニー交響楽団

(第645回定期演奏会)
ピアノ:パスカル・ロジェ

野平一郎:グリーティング・プレリュード
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲
サティ:グノシェンヌ第2番
(アンコール)
ヴァレーズ:チューニング・アップ
ムソルグスキー(ストコフスキー編曲):組曲「展覧会の絵」

恐るべし、マエストロ・ヤマカズ!
これがあの日フィルさんの音ですか!(失礼!)
しかも初日の方の!
ラザレフさんのように引きずり回さなくてもオケは鳴る!鳴る!
錬金術師としか言いようのない(失礼!)鉛を金に変えた(失礼!)マエストロ・ヤマカズの魔術、ミラクル!です。

一曲目の野平一郎さんの曲は弦楽のみ。
プログラム冊子によれば結構複雑に組み立てられている曲らしいのですが、この日の演奏の聴感としては、私にはあまりそういうものは感じられず、均質化された音のように聞こえましたが…さて?
マエストロ・ヤマカズの個性もあるのかな?

2曲目のガーシュウィンでは、オケの編成が一気に膨れ上がりましたが、なんとこれが驚異的なハーモニー。
クリアーなピアノの音に遜色ないオケの響きの純度、洗練度。
自然体で振っていて、こんな音をオケから引き出してしまうマエストロ・ヤマカズには、ただただ脱帽です。
もっとも、楽章間では汗を拭いていましたので、省エネの指揮では無いようです

ピアノもオケも、あまりジャズ的な側面を強調しない、ロマンティックな演奏のように感じたが合っていますかね?
そういう意味では、ロジェさんとマエストロの相性は相当に良かったのではないでしょうか。
それにしても、あの日フィルが…!(たびたび失礼!

ロジェさんのアンコールは、ガーシュウィンの後にピッタリの選曲。
透き通るような美しいピアノの音色が、優しくホールの興奮を冷ます。
最後の音が消えた静寂に大きな咳の音だけは残念…。

協奏曲が終った時点でオケのメンバーには「のせられてしまった」感の笑顔が溢れていましたが、休憩後は油断していたら、コンミスが立ち、チューニング…と思いきや、オーボエも立ち上がり、音を出した時には、あれ?マエストロは既に出て来ていました。
何ともにぎやか…と言うより騒々しい曲ですが、これがくせになる曲です。
Nxos Music Libraryにも音源があり、“予習”したときには驚きましたが、生で?聴くサイレンの音はまた格別…。
途中でオーボエがまた立って、吹きながら一回転くるりと回ったりして笑いを誘う。

次の曲の前のチューニングでは場内には笑いが…。

その最後のストコフスキー編の「展覧会の絵」が壮絶!
こんなに面白い編曲でしたっけ?
少々悪趣味な編曲というレッテルを貼っておりましたが、これは「ストラヴィンスキー編曲ですよ」と言われても納得してしまいそうな…。
もちろん、それをここまで鳴らしたのはマエストロ。
力まずに自然体で振っているようなのに凄い音が鳴る。
それも、爆演でも粗雑な音でも無く、洗練された音がうなりをあげるから驚きです。
もちろん、弦楽器の微弱音のざわめきのような音の美しさも格別。

ラザレフのように、キュー出しまくりの、ある意味強引にオケを引っ張るような指揮ではありません。
おそらく楽員の皆さんは、解放感(開放感)を持って気持ちよく演奏しています。
しかし、実はそれが、お釈迦様の手のひらの上の孫悟空状態!
ヤマカズ、恐るべし。(何度もすみません。)

もっとも、終演直後のマエストロは、かなり息がはずんでいた様子で、口を半開きにしていました。
見た目とは裏腹に、脱力して振っていたわけではなさそうです。
無駄のない洗練された動きとでも言えば良いのでしょうか?
珍曲をとりあえず音にしてみた…などというレベルなどではない、圧倒的な超名演、凄すぎる演奏でした。

ラザレフさんの時ですら感じることがある「2日目は、さらに良くなるのでは?」という思いをほとんど感じさせなかったのも凄い。
もっとも、演奏会冒頭の野平さんの曲の演奏は、明日はもっと良くなるような気もしますが…。
それにしても、自分の曲だけでなく、最後まで客席で聴いていた野平さんの心境やいかに?
対抗意識で、野平一郎編曲の展覧会の絵ができないかな?

ストコフスキー編曲の「展覧会の絵」を、ゲテモノ、気を引くための珍曲…と思っていたことを激しく反省。
マエストロ・ヤマカズは、おそらく本気で、この編曲を「素晴らしい」と信じているに違いありません。

あまりに驚いたので、翌日は私は別の予定があるのに、終演後に2日目のチケットを買いたくなってしまいました。
幸い、主催者のカウンターには人が群がって混雑していて、少しの間それを眺めていたら冷静になり、買わずに家路につくことができました。
めでたし、めでたし。
…いや、2日目の演奏会が終了するまで、変な気を起こさないように注意が必要です。

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