« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2012年11月の19件の記事

2012年11月29日 (木)

フリューベック・デ・ブルゴス/読響(2012/11/29)

2012年11月29日(木)19:00
サントリーホール

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
読売日本交響楽団

(第520回定期演奏会)
合唱:新国立劇場合唱団

フリューベック・デ・ブルゴス:ブラームス・ファンファーレ(日本初演)
ブラームス:悲歌
ブラームス:運命の女神の歌
ブラームス:運命の歌
ベートーヴェン:交響曲第5番

前半は新国立劇場合唱団の美しく、かつ力強いハーモニーにしびれ、後半はゆったり、まったりの味わい深いベートーヴェンでした。
良い演奏会でした。
フライング気味のブラボー約1名を除いて。

最初のマエストロ自作は、金管と打楽器だけの演奏ですが、ステージ上にはオケもコーラスも全員が勢ぞろい。
ブラームスの交響曲第4番の第2楽章のメロディが鳴り、次々と変容。
正直、よくわかりませんでした…。
演奏も、どうだったのかな?
まあ珍しい体験をした…と言うべきでしょう。

その自作の後、一回答礼して、引っ込まず、すぐにブラームスの3曲へ。
私はあまり聴いたことのない曲ばかりでしたが、コーラスの透明感のあるハーモニーが素晴らしい。
コーラスが声を出したとたん、オケの音までが一瞬にして引き締まったかのように感じました。
新国立劇場合唱団が素晴らしいのは十分に承知していますが、それでも毎回、驚嘆する以外にありません。

曲間で一回ずつ拍手に答礼し、引っ込まずに演奏。
最後は数回のカーテンコール、合唱指揮の三澤さんも登場。
マエストロは後半のベートーヴェンも含めて、全て暗譜で指揮していました。

この日も椅子に座っての指揮でしたが、休憩後のベートーヴェンでは、冒頭だけ、座る前に指揮棒を振り下ろしました。
すぐに座り、その後は最後まで座って振っていましたが、楽章間でも指揮棒を下ろさず、全曲を、ほぼ続けて演奏しました。

所々、鋭い音は混じるものの、基本的にゆったり、まったり。
しかし、その音は、味わい深いと言って良いのでしょう。
第2、第3楽章など、かなりゆったりとしたテンポだったと思いますが、オケが集中力を維持して追従。

はっきり言って、ミスターSのベートーヴェンなどに比べると相当にゆるい。
しかし、聴き手のツボにハマれば、何とも言えない味わい深いニュアンスが宿る音に魅せらます。
会場も、まるでミスターSのブルックナーの時のように静寂を維持し、消え入るような音に聴き入りました。
最後の音が鳴り終わるや否やのフライング気味のブラボーだけは残念でしたが、まあ忘れて、味わい深かった演奏だけ覚えておきましょう。

会場で会った知人に前半のブラームスが終わった休憩中に話しを伺うと、若い頃のマエストロはファリャとかは抜群に良かったそうですが、ブラームスやベートーヴェンは今ひとつだったとか。
歳をとって変わり、良くなった!とのことで、後半のベートーヴェンも、バイエルン放送響とは違う方向で良い演奏になると思いますよ、とおっしゃっていましたが、その通りでした。
前日も、東京文化会館のロビーでお目にかかったのです。)

今年初めて聴いた私ですが、結果的に良かったのかもしれません。
前回の読響客演の時も、すでに良くなった後だったそうですが。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年11月28日 (水)

ヤンソンス/バイエルン放送響(2012/11/28)

2012年11月28日(水)19:00
東京文化会館

(都民劇場音楽サークル第603回定期公演)

指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団

ベートーヴェン:「エグモント」序曲
ベートーヴェン:交響曲第8番
ベートーヴェン:交響曲第7番
シューベルト(ティエリオ編):楽興の時~第3番
(アンコール)

何も起こらないようでいて、何かが起こっています。
部分的に強弱を大きくつけたような箇所もあったのですが、それは全体の中の部分として…。
徹頭徹尾オーソドックスではないにしても、総じて王道を行く中庸と言うべきでしょうか。
力強く、立派としか…。

本当に、何と言ったらいいのか…。
放送オケの側面よりはドイツのオケの側面が強い演奏なのかな?
いや、放送オケの側面とドイツのオケの側面が見事に調和した中庸(語彙枯渇失礼!)と言うべきでしょうか。

自然?
作為的でない?
いや、作為的な箇所も少しはあったと思うのですよ。
でも、それがあざとくなく、有無を言わさぬ…。

東京文化会館の音響なので、響きに包まれると言うのとはちょっと違います。
ストレートに音は向かって来ますが、圧倒されると言うよりは味わう感じ。
それであっても、聴いているうちに、いつの間にか引き込まれます。
…と言うのは、休憩前の前半の感想。
やっぱり後半が良かったかな、私には。

交響曲第8番では、部分的にひやっとする箇所もあったので、予定調和ではない指揮なのでしょうが、ただただ自然に王道を行く印象。
豪腕の印象もないが、ひ弱でもない。重厚と歯切れの良さの中庸…と言って良いのかわからないですが、古臭くもない。
う~ん、何とも形容しがたい(語彙枯渇失礼!)。

やはり「これがサントリーホールの音響だったら」という思いは多少は感じましたが、休憩後の交響曲第7番はそれをかなり忘れさせてくれました。
7番だけあって当然、冒頭から力強い。
第2楽章ですら、出だしこそハッとするような美しさでしたが、総じて力強い。

作為的なことは…やはり、少しだけやっているかな。
でも、それはあっという間に通り過ぎ、やはり王道。
メリハリを強調せず…いや、所々強調し、所々、形を崩す寸前のなめらかさ。
しかし、総じて自然、普通、それでいて力強く迫って来る。
(何を言っているのか、自分でもわからなくなってきました。)

対向配置で、第1ヴァイオリン16人…くらいだったかな。
管楽器は2人ずつ。
そこから鳴る音は分厚過ぎず、スリム過ぎず(語彙枯渇、ご容赦!)、機能的に鳴る、まさにドイツの放送オケ(語彙枯渇失礼!)。
どこからも文句のつけようがない演奏でございました。

20121128

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月25日 (日)

フリューベック・デ・ブルゴス/読響(2012/11/25)

2012年11月25日(日)18:00
東京芸術劇場

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
読売日本交響楽団

(第199回東京芸術劇場名曲シリーズ)

≪マエストロ・セレクション・ポピュラー作品集≫
グリーグ: 「ペール・ギュント」第1組曲~「朝」「アニトラの踊り」
ゲーゼ:タンゴ「ジェラシー」
アルヴェーン:バレエ組曲「山の王」~「羊飼いの少女の踊り」
シベリウス:悲しきワルツ
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ファリャ:「恋は魔術師」~「パントマイム」「火祭りの踊り」
アルベニス(フリューベック編):「スペイン組曲」~「セビリア」「グラナダ」
チャピ:サルスエラ「人さわがせな娘」前奏曲
ヴェルディ:歌劇「椿姫」第1幕への前奏曲
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
ビゼー:「アルルの女」組曲~「メヌエット」「ファランドール」
ヒメネス:「ルイス・アロンソの結婚」~間奏曲
(アンコール)
ヨハン・シュトラウスⅠ世:ラデツキー行進曲(アンコール)

いやー。意外と良いではないですか!
気軽に聴けて、開放的な音で。
CDにして何回も聴くような演奏ではないにせよ(←ひとこと多い)、味わいはある音だと思いました。
前回パスしたのがちょっとだけ悔やまれるかな?

ペール・ギュントに始まり、数曲聴いたら、あっと言う間に休憩前のマイスタージンガーへ。

前回パスしたのは、マエストロが同様の曲目で録音した輸入盤CDを聴いて、あまり楽しいと思わなかったため(失礼!)。
しかし、CDと生演奏では、当然印象がまるで違います(オケの違いはさておき)。

マエストロは椅子に座っての指揮。
しかし情熱的に、振る、振る、めちゃくちゃ振る。
素人の私には、ただやみくもに棒を動かしているかのように見えましたが(失礼!)、あれはプロが見れば、細かい拍子なのでしょうか?

マイスタージンガーの前奏曲も、椿姫の前奏曲も、「ああ、このまま第1幕に突入してくれないかなぁ」などという思いを全く抱かせることなく、ちゃんと完結する。
コンサート・ピースですねぇ。

正直、カンブルランさまが振ったらこういう音にならないだろうし、ミスターSも然り。
でも、緊張せずにリラックスして聴けて、楽しいじゃないですか。
オケの皆さんの表情は必死だったような気もしますけど。

正直、スペインものは、ちょっとついていけない感もあったのですが、本編はアルルの女で終わり、アンコールもラデツキーで終わり、ラデツキーで客席の拍手を導いたマエストロのリードは結構わかりやすかったです。

アルルの女でのフルート首席、倉田さんのソロはお約束の聴きどころ。
マエストロが任せずに振るので(?)結構必死で吹いていたりして。
先日のカンブルランさまのダフニスとクロエと比べてはいけません。

私はなんと、このマエストロは、生ではこの日が初鑑賞かもしれません。
音に味はありますねー。
前回はテミルカーノフさんに振り替えてしまい、申し訳ございませんでした。
反省も後悔もしていませんが。

20121125

| | コメント (0) | トラックバック (0)

河村尚子(2012/11/25)

2012年11月25日(日)14:00
彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール

ピアノ:河村尚子
(ピアノ・エトワール・シリーズVol.20)

J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻~第12番
ハイドン:ソナタ第32(47)番Hob. XVI:32
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」
スクリャービン:左手のための2つの小品
ショパン:バラード第4番
ドビュッシー:前奏曲集~「亜麻色の髪の乙女」「アナカプリの丘」「花火」
ドビュッシー:ピアノのために
ドビュッシー:ベルガマスク組曲~「月の光」
(アンコール)
ドビュッシー:アラベスク第1番(アンコール)

私は河村さんの追っかけではありませんが、結果的に追っかけになってしまったことは認めざるを得ません。
ショパンのバラード第4番が流れるような流麗さと激情を統合した秀演。
ドビュッシーはアンコールの方が良かったと思いました。

私はバッハ音痴なので一曲目の感想は省略。
ハイドンも好きな作曲家の割にはピアノ曲を聴き込んでいないので省略。
ベートーヴェンの「熱情」ソナタは、やはり第3楽章終盤の、これでもか!と押し寄せる激しい音に圧倒されました。
それでいて乱暴な音になっていないのが素晴らしい。

スクリャービンの左手のための2つの小品は、22日の九響定期で協奏曲の後のアンコールに夜想曲を聴いた曲。
あの感動をもう一度…にならなかったのは、シチュエーションが違うから致し方ありません。
あの時は協奏曲が圧倒的名演で、満場大喝采の中でのアンコールでした。

私が一番良かったと思ったのは、ショパンのバラード第4番。
河村さんのピアノは、どちらかというと、一音一音をくっきりと出すと言うよりは、流れるような音の連続性、流麗と言えば良いのでしょうか。
それでいて激しいところは激情を鍵盤にぶつける。
その両者が見事に統合した名演だったと思います。

本編でのドビュッシーは、ショパンで高揚した激情を維持したような演奏。
こういう情熱的なドビュッシーもあるのか、と思いました。
ただ、私がそういう演奏に慣れていなかったせいか、なんとなく太い筆で一気に描いた水墨画のようなモノクローム感。
いや、贅沢な感想なのはわかっていますが…。
アンコールもドビュッシーでしたが、私としては、本編の激しい演奏よりも、こちらのしっとりとした演奏の方に魅了されました。

追っかけではないと言いつつ、河村さんは気になるピアニストの一人ではあるので(CDはほとんど持っているので、サイン会には参加せず。いや、出来ず。)、偶然とは言え、結果的に短期間に2回聴き、満喫いたしました。

演奏は素晴らしかったし、聴衆の鑑賞マナーも概ね良かったのですが、このホール、係のおねえさん(レセプショニスト)が、ロビーで風紀委員のように来場者を注意して回るのには幻滅しました。
私も休憩時間に注意されてしまいました。
スマホを階下に落とさないように…って、子供じゃないんですけど。
飲み物を持って手すりにちょっと近づいただけで注意されている方もいました。

まあ、主催者のトラブル未然防止の気持ちもわかりますが、私は、次回このホールに行ったら「注意されたらどうしよう」「注意されないようにしよう」「何か悪いことしていないだろうか」と防衛の心理状態になるのは間違いありません。
いや、きっと、もう行く気にならないでしょう。
聴衆を萎縮させるような、注意しまくりの風紀委員のレセプショニストというのはいかがなものでしょうか。
保安要員なんですかね。

201211251

201211252

201211253

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月24日 (土)

日生劇場「フィガロの結婚」(2012/11/24)

2012年11月24日(土)14:00
日生劇場

NISSAY OPERA 2012
モーツァルト:フィガロの結婚
(日生劇場開場50周年記念公演)

これは面白い!
カラフルで動きのある楽しい舞台。
読み替えと言うよりは、筋には忠実に、現代風に刺激を付け加えてアレンジした演出でしょうか。
色とりどりの現代の衣装に、照明をも駆使して、視覚効果抜群。

iPadと、そのカメラによって生中継(?)される映像まで背後の壁面(部屋の壁)に映写されます。
そのiPadの画面は、ご丁寧にiOSのホーム画面から始まり、同時中継(風の?)映像にはiOSのカメラ画面のようなマークまで…。

舞台装置はシンプルな小部屋をいくつか有する三階建て。
フィガロはバンドをやっている若者?
手に持つギターはエレキギター?

最初のうちは「この読み替え演出、面白い!」と思って観ていましたが、やがて「あ、これはストーリーは曲げていない」と気がつきました。
確かに衣装は現代、装置はやや抽象的、照明と映像を駆使して刺激的ですが、それは筋を活かしたもの。
字幕の台本は、古来、変わっていませんよね。
(もっとも、字幕に、文字化けのような記号の羅列が一瞬混じったのは、いたずらかな?)

プログラム冊子に「秩序の崩壊」「ソフトがハードを変えていく」というような対談(?)が掲載されていました。
終幕で壁がなくなって骨組みだけ(?)になった建物や、iPadの映像などはそれを表していたのでしょうか。
そういう理屈抜きに面白かったですが。

序曲から幕の前でパフォーマンスを演じた歌手の動きは、(開演直後の緊張のせいか?)最初のうちは多少のぎこちなさも感じましたが、第1幕の中盤くらいになると演出に沿った役になりきった動きに。
それは歌唱も同様。
その高揚に導いたのは広上マエストロの棒。

プログラム冊子にマエストロの言葉として「私のやり方は上演前も喧嘩せず」のような記載がありましたが、刺激的な演出に逆らわず、十分に尊重し、一緒に楽しみ、その上で優美かつハツラツとした音を新日本フィルから引き出し、歌手をもノセる。
懐が深いですね~。
演出に従ったふりをして、最終的に歌手も含めた舞台全体を支配したのはマエストロ。
(プログラム冊子にもそれに近い意味のマエストロの言葉の記載がありました。)
ピリオドでなくても、これだけ楽しいモーツァルトの音が聴ければ、十分に満足です。
(一時期、ピリオド風でないと物足りなく感じる時期もあったのですが、最近はそういう時期は過ぎたようで、最近の私は素直に楽しめます。)

日生劇場のピットは、2階席後方からもマエストロの、音楽が見えるような美しい指揮姿(音に合わせて踊っているのではなく、当然、一呼吸早く動く)が堪能出来ましたが、舞台上も見どころ満載で、どこを見れば良いのか迷うほど。

歌手の皆さんは、比較的小さい空間のためもあったのかもしれませんが、無理しない歌唱で美しい声。
特に新垣さんのスザンナが容姿も声も美しくて魅了されました。
他の皆さんも大半がスリムでスタイル良し。
ビジュアル重視のフィガロの結婚においては、オペラ歌手は太めの時代は終わりましたかね?

指揮:広上淳一
演出:菅尾友    
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

主なキャスト
伯爵:森口賢二
伯爵夫人:田口智子
フィガロ:大山大輔
スザンナ:新垣有希子
ケルビーノ:堀万里絵
マルチェッリーナ:穴澤ゆう子
バルトロ:境信博
バジリオ:寺田宗永
クルツィオ:加茂下稔
アントニオ:大久保光哉
バルバリーナ:全詠玉(チョン・ヨンオギ)
花娘:後藤真美、藤長静佳

合唱:C.ヴィレッジシンガーズ

主なスタッフ
美術:杉山至
照明:吉本有輝子
衣裳:半田悦子
ドラマトゥルグ:長島確
舞台監督:幸泉浩司
演出助手:手塚優子
合唱指揮:田中信昭

201211241

201211242

201211243

201211244

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月23日 (金)

新国立劇場「トスカ」(2012/11/23)

2012年11月23日(金・祝)14:00
新国立劇場

プッチーニ:トスカ

福岡から、残念ながらとんぼ返り。
マイル特典航空券だと大阪に寄って帰るとかいうことは困難なので致し方ありません。
帰りの飛行機の時間は、羽田空港から初台へ行く時間を逆算して決めました。

早めに空港に着いたら早い便に変更しようか…というのは甘い考えで、前日の午後の福岡行きも、この日の午前の羽田行きも、空席待ちがあぶれるほどの満席。
この日の帰路はオーバーブッキングで、後の便に変更して下さる方を募るほど。
三連休でしたね。
航空会社としては、こんな時にマイルで乗る客は、ありがたくないでしょう。

それはともかく。

命題。
昼食はしっかり食べるか、軽くすませるか。
福岡から帰ってきて少し疲れているから、パワーをつけようか、としっかり食べたので、第1幕で眠くなってしまいました…。

オケは東フィルとは思えないほど(失礼!)きれいな音で鳴っている。
観るなら最終日に限る。
オケの音は回を重ねて寝れてきている(もっとも、私はこの最終日のみの鑑賞なので、単なる憶測ですが)。
もう一回観たくても公演はない。
お財布にも優しい。

第2幕からは覚醒して集中力を維持して鑑賞。
トスカのファンティーニさんは評判通り素晴らしい。
カヴァラドッシのオニールさん、スカルピアのコーさんも(役作りに好き嫌いはあるにせよ)なかなか良い。
オケの音はオペラ的なのかシンフォニックなのかわかりませんが、とにかく良く鳴る。
数年前の前回の上演は少しがっかりしたような記憶があるので、今回は喜ぶべき出来と言って良いでしょう。

ただ、あえて欲を言えば、なんか、楽天的で健康的過ぎるような…。
これだけの上演を拝見させていただいて、贅沢過ぎる…と思いつつ…。
背後に漂う街中を支配する恐怖や、そこから来る緊張感、絶望感、無力感のようなものがもっと感じられれば…。

もちろんその、ある意味、手に汗を握らずに、ゆったりとした気分で鑑賞してしまったのは、私がこのオペラを何回か体験し、次に何が起こるか、ある程度把握してしまってしたせいかもしれません。

第3幕ではカヴァラドッシのアリアの後に拍手は入らずに演奏は続きましたが、このアリア、どうだったのでしょう?
私の受けた印象は、このカヴァラドッシも、第2幕でのトスカのアリアも、アリアの時よりも、それ以外の歌唱の方が良かったような気がしないでもありません。
さらに言えばトスカの、歌っていない時も含めた感情の入り具合は素晴らしかったですし…。

最後のトスカが身を投げる直前の歌唱は、奥まった位置での歌唱だったので、私の座った右側上方階の席では、明らかに音響的にハンディ。
これは歌手にはいかんともし難い。
もちろんS席エリアでは問題なく聴こえた可能性もあり、あくまでも私の座った席でのことです。

前述のように、少し楽天的、健康的過ぎる印象もありましたが、美しい声、美しい音としては十分に魅力的と言うべきでしょう。

有名作品だけに個人的好みによるいろいろな思いはあったにせよ、沼尻さんの力を思い知ったという思いもあります。
神奈川県民ホールの公演でも一応喜んで観てはいましたが、新国立での沼尻さんは、一段と、いや、数段のスケールアップを感じました。
再登場に期待!です。

スタッフ
【指揮】沼尻竜典
【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
【美術】川口直次
【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァロッティ
【照明】奥畑康夫

キャスト
【トスカ】ノルマ・ファンティーニ
【カヴァラドッシ】サイモン・オニール
【スカルピア】センヒョン・コー
【アンジェロッティ】谷 友博
【スポレッタ】松浦 健
【シャルローネ】峰 茂樹
【堂守】志村文彦

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

20121123

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年11月22日 (木)

秋山和慶/九響(2012/11/22)

2012年11月22日(木)19:00
アクロス福岡シンフォニーホール

指揮:秋山和慶
九州交響楽団

(第321回定期演奏会)
ピアノ:河村尚子

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
スクリャービン:左手のための2つの小品
        ~夜想曲
(アンコール)
ブラームス:交響曲第1番

半休をとって、マイルを使って、福岡へ。
前半の協奏曲が相乗効果(たぶん)で凄いことに…。
ブラームスは手放しで絶賛とはいきませんでしたが、後半の2楽章が気合いの入った熱演でした。

ラフマニノフは、河村さんが絶妙のニュアンスで弾くと、それに呼応してオケが旋律をたっぷりと歌うように奏でる。
あの第2楽章が、ただ美しいだけでなく、白熱に近い高揚する様は唖然とするのみ。

河村さんのピアノの音は、鍵盤楽器の音の粒子をあまり感じさせない、音の連続感のある演奏。
それがラフマニノフの旋律美を際立たせる。
しかしそれだけではなく、オケと張り合って鳴らすべき箇所は芯のある力強い音。

もちろん第1楽章から良かったのですが、第2楽章で神がかり的?にノッてしまって凄い、凄い。
当然、オケの方も呼応せざるを得ず、木管のソロも弦楽もハイテンションで歌う。
その両者の勢いを第3楽章も維持して凄い、凄い(語彙枯渇で失礼)。

秋山さんは、見た目ではカチッとした音の印象が強いのですが、ロシア系の曲でオケを歌わせるのは昔から滅法うまかったと記憶しています。
ラフマニノフではその真骨頂。
協奏曲が終わった時点で、会場は演奏会が終わったかのような熱狂的な拍手とブラボー。
日本人どうしには珍しく、演奏終了直後、河村さんと秋山さんが熱い抱擁!

河村さんのアンコールはスクリャービンの左手から。
しっとりと、しかし、しっかりと、美しさの極み。
素晴らしい!

後半のブラームスは、秋山さんは東響とのCD(名演!)がある曲。
出だしから力強い音が鳴り響く。
ただ、欲を言えば、特に弱音部のアンサンブルなどで、緊張感の維持が多少課題のような気も(偉そうにすみません)。
木管やコンマスのソロが良かっただけに…。

在京オケ上位?の東響と同等だったとは言いません。
オーボエのソロが荒さんと同等だったとも言いません。
でも、九響の音は萎縮していません。
演奏する喜び、心からの喜びが感じられるのが聴いていて嬉しい。
これが全曲通して維持されれば、さらに素晴らしくなるはず(偉そうにすみません)。

第3楽章が始まった時、あ、音が変わった!と思いました。
第2楽章の一部でのもどかしさが消え失せ、ハーモニーに磨きがかかっている。
残念ながら最後までずっと維持はしなかったのですが…。
しかしそれでも、第4楽章の叩きつけるような威力は快感でした。

オケのコンディションとしては、前半の協奏曲の方が「良い状態の維持」という面では上だった印象もありますが、これは私の耳が、秋山/東響のサウンドを基準にしてしまっていることによるバイアスもあると思います。
ブラームスは多少辛口の感想になってしまいましたが、ラフマニノフのピアノ協奏曲は、先日の東京シティ・フィル定期の交響曲第2番の熱演も思い出しつつ、河村さんと秋山さんと九響の相乗効果を満喫させていただきました。

会場でいただいた来季のパンフレットには、退任する秋山和慶さんには桂冠指揮者のタイトルがついていました。
定期演奏会は振りませんが、特別演奏会を一回振るようです。

20121122

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月20日 (火)

ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響(2012/11/20)

2012年11月20日(火)19:00
東京文化会館

(都民劇場音楽サークル第602回定期公演)

指揮:マイケル・ティルソン・トーマス
サンフランシスコ交響楽団

ピアノ:ユジャ・ワン

アダムズ:ショート・ライド・イン・ア・ファースト・マシーン
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
シューベルト(リスト編):糸を紡ぐグレートヒェン
(アンコール)
ラフマニノフ:交響曲第2番
ビゼー:「アルルの女」第2組曲
     ~「ファランドール」
(アンコール)
コープランド:バレエ音楽「ロデオ」より(アンコール)

なんか、人造的な音で、ロシアの哀愁とは無縁の音のような気がしますが、無機質ではなく、魅惑的かつ立派な音です。
構築されたモダンなサウンドの人工美に酔わされました。

一曲目のアダムズ。
フラブラ付き(なぜかこの曲だけ…)。
それはともかく、2曲目用のピアノは置いたままでの演奏。
音にパワーありますねー…って、大編成だから当然なのかもしれませんが、それだけではないような…。
物理的なパワーではなく…。

2曲目は、初めて生で聴くユジャ・ワンさま。
残念ながらステージがあまり見えない席でしたが、文化会館だけあってピアノがくっきりとした音に聴こえて飽和しない。
オケがめいっぱい鳴らしてもピアノが埋没せずに聴こえてきます。

世界第1位と第2位の経済大国の競演を、第3位の私たち聴衆が拝聴する構図…はさておき、排気量の大きい車のようなパワーですね。
思いっきり踏み込んでも余裕でパワーアップする感じ。

アンコールは、リスト編の「糸を紡ぐグレートヒェン」とのこと。
とっさに曲名を思い出せませんでしたが、聴き覚えがあるわけです。
私の嗜好としては、本編のプロコフィエフよりも、こちらの旋律美の方に、より魅了されました。
(既知感があったのに、曲名が思い浮かばなかった言い訳。ルチア・ポップさん没後は歌曲への興味が一気に冷めて久しいため。見苦しい言い訳で失礼。)

休憩後のラフマニノフは、出だしから押し寄せる旋律の魅惑。
しかしモダンっぽいサウンドで、ロシアの哀愁とは無縁の、大都会のラフマニノフ。
前述のように人造物っぽいですが、機械的にはならず、歌うところは思いっきり歌う。

全曲の統一感というよりは、なんとなく不連続っぽい部分の集合体のような印象も受けましたが、これは承知の上で、あえてそうしていたのでしょう。
素晴らしい箇所は多々ありましたが、特に第3楽章の美しさには、ただただ、身を任せて酔うのみです。

さすがに、サントリーホールの音響でこれを聴きたかった…と思う瞬間も多少はありましたが、すぐにそんな音響的なハンディは忘れて没入することが出来ました。
オケにツアーの疲れはあったのかもしれませんが、細部のことは私には無問題です。

ラフマニノフが終わったのは21:20頃になっていたと思いますが、アンコール2曲。
ファランドールもモダン、コープランドはさらにモダン、当然アメリカンサウンド。
超快感。
席の位置の不運による視界不良を除けば、文句なしの体験でした。

20121120

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月19日 (月)

小林研一郎/都響(2012/11/19)

2012年11月19日(月)19:00
東京文化会館

指揮:小林研一郎
東京都交響楽団

(第744回定期演奏会Aシリーズ)
ヴィオラ:店村眞積

ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

良い時のコバケン!
それも、たぶん、最高に良い時の…。
特に田園!
音に宿る無限のニュアンス。
デッドな文化会館で聴いていることを忘れた至福の瞬間…の連続でした
読響芸劇マチネに続いて都響だけに…とひそかに期待していたのですが、大当たりでした!

一曲目の「イタリアのハロルド」は、私はこの曲をさほど聴き親しんでいないので断言は出来ませんが、ソロもオケも良かったのではないでしょうか。
店村さんのソロは、ソロにふさわしい発散する強いエネルギーがあります。
コバケンは譜面は置いてあるものの、開かずに暗譜での指揮。
オケの機能も都響ならではの鉄壁なアンサンブルと言って良いのでしょう。
この曲がコバケンの得意曲かどうか、私は存じ上げませんが、迷いの無い指揮姿に見えました。

会場の拍手は暖かいものでしたが、さすがに有名曲度?では「田園」にはかなわないのは仕方ないところ。
「田園」に乗らない奏者は帰れて、お客さんは帰れない、一石二鳥(?)の曲順。
そして、その「田園」が、本当に至福の、ため息ものの演奏でした。

コバケンの指揮の動作に力みはなく、むしろあまり手を動かないで見守るように振る場面も多い。
オケからも自発的に溢れる歓びの旋律。
都響のコンディションが良いのは驚きませんが、驚くような忘我の境地で、ただただ、聴き入るのみの素晴らしい演奏。
身悶えしたくなるような悦楽です。

小都響の木管陣の音色が素晴らしいのも驚きませんが、…と言いつつ、驚くような瞬間の数々。
特に、時折、気負いのようなものを感じることもあるオーボエの鷹栖首席が完全に自然体の演奏で溶け合っていたのも嬉しい限り。
もちろん弦楽器も、ホルンの音色も、美しい限り。

あえて欲を言えば、繰り返しをやってほしかったような…。
あまり注意して聴いていませんでしたが、第3楽章の繰り返し、ありましたっけ?
(自信ありませんが。)
コバケンはベートーヴェンでは繰り返しはやらないのですか?
読響三大交響曲でもやっていなかったような?

演奏終了後、フライングの拍手もなく、数秒の静寂の後、コバケンが脱力してからの拍手開始。
その後はかなりの数のブラボーも。
そして珍しく(?)コバケンお得意のスピーチはなく、代わりに最後は、オケ全員と一緒にお辞儀(○フィル・スタイル…)。

(しつこくてしみませんが、○月に聴いた別のオケの○○ー○○の音色とは、全くの別物でございました。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月18日 (日)

飯森範親/東響(2012/11/18)

2012年11月18日(日)14:00
サントリーホール

指揮:飯森範親
東京交響楽団

(第605回定期演奏会)
バリトン:ロディオン・ポゴソフ

マーラー(ベリオ編):「若き日の歌」より
  夏に小鳥はかわり
  シュトラスブルクの砦の上で
  二度とは逢えぬ
  いたずらな子をしかりつけるために

  思い出
リヒャルト・シュトラウス:家庭交響曲

休憩前に解説しながら聴きどころをフルオーケストラで紹介する「おとな定期」。
休憩後の本編は、馬鹿騒ぎにならずに格調高く演奏されましたた。
騒々しくならない柔和な格調高い家庭交響曲。
東響のハーモニーは素晴らしく美しい!

最初のベリオ編による「若き日の歌」。
管弦楽は比較的シャープな印象を受け、多少複雑なこともしているようにも感じましたが、さほど奇抜でもなく、割とまとも。
それでも、原曲でピアノによって軽やかに弾かれる部分の伴奏は、オケによる演奏にすると少し重々しい印象もありました。
独唱に関しては、私の席の位置の関係上、多くはわからないので省略。

この歌曲の後の拍手が終わった後に、飯森さんがマイクを持ち、後半の家庭交響曲の解説を演奏付きで。
なんとも贅沢な!
ステージ上にはフルオーケストラが揃い、飯森さんの解説(トーク)~演奏(指揮)~解説(トーク)~…と、聴きどころを演奏。
チェロが外側の配置にしたのは、ヴァイオリンとチェロによる夫妻の掛け合いを効果的に見せるためとのことです。

ここで妻が叫び、ここで子供が泣き、…と言った解説。
しかし休憩後の本編の演奏は、その大騒ぎを強調したものではありませんでした。
あくまでも格調高く、純音楽として指揮、演奏されたように感じました。
ひとことで言えば、調和。
見事な調和。

休憩前の聴き所紹介のトークで飯森さんは、注意しないで聴いていると聞き流してしまいそうな…というようなことを話していらっしゃいましたが、おそらくそれは、後半の本編では、部分を誇張した演奏にはしない…という意図があったのではないでしょうか?

東響のコンディション、アンサンブル、ハーモニーも素晴らしい。
荒さんのオーボエ、ヌヴー氏のクラリネット、ハミル氏のホルン…と上げ出せばキリがないほど、各奏者のソロも見事。
それを引き出し、生かしたたのはもちろん飯森さんです。
飯森さんの指揮の動作は力みがなく、(以前、マーラーで少し感じたような)強引な印象は皆無(←素人が偉そうにすみません!)。
自然体で振っていて、面白いようにオケが鳴る。
それも轟音ではなく、あくまでも美しく調和した音。

飯森さんは、キャリア的にも年齢的にも、円熟の年代が視野に入って来ているのではないでしょうか。
この日の演奏もそれを裏付けるものだと思いました。
東響の「正」の付かない「指揮者」というポストの頃から聴いている者としては、本当に嬉しいことです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月11日 (日)

日生劇場「メデア」(2012/11/11)

2012年11月11日(日)14:00
日生劇場

ライマン:メデア
日生劇場開場50周年記念
読売日本交響楽団創立50周年記念
二期会創立60周年記念公演

開演前からハイテンションになり、始まったら眠くなってしまって大失敗。
残念!

負け惜しみを言えば、つまらないからではありません。
音楽が心地良くて(苦しい…)。
開場してすぐに入場し、気合いを入れてでプログラム冊子を速読・熟読し(←これがまずかったかな?)、席について安堵し、始まってしばらくしたら、次第にまぶたが重くなって…。

開演前をハイテンションで過ごして本編で眠くなった経験は過去に何度もあります。
かつて、N響定期で開演前にロビーで室内楽が演奏されていた頃の席取りとか。
学習効果がない私です…。

うつらうつらしながら聴き、完全に覚醒したのは第2場の後半、メデアの追放が宣告されるあたり。
本当にもったいないことをしました。
メデアは既に悲嘆に絶叫(いや、絶唱)しており、休憩後の第3場では狂気の域に。
メデア役の飯田みち代さんは見事すぎる声と演技でそれを体現。
書いた方も凄いですが、それを歌った方も凄い。

メデアの夫イヤソン役の宮本益光も素晴らしい。
私は宮本さんは、第九の独唱の時など、ちっとも良いと思わないのですが(失礼!)、役を演じた時の宮本さんのうまさには毎回脱帽せざるを得ません。
宮本さんが歌うオペラは毎回楽しみなのですが、今回もその期待は裏切られませんでした。

クレオサが焼死する(させられる)場面は歌唱によって説明調に示され、舞台上の人の動きでは明示されませんが、赤い照明と煙(ドライアイス?)で表現した演出は見事。
その場面の管弦楽も、もしプッチーニが生きていて、いま作曲したら…というくらいの迫力。

舞台装置も具象と抽象の中間を絶妙に狙ったような、簡素ですが安っぽく見えない効果的なもの。
色彩的な照明の場面と、暗転したモノクロームな場面の交錯を駆使した演出も素晴らしい。

本日も作曲者のライマン氏が舞台に登壇して、満足そうに拍手を受けていました。
作品は紛れもない現代音楽ですが、紛れもないオペラでした。

以上、前半、眠くなってうつらうつらしてしまい、第2場後半のメデア追放の宣告の場面以降の感想でございました。

あと、6月に開催されたシンポジウムでの下野さんのトークによれば、あの大編成のオケは、一度も全員で音を出す場面がないとのことです。

スタッフ
指揮:下野竜也
演出:飯塚励生
装置:イタロ・グラッシ
衣裳:スティーヴ・アルメリーギ
ドラマトゥルク:長木誠司
演出助手:家田淳

キャスト
メデア:飯田みち代
メデアの乳母 ゴラ:小山由美
メデアの夫 イヤソン:宮本益光
コリント王 クレオン:高橋淳
コリント王女 クレオサ:林美智子
隣国同盟の使者:彌勒忠史   

管弦楽:読売日本交響楽団

201211111


201211112

201211113

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月10日 (土)

エド・デ・ワールト/N響(2012/11/10)

2012年11月10日(土)18:00
NHKホール

指揮:エド・デ・ワールト
NHK交響楽団

(第1739回定期公演Aプログラム)
ヴァイオリン:堀正文
ジークリンデ:エヴァ・マリア・ウェストブレーク
ジークムント:フランク・ファン・アーケン
フンディング:エリック・ハルフヴァルソン

武満徹:遠い呼び声の彼方へ!(1980)
武満徹:ノスタルジア
     ~アンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第1幕
(演奏会形式)

後半はオケのやる気が全く違う?
歌合戦ホールが歌劇場になったひと時。
NHKホールで聴いているということを忘れました。
本当に幸せな時間でした。

武満さんの作品の独奏ヴァイオリンの堀正文さんはソリストとして登場。
コンサートマスターは篠崎史紀さんでした。
私は元々、武満さんの曲はあまり相性が良くないので、演奏がどうこうと感想を語る資格はありません。
この日もいつものように、捉えどころがわからぬまま、漫然と時間だけが過ぎていきました。
すみません、聴く側の私の問題です。

しかし、武満さんの作品と私の相性が良くないと言いつつも、後半の「ワルキューレ」の音が強烈に鳴り出したとたん、オケのやる気がまるで違うのではないか?と思ってしまったことは事実です。
歌手もオケも、素晴らしいのなんの。

まず冒頭の低弦の音からして威力が凄い。
オケだけでも雄弁にドラマを語る。
一瞬にしてリングの世界へ。
演奏会形式であることを忘れる。
惚れ惚れするような重厚な音。
やる気になった時のN響?は文句無しに凄い!

歌手は3人とも余裕の大声量、圧倒的。
演奏会形式とは言え、多少の動作は交えての歌唱。
表情を見るに、相当に役に成り切っている様子。
マフィアのボスのような風貌のフンディングの目つきの怖いこと!

ジークムントは出ずっぱりだったせいか、頻繁に汗を拭い、たびたび足もとに置かれたペットボトルで水分補給。
少しへばったかな?という瞬間もあったかもしれません?が、最後まで頑張りました。

ジークリンデは一人だけ指揮者と一緒に登場しましたが、フンディングとともにいったん退場してから間をおいて再登場。
その後は最後までジークムントと禁断の愛の場面。
当然とは言え、高揚、高揚、高揚。

終わった瞬間に会場から上がったブラボーの声と拍手は、前半の武満作品とは比べ物にならなかったのでは?
もちろん、作品の違いは相当にあるにせよ、演奏の違いは大きい。
もちろん歌手の皆さんの素晴らしさは疑いの余地もありませんが、N響も相当に気合いが入っていたと思います。
これを聴きに来たんですよ、私たちは。
いや、期待をはるかに上回ってしまって、ノックアウトされた…というのが偽らざる心境でした。

前日の日フィル定期と同様に、この日のN響定期でも翌日2日目のチケットを買いたくなりましたが、さすがに2回目なので、理性による静止が普通に機能しました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ラドゥロヴィチ(Vn)/東響(2012/11/10)

2012年11月10日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮&ヴァイオリン:
ネマニャ・ラドゥロヴィチ
東京交響楽団

(東京オペラシティシリーズ第70回)

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
      ~シャコンヌ
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
      ~サラバンド
(アンコール)
パガニーニ:カプリース作品1-13
      ~「悪魔の笑い」
(アンコール)

ポピュラー音楽のミュージシャンのような服装で現れ、随所にかなりの煽りを入れるものの、悪趣味に至らないのは素晴らしい。
東響が「彼の音」で鳴ったのも驚きでした。

黒を基調としてはいますが、クラシック音楽の演奏会ではあまり見ないあの服装には、一瞬のけぞりそうになりました。
ピアスをし、アイシャドウとかも入れている様子。
しかし、音楽は真っ当。
いや、随所に煽りは入り、足を踏み鳴らす場面もあるんですが…。
それでも、あれだけ好き放題?やっていても、クラシック音楽の枠組みから、はみ出さないところに、彼の凄さがあるような気がします。

冒頭のシャコンヌでは、、静かに弾き始めたものの、あっという間に強力な音の引力にグイグイと。
しかし前述のように、枠組みは守った上での、一線をギリギリの所で超えないグイグイ…ですので下品にはならない。

2曲目のバッハの協奏曲からは東響のメンバーも参加。
少人数のメンバーの大半は座らずに演奏。
ラドゥロヴィチさんは、弾き始めや演奏中も、要所要所でメンバーの方を向き、ボウイングやアイコンタクトでリード。
禁欲的でない、愉しさいっぱいのバッハです。

休憩後はメンデルスゾーン。
最初はニ短調から。
裏メンコン(?)を、こんなに楽しい箇所が多い!と思って聴いたのは、私は初めての経験かもしれません。
ほら、ほら、ほら、ここにも…と、魅惑的な箇所を音で示して誘惑。
誘惑するのは聴衆だけでなく、東響のメンバーも…。

本編の最後は本物のメンコン、ホ短調。
ラドゥロヴィチさんが引き続き魅惑的に弾きまくるのは当然のこととして、バックの東響がそれに追従し、まさに「ラドゥロヴィチ指揮」の音と勢いになって行ったのには驚嘆しました。
自分が弾いていない時の指揮は、拍子を刻むのではなく、弓を使って空ボウイングで示すことが多い。
スリリングな体験と言って良いでしょう。

うわさには聞いていたラドゥロヴィチさんは初鑑賞だった私。
もちろん彼の音楽の引力には引き込まれましたが、客席の淑女の皆さんの、陶然とした悦楽状態の表情にも圧倒されました。
最前列にはスタンディングオベーションのご婦人方。
終演後のロビーは、サイン会に群がる群衆!
まさにミュージシャン、スターです。

20121110vn

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年11月 9日 (金)

山田和樹/日本フィル(2012/11/9)

2012年11月9日(金)19:00
サントリーホール

指揮:山田和樹
日本フィルハーモニー交響楽団

(第645回定期演奏会)
ピアノ:パスカル・ロジェ

野平一郎:グリーティング・プレリュード
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲
サティ:グノシェンヌ第2番
(アンコール)
ヴァレーズ:チューニング・アップ
ムソルグスキー(ストコフスキー編曲):組曲「展覧会の絵」

恐るべし、マエストロ・ヤマカズ!
これがあの日フィルさんの音ですか!(失礼!)
しかも初日の方の!
ラザレフさんのように引きずり回さなくてもオケは鳴る!鳴る!
錬金術師としか言いようのない(失礼!)鉛を金に変えた(失礼!)マエストロ・ヤマカズの魔術、ミラクル!です。

一曲目の野平一郎さんの曲は弦楽のみ。
プログラム冊子によれば結構複雑に組み立てられている曲らしいのですが、この日の演奏の聴感としては、私にはあまりそういうものは感じられず、均質化された音のように聞こえましたが…さて?
マエストロ・ヤマカズの個性もあるのかな?

2曲目のガーシュウィンでは、オケの編成が一気に膨れ上がりましたが、なんとこれが驚異的なハーモニー。
クリアーなピアノの音に遜色ないオケの響きの純度、洗練度。
自然体で振っていて、こんな音をオケから引き出してしまうマエストロ・ヤマカズには、ただただ脱帽です。
もっとも、楽章間では汗を拭いていましたので、省エネの指揮では無いようです

ピアノもオケも、あまりジャズ的な側面を強調しない、ロマンティックな演奏のように感じたが合っていますかね?
そういう意味では、ロジェさんとマエストロの相性は相当に良かったのではないでしょうか。
それにしても、あの日フィルが…!(たびたび失礼!

ロジェさんのアンコールは、ガーシュウィンの後にピッタリの選曲。
透き通るような美しいピアノの音色が、優しくホールの興奮を冷ます。
最後の音が消えた静寂に大きな咳の音だけは残念…。

協奏曲が終った時点でオケのメンバーには「のせられてしまった」感の笑顔が溢れていましたが、休憩後は油断していたら、コンミスが立ち、チューニング…と思いきや、オーボエも立ち上がり、音を出した時には、あれ?マエストロは既に出て来ていました。
何ともにぎやか…と言うより騒々しい曲ですが、これがくせになる曲です。
Nxos Music Libraryにも音源があり、“予習”したときには驚きましたが、生で?聴くサイレンの音はまた格別…。
途中でオーボエがまた立って、吹きながら一回転くるりと回ったりして笑いを誘う。

次の曲の前のチューニングでは場内には笑いが…。

その最後のストコフスキー編の「展覧会の絵」が壮絶!
こんなに面白い編曲でしたっけ?
少々悪趣味な編曲というレッテルを貼っておりましたが、これは「ストラヴィンスキー編曲ですよ」と言われても納得してしまいそうな…。
もちろん、それをここまで鳴らしたのはマエストロ。
力まずに自然体で振っているようなのに凄い音が鳴る。
それも、爆演でも粗雑な音でも無く、洗練された音がうなりをあげるから驚きです。
もちろん、弦楽器の微弱音のざわめきのような音の美しさも格別。

ラザレフのように、キュー出しまくりの、ある意味強引にオケを引っ張るような指揮ではありません。
おそらく楽員の皆さんは、解放感(開放感)を持って気持ちよく演奏しています。
しかし、実はそれが、お釈迦様の手のひらの上の孫悟空状態!
ヤマカズ、恐るべし。(何度もすみません。)

もっとも、終演直後のマエストロは、かなり息がはずんでいた様子で、口を半開きにしていました。
見た目とは裏腹に、脱力して振っていたわけではなさそうです。
無駄のない洗練された動きとでも言えば良いのでしょうか?
珍曲をとりあえず音にしてみた…などというレベルなどではない、圧倒的な超名演、凄すぎる演奏でした。

ラザレフさんの時ですら感じることがある「2日目は、さらに良くなるのでは?」という思いをほとんど感じさせなかったのも凄い。
もっとも、演奏会冒頭の野平さんの曲の演奏は、明日はもっと良くなるような気もしますが…。
それにしても、自分の曲だけでなく、最後まで客席で聴いていた野平さんの心境やいかに?
対抗意識で、野平一郎編曲の展覧会の絵ができないかな?

ストコフスキー編曲の「展覧会の絵」を、ゲテモノ、気を引くための珍曲…と思っていたことを激しく反省。
マエストロ・ヤマカズは、おそらく本気で、この編曲を「素晴らしい」と信じているに違いありません。

あまりに驚いたので、翌日は私は別の予定があるのに、終演後に2日目のチケットを買いたくなってしまいました。
幸い、主催者のカウンターには人が群がって混雑していて、少しの間それを眺めていたら冷静になり、買わずに家路につくことができました。
めでたし、めでたし。
…いや、2日目の演奏会が終了するまで、変な気を起こさないように注意が必要です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 4日 (日)

インバル/都響(2012/11/4)

2012年11月4日(日)15:00
横浜みなとみらいホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(新マーラー・ツィクルス第Ⅰ期・ツィクルスⅣ)
バリトン:河野克典
ソプラノ:森麻季

マーラー:「少年の不思議な角笛」から
 死んだ鼓手
 むだな骨折り
 番兵の朝の歌
 だれがこの歌を作ったのだろう
 高い知性への賛美
 塔の中の囚人の歌
マーラー:交響曲第4番

オケが凄いのなんの。
後半の交響曲が魅惑的過ぎるのは想定内として、前半の角笛、オケがこんなに面白かったでしたっけ?
都響、凄すぎ!
棒に見事に追従し過ぎ!
「当然」のような気持ちで聴きに行っていますが、(途中離日したかどうかまでは存じ上げませんが)9月からの長期滞在でシェフの役割を十分すぎるほどに果たしたマエストロに感謝すべきでしょう。

繰り返しになりますが、角笛、こんな良い曲でしたっけ?(失礼!)
独唱を聴くには音響的にハンディのある席だったので河野さんの声について述べる資格は私にはありませんが、そういう席で聴いても不満なし。
そして、これも何度も言ってすみませんが、オケが素晴らし過ぎる!
おそらくバックのオケは、交響曲と同じくらいの細心さで演奏しているのでしょう。
強奏の時だけでなく、ちょっとしたアクセントを加える金管、打楽器、…ティンパニだけでなくシンバルや小太鼓まで「おお!このニュアンスは!」というような音でした。

休憩後の交響曲は、私の周囲の人のたてるノイズに何度も集中力を妨げられたのですが、それでもワクワクし、うっとりし、ハッとし、存分に楽みました。
都響の音が素晴らし過ぎたから。
いや、インバルさんの音と言うべきなのでしょうが…。
絶叫しない(←声のことではなく、オケの音のこと)。
魅惑的に鳴っている箇所の多い曲ですが、雄弁、多弁にもかかわらず、押しつけがましくない。
そしてパワーアップして鳴る時も、無段階変速ギアでスムーズに大音量に移行。

もう、いつまででも浸っていたい果肉プルルンのような?天国的な響きですが、来てほしくない終わりは、いつかは来てしまう。
気がつくと森麻季さんが第3楽章の終わりを告げるために?静々と入場。
本来は天国的な声の登場のはずでしたが…。
前述のように私の席は声を聴くには音響的にハンディのある席。
よって定かではありませんが、オケの音(インバルさんの棒)のすばやい動きに、微妙に追従できなかった箇所が散見されたような気がしたのは私の気のせいでしょうか?
まあ、平然と追従する都響の方が凄いのかもしれませんが…。

まあ、それは些細なこと。
私は前回の定期での演奏の時は体調が良くない時期で、チケットは買ったものの知人に譲ったような記憶があるので、聴けて良かった!
…と同時に、次に聴ける機会はあるのだろうか?と、すこしさみしく感じました。
早くツィクルスの次回が聴きたい!と思いつつ、それは自分が歳をとること(すなわち、自分の死へ近づくこと)を望んでいるようで、曲がマーラーだけに、複雑な期待感ではあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 3日 (土)

上海クァルテット with 長富彩(2012/11/3)

2012年11月3日(土・祝)19:00
市川市文化会館小ホール

上海クァルテット
ピアノ:長富彩

ハイドン:弦楽四重奏曲第67番「ひばり」
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6番
シューマン:ピアノ五重奏曲
シューマン:ピアノ五重奏曲~第3楽章
(アンコール)

手に汗を握る真剣勝負は聴きごたえあり!
長富さんは後半からの参加で大変だったかもしれないですが、相当に頑張って聴き応えがありました。

前半はクァルテットだけでの演奏。
しかし、2曲でいったん演奏会が完結したかのような充実度です。

ハイドンからして、可愛らしく始まった曲が、あれよあれよという間に熱を帯びる。
モーツァルトの死後も、ベートーヴェンの時代まで生きたハイドンの姿を垣間見ることが出来る演奏でした。

続いて、ハイドンからワープしてショスタコーヴィチへ。
しかし弦楽四重奏曲という様式は、時代を超えてつながっていますねぇ。
全く違和感なし、です。
ユーモアは皮肉っぽく変質してはいますが…。
ただ、微弱音が奏でる抑圧された恐怖の片鱗はハイドンにはあまり感じられない要素でしょう。
20世紀の東側の産物と言って良いのでしょうか。
弦楽四重奏を聴いているのに、まるで交響曲を聴いているかのような気分になりました。
ある意味、オーケストラの縮図の、ミニマムサイズの中に、作曲家が込めた極めて多様かつ複雑な要素の数々。
それを4人は、指揮者と同じくらいの視点で読み取って弾いたのではないでしょうか?

前半でハイドンとショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を弾ききった4人に、休憩後から長富さんが加わる。
これ、途中から加わるのって意外と大変なんでしょうね。
最初だけ押され気味?だった長富さん、徐々に調子を上げて言った印象。
「長富さん、多少遠慮気味?」と感じたのが、第1楽章を半分過ぎたあたりから「お!」という音が鳴るようになり、丁々発止に。
お、長富さんが仕掛けた!
それを横綱相撲で受け止めて寄り返すクァルテット!
凄い、凄い!

特に第3楽章は、曲調が曲調だけに、聴いているこちらも相当に肩に力が入る白熱ぶり。
長富さん、相当に気合いを入れていましたが、クァルテットもさらに上を行く応酬。
キャリアを考えれば、相当に良い勝負だったと言えるのではないでしょうか?
長富さんのピアノにも「お!」と耳を奪われる素晴らしい瞬間が随所に見られました。
また、楽譜に首っ引きではなく、頻繁にクァルテットの方に視線を向けてアンサンブルに隙なく加わったのも素晴らしい。
入念に準備をしたのではないかと思います。

アンコールに、あの白熱の第3楽章を弾いてくれたのも最上級のプレゼント。
元々凄かったから「アンコールはさらに凄かった」のかどうかはわからなくなりましたが、本編では出来なかった第3楽章の後の拍手が思う存分出来て幸せ!

「東京」がそろそろフェードアウトしていこうとしているときに「上海」が働き盛りを迎えている。
なんか、産業界を見ているような気分にもなりますが、長富さん、日本代表、頑張りました!
日本の未来は長富さんの世代の肩にかかっています!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

矢崎彦太郎/東京シティ・フィル(2012/11/3)

2012年11月3日(土・祝)15:00
ティアラこうとう大ホール

指揮:矢崎彦太郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第31回ティアラこうとう定期演奏会)
ピアノ:阪田知樹

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

後半の「田園」が秀逸!
いつ幻想交響曲に変身するのか?というような、田舎についた時の大発散する感情。
5楽章交響曲の元祖?、ここにあり。

矢崎彦太郎さんが首席客演指揮者に留任と聞いたときは嬉しかったのですが、今シーズンに主催公演を指揮するのはこの日一日だけ。
それも「田園」?…と思った私が悪うございました。

いつものことではありますが、矢崎さんが振ると、このオケの音色がカラフルになり、南欧のふりそそぐ太陽のような趣きを帯びるから不思議。
曲が牧神の‥でもそうだから不思議。
飯守さんの時とは全く違います。

ラヴェルのピアノ協奏曲では、平成生まれの演奏家を拝聴する時代になったのか…という感慨も…。
まだ卵…ではなく、ヒナでしょうから、結構真面目な演奏みたい。
さらに遊びのある上のレベルを目指している最中でしょうが、試験を受ける音大生のレベルは卒業している模様。
聴衆にうったえるものをもつ、聴かせる音楽になっていました。
もっとも私は前半は少し眠かったので、偉そうに感想を述べる資格は本来ありません。
(すみません。)
しかし、前半、ちょっとうつらうつらしたおかげで、後半の凄演を覚醒して受け止めることが出来たかもしれません。

後半の「田園」、矢崎さんなら何でもフランス音楽に結びつけてしまうのは単純過ぎる発想なのでしょうが、どうしてもベルリオーズを連想してしまいます。
もちろんベートーヴェン演奏の様式を逸脱してはいないと思うのですが…。
さすがに田園の楽器編成ですから、カラフルという音色にまではならないですが、ロマン派の交響曲のように聴こえる田園、高揚、高揚、ハイテンション。
疾走して駆け抜けて行ってしまう演奏ではなく、たっぷりと鳴らして堪能させくれる演奏。
オペラシティだったらもっとブラボーが飛んだことでしょう。
「矢崎さんに田園?」と少し疑念を抱いていたことを猛反省させられた演奏でした。

先日の秋山和慶さんによるオペラシティ定期に続いて高水準の熱演を聴かせてくれた東京シティ・フィル。
演奏終了後は汗を拭う奏者多数。
来場したお客さんの多くは大満足だっただろう。
しかし入場者数は少々さみしい感じで残念。
矢崎彦太郎さんという指揮者が、東京の音楽シーンにおいて、その力量に見合うだけの注目を集めているとは言い難いのことだけは、毎回残念に思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 2日 (金)

シェレンベルガー/カメラータ・ザルツブルク(2012/11/2)

2012年11月2日(金)19:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
カメラータ・ザルツブルク

ピアノ:小菅優

《モーツァルト/ピアノ協奏曲第20~27番&交響曲第38~41番》第1日

モーツァルト:歌劇「イドメネオ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
(アンコール)

私の気のせいかもしれませんが、実質的にオケを率いていたのはコンミス(コンサート・ミストレス)ではなかったでしょうか?
もしそうだとしたら、素晴らしいリード!です。
小菅さん目当てで買ったチケット。
しかしコンミスの好リードに注目!し過ぎてしまいました。

前半では、とりあえず小菅さんのピアノが聴ければ私は文句無し。
弾むような楽しさと微細なニュアンス。
ところで、オケの方はどうなのでしょう?
折衷案…と言ったら言い過ぎでしょうか?

何が何でもモーツァルトならピリオドとは思わないですし、この演奏だって決して悪くない。
でも、第1ヴァイオリンが7人の小編成ですし、ティンパニはバロックっぽかったし、トランペットも古楽器っぽい。
でも、それ以外の楽器はモダンなのかな?
そして指揮者は、朝日新聞のインタビュー記事では、ビブラートをかけると強調していたような…。

「イドメネオ」序曲では、なんか焦点が定まらないかなぁ…と思って聴いていましたが、協奏曲になり、最初は小菅さんのピアノの音を聴いていましたが、演奏が進むに連れて、オケの音がメリハリが出てきて、くっきりとしてきた感じ。
ふと見ると、コンミスのあごの動きや視線の使い方は尋常ではないような気が…。

後半も、気のせいかもしれないけれど、なんか指揮者の存在感が薄いような…。
前日のブロムシュテットさんと比較してしまってはいけませんが…。)
コンミスの視線の先は、譜面でも指揮棒でもなく、オケの方を向いていることが多い印象。
小菅さんのピアノは想定通りの魅惑的な音でしたが、コンミスの動きが気になり出してからは、彼女が繰り出す合図に目を奪われ、あまりピアノの音を聴いていなかったかもしれません。
小菅さん、ゴメンナサイ。

最後の「ジュピター」では指揮者は暗譜になり、コンミスのリードも協奏曲ほど露骨?な動きではなくなったようですが、それでも私には、音の発信源はコンミスからのように見えて…聴こえて…なりませんでした。
私の勘違いかもしれませんが、指揮者の動作を見ると、もう少しふんわりとした音を作りたかったのでは?と思ってしまいました。
この「指揮者」を生で聴くのは初めてなので、断言は出来ませんが…。
第3楽章での強めの表情付けを主導したのは指揮者でしょうが、その弦と木管の対話にもコンミスが絡む。
第4楽章のスピード感も、指揮者が主導したにしても、コンミスの存在感は強し。

アンコールの「フィガロの結婚」序曲も、メリハリ、スピード感、畳み掛けるように演奏され、演奏会の最初の方での私の疑念は、爽快に払拭されました。
私は都合により、この日のみの鑑賞ですが、このシリーズ、コンミスのリードを見に、通いつめたくなりました。

…と、単なる憶測で、面白がって主観的な感想を書いてしてしまい、本日の「指揮者」のファンの方には深くお詫び申し上げます。
単なる私の憶測、主観でございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 1日 (木)

ブロムシュテット/バンベルク響(2012/11/1)

2012年11月1日(木)19:00
サントリーホール

指揮 : ヘルベルト・ブロムシュテット
バンベルク交響楽団

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン:交響曲第7番
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
(アンコール)

N響では聴けない音色の?ブロムシュテットさん…と言って良いのかな。

ブロムシュテットさんのエロイカなら1-2年前にN響で聴きました。
聴きましたけど…。
何が違うのでしょう?
何もかもが違い過ぎる…ように聴こえました。
同じ指揮者とは思えない音色の差。
N響との違いはNHKホールとサントリーホールの違いだけでしょうか?
私は最近、N響をサントリーホールで聴いていないので断言は出来ませんが、おそらく違うのではないでしょうか。
オケが変わると同じ指揮者でもこんなに違う?

バンベルク響の音は各奏者の自発性が強く、躍動感にあふれ、弾力性があり、その上でまとまっています。
N響の一糸乱れず…というのとは、聴感上は相当に異なります。
どちらが良い、悪い、という意味ではなく…。

おそらくブロムシュテットさんが指揮棒で表現している音は、枠組みという意味では、全く変わらないのでしょう。
畳み掛けるような煽りも同じ。
対向配置も同じ。
しかし、しかし、この果肉のような弾力性と躍動感は…。

休憩後の第7番も、弾力性のある音で始まった第1楽章、消え入るような音の音色に酔う第2楽章。
しかし、第3楽章以降はこちらの耳が慣れたせいか、それともオケも高揚してテンションが上がったのか、なんとなくN響で聴き慣れたブロムシュテットさんの響きに近くなったような?
そういう意味では、第3楽章以降は弾力性よりも豪快な音になった感もありましたが、それに不満があるはずもありません。
高揚感は最後まで持続し、それでもある種の節度、品位を保っての終結。
いやはや、ブロムシュテット爺は、元気、元気、元気。

この圧倒的過ぎる大興奮の第7番の後にはどんなアンコールも霞むかと思いきや、演奏されたエグモント序曲は、よく演奏会の冒頭に演奏されるオードブルとは別次元の驚くべきハイテンション。
7番の後で全く遜色なし。
負けず劣らず凄かった。

最後は一般参賀、ブロムシュテットさんのソロカーテンコール。
N響とは相当に違う!と驚きつつ、N響とどちらが良い悪いではなく、どちらも紛れもないブロムシュテットさんの音楽。
この日の演奏を聴いたらN響との演奏なんて聴けないよ…ではなく、N響の一糸乱れずのブロムシュテットさんは、あれはあれで素晴らしい。
今回のバンベルク響来日演奏会は私はこの日だけ鑑賞の予定ですが、来年9月のN響定期にも、なんとか都合をつけて聴きに行きたいものです。
今回が最後かも…と思ったN響でのエロイカの後も、足腰も全く衰えずに平然と来日を重ねるブロムシュテット爺、推定年齢75歳(ウソ)。
こちらは、当然、来年9月のN響定期も何の問題もなく振ると思っています。
今の元気を維持して、また必ず来て下さい!

なお、少し冷静になって反省すると、P席の中ですら、前方、中段、後方で結構音響が違いますので、一回聴いただけでNHKホールで聴くN響と比べたのは、少々不遜な行為でございました。

20121101

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »