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2012年12月23日 (日)

ノリントン/N響(2012/12/23)

2012年12月23日(日)15:00
NHKホール

指揮:ロジャー・ノリントン
NHK交響楽団

(ベートーヴェン「第9」演奏会)
ソプラノ:クラウディア・バラインスキ
アルト:ウルリケ・ヘルツェル
テノール:成田勝美
バリトン:ロバート・ボーク
合唱:国立音楽大学

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

贅肉をそぎ落として現れた生で聴くノリントン・サウンドは、ちっともやせ細っていない。
スリムだけど本当に美しい。
チケットが高い!と思っていましたが、これなら十分に納得の価格。
(定期公演ではB席の、1階前方壁ぎわのA席で鑑賞しました。)
今年を逃したら一生聴けないかもしれないノリントン様の生の第九を体験出来て幸せ!でした。

ノリントン様の音楽に私の耳が慣れたのか、ほど「変わったことをやっている」と思わずに、すんなり聴きました。
その、すんなり聴いた分、物珍しさではない、ノリントン様の音楽の本当の素晴らしさに浸ることが出来たように思います。
N響の音とは思えない軽量級の音の美しいこと!

いや、いろいろ変わったことはやっていたはずなのですが、その全ては、作為的ではなく必然のように聴こえるから不思議です。
プログラム冊子記載のノリントン様の談話の「ベートーヴェンの意図に忠実なのは、私の方なのですよ」は、たぶん正しいのでしょう。
ただし、正解は唯一無二ではないはずです。
多くの攻め方がある名曲、ベートーヴェンの交響曲…ということなのでしょう。
もちろん、中途半端な作為は二流と言って良い結果に終わると思います。
そして、ノリントン様の場合は、おそらく終始一貫して体系的に組み上げられ、その系統できちんと完結しているのでしょう。

前日のカンブルラン様と系統は違いますが、それでも「同様に」と言いたくなるのは、第3楽章がこれだけ速く演奏されたのに全く物足りなくなく、美しい旋律に酔わされたこと。
もっとも、ノリントン様は、プログラム冊子の談話で「ウィットと対話の重要性」「即興性」「メロディは二の次」と語っているのですが…。

ノリントン様の第九で、おそらく一番面白いのが第4楽章の冒頭から歓喜の歌の手前まで。
これが本当にN響のコントラバスの音ですか?と言うような、形容し難い軽やかな音。
猛スピードにもかかわらず、中身が薄っぺらな印象は皆無。
おそらく、この日最高の体験となるはずだったのですが…。
いや、途中まで、明らかにそうだったのですが…。

その、私の気持ちが最高にときめいた時、無情にも会場から飴の袋をいじくる音が…。
なかなかやめないので執拗に続く。
目を向けると、1階正面最前列左端の、白髪のマスクをした男性。
ようやく飴を口に入れた後も、袋を丸めようとしていじくり続ける。
その間、耳障りな音が持続する。
結局、歓喜の歌の寸前まで持続。

私は完全に集中力を削がれ、怒り心頭、金返せ…の気分でしたが、その方の口の中の飴は演奏終了までもったようで、その後はノイズは未発生。
私も気を取り直し、再び音楽に集中。
いや、演奏が、忘れさせてくれるくらい、素晴らしかったのでしょう。

前日のカンブルラン様もそうでしたが、この日のノリントン様も、かなりの部分で独唱に対しても棒を振っていましたので、声楽が加わった後でも音楽は一気に楽天的になったりせず、ノリントン・ワールドが持続。
ピンチヒッターの成田さんも、急きょノリントン流の歌い方で大変だった思いますが、健闘と言って良いでしょう。

合唱が入った後でも、音大の大人数の合唱とは思えないスピードがあったりします。
これが、プロの少人数のコーラスだったらどうなったかな?という思いは多少はありました。
しかし、巨大空間のNHKホールでは、大人数にせざるを得なかったかもしれませんし、ましてや音大生では。
まあ、よく頑張って、あの棒について行っていたとも思います。

一番面白い所での飴の袋をいじくる音の妨害。
独唱はともかく、合唱は、文句をつけたら酷なくらい健闘したとは思うものの、でも、もしプロだったら…という思い。
それでも、本当に幸せな体験でした。
あのN響が、ノリントン様の楽器になって、こんな音を出してくれて本当に嬉しい。

なお、独唱は、舞台下手の第1ヴァイオリンの後方に結構高い壇が設置されており、そこでの歌唱。
第3楽章前に登壇。
ノリントン様だから当然、オケは対向配置、コントラバスは最後列の合唱の前。
大合唱団がいたので、4月の時のような仮設反響板の設置はありませんでした。

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